大麻を実際に持っていなくても逮捕?

大麻を実際に持っていなくても逮捕?

大麻を所持していた場合に問題となる罪と、実際に持っていたのは別の者だったにも拘らず「共同所持」として逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都渋谷区在住のAは、渋谷区内の飲食店で経営者をしています。
Aには一緒に夜遊びをする友人Xがいて、Xの車で遊びに出かけることが多く、そのうちXが持っていた大麻を一緒に吸引していました。
ある日、AはXが運転する車に同乗して遊びに出かけていたところ、渋谷区内を管轄する渋谷警察署の警察官がAらの職務質問が行い、それに付随する所持品検査の過程でXの車から大麻片が見つかりました。
Xは警察官に対して「この車は自分の車で、大麻は俺のものだ」と言いましたが、警察官はAとXの二人を大麻取締法違反で逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【大麻の所持について】

昨今、大麻の使用罪の新設や医療大麻の解禁など、大麻取締法についての議論が活発化しています。
現状、我が国では医療大麻を含め、大麻の所持や栽培、輸出入といった行為を禁止しています。
ケースの場合は、大麻を所持していたことが問題となります。
条文は以下のとおりです。
大麻取締法24条の2第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

【大麻の共同所持について】

・共同所持とは?
ケースのAについては、直接大麻を所持していたわけではありません。
しかし、大麻の共同所持で逮捕されています。
共同所持した場合の条文は設けられていませんが、判例は覚醒剤の共同所持について、「必ずしも覚せい剤を物理的に把持することは 必要でなく、その存在を認識してこれを管理しうる状態にあるをもつて足りると解すべきである。」であると示しています。(昭和30年(あ)第300号)
つまり、①大麻がそこにあることを認識していて、②自分自身で使ったり捨てたりすることなどが出来る状態にある、という場合には、直接所持していない者に対しても「共同所持」していたとして大麻取締法違反と評価されます。

・共同所持の裏付け捜査は?
とはいえ、車に大麻片があったからといって、すぐに大麻の共同所持が認められるわけではありません。
まずは、各々に大麻を使用したか、持っていたか、誰かが大麻を持っていることを知っていたか確認します。
次に、客観的に大麻共同所持の裏付けをとる方法として、共同所持が疑われる被疑者の尿検査や、大麻片が入っていたビニール袋・吸引器具等に付着した指紋の有無、スマートフォン等の履歴に薬物に関するやり取りが残っているか、といった裏付け捜査が行われると考えられます。

【尿検査を拒否したら?】

大麻共同所持が疑われている場合に、捜査官はまずは関係者全員に任意で尿を出すよう求めます。
任意で尿を提出された場合、簡易検査を行えばすぐに検査結果が出るため、その結果次第で逮捕するかどうかの判断を下すと考えられます。
他方で、任意で尿を出さなかった場合、「犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として」強制採尿が行われます。
強制採尿は警察病院で行われる強制捜査の一種で、警察官が複数人で身体を抑え、陰部にカテーテルと呼ばれる管を差し込む方法で尿を出します。

【家族が大麻の共同所持で逮捕された弁護士へ】

ここまで説明したとおり、大麻共同所持が疑われている場合には供述や尿の簡易検査の結果次第ではその場で逮捕されることもあります。
逮捕された場合、被疑者自身は逮捕後すぐに一度限り呼ぶことができる当番弁護士と、勾留決定後に選任できる国選弁護人のいずれかしか選ぶことができません。
なお、国選弁護人については、資力の要件を満たさない方(一定以上の預金があって私選弁護人を付けることができる方)については選任されません。
御家族が逮捕されて刑事事件・少年事件専門の弁護士に依頼をしたいとお考えの場合、自由に連絡がとれる御家族の方が弁護士に依頼をする必要があります。
東京都渋谷区にて、御家族が大麻共同所持を疑われて逮捕されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは弁護士が初回接見に行き、逮捕・勾留されている御家族からお話を聞いたうえで事実関係や今後の見通しについて御説明します。

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