痴漢事件で留置された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
◇事件◇
昨夜、会社員のAさんは、お酒を呑んで帰宅途中の東京メトロ日比谷線の電車内で、女性のお尻に触ったとして痴漢容疑で逮捕され、警視庁南千住警察署に留置されています。
Aさんは、約10年前にも同様の痴漢事件で罰金刑を受けています。
そのため普段は、女性から痴漢と間違えられないように、満員電車の中では女性に近寄らないようにして注意していたのですが、昨夜はお酒に酔っていたこともあり、事件を起こしてしまいました。
(フィクションです。)
本日は痴漢事件の刑事弁護活動について解説します。
◇痴漢◇
東京都内での痴漢事件は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反となります。
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の第5条第1項で、公共の場所又は公共の乗物において、衣類その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れる(痴漢行為)ことを禁止しており、これに違反して痴漢した場合には、起訴されて有罪が確定すれば「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられることとなります。
上記の罰則規定からもわかるように、痴漢行為の罰則はそれほど厳しいものではありません。
また、痴漢事件のほとんどは、偶発的な犯行で、事実を認めている場合は警察が捜査する内容もそれほどありませんので、逮捕や勾留といった身体拘束をされる可能性は低く、ほとんどの事件は、不拘束によって犯人の取調べ等の捜査が行われます。
しかしAさんのように再犯の場合や、容疑を否認した場合は、逮捕される可能性があるのです。
◇痴漢事件で逮捕されると◇
ご家族、ご友人が痴漢で逮捕された方は、弊所の初回接見サービスをご利用ください。
弁護士は「弁護人になろうとする者」の立場で面会するのですが、弁護人と全く同じ条件で面会することができるので、事件の詳細や、逮捕された方の認否を警察官の立会なしで聞き取ることができます。
そして聞き取った内容をふまえて弁護士は、今後の刑事手続きや刑事処分の見通しを立てて、逮捕されている方やその家族に伝えます。
痴漢事件で逮捕された場合、事実を認めていれば勾留される可能性が低いです(逮捕から48時間以内に釈放されます)が、否認している場合は勾留されて拘束時間が長くなる可能性があります。
また初回接見では、逮捕されている方やご家族から、今後の刑事弁護活動の希望をうかがいます。
◇弁護活動~釈放に向けて~◇
痴漢事件を起こして警察に逮捕されると48時間以内に釈放されるか、検察庁に送致されて勾留請求されるかです。(ごくまれに検察庁に送致された後に起訴されることもある。)
そして弁護士の活動で、この勾留を阻止し早期釈放することができます。
弁護士が作成する書面に添えて、ご家族等の上申書や逮捕されている方の誓約書を検察官や、裁判官に提出することによって、検察官の勾留請求や、裁判官の勾留決定を阻止することが可能になります。
この様な身柄解放活動が全て認められるわけではありませんが、上記のように痴漢事件の法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金と、刑事事件で扱われる法律の中では比較的軽微な犯罪です。
そのため否認等特別な事情がない場合、勾留される可能性は低く、例え検察庁が勾留請求したとしても、弁護士が身柄解放活動を行えば、勾留請求が却下されて釈放される可能性があります。
◇弁護活動~減軽に向けて~◇
弁護士は、早期釈放を求める身柄解放活動の他に、刑事処分を軽くするための活動を行います。
痴漢事件は、被害者と示談することによって刑事処分を軽くすることが可能です。
ただ注意しなければならないのが、示談によって刑事処分を軽くするには、被害者にお金を支払うだけでは足らず、示談書の内容が重要になってきます。
示談書に「加害者を許し、被害届を取り下げる。」「加害者を許し、加害者の刑事罰を望まない。」といった宥恕の条項が含まれていなければ、刑事処分に反映されないこともあるので注意しなければなりません。