強制性交等事件(旧強姦事件)で逮捕
強制性交等事件(旧強姦事件)で逮捕されたケースを題材に、性犯罪における弁護活動等ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
東京都足立区在住のAは、都内の大学に通う21歳の大学生です。
Aは、近所に住む足立区在住のV(20歳)と無理やり性行為をしたいと考え、Vに対し、暴行を加えてVを失神させて性行為を行いました。
Vからの被害申告を受けて捜査を開始した足立区内を管轄する竹ノ塚警察署の警察官は、Aを強制性交等(旧強姦)の疑いで逮捕しました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~強制性交と準強制性交~
刑法177条前段は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」と強制性交等罪(旧強姦罪)を規定しています。
これに対し、178条2項では、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条(注:177条)の例による」と準強制性交等罪(旧準強姦罪)を定めています。
本件では、VはAの行為によって心神喪失に陥っているため、「心神を喪失させ」て「性交」をしたとしてAの行為には準強制性交等罪(178条2項)が成立するようにも思えます。
この点、上述した177条は、「暴行又は脅迫」を用いて性交等した場合を、典型的な強制性交等罪(旧強姦罪)としています。
ここにいう「暴行」「脅迫」とは、判例・通説上、被害者の反抗を著しく困難にする程度の「暴行」「脅迫」を指すと考えられています。
これに対し、178条2項における「心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」とは、177条にいう「暴行」「脅迫」以外の手段によって、心神喪失・抗拒不能に陥れることをいうと解されています。
したがって本件では、AのV(20歳)に対する「暴行」によって、Vを失神させ反抗を著しく困難にさせて「性交」を行っていることから、準強制性交等罪ではなく、強制性交等罪(旧強姦罪)が成立することになるのです。
なお、現行の刑法においては、改正前にあった「女子」の文言を削除していることから、被害者の性別に関わらず各条所定の手段を用いて「性交等」を行った場合には、(準)強制性交等罪(旧(準)強姦罪)が成立しうることにも注意が必要です。
~性犯罪事件における弁護活動について~
刑法は平成29年改正(2017年改正)によって、強制性交等罪(旧強姦罪)を含む第22章の性犯罪規定の多くを非親告罪化しました(改正前の親告罪の規定を削除)。
親告罪とは、検察官による事件を起訴するに当たって、被害者の告訴を必要とする犯罪をいいます。
つまり、従前は親告罪においては被害者と示談し、告訴を取り下げてもらうことで起訴され刑事裁判となることを確実に回避することができたのです。
もっとも、非親告罪化された現在でも、被害者と示談することが無意味なったわけでは決してありません。
起訴されるかどうか(刑事裁判になるかどうか)を判断するにあたっては、被害者の意思が尊重されるのが実務における運用であり、示談を締結することは極めて重要となります。
したがって、本件のような性犯罪事件における弁護活動としては、この示談交渉が最大の焦点となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制性交事件(旧強姦事件)を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
弊所では、性犯罪事件の経験豊富な弁護士が事案に即した丁寧な弁護活動を行ってまいります。
東京都足立区にて、強制性交事件(旧強姦事件)などの性犯罪事件で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにお電話ください。