身代わり出頭での犯人隠避事件
ひき逃げ事件で問題となる罪と、身代わり出頭した側の犯人隠避事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都八王子市在住のAは、八王子市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは交際相手Xから連絡が来て、「八王子市内で事故を起こして通行人が転倒して流血してしまったが、自分は運転免許停止処分中なので、見つかったら大変なことになる。」と言われました。
Aは、「それなら私が身代わり出頭する。」とXに言い、当時の事故の状況を聞いたうえで、事故を起こした八王子市内を管轄する高尾警察署に自首という形で身代わり出頭しました。
当日Aは取調べを受けて帰宅しましたが、その数日後に高尾警察署の警察官が自宅に来て、Xをひき逃げ事件で、Aを身代わり出頭で、それぞれ逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【ひき逃げ事件について】
まずは、ひき逃げ事件を起こしたXの行為について検討します。
ケースでは飲酒や薬物、あるいはスピード違反などの危険な運転ではなく、且つ運転免許を一度は有していたという設定です。
このような場合、
①運転中の過失により被害者を怪我させてしまったという罪
②事故を起こして怪我人が生じているにも関わらず、通報する義務を怠ってその場を離れた罪
の2つの罪に当たります。
①については、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の定める過失運転致傷罪が成立します。(詳細はこちらも併せてご参照ください。)
②については、いわゆるひき逃げと呼ばれる道路交通法の定める救護義務に違反します。(詳細はこちらも併せてご参照ください。)
加えて、Aは免許停止処分中に運転をしているということから、無免許運転にも当たります。(詳細はこちらも併せてご参照ください。)
【犯人隠避事件について】
ケースのように、何かしらの理由で犯人の身代わりになって出頭する行為は、犯人隠避という罪に当たる恐れがあります。
犯人隠避罪は、一定以上の罪に当たる行為をした、あるいはしたと疑われている者の逃亡を手助けした場合に適用される罪です。
具体的には①罰金刑以上の刑に当たる者の逃走を手助けした場合と、②拘禁中の者の逃走を手助けした場合が挙げられます。
ケースの場合は、過失運転致傷罪・救護義務違反・無免許運転といういずれも罰金刑以上の刑罰が用意されている罪を犯したXが、逮捕等拘禁されていない時点で逃走の手助けをしていることから、①の要件を満たしているとされ犯人隠避罪が成立する可能性があります。
なお、犯人隠避罪の対象となるのは、あくまで手助けした者(ケースのA)が対象であり、実際に事件を起こした者(ケースのX)はこの罪には当たりません。
ただし、犯人隠避罪を教唆した場合に犯人隠避教唆罪で処罰される可能性があります。
刑法103条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都八王子市にて、自分が起こしていないひき逃げ事件について身代わり出頭するなどして犯人隠避事件を起こしてしまい、身柄拘束されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは弁護士が初回接見というかたちで接見を行い、逮捕・勾留されている方から事情や取調べの内容を伺ったうえで、今後の見通しについて御説明します。