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【解決事例】少年らによる暴走行為(共同危険行為)
【解決事例】少年らによる暴走行為(共同危険行為)
~事案~
Aさんは大学に通う19歳の男性で,ある日同級生ら6人と遊んでいました。
すると,そのうちの1人が「バイクに乗ってパトカーと鬼ごっこをしよう,どうせ捕まらないよ」と言い出したところ,みんなそれに賛成し,それぞれがバイクに乗り,出発しました。
Aさん自身は運転が得意でなく,乗り気ではなかったのですが,友人らの楽しそうな空気を壊したくないと思い,注意することもできず,同級生の運転するバイクの後部座席に乗り,集団の最後尾を走ることになりました。
しばらくすると,後方からパトカーがサイレンを鳴らしてきましたが,Aさんたちは,約2.4キロメートルにわたり,パトカーの前を低速で蛇行しながら進行し,信号無視などの違反を繰返しました。
パトカーの追跡を振り切ったところで,その日は解散したものの,後日,逮捕されてしまいました。
※守秘義務の関係で一部事実と異なる記載をしています。
~本件で成立する犯罪~
暴走行為(共同危険行為等)の法定刑
・暴走行為(共同危険行為)をした場合
⇒2年以下の懲役または50万円以下の罰金(道路交通法第68条 117条の3)
・違法改造車を運転した場合
⇒3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法第119条)
また,本禁止規定は,暴走族の取締りを主目的として,制定され,2004年の道路交通法の改定により,被害者がいなくても共同危険行為等を処罰できるようになりました。
~暴走行為とは~
自動車やバイク,原動機付自転車で暴走行為を行った場合,共同危険行為等の禁止違反として,道路交通法違反として検挙されることとなります。
具体的な暴走行為としては
1 広がり通行
車線(車道)いっぱいに広がり走行する行為
2 信号無視
赤信号を無視して走行する行為
3 蛇行運転
道路を左右に蛇行しながら走行する行為
4 交互追い越し
複数の組に分かれ,それぞれ交互に追い越しをしながら走行する行為
5 巻き込み通行
自身らと無関係の一般車両を集団内に巻き込み,一般車両の自由を拘束し
て走行する行為
6 一定区間の周回
道路上において,ある一定区間を周回する,急発進や急停止等を行い他の車
両の通行を遮断する行為
7 渋滞時等の渦巻き
渋滞などにより停止した車両の後方でぐるぐると旋回する行為
が挙げられます。
また,自分は運転せず同乗していたという場合でも,「一緒に暴走行為をしていた」と評価されれば「共犯」として処罰の対象となることがあります。
~Aさんは罪に問われるのか~
同乗者であったAさんも警察に逮捕され取調べを受け,家庭裁判所へ事件送致されることとなりました。
事前に暴走行為を行うことを話合い,もしくは,その場の雰囲気で意気投合して車やバイクに同乗し,暴走行為を繰り返した事から,共同危険行為違反として逮捕されてしまったのです。
共同危険行為は,他の運転者や歩行者を巻き込んだ重大な事故を起こしかねないものですから,警察も悪質な事案として扱うことがあります。
その場のノリや,友達の前で見栄を張って,といった軽い気持ちでこのような暴走行為をしてしまう少年がいますが,警察や家庭裁判所も,厳しい姿勢で臨むことが予想されます。
~18歳,19歳の少年の場合の注意点~
2022年4月1日から施行されている少年法では,18歳,19歳の方は「特定少年」として扱われます。
「特定少年」の事件の場合には,他の少年事件と比べて,「逆送決定」といって,少年事件の枠の中でおさまらず,20歳以上の成人の刑事事件として扱われる可能性が高くなります。
成人の刑事事件の中で扱われてしまうと,罰金刑や懲役刑を受ける可能性が出てきて,前科がついてしまうリスクが生じることになります。
特定少年の事件の場合には,いかに「少年事件の枠内」で納めることができるかどうかが重要になってくるでしょう。
~本件事例における当事務所の活動~
ご家族からのご依頼を受け,当事務所の弁護士がいち早く警察署に留置されている少年Aさんと接見しました。
Aさんは警察に逮捕されるというのが初めてのことであり,どのように対応したらよいか,また家族がどう思っているのかについて非常に不安に感じている様子でした。弁護士がAさんと何度も接見し,対話を重ねることでAさんの不安を取り除くとともに,二度と同じ事件を起こしてしまわないために,普段のAさんの生活や,性格,アルバイト中のAの働きぶりなどの情報を集めました。
Aさんは逮捕されて一連の取調べを受けた後,少年鑑別所に移されることになりました。少年鑑別所の中でも問題を起こしてしまうことなくまじめに生活し,だされた課題に対しては熱心に取り組みました。
鑑別所でも弁護士と何度も面会を重ね,自分がしてしまった事の重大性や,周囲の人に対してどれだけの迷惑を掛けてきたのかについて気付くことができました。
本件の以前も,Aさんは何度か警察に補導されたこともありましたが,今回の事件を受けて,家族がどれだけ自分を大切にしていたかということに気付くことができました。
本件は,Aさんの周囲の生活環境や家族仲には大きな問題がなく,非行を繰り返す状況にないこと,暴走行為の中でAさんの役割,立場が上位にはなかったこと,過去の処分の傾向からも重い処分を科す必要はないこと等を粘り強く主張したところ保護観察処分となり,Aは日常生活に復帰することが出来ました。
少年事件においては,「どうして事件を起こしてしまったのか,二度と同じ事件を起こさないためにはどうしたらよいか」という点が重要です。
今回のケースに限らず,ご自身や大切なご家族が,何らかの罪に問われてしまった場合,出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。
いち早く弁護士に相談することにより,処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ,その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
また,取調べの対応方法や供述内容に対するアドバイスを受けることで,誤解を招くような供述を避けることが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の弁護士は日頃より刑事事件のみを受任し,数多く扱ってきた実績がございますので,交通事件に関しても安心してご相談頂けます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では初回無料法律相談も行っておりますので,お困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。
大麻事件で逮捕,薬物事件で18歳,19歳も懲役刑になる?!
大麻事件で逮捕,薬物事件で18歳,19歳も懲役刑になる?!
少年を含む若者の大麻事件と、改正少年法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
・事例
専門大学生のXさん(19歳)は,学校の友達と深夜,渋谷区内で遊んだ際に友達の1人から「良いところあるから寄っていこうぜ」と誘われました。
Xさんは友達について行ってあるマンションに入りましたが,実はそこは,大麻を回し吸いする現場でした。Xさんは友達から「体に悪くないから」と言われたこともあり,一口大麻を吸ってしまいました。また,その場にいた人から「あげるよ」と言われて,大麻タバコを一本貰ってしまいます。
帰り道,Xさんは渋谷区内の路上で歩いていたところ渋谷警察署の警察官から職務質問を受けて,大麻タバコの所持を発見され,大麻取締法違反によって現行犯逮捕されてしまいました。これからどうなるのでしょうか。
≪ケースは全てフィクションです。≫
・若者の間で蔓延する大麻
若い世代での大麻関連の事件が増加しているとの報道が相次いでいます。
「若者に広まる大麻,上半期の摘発2554人 最年少は14歳」朝日新聞デジタル
警察庁の統計によると,2020年に警察が大麻事件で摘発した人のうち,約7割が20代以下の若い世代であったということです。
SNS等を通じて,若い世代の間で「大麻はタバコやお酒よりも安全」「大麻は覚醒剤と違って依存もしない」というような情報が出回っており,大麻に対するハードルが下がっていることが要因の様です。
大麻については言説が様々ありますが,現在の日本では,大麻の所持や譲渡はれっきとした犯罪であり,5年以下の懲役が科せられる可能性があります。
・未成年の大麻事件
2022年(令和4年)4月1日から,少年法が改正されて,18歳や19歳は「特定少年」という,少年法の中でも少し変わった立ち位置になります。民法の成人年齢が引き下げられたことにも関連して,18歳,19歳の人については,これまでよりも刑事責任を問いやすくなった,つまり,これまでと違って大人としての責任を問われやすくなったのです。
具体的には,18歳,19歳の人がした犯罪については,逆送といって,少年法による「保護」ではなく,他の成人と同じ刑事裁判の手続きに付する事件が広がりました。
Xさんのような大麻取締法違反(単純所持)については,全て逆送されるわけではありませんが,薬物犯罪の場合は初犯であっても起訴猶予になりにくいものです。18歳や19歳の薬物事件についても「ここで一度お灸をすえておかなければならない」と考えて少年事件ではなく刑事事件に扱うために逆送決定がなされる可能性があります。
・逆送決定とは?
逆送決定とは,少年事件を受理した家庭裁判所が,少年事件として扱わず検察官に事件を送り返すことを言います。
本来,20歳未満の人の犯罪については少年事件として扱い,「今後更生するためにはどうすればいいか」という少年審判が開かれます。
しかし,「更生だけではなく,やったことへの責任をきちんと取らせるべきだ」という事件に対して,家庭裁判所は事件を検察官に逆送します。逆送がなされると,検察官は再度,犯罪についての捜査を行い,当該犯罪について証拠が十分にあると考えれば大人と同じように起訴をします。起訴され,証拠によって事実が認められれば大人と同じような懲役刑が科せられる可能性があります。
Xさんの事件についても,家庭裁判所から検察官へ逆送され,大人と同じ刑事裁判で裁かれてしまう可能性があるのです。
・未成年の薬物事件は早急に弁護士へ相談
18歳,19歳のご家族が薬物事件で逮捕されてしまったという場合には,早急に刑事事件,少年事件に強い弁護士に相談しましょう。
2022年4月1日以降,18歳,19歳の方の事件というのは,他の少年事件と比べると刑事裁判によって,懲役刑を受ける可能性が高まったといえます。
懲役刑のリスクを少しでも下げるためには,逆送されないための弁護活動が重要です。逮捕された直後から本人や家族の話を聞いたり,弁護士が様々な働きかけをしたりして,本人や生活環境の問題点をあぶり出すことで「本人に必要なのは刑罰ではない」と主張していくことで,最終的に逆送決定を避けることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、大麻所持のような薬物事件の弁護活動を数多く経験してきました。
東京都渋谷区にて、ご家族やご子息が薬物事件で逮捕されてしまったという方は,刑事事件,少年事件に特化した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部へご相談ください。
壁への落書きで少年が逮捕される?
壁への落書きで少年が逮捕される?
壁に落書きした場合に問題となる罪と、少年が逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都板橋区在住のAは、板橋区内の会社に勤める19歳の会社員です。
Aは友人と一緒に夜遊びをしていた際、友人から落書きをしないかと言われました。
最初Aは躊躇していましたが、友人から「他の人もやっていて周りには落書きだらけじゃないか」「スプレーは、専用の溶剤で落とせば綺麗に消えるし、壊すわけじゃないんだから」と言われて納得してしまい、閉店後の商店のシャッターや他人の家の塀、公衆トイレの壁、道路のガードレール、他人の車にスプレーで落書きをしました。
ある日、Aやその友人が落書きをしていたところ、板橋区を管轄する志村警察署の警察官がパトロールをしていて落書き行為を現認し、Aらは逮捕されました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【スプレーでの落書きは刑事事件に】
高架下やガードレール、商店などのシャッターなど、街中の様々な場所で文字やイラストを見かけることがあるでしょう。
そのほとんどが、所有者や管理者の許可なくスプレーなどで行われた落書きであり、刑事事件や民事事件に発展する行為です。
スプレーで行う落書きの刑事事件の側面について、落書きの対象が建物や壁なのか、それ以外の物なのかによって該当する罪が異なります。
まず、建造物を損壊した場合に成立する建造物損壊罪について、罰条は「5年以下の懲役」のみ定められていて、後述する器物損壊罪と比較すると極めて重い刑罰と言えます。
建造物損壊罪は、建造物を損壊した場合にのみ成立します。
他人の家の壁や公衆トイレなどの壁などは建造物に当たりますが、商店のシャッターや住居の塀については、「当該物と建造物との接合の程度のほか,当該物の建造物における機能上の重要性をも総合考慮」して判断されます。
該当するシャッターや壁が、簡単に取り外しできないようなものであり、建造物にとって重要な機能を果たしていると評価された場合には、建造物に当たると評価されます。
次に、ガードレールや他人の車など、建造物(及び文書等毀損罪を除く)に行った落書きの場合には、器物損壊罪が適用されます。
器物損壊罪は、刑法261条に違反し、「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」に処されます。
Aは友人から「スプレーは、専用の溶剤で落とせば綺麗に消えるし、壊すわけじゃないんだから」と言われています。
これについて、損壊とは単純に物を破壊したり形を変えたりする場合だけでなく、物の「効用を害する」場合に成立します。
商店のシャッターや自宅の塀に落書きをされた被害者は、恥ずかしい思いをしてすぐに消したいと思うことでしょう。
例えば、水をかければすぐに落ちるような成分のスプレーであれば、損壊にはあたらないと評価される余地があります。
しかし、「専用の溶剤で落とせば綺麗に消える」スプレーで行った落書きであれば、すぐに消すことができないという性質を踏まえ、「損壊」したと評価されます。
なお、我が国でも数年前に海外の有名な画家によるストリートアートと呼ばれるものが話題となりました。
これについては、その建物や物の所有者の捉え方次第と言えます。
所有者が「損壊」を受けたと感じた場合、建造物損壊罪は非親告罪ですので被害届を、器物損壊罪は親告罪ですので刑事告訴をすることで捜査機関による捜査が開始され、被疑者が特定された場合には刑事罰が科せられることがある、という流れになります。
※落書きの内容によって特定の相手を侮辱した場合や名誉を棄損した場合については、建造物損壊罪や器物損壊罪だけでなく、侮辱罪や名誉棄損罪などの罪にもあたります。
(建造物等損壊罪)
刑法260条 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(器物損壊罪)
刑法261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
【少年も逮捕される?】
≪次回のブログに続きます。≫
東京都板橋区にて、お子さんが商店のシャッターや公衆トイレの壁、他人の家の塀、道路のガードレール、他人の車などに落書きをして逮捕されてしまった場合、刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。
少年鑑別所に送致される場合とは?
少年鑑別所に送致される場合とは?
無免許運転で逮捕された場合の罪と、少年鑑別所について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都小金井市在住のAは、小金井市内の会社に勤める19歳の会社員です。
ある日、Aは交際相手からドライブデートをしたいと言われました。
Aはこれまで自動車運転教習所などに通ったこともなく、免許取得のための勉強をしたこともなかったのですが、プライドが邪魔をして免許証を持っていないことを説明できませんでした。
そこで、Aは出張中の両親が使用する自動車を無断で使い、免許証を有していないままドライブデートを敢行しました。
そして運転の最中、自転車に乗っていたVを過失により跳ね飛ばしてしまいました。
Aの通報により臨場した小金井市を管轄する小金井警察署の警察官は、Aを無免許運転の罪で現行犯逮捕しました。
Aが勾留している最中、Vは当該事故が原因で死亡してしまいました。
Aの家族は、捜査員から観護措置決定により少年鑑別所に送致されるかもしれないとの説明を受けました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【無免許運転についての罪】
【少年鑑別所とは?】
20歳未満の男女は少年と定義され、成人の刑事事件とは異なる取り扱いがなされます。
まず、事件を起こした後で警察官や検察官等が捜査を行う段階では基本的に成人と同じように取調べを受けることになります。
在宅事件であれば捜査機関の捜査が終了して書類がまとめられたのち、身柄拘束されている事件であれば勾留満期日(勾留から最大20日間経ったのち)に、各都道府県にある家庭裁判所に送致されます。
送致後、家庭裁判所の裁判官は、必要に応じて調査官による調査命令を下し、調査結果を踏まえて審判を開くかどうか判断します。
審判開始の決定を下した場合、非公開の審判廷で少年審判を行い、少年に対する処分を決定します。
処分には、保護観察処分や各都道府県知事・児童相談所長送致のほか、矯正教育や社会復帰支援を行う少年院への送致などがあります。
上記が一通りの流れになりますが、家庭裁判所に送致された少年について、裁判官が必要と判断した場合には観護措置決定が下されます。
観護措置は、家庭裁判所が調査官による調査や審判を行うため、少年の心身の鑑別を行うための措置とされています。
観護措置には在宅観護と収容観護の2種類がありますが、実際には在宅観護を行うケースはほとんどなく、観護措置という言葉はもっぱら収容観護を指すことになります。
この収容観護で収容される先が、少年鑑別所となるのです。
多くの事件では
捜査段階で勾留⇒家庭裁判所に送致⇒少年鑑別所に送致
という流れですが、稀に
在宅捜査を受けて家庭裁判所に送致⇒観護措置決定により家庭裁判所が少年鑑別所に送致
という場合もあります。
少年鑑別所では、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づいて鑑別等が行われます。
具体的には、集団方式の心理検査や鑑別面談、精神医学的検査・診察(一部必要ケースのみ行われる)のほか、起床から就寝迄の行動を観察される行動鑑別などが行われています。
収容される期間は通常4週間で、その期間内に審判が行われる場合が一般的です。
観護措置による少年鑑別所は、少年にとって有益な点もありますが、長期間身柄拘束を受けることで学校や会社に行けない等のデメリットもあります。
弁護士としては、少年の事件や性格などを踏まえ、観護措置の必要性について検討・意見する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、比較的軽微な事件から、残念乍ら被害者が死亡してしまったような重大な事件事故まで、数多く経験して参りました。
東京都小金井市にて、無免許の状況で車を運転してしまい、人身事故を起こしてしまった方、お子さんが観護措置決定により少年鑑別所に送致される可能性がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
無免許運転で人身事故に
無免許運転で人身事故に
無免許運転で逮捕された場合の罪と、少年鑑別所について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都小金井市在住のAは、小金井市内の会社に勤める19歳の会社員です。
ある日、Aは交際相手からドライブデートをしたいと言われました。
Aはこれまで自動車運転教習所などに通ったこともなく、免許取得のための勉強をしたこともなかったのですが、プライドが邪魔をして免許証を持っていないことを説明できませんでした。
そこで、Aは出張中の両親が使用する自動車を無断で使い、免許証を有していないままドライブデートを敢行しました。
そして運転の最中、自転車に乗っていたVを過失により跳ね飛ばしてしまいました。
Aの通報により臨場した小金井市を管轄する小金井警察署の警察官は、Aを無免許運転の罪で現行犯逮捕しました。
Aが勾留している最中、Vは当該事故が原因で死亡してしまいました。
Aの家族は、捜査員から観護措置決定により少年鑑別所に送致されるかもしれないとの説明を受けました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【無免許運転についての罪】
御案内のとおり、我が国では該当する運転免許証を有していなければ、車やバイクで行動を運転することができません。
免許を有していない者が運転をした場合には無免許運転にあたり、以下のような罪に当たります。
・無免許運転
前述のとおり、無免許運転は法律で禁止されています。
具体的には、道路交通法で以下のとおり定められています。
道路交通法117条の2の2第1号 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 法令の規定による運転の免許を受けている者でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで又は国際運転免許証等を所持しないで運転した者
Aのように運転免許証の交付を受けていない場合はもちろんのこと、例えば普通自動車の免許証は有しているがバイクの免許はない者がバイクを運転した場合などにも、無免許運転の罪に当たります。
・無免許運転+人身事故
ケースのAのように、無免許運転の罪を犯して運転をしていた際に事故を起こしてしまった場合には、道路交通法だけでなく自動車運転処罰法(正式には自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)が問題となります。
まず、人身事故で問題となるのは以下の条文です。
自動車運転処罰法5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
しかし、運転する技能を有しないで運転をした結果人身事故を起こしてしまった場合、危険運転の罪が問題となります。
自動車運転処罰法2条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
3号 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
両者は、運転免許証を有しているかどうかだけで判断されるわけではありませんが、Aのように教習所に通うなどの経験もなく、交通ルールの勉強をしたこともないという場合には、危険運転と評価される可能性があります。
【少年鑑別所とは?】
≪次回のブログに続きます。≫
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、比較的軽微な事件から、残念乍ら被害者が死亡してしまったような重大な事件事故まで、数多く経験して参りました。
東京都小金井市にて、無免許の状況で車を運転してしまい、人身事故を起こしてしまった方、お子さんが観護措置決定により少年鑑別所に送致される可能性がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
万引き事件が強盗扱いに?
万引き事件が強盗扱いに?
20歳未満の少年が万引きをしようとしたところ店員等に見つかってしまい、逃走する際に暴行を加えるなどした結果「強盗」扱いされる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都荒川区に住むAは、都内の高校に通う17歳の高校生です。
Aは事件の数か月前から、荒川区内にある書店に行き、欲しい漫画を繰り返し万引きしていました。
事件当日も、Aは鞄を持っていき漫画コーナーで人がいないことを確認して、自分のバッグに未購入の漫画本3冊を入れて店を出ようとしました。
しかし、以前からAが万引きをしていることに気づきマークしていた店員Vは、Aが店を出たタイミングで声掛けし、バッグの中を見せるよう言いました。
Aは万引きが発覚したことを察知し、逃げようとしましたが、Vに手を握られて逃げるタイミングを逸しました。
そこで、Vの腕に蹴りを入れ、Vが転倒した隙にAはその場を離れました。
荒川区を管轄する尾久警察署の警察官は、Vの通報を受けて付近のパトロールを開始し、Vの言う被疑者と特徴が酷似していたAが見つかったため声掛けし、Aの取調べを開始しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【万引き行為】
御案内のとおり、万引きは窃盗罪にあたります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
万引き事件について、軽く考えている方・少年も多くいるようですが、捜査するうえでやむをえないと判断された場合には逮捕・勾留されることがあります。
また、万引き事件の場合、被害店舗は買取には応じるが示談には応じないという態度を示す場合も少なくないため、初犯でも略式起訴による罰金刑で前科が付く場合もあり、転売目的で繰り返し万引きをしていたような事案であれば初犯でも公判請求ということが十分に考えられます。
【万引きが強盗に?】
Aは万引きをしたうえで、更に制止しようとした店員Vに対して暴行を加えています。
これは、万引き(窃盗罪)ではなく「事後強盗」という罪に当たります。
条文は以下のとおりです。
刑法238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために暴行または脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
万引きをした被疑者が、店員や警備員、目撃者などの制止を振り切り逃走しようとすることは、少なくありません。
しかし、その過程で被害者に暴行を加えたり、脅迫したりして逃走した場合には、もはや窃盗罪ではなく、事後強盗罪として扱われることになるのです。
事後強盗罪は強盗として論ずると定められていますので、
被害者が怪我をしていない:五年以上の有期懲役
被害者が怪我をした :無期または六年以上の懲役
被害者が死亡した :死刑または無期懲役
という厳しい刑罰が科せられます。
【少年事件での弁護・付添人活動】
万引き事件は、少年事件でもよく見られる罪の一つです。
ある程度身体が大きくなっている少年であれば、制止された店員や警備員、目撃者に対して暴行を用いるなどして逃走を図ることは十分に考えられます。
少年事件も、成人の刑事事件と同様に捜査段階で逮捕・勾留される可能性があるほか、捜査が終了した段階で家庭裁判所に送致されたのち、観護措置決定が下され少年鑑別所に入所することになる可能性があります。
少年事件の場合
・身柄対応(事件の内容や少年の環境を総合考慮し、釈放を目指す主張。身柄拘束が長期に亘る場合の頻繁な接見、心理的ケア。)
・取調べ対応(少年に手続きや言葉の意味などを説明し、間違った供述調書を作らせないための活動。)
・示談交渉(被害者との示談交渉。)
・環境調整(少年を社会内で更生させるための環境調整。)
・学校対応(学校に対して寛大な措置を求める等の対応。)
・調査官対応(家庭裁判所送致後、少年の事件後の内省や環境調整ができていることの主張等。)
など、様々な弁護活動・付添人活動があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、刑事事件・少年事件のみを扱っている弁護士事務所です。
東京都荒川区にて、お子さんが万引きをしたところ店員等に見つかってしまい、逃走する際に暴行するなどして事後強盗事件に発展した場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
少年事件の弁護活動・付添人活動
少年事件の弁護活動・付添人活動
暴力事件を起こした場合に問題となる罪と、少年事件の弁護活動・付添人活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都文京区音羽在住のAは、文京区内の学校に通う20歳未満の少年です。
A自身はこれまで事件・事故等を起こしたことがないのですが、Aの周りには事件・事故を繰り返し起こしているような友人がいました。
ある日、Aは友人らの一人であるVが仲間を裏切ったという理由で、VをA含め8人で取り囲み、一方的に殴る蹴るの暴行を加えました。
結果、Vは大けがを負いました。
Aは最初は及び腰でしたが、最後にはAも加担していました。
近隣住民の通報により臨場した東京都文京区を管轄する大塚警察署の警察官は、Aらを傷害罪で逮捕しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【暴力行為で問題となる罪】
・暴行罪/傷害罪
被害者に対して暴行を加える行為は、暴行罪・傷害罪が適用される可能性があります。
条文は以下のとおりです。
(傷害罪)
刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(暴行罪)
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
・暴力行為処罰法違反
ケースの場合、Aらは計8人でVに対する暴行・傷害を行っています。
これは、暴行罪や傷害罪ではなく、暴力行為処罰法に違反する可能性があります。
正式名称は「暴力行為等処罰に関する法律」という法律で、集団での暴行や脅迫、銃や刃物を用いた傷害事件、常習的な暴行や傷害などの事件などで適用される罪です。
問題となる条文は以下のとおりです。
暴力行為処罰法1条 団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百八条、第二百二十二条又は第二百六十一条の罪を犯したる者は三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処す
【少年事件の手続きについて】
前章では、Aの行為がどのような罪に当たるのか、という問題を取り上げました。
しかし、Aは20歳未満の少年であることを想定しているので、「少年事件」という扱いになります。
以下で、少年の場合の事件について説明致します。
・捜査段階
刑事事件にあたる行為をしてしまい、捜査機関がその事件を認知した場合、先ずは捜査機関が捜査を行います。
弁護士に依頼している場合、捜査段階では「弁護人」という立場で弁護活動を行います。
捜査段階では成人と同様の手続きが採られる場合が多いため、裁判所の判断次第では少年であっても逮捕・勾留される可能性があります。
・家裁送致後
少年事件の場合、捜査機関による犯罪捜査が終了したのち、検察官は、必ず家庭裁判所に少年を送致しなければいけません。
家庭裁判所に送致されたのちは、弁護士は「付添人」という立場で付添人活動を行います。
家庭裁判所では、裁判官の指示で家庭裁判所調査官による少年や保護者の調査が行われるほか、事件や少年の性格などによっては少年鑑別所に送致され、少年の鑑別が行われます。
「少年事件は軽い」という認識の方が多くおられるようですが、それは必ずしも正確ではありません。
成人の場合は被疑者・被告人が犯した犯罪行為のみによって刑罰が判断されますが、少年の場合はそれだけではなく、生育環境や少年の要保護性などを踏まえて総合的に判断されるため、成人事件であれば罰金などの財産刑で終了する場合でも、同じ事件を起こした少年に要保護性が認められた場合、少年院などに施設送致される可能性があります。
また、成人の場合は勾留から最大20日で起訴するかどうかの判断がなされますが、少年事件の場合は20日間の勾留を経て少年鑑別所に送致される可能性があるため、身柄拘束はより長くなるという場合もあります。
お子さんが事件を起こした場合、少年事件だから大丈夫だろうと楽観視するのではなく、すぐに弁護士に相談して弁護活動・付添人活動を依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都文京区にて、お子さんが喧嘩や一方的な暴力行為で逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。
【お客様の声】学校内でのトラブルで審判不開始
【お客様の声】学校内でのトラブルで審判不開始
◆事件概要◆
事件対応を行った少年(当時、中学生)は、他の同級生と一緒に被害者をからかった際に次第にエスカレートしてしまい、最終的に傘で叩いて全治数日を要する怪我を負わせてしまいました。
◆事件経過と弁護活動◆
①捜査段階
少年はまだ中学生ですが、14歳以上ですので「犯罪少年」という立場になり、被疑者(いわゆる容疑者)として捜査機関による取調べを受けます。
・少年への対応
弁護士はまず、時間をかけて少年の話に耳を傾け、事件の経緯や反省状況だけでなく、普段の生活状況やストレスの発散方法、進路などについて丁寧に聴取しました。
少年は当初から反省と謝罪の意を示していました。
それを踏まえ、弁護士は、どのようにすれば事件を回避できたのか、今後このような事件を起こさないためにはどうすれば良いか、といったことを考える機会を設けました。
・被害者への対応
次に被害者対応について、少年の両親は、事件直後から被害者の保護者に謝罪や弁済を申し入れていましたが、被害者の保護者の処罰感情が強いことから対応に難航していました。
そこで、弁護士が被害者の保護者に連絡したところ、少年の両親とは話をしたくないが、弁護士からの話であれば聞いてみてもよいという姿勢でした。
弁護士が間に入ることで交渉が円滑に進み、最終的には、治療費用を受け取るという意向を確認できました。
②家庭裁判所送致後
捜査機関は、犯罪少年の捜査が終了したのち、家庭裁判所に送致することになります。
家庭裁判所の裁判官は、少年の調査を行い、審判を開始するかどうかを判断します。
・裁判所調査官への対応
少年事件においては、家庭裁判所の調査官が中心となって調査を行います。
調査官は、捜査機関から送られた捜査記録や少年が所属する学校の成績・生活状況を確認するとともに、少年自身との面談・少年の保護者との面談を行います。
弁護士は、家庭裁判所送致直後に調査官に連絡し、少年と調査官との面談日程を調整し、当日は弁護士も同席しました。
最終的に、弁護士から事件の内容や少年の事件後の内省状況、両親による監督体制、被害者への謝罪の意向などを踏まえ、保護処分は必要ないので審判を開始しないよう求める意見を書面で提示した結果、家庭裁判所の裁判官は、早々に審判不開始の決定を下しました。
◆まとめ◆
弁護士は、対象者が少年だった場合、成人の刑事事件以上にしっかりと話を聞き、少年の内省を深めたり、今後同じような事件を起こさないためにどうすれば良いかを考えたりする機会を設ける必要があります。
少年事件では、最終的に家庭裁判所に送致され、裁判所調査官による調査を踏まえて保護処分を下すかどうかの判断をします。
弁護士は家庭裁判所に対し、少年に保護処分が必要か否か、必要な場合にはどのような保護処分が妥当かなどの意見を述べることができます。
中学生などのお子さんが学校内でトラブルを起こしてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
今後の手続きの流れや審判不開始の可能性などについて、丁寧にご説明します。
車上荒らしで少年院へ
車上荒らしで少年院へ
未成年者が車上荒らし事件を起こしてしまい、少年院送致される場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都大田区池上在住のAは、高校を卒業後アルバイトをして実家暮らしをしている18歳です。
Aは車に興味があるため高級スポーツカーを買いたいと思っていたのですが、アルバイトではなかなか収入が得られないため、手っ取り早く金を得たいと考えていました。
そこで、Aは高校生時代の後輩3人を引き連れ、夜な夜な大田区池上付近の路上や駐車場に駐車されていた車を狙い、窓ガラスを金属パイプで叩き割って中から金品を奪う車上荒らしをしていました。
大田区池上を管轄する池上警察署の警察官は、一連の車上荒らし事案の捜査を行い、Aらによる犯行であるとの裏付けをとったうえでAらを逮捕しました。
Aの家族は、Aが逮捕されたことから少年院に送致されてしまうのか不安になり、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に初回接見を依頼しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【車上荒らしについて】
ケースのような事案については、車上荒らし・車上狙い・車上盗など、様々な呼称があります。
手口としては、バールや金属パイプなどで窓ガラスを割ってドアを開け、車内にある金品を奪うというものです。
車上荒らしは他人の家や事務所などに侵入して行われる窃盗事件とは異なるため、「非侵入盗」と区分されます。
警察庁ホームページ掲載の統計資料を見ると、平成22年には12万4608件が発生していましたが、令和元年には3万7425件にまで減少しています。
ただし車上荒らしは検挙が難しく、検挙件数は20%台に留まっています。
車上荒らしをした場合には、どのような罪にあたるのでしょうか。
まず、その目的であるものを盗む行為が問題になります。
他人の財物を窃取するという行為は窃盗罪に当たります。
また、仮に車上荒らしをしたものの車内から金目のものが見つからなかったため何も盗らずに逃げた場合や、金目のものはあったが盗る前に人が来たのであきらめた場合などには、窃盗未遂罪が成立します。
条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(未遂犯処罰規定については刑法243条)
次に、車上荒らしのため車のガラスを破砕するという点が問題となります。
これは、他人の物を毀損することですので、器物損壊罪の成立が問題となります。
条文は以下のとおりです。
刑法261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
ただし、器物損壊罪については、物を盗る(窃盗罪)という目的のための手段に過ぎないため、牽連関係となりより重い罪である窃盗罪のみの刑で処罰されることになると考えられます。
【少年院とは?】
少年院は、20歳未満の少年が家庭裁判所で審判を受け、裁判官が少年院送致を言い渡した場合に送致される施設です。
少年院にいる法務教官等の指導を受け乍ら、自分の問題を見つめ、改善して社会復帰するための施設です。
そのため、本人の内省を深めるための授業だけでなく、生活指導や義務教育・高校卒業程度認定試験受験の指導、職業指導などが行われています。
少年院での生活期間は様々で、最短で4ヶ月、最大で24ヶ月です。
但し、規律違反などが続くとその期間はさらに長くなる可能性があります。
少年院には年齢制限があり、原則として20歳までとなっていますが、手続をすることで26歳まで収容することができます。
少年院に送致された場合、これまでの環境を調整・改善する機会になるというメリットがあります。
一方で、少年院での収容期間中は社会から断絶されるため、その後の生活への影響が懸念されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都大田区池上にて、お子さんが車上荒らしなどの事件を起こしてしまい逮捕され、少年院に送致される可能性がある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
弁護士が接見でお子さんからお話を聞いた上で、少年院送致の可能性や回避のための弁護活動・付添人活動について御説明致します。
【少年事件】火遊びが放火に
学校での火遊びが放火になった少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
事件
東京都文京区の私立中学校に通うA君は、授業の休み時間などに、友人と一緒に、ライターでティッシュペーパーに火を点け、それを振り回すなどして遊んでいました。
その際、A君は教室の床に引火させてしまい、消防車が出動する騒ぎになりました。火はすぐに消火されたものの四方約1平方メートルを焦がしてしまいました。
消防から警察に事件が報告されたことから、A君は友人と共に、警視庁大塚警察署に呼び出されて放火の容疑で取調べを受けています。
(フィクションです。)
ちょっとした悪戯が重大犯罪に?
火を使用すれば刑法上は放火の罪や失火の罪に問われかねません。
放火して、人がいる建造物等を焼損した場合は現住建造物等放火罪(刑法108条、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役)
に、
人がいない建造物等を焼損した場合は非現住建造物等放火罪(刑法109条、2年以上の有期懲役)
に問われる可能性があります。
また、
失火した建造物等を焼損した場合は失火罪(刑法116条、50万円以下の罰金)
に問われる可能性があります。
建造物等を全焼しなくても「焼損」
ちなみに、「焼損」の意義に関しては様々な説がありますが、判例は、
火が媒介物を離れて目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼を継続し得る状態に達すること
をいう独立燃焼説に立っています。この説によると、目的物全焼しなくても、その一部のみを燃やした場合でも「焼損」に当たることになります。
しかし、これでは木造建築の場合、放火罪の既遂時期が早くなりすぎてしまうとの批判から、
・目的物の重要な部分、あるいは本来の効用が失われたことが必要とする効用喪失説
・目的物の重要な部分の燃焼開始を必要とする燃え上がり説
・効用喪失説を基調としつつ、目的物が毀棄罪における損壊の程度に達することを必要とする毀棄説
が提唱されています。
退学処分の可能性は
お子さまが学校で非行を働いたという場合、
退学処分となるのではないか
と不安になられる親御様もおられるかと思います。そこで、学校教育法を確認すると、その11条では
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
とされています。そして、「文部科学大臣の定めるところにより」というのは、学校教育法施行規則のことを指しており、その26条1項から3項では
1項 校長及び教員が児童等に懲戒を加えるに当つては、児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。
2項 懲戒のうち、退学、停学及び訓告の処分は、校長(大学にあつては、学長の委任を受けた学部長を含む。)が行う。
3項 前項の退学は、公立の小学校、中学校(学校教育法第七十一条の規定により高等学校における教育と一貫した教育を施すもの(以下「併設型中学校」という。)を除く。)、義務教育 学校又は特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒を除き、次の各号のいずれかに該当する児童等に対して行うことができる。
1 性行不良で改善の見込がないと認められる者
2 学力劣等で成業の見込がないと認められる者
3 正当の理由がなくて出席常でない者
4 学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者
とされています。つまり、3項によれば、公立の小学生、中学生等以外の同行1号から4号に該当した者を退学処分とすることができます。
この点、A君は私立中学校に通う生徒です。さらに、今回、放火に当たり得る行為をしていますから4号に当たる者と判断され、退学処分を受ける可能性があります。