Archive for the ‘薬物事件’ Category

令状なしでの家宅捜索

2021-09-02

令状なしでの家宅捜索

大麻を売買した場合の罪と、令状なしに家宅捜索を行うなどの違法捜査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都港区赤坂在住のAは、港区赤坂の会社に勤める会社員です。
Aは小遣い稼ぎの感覚で、大麻を栽培しているXから安くで大麻草を購入し、SNSなどで知り合った者に対して大麻草を販売していました。
ある日、Aが港区赤坂の路上を歩いていたところ、港区赤坂を管轄する赤坂警察署の警察官から声をかけられ、職務質問を求められました。
Aは一目散に逃げて自宅に辿り着きましたが、警察官はドアに足を挟んでAにドアを閉めさせず、部屋の中を覗き込みました。
Aは外出前に大麻草を小分けにする作業をしていましたが、その大麻草が机の上に置いたままになっていたところ、警察官は大麻だろうと指摘し、部屋の中に入り大麻を手に持ちました。
その後、応援で駆け付けた警察官により捜索差押許可状を取得し、大麻は押収されAは逮捕されるに至りました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【大麻の営利目的譲渡について】

御案内のとおり、我が国では大麻は法禁物として、その所持や栽培、輸入などを厳しく制限しています。
ケースの場合は①自分で大麻草を所持していること、及び②第三者に対して譲り渡したこと、について捜査の対象となり得ます。

①と②の両方に言えることですが、大麻などの薬物事案では、営利目的であったか否かが重要になります。
営利目的とは、「犯人がみずから財産上の利益を得、又は第三者に得させることを動機・目的とする場合をいう」とされています(最決昭57年6月28日)。
当然のこと乍ら、営利の目的があればより重い罪に処せられる可能性があります。

第24条の2第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。

【令状なしでの家宅捜索】

警察官等の捜査機関が被疑者の自宅などに入って証拠品を探す行動を捜索と言います。
また、捜索の結果見つかった証拠品は押収という形で保全することができます。
これらの行動は強制処分と呼ばれ、原則として裁判所の令状が必要になります。(令状主義)
ただし、被疑者本人が承諾した場合には、令状なしで家宅捜索を行うことができます。

そのため、家宅捜索を行う場合には、通常であれば捜索差押許可状(又は捜索許可状+押収許可状)を裁判所に請求し、裁判所が下した決定に基づき行われる必要があります。
逮捕とは異なり、たとえ緊急性があるからと言って先に押収した後追って令状を請求するということは出来ません。
ケースのように、令状もなく、また家主が断ったにも拘わらず家宅捜索をする行為は、違法な捜査と言えます。
違法な捜査によって得られた証拠については、たとえ実際に大麻草が出てきたとしても、証拠能力が否定される場合があります(とはいえ違法捜査を認めつつ証拠能力を肯定する判例も少なくありません。)。

令状なしに家宅捜索が行われた場合、刑事事件専門の弁護士に早急に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、大麻などの薬物事件を含む多くの刑事事件を担当して参りました。
東京都港区赤坂にて、御家族が大麻の有償譲渡し事件で逮捕され、令状なしに家宅捜索が行われるなどの事情がありましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは弁護士が接見に伺い、家宅捜索が適法行われたのか確認致します(有料)。

薬物事件の使用・所持

2021-08-23

薬物事件の使用・所持

薬物事件で問題となる使用(施用・吸食)と所持という罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
Xの配偶者である東京都世田谷区松原在住のAは、世田谷区内の会社に勤める会社員です。
Aはいつも自宅に帰ってくるのですが、その日は自宅に帰ってこず、Xが電話をするもAは電話に出なかったため、世田谷区内を管轄する北沢警察署に行って捜索願を出そうとしました。
すると、警察官から「とある薬物事件でAを逮捕しています。裁判所から通知が届くと思うので、それまで待ってください。」と言われました。
不安になったXは、薬物事件について調べることにしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【薬物事件の所持罪・使用罪】

我が国では、濫用により保健衛生上の危害を防止する等の目的で、指定した薬物について制限を設けています。
対象となる薬物と主な規制法は以下のとおりです。
※罰条は、単純所持罪、単純使用罪です。営利目的と認められた場合はさらに厳しい刑事罰が科せられます。

・覚醒剤:覚醒剤取締法
⇒アンフェタミンやメタンフェタミンと呼ばれる成分を含む薬物
昏睡やうつ病状態の改善などに用いる「ヒロポン錠」などの医薬品として用いられます。
最も、処方に基づかない濫用は心身に害を及ぼすことに繋がりますので、当然に禁止されています。

・大麻:大麻取締法
⇒大麻草に含まれるテトラヒドロカンナビノール(THC)という成分を含む薬物(あるいは大麻草そのもの。)。
現行法では使用罪は禁止されていませんが、厚生労働省は使用罪の条文を設けるための法改正が検討しています。
海外ではてんかんや認知症等の様々な病気の治療薬として用いられています。我が国では大麻取締法により規制されていますが、2022年に医療用大麻を解禁するための法改正を目指して検討がなされています。

・MDMA:麻薬及び向精神薬取締法
⇒メチレンジオキシメタンフェタミンと呼ばれる成分を有する合成麻薬。
覚醒剤(アンフェタミン)に類似した成分を含んでいて、覚醒剤同様の効用があると言われています。

・コカイン:麻薬及び向精神薬取締法
⇒アルカロイドと呼ばれる成分を有する薬物
コカの木に含まれるもので、濫用は禁止されていますが、局所麻酔などの薬にも用いられています。
(所持罪・施用罪:7年以下の懲役)

・あへん:あへん法
⇒ケシの実に含まれるオピエートと呼ばれる成分を有する薬物
アヘン戦争で御存じのとおり、古くから栽培され使用されていた薬物の一つです。
生成しなくても薬効があると言われていますが、多くはヘロイン等のように加工される場合が少なくありません。
(所持・吸食:7年以下の懲役)

・ヘロイン:麻薬及び向精神薬取締法
⇒ジアセチルモルヒネと呼ばれる成分を有する薬物
あへんが含有するオピエートを加工することで作られます。

癌などの痛みに使用される鎮痛剤や鎮咳剤に使われている成分ですが、極めて強い効用があるため、濫用することは固く禁止されていて、罰則規定も厳しいものになっています。
(所持罪・施用罪:10年以下の懲役)

・向精神薬:麻薬及び向精神薬取締法
⇒中枢神経に作用して精神に影響を及ぼす薬品の総称で、その対象となる薬品は麻薬及び向精神薬取締法の別表第三掲げられている。
密輸や違法製薬によるものもありますが、多くは医薬品として正規に流通しているものです。
睡眠薬や精神安定剤などがあり、医師の処方に従って服薬することは問題がありませんが、濫用することで耐性が付き、依存度が高くなる特徴があります。
向精神薬については、使用罪や単純所持罪はなく、譲受、譲渡し目的で所持していた場合には以下の罪に問われます。
(譲渡・譲渡目的所持罪:3年以下の懲役)

・シンナー等有機物:毒物及び劇物取締法
⇒トルエンを主として酢酸メチルなどを含む有機溶剤。
粘度の高い塗料を薄めて粘度を下げる目的で使用されます。
しかし、吸引することで神経が抑制され、身体の様々な部位に悪影響を及ぼす危険な薬品でもあります。
(摂取・吸入・摂取目的の所持・吸入目的の所持:1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金、又はその併科)

・危険ドラッグ:医薬品医療機器等法
⇒覚醒剤や大麻等の規制薬物と類似した化学物質を混入させた植物片等で、体内摂取により、これら規制薬物と同様の有害性が疑われる薬物
脱法ドラッグ、合法ハーブ、お香などと聞こえの良いものですが、その実は覚醒剤と同様の害をもたらす薬物です。以前は法の規制が行われては少し構造が少し異なる薬物に作り変えるなどして、いたちごっこが続いていました。
しかし、2013年の法改正で「包括指定」がなされるようになり、いたちごっこはなくなりました。
(使用罪・所持罪:3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその併科)

【まとめ】

このように、薬物事件と一言で言ってもその内容は対象となる薬物の種類によって大きく異なり、罰条も変わってきます。
しかし、ケースのように、捜査機関によってはたとえ家族であっても事件の詳細は教えてくれないという場合は少なくありません。
罪名や詳細を確認するためには、面会の制限がない弁護士に初回接見を依頼し、逮捕・勾留されている家族の方との接見で内容を聞いたうえで、事件の内容や見通しについて確認する必要があります。

東京都世田谷区にて、ご家族が薬物事件で逮捕されたものの、詳細が分からないという場合、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。(初回接見は有料です。)

覚醒剤使用で保釈請求へ

2021-08-12

覚醒剤使用で保釈請求へ

覚醒剤を使用していた場合に問題となる罪と保釈請求について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都葛飾区在住のAは、葛飾区内の会社に勤める会社員です。
Aは知人の勧めを受け、覚醒剤を注射器を使って濫用していました。
ある日、葛飾区内の路上で待ち合わせをしていたところ、葛飾区内を管轄する葛飾警察署の警察官がAに近寄り、職務質問に協力してくださいと説得をされました。
Aは、当時薬物は持っていなかったため職務質問と併せて所持品検査に応じましたが、その際に警察官はAの肘裏にある注射痕を見つけ、尿検査に応じるよう説得しました。
Aは頑なに拒否しましたが、警察官は長きに亘り説得した結果、Aは尿を提出することとなりました。
検査結果が出たら連絡すると言われたAは、不安になり、覚醒剤の使用で問題となる罪や保釈請求のタイミングについて、刑事事件専門の弁護士に無料相談しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【覚醒剤の使用について】

覚醒剤(かくせいざい)とは、「フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類」や「同種の覚せい作用を有する物であって政令で指定するもの」と定義されています。(覚醒剤取締法2条1項1号)
多くは結晶、あるいはそれを砕いて粉末にした状態で所持し、液体に溶かして注射器などで打つという方法で濫用される場合が一般的です。
また、ヤーバーなどと呼ばれる錠剤タイプの覚醒剤もあります。

覚醒剤は神経を興奮させる効力があるため、一時的な快楽を得られる場合もあるようですが、幻覚や幻聴に悩まされるなどの悪影響が大きいという特徴があります。
また、依存性が高いという特徴もあるため、一度手を出してしまうと、自分の意志ではやめられないという場合も少なくありません。

そのため、我が国では医師など一部の認められている者を除き、覚醒剤の使用や所持、密輸入、製造などを禁止しています。
Aの場合は覚醒剤の使用が問題となっていますので、覚醒剤取締法19条に違反します。
罰条は「10年以下の懲役」です。(覚醒剤取締法41条の3第1項1号)

なお、覚醒剤取締法違反の嫌疑で尿を提出した場合、捜査機関は、簡易検査の結果をもとに身柄拘束する場合もありますが、採取した尿を科学捜査研究所に送り、正式な検査結果を踏まえて逮捕するという場合もあります。

【保釈請求について】

事件を起こした被疑者とされている者は、逮捕されてから48時間以内に検察官に送致され、送致を受けた検察官は装置から24時間以内に勾留請求するか、釈放する必要があります。
検察官が勾留の必要があると判断した場合、裁判所に対して勾留請求を行い、勾留請求を受けた裁判所は被疑者の勾留が必要か、被疑者の話を聞く機会を設けたうえで勾留についての判断を行います。
勾留の期間は10日間ですが、1度に限り延長することができるので、最大で20日間、勾留されることになります。

担当検察官は、勾留の満期日までに捜査あるいは捜査指揮を行い、被疑者を起訴するか処分保留で釈放しなければなりません(もっとも、処分保留で釈放した後に別件での逮捕により引続き身柄拘束が続くという場合もあります。)。
検察官が起訴した場合には刑事裁判にかけられることになりますが、身柄はどうなるかというと、起訴後勾留という手続きに切り替えられることになります。
起訴後勾留の期間は2カ月と定められていますが、その後も1か月ごとに更新をすることができて、判決の言い渡しを受けるまで続けることができます。

起訴後勾留されている方の身柄を解放するためには、保釈請求を行うことで釈放を求めるというケースが一般的です。
保釈は、被告人側(被告人自身や親族、弁護人)が裁判所に対して請求を行い、裁判官は検察官の意見を聞いた上で保釈をするか否かの判断を下します。
裁判官が保釈を認め、そこで言い渡された保釈金を納付することで、身柄を解放されます。
保釈請求は被告人本人が行うこともできますが、逃亡や罪証隠滅の恐れがないことを書面で主張する必要があるため、一般の方が行う場合はハードルが高いと言えます。

東京都葛飾区にて、覚醒剤使用の事件で家族が逮捕されたり、鑑定の結果を踏まえて逮捕される可能性があるという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。

【お客様の声】大麻所持で不起訴を獲得

2021-07-10

【お客様の声】大麻所持で不起訴を獲得

◆事件概要◆

東京都在住の対象者(30代男性)は,大麻所持での前科がありました。
前科の判決を受けた後,しばらくは大麻を断つことができていましたが,ストレス発散のため再び大麻に手を出してしまったという事案でした。

事件当日,対象者が乗っていた車から(以前に使用した)大麻片が自動車内から見つかったため,大麻取締法違反で現行犯逮捕されました。

◆事件経過と弁護活動◆

この事案は,対象者の勾留手続前にご依頼いただきました。

弁護士は,まず,勾留手続に際して対象者の釈放を求める弁護活動と同時に,証拠隠滅の恐れがないことを主張し,接見禁止決定を出さないよう,裁判官に申し入れました。
薬物事件の場合,多くは接見禁止決定が付きます。

接見禁止決定は,原則として被疑者に認められている一般面会(弁護士接見以外の面会)の権利を制限するもので,裁判官の裁量で決定することができます。
薬物事件の場合,まだ押収されていない薬がある,あるいは薬物の売人などと口裏合わせをする可能性がある,などの理由で,勾留裁判官は勾留手続と併せて接見禁止決定を下す場合が多いです。
しかし,ご家族が作成した上申書などの内容を踏まえ,結果として対象者には接見禁止決定がつきませんでした。

20日間の勾留段階で,対象者が心配していたのが,仕事ができないため取引先との信頼関係が崩れるのではないかという点です。
弁護士は,接見にしっかりと時間を割き,事件の内容や取調べ対応だけでなく,家族を通じて取引先に対して連絡する必要がないかなど,逐一確認し,毎回依頼者に報告していました。

担当する検察官は,勾留満期日に対象者を「不起訴(起訴猶予)」としたため,依頼者はすぐに社会復帰することができました。

◆まとめ◆

以前に使用していた大麻片などが車内に落ちていた場合でも,大麻所持の嫌疑で逮捕されることがあります。
薬物事件の場合,勾留と併せて接見禁止がつく場合が多いです。
接見禁止決定がついた場合,勾留期間中は弁護士以外の方との面会ができなくなってしまう場合があります。

勾留期間は職場や得意先などに直接連絡することができないため,弁護士が間に入るなどの場合もあります。

大麻所持事件は,「必ず起訴される」というものではありません。
捜査の結果,不起訴になったという事例もあります。

東京都内で,大麻所持事件でご家族が逮捕された場合,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。

大麻事件での違法捜査

2021-05-03

大麻事件での違法捜査

大麻を栽培していた場合の罪と違法捜査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【ケース】≪ケースは全てフィクションです。≫
東京都青梅市野上町在住のAは、青梅市野上町にある会社に勤める会社員です。
Aは友人から頼まれて、自宅で大麻を栽培していました。
ある日、Aが自宅にいたところ、青梅市野上町を管轄する青梅警察署の警察官が自宅に来て、「近隣住民から異臭がすると通報を受けて臨場しました。部屋の中を見せてもらえませんか。」と言いました。
Aは「令状がないならお断りします。」と伝えたのですが、警察官は当初粘り強く交渉を続けました。
しかし、Aが部屋の扉を閉めようとしたため、警察官は扉の間に足を入れ、無理やり部屋を開けました。
そして、警察官はAの部屋の中を見て、大麻の匂いがするじゃないかと言い、Aの部屋に入り栽培していた大麻を見つけました。

【大麻を栽培していた場合の罪】

我が国では、大麻は法禁物として扱われています。
処罰対象とされている大麻とは、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」とされています。
大麻は、大麻取締法という法律で、所持や譲り受け渡し、栽培、輸出入が禁止されています。
大麻事案の場合、インターネット上でのやり取りから発覚するケースや、職務質問・所持品検査で発覚するケース、関税などで発覚するケースが挙げられます。
また、大麻草は独特の甘い匂いがすることから、ケースのように近隣住民からの相談で発覚する可能性があります。

大麻の栽培で問題となる罪については、営利目的があるか否かにより罰条が異なります。

大麻取締法3条1項 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。

同24条1項 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。

同2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。

【令状なしの捜索について】

警察官等の捜査機関が被疑者の自宅などに入って証拠品を探す行動を捜索と言います。
また、捜索の結果見つかった証拠品は押収という形で保全することができます。
これらの行動は強制処分と呼ばれ、原則として裁判所の令状が必要になります。(令状主義)
ただし、被疑者本人が承諾した場合には、令状なしで家宅捜索を行うことができます。

そのため、家宅捜索を行う場合には、通常であれば捜索差押許可状(又は捜索許可状+押収許可状)を裁判所に請求し、裁判所が下した決定に基づき行われる必要があります。
逮捕とは異なり、たとえ緊急性があるからと言って先に押収した後追って令状を請求するということは出来ません。
ケースのように、令状なしに家宅捜索をする場合、違法な捜査となります。
違法な捜査によって得られた証拠については、たとえ実際に証拠品が出てきたとしても、証拠能力が否定される場合があります。(とはいえ違法捜査を認めつつ証拠能力を肯定する判例も少なくありません。)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまで違法な捜査により起訴された、あるいは起訴されそうになったという事件を取り扱ってきた経験があります。
東京都青梅市野上町にて、御家族が大麻などの刑事事件で違法捜査により逮捕された可能性がある、という方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。
まずは弁護士が初回接見にいき、違法捜査の可能性について確認致します。

覚醒剤使用事件で逆転無罪

2021-02-22

覚醒剤使用事件における逆転無罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇事件◇

東村山市に住むAさんは、第一審で懲役2年6月の実刑判決を受けたのですが、逆転無罪判決が言い渡されました。採尿前の職務質問の現場において、警察官が男性の下半身を露出させており、この行為に対して裁判官は「手続きに違法があった。」と認定しました。そして覚醒剤反応が陽性であるとした鑑定書が、この違法手続きと密接な方法で得られたとされて、証拠から排除されたことによって無罪判決が言い渡されました。
(フィクションです。)

◇覚醒剤取締法違反◇

覚醒剤取締法では、覚醒剤の使用、所持、譲り受け、譲り渡し、輸出入等が禁止されています。
今回の裁判で無罪を得た男性は、覚醒剤の使用で起訴されています。
覚醒剤の使用については、起訴されて有罪が確定すれば10年以下の懲役が科せられることになりますが、初犯の場合は、よほどの事情がない限り、非常に高い確率で執行猶予付きの判決が言い渡され、実刑判決になることはほとんどありません。

◇覚醒剤使用事件で逮捕されるまで◇

覚醒剤使用事件で逮捕されるまでについて解説します。
現在、日本の捜査機関は覚醒剤の使用を尿の鑑定によって立証する方法を採用しています。(毛髪による鑑定が行われることもあるが非常に稀で、実際はほとんど行われていない。)
警察官による職務質問や、捜査機関による内偵捜査によって覚醒剤を使用している疑いがある人に対して警察官は採尿を求めることができます。
最初は任意の採尿を求められますが、この任意採尿を拒否すれば、裁判官が発付する「捜索差押許可状」を基に強制採尿されることとなります。
こうして採尿された尿は、覚醒剤成分が含まれているかどうかを鑑定されることになります。
緊急性がある場合には、警察署に設置されている専用の機械や、簡易の検査キットを使用して警察官によって簡易鑑定が行われ、その鑑定で陽性反応が出ると、その時点で逮捕されます。
緊急性がない場合や、採尿した尿の量が少なければ簡易鑑定は行われずに、科学捜査研究所における尿鑑定を受けることになります。
科学捜査研究所における尿鑑定は、科学捜査研究所の鑑定員によって行われるため、検査結果が出るまでに時間を要します。そのため、採尿した後はいったん解放されて帰宅することができます。
科学捜査研究所における尿鑑定で覚醒剤の陽性反応が出ると、鑑定員によって「鑑定書」が作成されます。
警察官による簡易鑑定によって逮捕された場合であっても、その後、残りの尿が科学捜査研究所の鑑定員によって鑑定されて、最終的には「鑑定書」が作成されます。
そして、覚醒剤使用事件の刑事裁判では、科学捜査研究所の鑑定員の作成する「鑑定書」が、被告人の有罪を決定づける重要な証拠となります。

◇鑑定書の証拠能力◇

覚醒剤使用事件の刑事裁判では、覚醒剤を使用したか否かの判断は、尿の鑑定結果が記載された「鑑定書」によって証明されます。
鑑定書に証拠能力が認められるのは、作成までの刑事手続きが適法に行われていたことが前提ですので、それまでの刑事手続きが違法であった場合には、今回の刑事裁判のように、鑑定書の証拠能力が認められない可能性があります。
今回の刑事裁判では、男性を職務質問した警察官が、男性に対して下着を脱がせて身体検査を行ったり、下半身に触れたことを認定し、それについて裁判官は「プライバシーを尊重せず、手続きには違法がある」と批判したようです。さらに、その違法手続き後に行われた採尿によって収集された尿の鑑定書を、証拠から排除したのです。
覚醒剤の使用を証明するはずの鑑定書が、裁判の証拠から排除されたことによって、男性が覚醒剤を使用していたことを証明する証拠がなくなったので、男性の無罪が言い渡されたと言えます。

薬物事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、これまで数多くの薬物事件の刑事弁護活動を行ってきた実績がございます。
薬物事件でお困りの方、覚醒剤使用事件の刑事裁判でお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。

覚せい剤所持事件で逮捕 早期の釈放と執行猶予の獲得に強い弁護士

2020-11-30

覚せい剤所持事件で逮捕された方の、早期の釈放と執行猶予の獲得について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

 

~覚せい剤の所持容疑で逮捕~

東京都八王子市在住のAさんは、ある日警視庁八王子警察署の警察官から職務質問を受けました。
その際に、任意で所持品検査に応じたところ、鞄の中から小分けにされた覚せい剤のパケが見つかってしまいました。
Aさんは覚せい剤取締法違反の疑いで現行犯逮捕されたようです。
(フィクションです)

~覚せい剤事件~

覚せい剤の所持は覚せい剤取締法によって禁止されています。
罰則は単純所持・使用は10年以下の懲役と定められています(41条の2第1項、41条の3第1項3号)。

覚せい剤の所持や使用で逮捕された場合、ほとんどの場合、検察官による勾留請求がなされます。
勾留の要件は、犯罪の嫌疑、勾留の理由、勾留の必要性となっています(刑事訴訟法207条1項、60条)。
勾留の理由とは刑事訴訟法60条1項各号所定の事由をいい、住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれをいいます。
覚せい剤などの薬物事件の場合、本人が製造したという場合は格別、薬物を提供した共犯的人間が存在することが通常です。
逮捕されてしまった場合、提供した人間と何らかの口裏合わせなどをする可能性が高く、罪証隠滅のおそれは高いとみなされてしまいます。
勾留請求が認められた場合、逮捕に加えて10日間、やむを得ない事由がある場合にはさらに10日間延長され、最長で20日間勾留されてしまいます。
また、覚せい剤などの薬物事件の場合、接見禁止処分が付される場合もあります。
接見禁止処分が付されてしまうと、弁護人以外はたとえご家族であっても面会することはできません。
これは、自宅などに隠し持っている残りの薬物を廃棄してもらうなどの罪証隠滅を防ぐためです。

勾留された場合、検察官は勾留期間中に事件を起訴するか不起訴とするかを決定します。
覚せい剤などの薬物事件の場合、違法な証拠収集であった場合など特殊な場合を除き、ほとんど起訴されてしまいます。
起訴された場合には勾留に引き続き被告人として身柄拘束されてしまいます。

~弁護活動~

◇起訴前◇

弁護士はまず身柄解放に向けて活動します。
勾留決定がされてしまった場合には勾留決定に対する準抗告の申立をします。
また、接見禁止処分が付されている場合には、接見禁止の一部解除を申立ます。
接見禁止の一部解除が認められれば、ご家族などが面会することが可能となります。
仮に接見禁止の一部解除が認められないような場合には弁護士による接見の際にご家族への伝言などをお伝えします。

◇起訴後◇

検察官によって起訴された場合、通常、被告人として引き続き勾留されてしまいます。
身柄解放のため、勾留に対する抗告や保釈申請を行います。
覚せい剤等の薬物事件では起訴前の勾留の段階で証拠などの捜査が終わっていることが多いため、保釈請求が認められるケースが多いです。
保釈が認められれば、身柄解放となり、普段通りの生活を送ることが可能です。
しかし、裁判所などからの出頭要請には応じる義務があり、特段の理由もなく応じないような場合には保釈が取り消され、再び身柄拘束をされてしまいます。

起訴された場合には刑事裁判を受けることになります。
覚せい剤の単純所持や使用の場合、初犯であれば執行猶予付きの判決となることがほとんどです。
しかし、必ずしも執行猶予が付くというわけではありません。
実刑となり刑務所に収監されることよりも執行猶予として社会内での更生を図るべきであると裁判官に納得させる必要があります。
具体的には、再犯防止に向けて専門医の治療やカウンセリングを受ける、ご家族による監督があることなどを示す必要があります。
どのような取り組みをすべきかは薬物事件の弁護経験が豊富な弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は刑事事件専門の法律事務所です。
覚せい剤などの薬物事件の弁護経験な弁護士が多数所属しています。
覚せい剤など薬物事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。

交際相手に頼まれて覚せい剤を使用

2020-10-19

覚せい剤の使用事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

◇事件◇

Aさんは、覚せい剤取締法違反の前科があり、最近は覚せい剤を使用していません。
しかし、かつて覚せい剤を使用していた時に知り合った人たちとの関係を絶ち切れておらず、今でも一緒に食事に行く等の付き合いを続けています。
そしてAさんは、その中の一人の女性と交際を始めたのですが、交際相手の女性は、覚せい剤の常習使用者で、これまで覚せい剤取締法で何度か警察に逮捕された歴があるようでした。
Aさんは交際している女性にこれまで何度も覚せい剤を止めるように言っていますが聞き入れてもらうことができていません。
それどころか、2日ほど前には、「覚せい剤を打ってくれ。」と頼まれたので、指示に従って女性の足の甲の血管に、水で溶かした覚せい剤の溶液を、注射器で注入したのです。
そして今朝、女性と歩いているところを、警視庁練馬警察署の警察官に職務質問され、任意採尿の後、女性は覚せい剤を使用した容疑で逮捕されてしまいました。
女性が覚せい剤を使用したのは、2日前にAさんが注射して上げて使用したのが最後です。
(フィクションです。)

◇覚せい剤の使用◇

覚せい剤を使用することは、覚せい剤取締法によって禁止されており、覚せい剤の使用で起訴されて有罪が確定すれば「10年以下の懲役」が科せられます。

~「使用」とは?~

覚せい剤取締法でいうところの「使用」とは、覚せい剤等を用法に従って用いる、すなわち「薬品」として消費する一切の行為をいいます。
使用方法に制限はなく、水に溶かした覚せい剤を注射器によって血管に注入する方法や、覚せい剤結晶を火に炙って、気化した覚せい剤を吸引する方法、覚せい剤を飲み物に溶かすなどして経口摂取する方法などがあります。

~「使用」の客体は?~

使用の客体は、人体に用いる場合が最も普通の使用例ですが、使用対象は、人体に限られず、動物に使用した場合も、覚せい剤の使用に該当します。
※他人に使用した場合もアウト※
今回の事件でAさんは、恋人に対して覚せい剤を使用していますが、この行為も覚せい剤の使用となり、刑事罰の対象です。
当然、覚せい剤の使用を依頼した恋人も覚せい剤の使用となり、Aさんと恋人は同じ覚せい剤の使用事件の共犯関係になるのです。

◇逮捕されるの?◇

上記したように、Aさんのように、人に対して覚せい剤を使用した場合も、覚せい剤の使用罪になりますし、すでに逮捕された恋人とは共犯関係に当たるので、口裏を合わせる等して証拠隠滅を図る可能性があることから、逮捕される可能性は非常に高いでしょう。

◇量刑は◇

もしAさんに、彼女に注射したのが覚せい剤だという認識がない場合などは、覚せい剤使用の故意が認められず不起訴となる可能性が出てきますが、Aさんに覚せい剤の前科があることから、そのようなかたちで故意を否認するのは難しいと考えられます。
単純な覚せい剤使用事件の場合、初犯であれば執行猶予付きの判決を得ることができるでしょうが、短期間の再犯の場合は2回目からは実刑判決が言い渡されることもあります。
今回の事件でAさんが起訴された場合、執行猶予付きの判決を得れるかどうかは、前科の数と、前刑との期間によるでしょう。

東京都内で薬物事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が覚せい剤の使用容疑逮捕されてしまった方は、東京で刑事事件を専門にしている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
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【薬物事件】覚せい剤の使用容疑で違法捜査③

2020-02-19

【薬物事件】覚せい剤の使用容疑で違法捜査が行われた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

~前回までの流れ~

これまで、覚せい剤取締法で、覚せい剤の使用、所持が禁止されていることや、覚せい剤使用の捜査(採尿)や強制捜査と令状(許可状)について解説しました。

本日は、Aさんの事件を参考にして、警察の違法捜査について解説します。

◇Aさんの事件◇

10年ほど前に覚せい剤使用の前科があるAさんは、覚せい剤を使用した数日後に、警視庁新宿警察署の警察官に職務質問を受けましたが、Aさんは、覚せい剤を使用したことが発覚するのをおそれて、所持品検査や、任意採尿に応じず、帰路を急ぎました。
その結果、自宅直前で、警察官から持っていたカバンを取り上げられて、カバンの中に隠し持っていた、覚せい剤を使用する際に使った、使用済みの注射器が見つかってしまったのです。
その後Aさんは、裁判官の発した捜索差押許可状によって、病院に強制連行されて、強制採尿された後に、覚せい剤の使用容疑で逮捕されてしまったのです。
(前回の◇覚せい剤の使用容疑で逮捕◇を要約)

◇違法捜査が行われるとどうなる?◇

前回の記事で確認したように、強制捜査が行われる場合、原則としてその強制捜査は令状に基づいたものでなければいけません。
令状なしの強制捜査は基本的に違法捜査となってしまいます。

違法捜査が行われ、違法捜査によって証拠が収集された場合、その証拠を使って被告人を有罪としてしまえば、違法捜査を認めることになってしまい、適正な手続きによって刑事事件が処理されることになりません。
そのため、違法捜査によって収集された証拠=違法収集証拠は、裁判の場から排除され、証拠として使うことができなくなります。
このための法則を違法収集証拠排除法則と呼びます。
この違法収集証拠排除法則は、それ自体が何かの法律に条文として定められているわけではありません(ただし、供述証拠の場合、憲法38条で強要等による自白を証拠とできない旨が定められています。)。
しかし、憲法31条で適正手続の保障、憲法33条・35条で前回の記事で取り上げた令状主義が定められていることから、それを実現するためには違法捜査によって収集された違法収集証拠を排除する必要があり、さらに将来の違法捜査を抑止するために必要であるということから、この違法収集証拠排除法則が決められています。

◇全ての違法収集証拠が排除されるわけではない◇

ただし、違法収集証拠排除法則とはいえど、違法収集証拠の全てが排除されるというわけではないことに注意が必要です。
過去の例では「証拠物の押収等の手続きに憲法35条及びこれを受けた刑訴法218条1項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定される」としています(最判昭和53.9.7)。
すなわち、違法収集排除法則によって排除されるためには、単に違法捜査によって収集された証拠であることだけでなく、①その違法が重大な違法であること、②違法捜査の抑制の見地から相当でない、ということが必要なのです(学説によって①②どちらも必要である説、①か②どちらかがあればよいという説が分かれています。)。

◇違法捜査を受けた可能性のある方は弁護士に相談を◇

このように、違法捜査によって収集された証拠は証拠として使えない可能性があるものであるため、違法捜査を受けたのかどうか、どういった違法捜査だったのか、違法捜査によって収集された証拠はどういったもので排除される可能性があるのかどうかを検討することが必要です。
しかし、これらは非常に複雑で一般の方ではわかりにくいものですから、違法捜査を受けたかもしれないと思ったら、すぐに弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、刑事事件専門の弁護士がご相談を承っています。
警察等の捜査に疑問がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までお気軽にお問い合わせください。

【薬物事件】覚せい剤の使用容疑で違法捜査②

2020-02-17

【薬物事件】覚せい剤の使用容疑で違法捜査が行われた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

~前回からの流れ~

前回は、覚せい剤取締法で、覚せい剤の使用、所持が禁止されていることや、覚せい剤使用の捜査(採尿)について解説しました。

本日は、Aさんの事件を参考にして、強制捜査と令状(許可状)について解説します。

◇Aさんの事件◇

10年ほど前に覚せい剤使用の前科があるAさんは、覚せい剤を使用した数日後に、警視庁新宿警察署の警察官に職務質問を受けましたが、Aさんは、覚せい剤を使用したことが発覚するのをおそれて、所持品検査や、任意採尿に応じず、帰路を急ぎました。
その結果、自宅直前で、警察官から持っていたカバンを取り上げられて、カバンの中に隠し持っていた、覚せい剤を使用する際に使った、使用済みの注射器が見つかってしまったのです。
その後Aさんは、裁判官の発した捜索差押許可状によって、病院に強制連行されて、強制採尿された後に、覚せい剤の使用容疑で逮捕されてしまったのです。
(前回の◇覚せい剤の使用容疑で逮捕◇を要約)

◇強制捜査と令状◇

覚せい剤使用事件などの刑事事件では、警察や検察といった捜査機関が事件の捜査を行います。
その捜査は、強制力をもち強制的に行うことのできる強制捜査と、任意で行われる任意捜査に分けられますが、犯罪捜査は任意捜査を基本としており、任意捜査に限界がある場合に限り、強制捜査が許されます。
強制捜査には、逮捕や、逮捕に伴う捜索差押を除いて、裁判官の発する令状(許可状)が必要となります。

強制捜査は、文字通り、強制的に行われる捜査です。
代表的なものとしては、身体拘束をして捜査する逮捕を伴っての捜査や、家等に立ち入って捜索する家宅捜索、尿を強制的に採取する強制採尿などが挙げられます。
これらの捜査は強制的に行われますから、任意捜査と違って拒否することはできません。
しかし、こうした強制捜査は被疑者・被告人の権利を侵害することにもなります。
逮捕されれば身体拘束により自由がきかなくなりますし、勝手に家の中に入ってこられたり意思に反して自分の尿を取られたりすることも元々その人が持っているはずの権利を侵害する行為であることは想像にたやすいでしょう。

ですから、刑事事件であればなんでも強制捜査ができるわけではありません。
権利を侵害することを最小限に、かつ適切な場合にとどめるために、強制捜査を行うための原則が定められています。
それが、令状主義といわれる原則です。
令状主義とは、逮捕や家宅捜索等の強制捜査(強制処分)は、裁判所の発行する令状がなければ行うことができないという原則です。
皆さんもドラマなどで「逮捕状」「捜索差押許可状」などといった言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
これらの令状がなければ、強制捜査はすることができません。
先ほど触れたように、強制捜査は被疑者・被告人の意思に反して強制的に行われる捜査でその権利を侵害する行為となりますから、捜査機関が強制捜査を濫用しないよう、本当に強制捜査が必要な場合であるのかどうか、裁判所のチェックを通すということなのです。
つまり、令状によらない強制捜査は令状主義に反することになり、違法捜査となるのです。

◇強制捜査は法律で認められている◇

なお、この令状主義は憲法に定められています。

憲法33条

何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

憲法35条

1項 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2項 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

◇強制捜査に関する法律相談◇

刑事事件にはこのように、憲法にも定められているような主義や原則がありますが、一般の方がこれらすべての主義や原則を理解しているわけではないでしょう。
その点、刑事事件に強い弁護士であれば、こうした刑事事件の主義や原則を理解しながら、被疑者・被告人本人やそのご家族にアドバイスをすることが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部では、刑事事件専門の弁護士が初回無料法律相談や初回接見サービスを承っています。
刑事事件にお困りの際はお気軽にご相談ください。

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