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【事例解説】個人情報をリスト化した行為、何が問題になった?(後編)
【事例解説】個人情報をリスト化した行為、何が問題になった?(後編)
前回記事に引き続き、個人情報をリスト化した行為の問題点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説していきます。
今回は、前回解説した情報の流出・漏洩が刑事事件となる2つのパターンの内の1つとなる顧客の情報管理としての問題について詳しく見ていきましょう。
前編をまだご覧になっていない方は、こちらから記事をチェックしてください。
【事例解説】個人情報をリスト化した行為、何が問題になった?(前編)
【顧客の情報管理としての問題】
それでは顧客視点から流用の問題を見てみましょう。
郵便局のゆうちょ銀行を利用したお客さんの通常の意思としては、「ゆうちょ銀行」ないしは「郵便局」に対して個人情報(氏名や住所、連絡先や資産の状況)を提供していたのであって、保険会社に対して情報を提供していたわけではありません。
このように顧客の個人情報を取り扱う事業主は、「個人情報の保護に関する法律」の「個人情報取扱事業主」に該当し、個人情報を取り扱う目的を定める必要がある(個人情報保護法17条)他、事前の同意なく目的外に利用することや(同法18条)、第三者に対して提供することを制限されます(個人情報保護法27条)。
個人情報保護法は、平成15年、個人情報の保護が社会的な課題となったことを受けて制定された法律であり、行政機関のみならず、民間企業に対しても個人情報の取り扱いについて規制を設けています。
生命保険会社における個人情報の取り扱いに関しては、法律上の制限に加えて、業界団体内における指針も策定されています(参考:『生命保険業における個人情報保護のための取扱指針』)
日本郵政に話を戻すと、銀行を利用していた顧客に対して、「収集した個人情報を同じグループの保険営業のためにも使います」と利用目的を明示していない限りは目的外の利用に該当しますし、事前の同意なく「ゆうちょ銀行」ないしは「郵便局」から「かんぽ生命」に対して情報を開示していたとすれば違法な情報提供に該当する可能性があります。
更に、これらの規定に反するのみならず、個人情報保護法には罰則規定もあります。
個人情報取扱事業主の役員やその従業員(元従業員も含む)が、職務上知り得た個人情報のデータベース(個人情報を一体のものとして取りまとめたもの)を不正な利益を得る目的で提供した場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます(同法179条)。これは個人に対する罰則に加えて、法人に対する両罰規定も定めており、法人に対しては1億円以下の罰金が科せられる可能性があります(同法184条1号)。
今回報道されている事案について、個別の情報流用について結局誰が敢行したのかという点については調べきることが難しいでしょうから、個人情報保護法違反の刑事事件として捜査がなされるという実際の見込みは低いようにも思われます。
日本郵政グループは調査の報告書を公表するようですから、今後の進展も待たれます。
【まとめ】
報道にあった事例をもとに、「情報の流出、漏洩、流用」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が、刑事事件の視点から検討を加えました。
このような問題については、
・情報管理者に対する責任(前記でいう、内部としての問題)
・顧客に対する責任
に二分して考えることができます。
特に、目に見えない“情報”という比較的新しい概念を法律で扱う以上、規定が一層複雑になっている部分もあります。
情報の流出、漏洩、流用の問題についてお困りのことがある方や不安なことがある方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にてお待ちしております。
【事例解説】個人情報をリスト化した行為、何が問題になった?(前編)
【事例解説】個人情報をリスト化した行為、何が問題になった?(前編)
2024年10月10日、郵便局で顧客情報が流用されたという問題に関して、日本郵政グループが再発防止策を発表したという報道がありました。(参考:NHK『郵便局でゆうちょ銀顧客情報流用 システム改修など再発防止策』)
この問題は、ゆうちょ銀行の情報が、同じグループ内のかんぽ生命という生命保険会社の営業のために利用されたというものでした。
報道においては「法令の違反があった」とされていますが、具体的にはどのような問題があり得たのでしょうか。
今回は、個人情報をリスト化した行為の問題点について、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
本記事を前編、次回記事に後編として解説しますので、ぜひ参考にしてください。
【「情報の流出」は刑事事件となりうるのか】
個人、会社(企業)を問わず、情報の流出・漏洩について刑事事件となりうる場合があります。
情報の流出・漏洩が刑事事件となるパターンとしては大きく分けると2パターンです。
1つ目は会社の情報統制、内部規制としての問題、2つ目は顧客の情報管理としての問題です。
それぞれどういうことなのか、具体的に解説していきましょう。
【会社内部の問題としての「情報漏洩」に対する刑事罰等】
まずは、1つ目の会社の情報統制、内部規制としての問題について検討をしていきます。
これは平たく言うと、社外に情報を持ち出すことによって会社に損失を与えたかどうか、つまり、会社を被害者とした犯罪が成立するかどうか、という視点です。
この視点から見て、成立する可能性がある犯罪は2つあります。
会社法上の特別背任罪と、不正競争防止法における営業秘密の侵害です。
特別背任とは、以下の①だれが、②どんな目的で、③何をして、④どんな結果になった、という要件で構成されています。
①会社の取締役や監査役のような一定の立場にある人が
②自分や第三者の利益のために又は会社の利益を害する目的で
③会社から与えられた任務に背いて
④会社に損害を与えた
場合に、特別背任が成立します。
典型的な例が、会社の代表取締役等が自分の親族や知人に対して回収の見込みのない高額な貸し付けを行い、会社に不良債権を負わせたという場合です。
会社に損害を負わせるのが犯罪なのではなく、②どんな目的なのか、③任務に背いたと言えるかという点で判断が難しいケースがあります。
一方、不正競争防止法における営業秘密の侵害とは、簡単に要約すると、
①ある状況下で営業秘密を知っている人が
②自分や第三者の利益のために又は会社の利益を害する目的で
③勝手に営業秘密を利用したり、保有したり、第三者に開示したりすること
です。
企業が保有する情報の全部が営業秘密に該当するのではなく、法律上保護される情報には一定の条件があります。(参考:『不正競争防止法と「営業秘密」』)
事業において有用な情報を盗み出す、いわゆる産業スパイがイメージしやすいものになります。
その他、退職時に顧客情報を持ち出す場合等も、営業秘密の侵害として不正競争防止法違反に問われる場合があります。(参考:『【報道解説】営業秘密が不正取得されたため損害賠償請求』)
それではこれらの法令に照らして、刑事罰に該当し得るかどうかを考えてみます。
まず、特別背任罪の適用についてですが、いずれの要件についても該当しない可能性が高いでしょう。
特に、①顧客情報を流用していたのが一般の従業員であった場合、特別背任となる余地がなくなります。また、④顧客情報の流用自体によって会社に損害を与えたとは言い難いでしょう。
確かに、社会問題化したことによって会社の信用が揺らいだかもしれませんが、特別背任罪は「財産上の損害」を犯罪としていますから、損害の要件も満たさない可能性が高いです。
次に、不正競争防止法上の営業秘密の侵害についてですが、これも、成立しない可能性が高いでしょう。
というのも、不正競争防止法は「営業秘密を管理している人にとって、想定外の情報の流出、漏洩を防止する」という目的で作られている法律です。
本件のような情報の「流用」の場合、情報を持っている人(本件で言うと株式会社ゆうちょ銀行に相当)が、自らの意思で日本郵政株式会社ないしは日本郵便株式会社等のグループ企業に情報を開示していたということになります。
そのため正当な権限の下で営業秘密を受け継いだことになり、不正競争防止法違反とはなりません。
本件のような情報の流用については、「会社に対して財産上の損害を与えたのか」、「情報の流用がどのような経路でなされたのか/不正な方法ではないか」という点が、ポイントになります。
【まとめ】
今回は、個人情報をリスト化した行為の問題点に関する解説記事の前編として、「情報の流出」は刑事事件となるのか、情報の流出・漏洩が刑事事件となる2つのパターンの内の1つとなる会社の情報統制、内部規制としての問題について解説しました。
残りのパターンについては次回記事で後編として解説します。
気になる方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
刑事事件の弁護活動経験が豊富な弁護士が多数在籍していますので、東京都内でお困りの方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律所東京支部までご相談ください。
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同意殺人罪とは?相手からの同意を得てからの殺害は罪になる?
同意殺人罪とは?相手からの同意を得てからの殺害は罪になる?
殺人罪が極めて重大な犯罪であることは誰もが知っているでしょう。
では、殺される相手側から「殺してくれ」と頼まれた上での殺人は罪になるのでしょうか?
今回は、同意殺人について、事例を交えながら弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
都内に住む男性医師Aは、不治の病であり、未だ治療法が確立していないパーキンソン病を患っているVの担当医師になりました。
ある日、VはAに対して「もう私はつかれた」「先生、お願いだから殺してください」と言い、VはAのことをかわいそうだと思いながらも、「そんなこと言ってはいけませんよ。一緒に頑張りましょう」といい、その場を去りました。
しかし、Aは、Vが日頃病で苦しんでいるのを思い出し、「死なせてやらないといけない」と思うようになりました。
そして、ある日、AがVの部屋を訪れると、VはAに対して「一生のお願いです」といい、殺してほしい旨をAに伝えました。
AはVを殺すことを決意し、Vの注射液の中に毒液を入れてVを死亡させました。
(※この事例は全てフィクションです。)
【同意殺人とは?】
上記事例でのAの行為には同意殺人罪が成立する可能性があります。
では、同意殺人罪とは何でしょうか。
同意殺人罪については、刑法202条に規定があります。
- 刑法第202条(自殺関与及び同意殺人)
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
202条前段は自殺関与罪を、後段は同意殺人罪を規定していますが、いずれも法定刑は6月以上7年以下の懲役又は禁固と、殺人罪の法定刑よりも軽くなっています(殺人罪は無期若しくは5年以上の懲役)。
これは、自殺者・被殺者の殺人は、そうでない者(生命を継続させる意志のあるもの)の殺人よりも軽微な犯罪であると考えられているからです。
【Aの行為は同意殺人罪が成立する?】
では、本件でのAの行為は同意殺人罪は成立するのでしょうか。
VはAに対して「もう私はつかれた」「先生、お願いだから殺してください」といっているので、「嘱託」があると言えます。
そして、AはVの注射液の中に毒液を入れてVを死亡させているので、「殺した」といえます。
よって、Aには同意殺人罪が成立すると考えられます。
【事務所紹介】
今回は、同意殺人罪について解説しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した弁護士が多く在籍する法律事務所です。
東京都内で刑事事件を起こしてしまった方は、まずは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
ご連絡は、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にてお待ちしております。
【事例紹介】盗撮行為で成立する罪は?逮捕されると何日拘束される?
【事例紹介】盗撮行為で成立する罪は?逮捕されると何日拘束される?
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が、盗撮における逮捕事例について解説致します。
【事例】
Aさんは新宿駅の構内にてエスカレータに乗っている際に、ミニスカートをはく女性のスカートの中身をスマートフォンのカメラ機能で盗撮しました。
カメラのシャッター音・録画開始音は、専用のカメラアプリを使用して出ないようにしていました。
しかし、Aさんの所作に違和感を覚え少し離れた後ろの位置から見ていた駅利用者の男性に盗撮の瞬間を目撃され、その場で警察に通報されてしまいました。
Aさんは現場に臨場した新宿警察署の警察官により逮捕されました。
(※この事例は全てフィクションです。)
新宿警察署への面会方法
今回の事例のように、ご家族が新宿警察署で逮捕されてしまったという場合は、下記記事より新宿警察署への面会方法や弁護士接見のメリットについてご覧ください。
【即日対応可!】新宿警察署への面会(接見)依頼は逮捕後72時間以内が勝負
東京都内への初回接見サービス料金は一律33,000(税込み)でご案内しています。
お困りの方は、お気軽に弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。
【解説】
■盗撮とは
盗撮は人の性的姿態等をひそかに撮影する行為であり、原則として撮影罪という罪に該当する行為です。
撮影罪は、2023年7月13日に新たに施行された「性的姿態撮影等処罰法(略称)」に規定されています。
性的姿態等とは、体の性的な部位や着用中の下着、性交中の様子などを指します。
■盗撮に該当する行為の典型例
盗撮に該当する行為の典型例は以下のようなものが挙げられます。
- 駅のエスカレーターに乗った際に、前に立つ女性のスカートの中をスマホなどで撮影する行為
- トイレや更衣室などで個室を上から撮影する行為
- 風俗店などでの隠し撮り
■盗撮の刑罰
撮影罪の法定刑は、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」です。
■盗撮で逮捕された場合の拘束期間は何日?
盗撮で逮捕された場合、起訴されるまで最大23日にわたり身体拘束が継続する可能性があります。
逮捕・勾留は「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」が認められるときに行われる手続きです。
そのため、「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」がないことを弁護士に主張してもらったり、慰謝料などを支払い被害者との示談を成立させてもらうことで、早期の釈放が見えてきます。
■示談の重要性
弁護士に相談・依頼することで、早急に示談を締結でき、早期解決を目指すことができます。
盗撮事件の場合、被害者側からコンタクトを取ること自体を拒否されて連絡先の入手もできないというケースが少なくありません。
しかし、第三者である弁護士が介入することで被害者側の態度の軟化によりコンタクトをとることができる場合があります。
そこから示談締結や謝罪の受け入れ、賠償の受け入れの可能性を高めることができるのです。
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が盗撮事件について解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪などの刑事事件・少年事件を数多く扱う専門の法律事務所です。
なんらかの事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方は、弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。
また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして、今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。
東京都内及び周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方などは、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
無料相談、初回接見サービスをご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631ー881でご予約をお取りできますので、ご連絡をお待ちしております。
【報道事例】業務上過失致死傷罪とは?「過失」ってなに?
【報道事例】業務上過失致死傷罪とは?「過失」ってなに?
今回は、東京都内のビル工事現場で起きた事故をもとに、業務上過失致死傷罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
【事例】
東京都中央区八重洲のビル工事現場で19日、7階部分から鉄骨が落下する事故があり、男性作業員2人が死亡した。
警視庁は現場の安全管理に問題がなかったかを含め、業務上過失致死傷容疑を視野に調べている。
(中略)
警視庁は今後、事故当時の状況を確認するなどして捜査を進める方針。
現場の安全管理に問題がなかったかなどが焦点になる。
(※令和5年年9月13日に日本経済新聞で報道された「東京・八重洲の作業事故、業過致死傷容疑視野に捜査」を一部抜粋・変更して引用しています。)
【業務上過失致死傷罪とは】
業務上過失致死傷罪は、刑法211条に規定されています。
- 刑法211条(業務上過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮または百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
では、業務上過失致死傷罪の「過失」とは一体何でしょうか。
これは、刑法上「予見可能性を前提とした結果回避義務違反」と定義されます(この考え方は新過失論と呼ばれますが、諸説あります)。
予見可能性とは、その起こってしまった状況が行為者にとって予測できたのかどうかの可能性のことです。
そして、結果回避義務違反とは、その状況が予測できて回避することができたのに結果回避行為をしなかったということです。
そのような者には、「過失」が認められるとして過失犯を成立させることができます。
予見可能性を前提とした結果回避義務違反について、211条の文言の中では「必要な注意を怠り」と表現されています。
【本件で業務上過失致死傷罪は成立する?】
では、本件に業務上過失致死傷罪が成立するのでしょうか。
まず、現場監督には、
- 事故が起きたことについて予想できたのか(予見可能性)
- 事故を回避することができたか(結果回避義務)
について検討が加えられます。
そして、その点が認められれば、過失が認められて業務上過失致死傷罪が成立すると考えられます。
【業務上過失致死傷罪で逮捕されてしまったら】
本件で見たように、過失には争点となるポイントは様々あります。
そこで、逮捕後、被疑者に不利にならない対応をするために、早いタイミングで弁護士に相談することが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した弁護士が多く在籍する法律事務所です。
東京都内で刑事事件を起こしてしまった方は、まずは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部にご相談ください。
ご連絡は、24時間365日受付中の弊事務所フリーダイヤル(0120-631-881)にてお待ち
しております。
液体状の「大麻」を所持?職場で懲戒免職になる?逮捕の可能性は?【後編】
液体状の「大麻」を所持?職場で懲戒免職になる?逮捕の可能性は?【後編】
前回記事に続き、今回は後編として大麻使用による懲戒免職について、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
法律上の大麻の定義や大麻リキッドに関しては、前編をご覧ください。
液体状の「大麻」を所持?職場で懲戒免職になる?逮捕の可能性は?【前編】
【事例】
海上自衛隊呉地方総監部は29日、弾薬の整備などを担当する自衛官の男性が大麻リキッドを10回使用したとして、懲戒免職処分としました。
懲戒免職処分を受けたのは、呉弾薬整備補給所に所属する海士長で、広島県呉市内に住む男性A(20代)です。
呉地方総監部によりますと、Aは2022年8月上旬、SNSで知り合った民間人から大麻リキッド1本を1万5000円で購入。
郵送で入手し、同月13日から24日にかけて計10回にわたり、大麻リキッドを吸ったということです。
Aは大麻リキッドの使用後に錯乱状態や幻聴などの影響が出て、記憶に障害が出る状態となり、同月25日、親族によって病院へ搬送され、同年11月7日まで入院。
翌2023年1月、所属先の部隊に病気休暇の報告をする際、診断書の提出を求められ、隠し通せなくなり、自ら大麻リキッドの使用を申し出たということです。(以下略)
(※令和6年3月29日に『Yahoo!ニュース』で配信された「大麻リキッド使用で錯乱状態に 弾薬整備補給所の海士長が懲戒免職 海自呉」記事の一部を変更して引用しています)
【大麻使用によって懲戒免職になる?】
冒頭の報道では、大麻の使用によって錯乱状態になった自衛隊の職員が懲戒免職になったというものでした。
2024年4月1日時点の大麻の使用がまだ違法となっていない時点で、大麻の使用によって懲戒免職となることはありうるのでしょうか。
懲戒免職とは、各事業主が定めている就業規則上、「懲戒事由」に掲げている行為に該当した時になされる「懲戒処分」として最も重い「免職」の処分です。
就業規則とは各会社におけるルールであり、法律のようなものです。
その会社の内部でのみ通用するルールであり、違反した場合の処分が定められています。
この就業規則に「大麻を使用した場合には免職とする」と書いてあれば、免職の処分にすることができるでしょう。
ただし、ほとんどの会社では、そのようなダイレクトな書き方はしていないと思われます。
多くの会社では「法令に違反した場合」や「その他業務上の非違行為があった場合」というような定めをしています。
そこで、大麻の使用が「懲戒事由」に該当するかどうかが問題となるのです。
報道のみでは具体的な部分が明らかではありませんが、①自衛隊という国防を担う公務員の立場であり、法令を遵守することが特に求められていた身分で、②違法薬物である大麻を複数回吸引して体調不良を起こし任務に支障をきたしていたことが重く見られたのではないかと思われます。
一般的な企業であっても、「大麻の吸いすぎで体調不良が優れないので休みます」ということを繰り返していれば、懲戒免職となってしまう可能性は高いでしょう。
今後、改正された大麻取締法が施行されるようになれば、「大麻を吸った」というだけで「覚醒剤を使った」と同じだけの見方をされることになります。
【最後に】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が、大麻の使用により懲戒免職となった事例について解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
大麻取締法違反事件でご家族が警察に逮捕されてしまった方や、大麻のことでご不安なことがある方やご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
警視庁高輪警察署までの初回接見にかかる費用は、税込み33、000円(東京支部の場合)で行っています。
ご予約・ご相談に関するお問い合わせは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。
窃盗罪に該当する行為とは?万引きや置引きも窃盗罪に該当する?
窃盗罪に該当する行為とは?万引きや置引きも窃盗罪に該当する?
今回は、窃盗罪に該当する行為について、事例をもとに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説いたします。
【事例】
Aさんは高井戸駅近くにあるコンビニエンスストアにて、店員の目を盗んでお弁当とペットボトルのお茶を万引きしました。
未清算でバッグにいれた商品をもって退店しようとしたところを別の店員に発見され、その場で警察に通報されてしまいました。
Aさんは現場に臨場した高井戸警察署の警察官により逮捕されました。
(※この事例は全てフィクションです)
【解説】
■窃盗罪とは
窃盗罪とは、他人の占有する財物を占有者の意思に反して取得する犯罪です。
窃盗罪については、刑法第235条で以下のように規定されています。
- 刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
■窃盗罪に該当する行為の典型例
●スーパーなどでの万引き
レジでの会計をせずに自分のカバンに商品を入れてそのまま商品を持ち出す行為は、窃盗罪に該当する行為の典型例です。
●置引き
電車、モールや商業施設などの休憩ベンチなどに置き忘れた他人の所有物を持ち出す行為も窃盗罪に該当する可能性がある行為です。
※窃盗罪に該当しなくても占有離脱物横領罪という別の犯罪が成立する可能性があります。
●無人販売店の商品持ち出し
冷凍食品など食品の無人販売店が昨今増えてきていますが、無人販売店の商品を未清算のまま持ち出す行為も、スーパーでの万引き同様に窃盗罪に該当する行為になります。
●自転車の乗り捨て
夜遅い時間などに歩いて帰るのが面倒になり、他人が駐輪した鍵のかかっていない自転車を乗って行ってしまう行為も出来心では済まされず、窃盗罪に該当する行為になります。
■窃盗罪の刑罰
窃盗罪の法定刑は、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(刑法235条)となっています。
処分によっては、最大で10年の懲役(刑務所での労務)に服する可能性があります。
もっとも、量刑は罪の重さを基本に決まるものであり、比較的軽微な窃盗の場合や初犯などであれば、刑事裁判で懲役刑となっても執行猶予が付く可能性が高いです。
■窃盗罪で逮捕された場合の拘束期間は何日?
窃盗で逮捕された場合、起訴されるまで最大23日にわたり身体拘束が継続する可能性があります。
逮捕・勾留は「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」が認められるときに行われる手続きです。
そのため、「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」がないことを弁護士に主張してもらったり、盗んだものの被害を弁済したりして被害者との示談を成立させてもらうことで、早期釈放が見えてきます。
■示談の重要性
弁護士に相談・依頼することで、早急に示談を締結でき、早期解決を目指すことができます。
窃盗事件の場合、被害者側からコンタクトを取ること自体を拒否されて連絡先の入手もできないというケースが少なくありません。
しかし、第三者である弁護士が介入することにより被害者側の態度の軟化によりコンタクトをとることができる場合があります。
そこから示談締結や謝罪の受け入れ、賠償の受け入れの可能性を高めることができるのです。
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が窃盗罪について解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪などの刑事事件・少年事件を数多く扱う法律事務所です。
なんらかの事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方は,弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。
また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。
東京都内及び周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方などは、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
無料相談、初回接見サービスをご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631ー881でご予約をお取りできますので、ご連絡をお待ちしております。
外国人の夫が薬物所持で逮捕、国選/私選のどっちの弁護士を選ぶべき?【後編】
外国人の夫が薬物所持で逮捕、国選/私選のどっちの弁護士を選ぶべき?【後編】
前回に引き続き、外国人の刑事弁護について、国選/私選どちらの弁護士を選ぶべきかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
【事例】
※前回記事の事例を参照してください。
外国人の夫が薬物所持で逮捕|国選/私選のどっちの弁護士を選ぶべき?【前編】
【私選弁護士を選ぶメリット②対応任務の範囲が違う】
私選弁護士と国選弁護士とでは、対応任務の範囲についても大きく違います。
国選弁護士は、あくまで刑事事件についての対応しかできません。
その為、逮捕されている間に「ビザの更新申請をして欲しい」と思っても、「それは国選の仕事ではないから」と断られてしまうこともあります(もちろん、善意でやってくれる場合もあり得ますが、それはあくまで善意です)。
一方で、刑事事件と入管事件の両方の知識、経験のある弁護士に私選として依頼すれば、刑事事件への対応から強制送還の対象となった場合の対応まで、地続きの対応ができます。
刑事事件の流れのままで入管事件まで対応できるというのは実はメリットが多く、裁判の時から「入管事件になった時に有利になる」ということを見越した弁護活動もできるのです。
入管事件、特に刑事事件からの強制送還(退去強制)は、ビザを守れるかどうか/強制送還されるかが激しく争われることもあります。
強制送還手続きについては、下記記事で詳しく解説しています。
【私選弁護士と国選弁護士の違い】
国選弁護士と私選弁護士を選ぶうえで大きく違ってくる点についてまとめると以下のようになります。
私選弁護士 | 国選弁護士 | |
対応速度 | 逮捕の当日から依頼可能 | どんなに早くても逮捕の2日後 (東京の場合) |
対応範囲 | ビザについて、裁判後も併せて対応可能 | ビザについては対象外 |
弁護士に対してどのようなことを依頼したいかを吟味して、私選か国選かを選ぶことになります。
Aさんのような事例で、弊所にご依頼頂ければ、逮捕当日から私選弁護士として弁護活動が開始できます。
【入管事件までの依頼は私選弁護士がおすすめ】
建前としては、国選弁護士も私選弁護士も同じ「弁護士」です。
どんな立場で弁護人を引き受けたとしても、被疑者・被告人のために全力を尽くすのが職務上の使命です。
ですから、国選弁護だから手を抜くということは本来あってはならないことですし、能力や経験についても差が無いものとみなされています。
しかし、上記の通り、国選弁護士はビザの問題については「やる時もあるし、やらない時もある」のです。
ただ、外国人の刑事事件は、日本に残れるのか残れないのかという死活問題をはらんでいます。
たとえ刑務所には入らないで済んだとしても、強制送還されてしまうと何の意味もありません。
多くの方にとって、日本に残るというのが至上命題なのです。
外国人が刑事事件で逮捕されてしまった、起訴されてしまったという場合には、刑事事件と入管事件の両方を扱う弁護士に依頼されるのが良いでしょう。
そのような弁護士を指名して依頼するためには、やはり私選弁護士として依頼するしかありません。
国選弁護士は、当番の日に、「その日の国選弁護担当事件」を事務的に振り分けられ、選任されます。
ですから、年齢、性別、入管事件の経験の有無と言った事情は考慮されないことになります。
なかには、「入管法のことはよく分からない」と平気で言う弁護士もいます。(個人の取扱い分野の違いでもありますが)。
上記のように将来に大きく影響を及ぼすビザ問題ですから、依頼するのであれば刑事事件と入管事件の両方を扱う弁護士を選びましょう。
【最後に】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が外国人の薬物事件(覚醒剤取締法違反)の逮捕事例を基に、私選弁護士と国選弁護士の違いについて解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、全国主要都市とその周辺に複数の支部を持ち、事件に応じて複数の弁護士がチーム制で担当をします。
入管事件となり得るものについては、入管事件の取り扱いがある弁護士、行政書士も事件に加わって、対応をします。
外国人の居住数が日本で最も多い東京支部では、外国籍の方の弁護についても数多くご依頼頂いています。
ご家族が警察に逮捕されてしまった方、ご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
- 示談や釈放に向けて、いち早く対応をしたい
- 刑事事件の知識や経験がある弁護士がいい
- 入管事件やビザ問題まで経験のある弁護士に依頼したい
というご希望の方は、ぜひ弊所にご相談ください。
逮捕されて身柄が拘束されている場合には、最短当日中に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
警視庁目白警察署までの初回接見は33、000円(税込み)で行っています。
ご相談・ご予約については、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。
外国人の夫が薬物所持で逮捕|国選/私選のどっちの弁護士を選ぶべき?【前編】
外国人の夫が薬物所持で逮捕|国選/私選のどっちの弁護士を選ぶべき?【前編】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強い弁護士が所属している弁護士事務所です。
そのうち、東京支部では外国人、外国籍の方の刑事事件についてご依頼いただくことが多くあります。
「外国人の刑事事件は、日本人の場合と何が違うの?」と思われる方も多いかと思いますが、外国人の弁護で最も重要になってくるのがビザに対する影響をいかに抑えるのか、という点です。
そこで、今回は覚醒剤の所持で逮捕されてしまったAさんの事例を基に、ビザのことまで考えた時に私選弁護士と国選弁護士のどちらにしたらよいのかという点について解説します。
【事例】
Aさんは目白区内の企業に勤めている外国人(30代・男性)です。
Aさんは来日して10年以上たっており、日本国籍の方と結婚し、永住者の資格を取得して生活していました。
ある日、Aさんは知人から「面白いものがあるから少し分けてあげる」と微量の覚醒剤を貰ってしまいました。
Aさんは使わないでカバンに入れていましたが、目白警察署の警察官に職務質問され、覚醒剤の所持が発覚し覚醒剤取締法違反の現行犯として逮捕されてしまいました。
Aさんの逮捕を知ったAさんの奥さんは、弁護士事務所に相談することにしました。
(※事例は全てフィクションです)
【外国人の薬物事件】
外国人の方であっても、刑事事件や刑事裁判の手続き、刑罰の重さという点では、日本人の方と大きな違いはありません。
言語や文化の違いから、手続に戸惑うところはあるかもしれませんが、適用される法律は日本の法律で、日本人と同じです。
外国人の方の薬物事件で一番気をつけなければならないのは、強制送還(退去強制)のリスクがあるという点です。
出入国管理及び難民認定法違反(いわゆる入管法)には、薬物犯罪で有罪判決が確定してしまった場合には強制送還になるという規定があります(出入国管理及び難民認定法違反24条)。
この強制送還の規定は、日本に在留しているほぼすべての外国人の方に対して適用されるものです。
そのため、Aさんは永住者のビザを取得していたようですが、覚醒剤取締法違反による有罪の判決が確定してしまうと強制送還の対象になってしまうのです。
この「有罪の判決」というのは、刑の内容を問わず「有罪/無罪」かのどちらかで決まります。
つまり、実刑判決(刑務所にはいりなさいという判決)に限らず、執行猶予判決や罰金判決だった場合でも「有罪の判決」ということになり、その判決が確定してしまうと、やはり強制送還(退去強制)の対象となるのです。
なので、Aさんのように覚醒剤取締法違反で逮捕されたという時点から、強制送還されるかもしれないというリスクは発生していることになります。
Aさんの場合、刑事手続だけでなく、その後の強制送還(退去強制)の手続きを見据えた対応が必要になるでしょう。
そこで、ここからは、私選弁護士を選んだ場合と国選弁護士を選んだ場合の違いを見ていきます。
【私選弁護士を選ぶメリット①初動・入管への対応が違う】
Aさんのように警視庁の管轄で逮捕されたというケースだと、逮捕されたあとの弁護士の動きが国選の場合と私選の場合で、動き出すタイミングやビザ事件も対応できるかどうかは、全く違うのです。
私選弁護士のできること | 国選弁護士のできること | |
逮捕当日 | ・逮捕された直後から初回の面会 ・家族との打ち合わせ ・警察に対して取調べや報道についての申し入れ ・取調べに向けてのアドバイス ・直近のビザへの対応 | なし(選任される前) |
逮捕の翌日 (検察庁送致) | ・継続的な面会 ・家族との打ち合わせ ・警察に対して取調べや報道についての申し入れ ・取調べに向けてのアドバイス ・検察官への釈放申し入れ | なし(選任される前) |
逮捕から2日後 (裁判所にて勾留質問) | ・継続的な面会 ・家族への事件報告、法律相談 ・警察に対して取り調べや報道についての申し入れ ・取調べに向けてのアドバイス ・裁判官への釈放申し入れ ・勾留が決まったあとも不服申立て | 10日間の勾留が決まってから国選弁護士が決まる。早ければその日か翌日に、初回の面会 |
刑事裁判の後、入管での対応 | ・入管でのインタビューに対するアドバイス、立会 ・在留特別許可に向けた意見書の提出、資料の作成 ・(収容された場合の)仮放免申請 | 国選の対象外 |
繰り返しになりますが、外国人の方の刑事弁護においてビザがどうなるか・強制送還されるのかという点は非常に重要です。
刑事事件で有罪判決が確定してしまうと、否応なく強制送還の対象になってしまいますから、起訴されるかどうか/有罪になるかどうかという点を見極めた、初期対応は非常に重要です。
国選弁護士は、逮捕から2日目以降でなければ本人と面会することはありません。
しかし、大方その頃には取調べがある程度落ち着いてしまっているという状況なのです。
特に、国籍に関係なく、薬物事件の場合には自白の有無が重視されます。
掛けられている容疑に対して、素直に認めるべきなのか、争って無罪を主張するべきなのか、初期の取調べで判断しなければなりません。
外国人の方の場合、初期の取調べに対する対応が、その後のビザ・強制送還(退去強制)の手続きにまで影響することになります。
手続きの流れや適用される法律、刑罰の重さという点では外国人と日本人の違いはありませんが、外国人事件の場合、取調べでどう話すのかがビザを保持できるのか/強制送還されるのかという点まで響いてくるのが一番の違いです。
早期からの対応を希望されるのであれば、私選弁護士に依頼することをおすすめします。
Aさんの事例でも、逮捕当日に私選弁護士に依頼することにすれば、その日から弁護を受けられます。
ご家族が警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日中に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
警視庁目白警察署までの初回接見は33,000円で行っています。
ご相談・ご予約に関するお問い合わせについては、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。
関税法違反で逮捕?!税関で検挙されるのはどういう事案?②
前回に引き続き、今回も同様の事例を元に、関税法違反について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
【事例】
▼前回記事を参照してください。
関税法違反で逮捕?!税関で検挙されるのはどういう事案?①
【Aさんの行為は関税法違反?】
Aさんの事例においては、商標法に違反する物の輸入を疑われているのではないかと思われます。
商標法とは、いわゆる「ブランドロゴ」を保護するという法律です。
偽物や模造品を禁止してブランドそのものの価値を守ろうという法律になります。
商品や会社の名前に「R」を〇で囲った小さな印があるのを見たことはないでしょうか。
「アールマーク(Ⓡ)」と言われることもあるのですが、これは、商標として登録していますという印なのです。
この登録されている商標を勝手に使うことや、勝手に商標が使われている商品を買ったり売ったりする行為は、商標法違反にあたってしまう可能性があります。
インターネットサイトでブランド品を買ったというAさんの事例でも、そのブランド品が偽物で商標法違反になる物であるために、税関で留め置かれているという可能性があります。
その商品を日本に持ち込もうとする行為は関税法違反にも該当してしまうのです。
ただ海外から商品を買おうとしただけなのに関税法違反事件に巻き込まれてしまうことがあるという、1つの例になります。
【税関にある荷物はどうしたらいい?】
Aさんの事例のように、海外から届いた荷物が税関でずっと止め置かれているという場合に対応したらよいのでしょうか。
Aさんが日本に「輸入してはいけない物」を注文してしまったのであれば、何を言おうと日本へ輸入することはできません。
一方、「申告しなければならない物」だったのであれば、改めて正しく申告することで解決ができるという場合もあります。
仮にブランド品の偽物として「輸入してはいけない物」に該当していた場合、Aさんに対しては商標法違反と関税法違反の二つが成立し得るのです。
この二つに対して、いかに逮捕・起訴・前科といったような刑事手続きのリスクを最小限に留めて解決するかということが重要になります。
その為に一番最初で一番肝心なのが、税関に対してどのように交渉するかという点になります。
関税法違反の事件については、警察だけでなく税関局が取り扱うという事例も多くあります。
その税関局が「刑事事件化しない、告発しない」という形で終わることができれば、刑事手続きのリスクを最小化できたと言えるでしょう。
税関への対応を適切に進めることで、
- 告発されず取り調べを受けない
- 逮捕されない
- 起訴されず、前科もつかない
というように最良の結果が得られる場合があるのです。
素人判断で勧めてしまうのは非常に危険です。
知識と経験を積んだ専門性の高い弁護士に対応を依頼することで、最悪の自体を避け、最良の結果につなげる可能性を高めることができるのです。
- 密輸を疑われているが、どうしたらいいか分からない
- 税関?警察?の違いや対応がよく分からない
- 逮捕や前科がついてしまうのは困る
いずれかに当てはまるのであれば、早期に弁護士へ相談して、対応を依頼したほうが良いでしょう。
【関税法違反事件でお困りの方は弁護士へ】
荷物が届かなくて不安/税関で荷物が止まっているという方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
実際に弊所で取り扱ってきた事例でも、早期の税関への対応によって、前述したような最良の結果を獲得してきた経験があります。
関税法違反事件で取り調べを受けてしまった、ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、不安なことがある方、ご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
東京都内への初回接見費用は一律33,000円(税込)でのご案内になります。
ご予約・ご相談に関するお問い合わせは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にてお待ちしております。
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