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【弁護士が解説】セクハラ行為は罪になる?ならない?刑事事件になる前に示談交渉をした方が良い場合も

2024-03-31

【弁護士が解説】セクハラ行為は罪になる?ならない?刑事事件になる前に示談交渉をした方が良い場合も

面会 弁護士

一昔前、大物政治家が「セクハラ罪っていう罪はない」と発言したことが大きな波紋を呼び、国会でも大きな問題として取り上げられるほどの事件に発展しました。
「セクハラ罪という罪に関する質問主意書」平成30年 衆議院
5年以上前の刑法には「セクハラ罪」という単語は登場しませんが、その当時からセクハラも強制わいせつ罪強制性交等罪といった犯罪に該当する可能性はありました。
そして、令和5年(2023年)7月の刑法改正によって、強制わいせつ不同意わいせつという名称に変わり、処罰範囲も大幅に広くなりました。
以下の事例を通して、不同意わいせつ罪についてどのように拡大したのか解説していきます。

警視庁赤坂警察署不同意わいせつ罪事件について、刑事事件に強いあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

【事例】

Aさん(50代、男性)は名古屋市にある商社に勤めていました。ある時、Aさんは部下で指導を担当しているBさん(20代、女性)と東京都港区にある取引先へ商談のために出張へ行くことになりました。
仕事はうまくゆき、AさんはBさんを飲みに誘いました。Bさんは、あまり乗り気ではなかったのですが、出先で上司に誘われた手前断れず、一緒に居酒屋で飲酒します。
Aさんはお酒を飲むうちに気が大きくなってしまい、店内でBさんの隣に座り、仕事ぶりについていろいろと言いながら、「俺の言うことは聞いておいたほうがいいんだ」とBさんの腰周りや太ももを触ってしまいました。
Bさんも、嫌だとは思いつつ、その場では何も言えませんでした。
後日、Bさんは社内のコンプライアンス部門へ、Aさんに触られたことを相談したところ、会社に自体が発覚します。
会社の担当者はAさんと面談を行い、「Bさんと警察へ相談したほうがいいのかな」と漏らしました。
Aさんは
・これって犯罪に該当してしまうのかな
・いきなり警察に逮捕されることがあるのかな
・いまどうしたらいいのかな
と不安に思い、刑事事件を扱う弁護士に相談することにしました。

【不同意わいせつ罪と強制わいせつ罪】

Aさんのような行動は、典型的なセクハラパワハラに該当するものでしょう。ですが、従来ではなかなか「犯罪」とまでは言いにくいものでした。
強制わいせつ罪は、「暴行または脅迫」という手段を用いて、人に、「わいせつ」行為をしたときに成立する犯罪です。Aさんのように、身体接触を伴うセクハラ、特に、下半身や胸などの性的な部位を触る行為であれば「わいせつ」行為に該当すると言ってよいでしょう。
ところで、「暴行または脅迫」とは、判例上、被害者に対して、わいせつ行為への抵抗を難しくさせるような行為でなければならないとされています。
事例のように、「被害者と加害者の間に一定の上下関係がある」というだけでは「暴行または脅迫」があったとまでは言えませんでした。
しかし、不同意わいせつ罪になったことで、この「暴行または脅迫」という限定がなくなり、一定の行為関係性から「同意しない意思を形成し、表明し、若しくはこれを全うすることが困難な状態にさせ」た状態でわいせつ行為をすることが不同意わいせつ罪となったのです。
この「同意しない意思を形成し、表明し、若しくはこれを全うすることが困難な状態にさせ」というのは少し難しいですが、噛み砕いてみていくと、次のいずれかの場合のことをいいます。
・同意しない意思を形成できない状態:眠っている、酔っ払っている、勘違いしている、咄嗟のことで気づかなかった等の理由から、自由な意思を形成できない状態
・同意しない意思を表明できない状態:「嫌だ」という意思を持っていたとしても、なにかしらの理由から「嫌だ」と言葉にできない状態
・同意しない意思を全うできない状態:「嫌だ」という意思を持っていて、「嫌だ」と言葉にすることができるとしても、その意思に従って行動することができない状態
わいせつ行為に対して、「嫌だ」という意思を「形成→表明→その通り行動」というステップのいずれかを欠いていた場合に、不同意わいせつ罪が成立することになるのです。
不同意わいせつ罪強制わいせつ罪も、法律上の刑の重さは一緒です。刑の重さが一緒なので、犯罪の時効も同じですが、令和5年7月よりも前の行為については不同意わいせつ罪ではなく、旧来の強制わいせつ罪が適用されます。
Aさんの事例の場合、不同意わいせつ罪の成立するパターンとして法律に挙げられているうちの一つである、次の部分に該当する可能性があります。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
具体的な行為や言動でなくとも、「社会関係上の地位に基づく影響力」、つまり、人間関係上「この人には逆らえないな」という関係を利用したわいせつ行為に対しては、たとえ相手が「嫌です」と拒否をしていなかったとしても、不同意わいせつ罪に該当します。
従来は、「嫌だと言われなかったので同意していると思った」と争われる裁判も多くありましたが、不同意わいせつ罪に変わったことで、このような弁解が意味を持たない事例も現れてくるでしょう。

【示談の必要性】

Aさんのように社内のセクハラ事案として扱われている状態であっても、早急に相手方との示談を進めるのがよいでしょう。
示談は、お互いに間違いがない事実関係を前提として、加害者が被害者に対して謝罪と相応の弁償を行い、話し合いで事件を解決する(≒これ以上は紛争化しない)という合意のことです。あくまでお互いの意思が合致して初めて成立するものです。「示談はできますか?」という質問は非常に多く受けますが、これに対しては「半分イエス、半分わからない」としか答えられません。
示談については、時間制限がある行為ではありません。警察に被害届を出す前でも、出したあとでも、裁判になる前でも後でも、相手との合意ができる限りはいつでも示談に望むことはできます。その意味では、「イエス」です。
一方、示談は先程の通り、相手との合意であり、一種の契約です。一方的に契約内容を決めたり、締結したりすることができないのと同じように、示談についても相手と条件面をよくすり合わせて、最終的に合意に至らなければ締結できません。相手方あっての行為ですから、最終的に示談できるかどうかは「相手の出方にもよりけり」なので、「わからない」という部分もあるのです。
ですが、自分たちで示談するよりも、弁護士を介した示談の方が、ほとんどのケースで示談の締結可能性は上がると言ってよいでしょう。
当人同士で示談交渉を行うよりも、弁護士を介したほうが
・相手の連絡先を入手しやすい
・感情的な対立が収まりやすい
・相場を踏まえた適切な金額に収まりやすい
・蒸し返しを防止した示談にできる
といった点で、大きなメリットがあります。
逆に、素人同士で示談をしてしまうと
・そもそも連絡がつかない
・感情的に対立する、言い合いになる
・相場から大きく離れた示談金になる
・後で蒸し返しになる
といったリスクがあります。
どのような手続きの状態であれ、示談に望むのであれば弁護士によるサポート介入は必要不可欠です。
警視庁赤坂警察署不同意わいせつ罪事件について、刑事事件に強いあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。示談交渉についても、数多くの罪種、事件について示談交渉に望んできた弁護士が代理人としてサポート、交渉を行います。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

セクハラ事案については、特に示談が重要な場合があります。もちろん、刑事事件について示談交渉の結果、被害届を出さないということになれば、逮捕や、懲役刑のような前科のリスクも相当低減します。
それに加えて、社内での懲戒処分などについて一定の好影響が期待できます。
事実関係に間違いがない(相手方と言い分の食い違いがない)ことが前提ですが、示談をすることで相手への謝罪と弁償を行い、それを被害者が受容したという事実が生まれます。
示談することで、刑事事件となっていないという事情も相まって、懲戒の内容が温情的なものへと下がることが期待できます。
懲戒については各企業ごとの就業規則が「ルール」ですから、示談したから軽くなると一概には言えませんが、一般論としては、示談していない事案に比べると、示談していたという事案のほうが、懲戒においても良い情状として考慮されることが多いでしょう。

【最後に】

今回は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が不同意わいせつセクハラの事例について解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。不同意わいせつ事件でご家族が警察に逮捕されてしまった方や,セクハラでご不安なことがある方やご心配なことがある方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【弁護士が解説】生成AIで作出された画像等が児童ポルノ処罰法に該当する可能性について

2024-03-22

【弁護士が解説】生成AIで作出された画像等が児童ポルノ処罰法に該当する可能性について

近年,様々な分野で活用が見込まれている「生成AI」について,次のような報道がなされています。
生成AI、児童ポルノ画像を学習か…専門家「被害者の人権侵害恐れ」
AIによる画像の生成と児童ポルノとはどのような関係になるのでしょうか。
刑事事件を中心に扱う東京支部長弁護士足立直矢が以下の事例をもとに解説していきます。

事例

(事例はフィクションです)
Aさん(東京都在住・20代男性)は,自宅のパソコンからインターネット上でアダルトサイトを閲覧していたところ,好みの女性の画像を見つけてダウンロードしました。
そのサイトでは,「画像はAIにより自動的に作成されたものを含みます」との表示がありました。
後日,警視庁サイバー犯罪対策課の警察官がAさんの自宅に捜索差押えにやってきて,「あなたには児童ポルノ所持の疑いがある」として,パソコンやスマートフォンを押収してしまいました。
Aさんは急な出来事に戸惑い,刑事事件に強い弁護士へ相談することにしました。

児童ポルノに関する法律

児童ポルノの所持や販売については,「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」という法律によって規制がなされています。
題名が長くて分かりにくいですが,要するに児童買春と,児童ポルノの2つについてまとめて規制するという法律になります。
ここで児童ポルノとは,①18歳未満の者の,②性交,性交類似行為,性器に触れる行為,衣服の一部または全部をつけておらず性的な部位が露出している,③画像,動画,又はそのデータで視覚によって確認できるもの,になります。
児童ポルノに該当するかどうかは
①:被写体
②:どのような行為の様子
③:どのような媒体のものか
という点を見て判断することになります。
なお,法律には注意書きで「児童ポルノに関する規定を濫用してはいけない」とも規定しています。
これはどういうことかというと,特に,②児童が衣服の一部または全部をつけていない様子について,正当な理由の下に動画や画像を作成する場合があるということです。
最も分かりやすいのは,医療の現場で手術の様子を録画することがありますが,このような場合にも児童ポルノの製造罪が成立するとなると,医療が行えない場合があり得ます。また,そこまで大袈裟な話ではなかったとしても,例えば「子供を持つ両親が子供が庭のプールで水浴びをしていた状況をホームビデオで録画していた」という場合を考えてみましょう。
子供の成長記録として写真や動画を残すこともあるでしょうが,この時,「児童が衣服の一部を身につけていなかった」として児童ポルノに該当するというのは不合理な判断になってしまいます。もちろん,これを児童ポルノとして販売したり譲渡したりすることは許されませんが,そうでない限り,「我が子の成長記録」を残すことまで法律は禁じられません。
児童ポルノの所持に対しては,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が,他人に提供する目的で製造した場合には3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられます。

児童ポルノの所持,製造罪に該当するのかどうかというのは,以下でも触れるように判断の難しい場合があります。
また児童ポルノの事件はインターネット上で行われることも多く,Aさんの事例のように突然サイバー犯罪対策課のガサ入れがあるということも珍しくはありません。誰しも,急に仰々しい警察官が自宅にやってきたら,驚くのも無理がありません。
ご不安,ご心配なことがある方や,Aさんのように警察がやってきたことについて不安がある方は刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。児童ポルノに該当するのかどうか,警察が来た後どのように対応したらよいのかという点について,弁護士とご相談いただけます。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

AIによる画像は児童ポルノになるのか?

Aさんの事例のように,AIで生成された未成年の人の画像や動画が児童ポルノに該当する場合がありうるのでしょうか。AIによって作成されたものが児童ポルノに該当するとなると,画像を生成した人は児童ポルノの製造,ダウンロードした人は児童ポルノの所持の罪に問われる可能性があるのです。
ここで一つ興味深い最高裁判所の判例があります。
令和2年1月27日に決定が言い渡された判例です。この事例では,30年以上前(児童ポルノ法律がなかったころ)に発売された児童ポルノにあたる写真を,スキャナーで取り込み素材として,画像編集ソフトを使って新たに児童ポルノに該当するような画像を作成したというものです。
簡単に言うと,「実在する人の児童ポルノ画像をベースにして,CGの児童ポルノ画像を作り直した時も犯罪になるのか」という裁判でした。
結論として,最高裁は,実在しない児童の姿態を描写したもの児童ポルノには含まれないと判断しました。一方,実在する児童の姿態を描写したものであれば,上記の最高裁の事案でも有罪の判決としています。
最高裁は,実在する児童の姿態を描写したかどうかによって判断をしており,たとえ緻密なCGを駆使して児童ポルノを作ったとしても,実在する児童の姿態でなければ児童ポルノには該当しないとなるでしょう。つまり,「リアルかどうか(本物っぽいかどうか)」ではなく,「実在する人を描いたものかどうか」によって判断が変わるということになります。
この判断に対しても様々な意見があり得るところですが,現時点での最高裁の判断基準は以上のようなものです。
そのため,AIによって生成された画像についても,「ベースとなる人,児童」が存在するかどうかによって児童ポルノに該当するかどうかが変わってくるのです。
「AIが生成したCGだから大丈夫」というわけではありません。警察が来た後どのように対応したらよいのかという方は,刑事事件に強い弁護士が在籍する弁護士あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

「児童」と知っていたかどうか?

インターネット上でダウンロードした画像の場合,被写体の年齢について判断が付きにくい場合があるでしょう。年齢について表記があった場合や,被写体の姿態から明らかにわかる場合であれば判断が容易ですが,そうではない場合,特に「10代なのか,20代なのか,見る人によって意見が変わりそうだ」という児童ポルノの事案もあります。
そのような場合,当然「児童ポルノだとは思わなかった」と裁判でも主張をすることになりますが,警察はその逆に「児童ポルノだと分かってダウンロードしたのだろう」と強く自白を求める取調べをすると予想されます。
このように,「どちらとも言えそう」という点においては,「自白する/自白しない」という判断が,「有罪(前科が付く)/無罪」の判断に大きく影響を及ぼす場合もあるのです。
警察としても,裁判で有罪の判決を獲得するために自白が必要となる点については,より苛烈に取調べを行います。
一般の方にとって,警察の取調べに対して徹底抗戦するというのはやや不安があるところでしょう。警察の取り調べに対する適切な対応の仕方についても,刑事事件に強い弁護士にご相談ください。自白をする上で最も重要なことやその方法について,様々な事案を経験してきた弁護士がアドバイスいたします。
警視庁による児童ポルノの事件について、刑事事件に強いあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

最後に

今回は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が児童ポルノ所持が疑われて警察が家宅捜索に来た事例について解説致しました。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。児童ポルノの事件でご家族が警察に逮捕されてしまった方や,児童ポルノでご不安なことがある方やご心配なことがある方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には,最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。警視庁本部までの初回接見は36,850円(令和6年1月1日時点,東京支部の場合)で行っています。
24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【報道事例】実母の遺体を高齢者施設に遺棄したとして死体遺棄罪の疑いで緊急逮捕|死体遺棄罪の要件や逮捕後の流れ

2023-10-19

【報道事例】実母の遺体を高齢者施設に遺棄したとして死体遺棄罪の疑いで緊急逮捕|死体遺棄罪の要件や逮捕後の流れ

今回は、山梨県で起きた死体遺棄事件をもとに、死体遺棄罪が成立する要件や罰則、逮捕後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例】

山形県鶴岡市の高齢者施設の敷地内に母親の遺体を遺棄したとして、東京都の会社役員の男が逮捕されました。

男は、警察署に出頭し、犯行の事実を話したということです。
死体遺棄の容疑で緊急逮捕されたのは、東京都千代田区の会社役員A(40)です。

警察によりますと、Aは、17日から18日までの間に、実の母親V(76)の遺体を、自らが経営する鶴岡市内の高齢者施設の敷地内に遺棄した疑いが持たれています。

Aは、19日未明、親族に一緒に鶴岡警察署に出頭し、Vを遺棄したなどと話したということです。
そして警察で高齢者施設を捜索したところ、Vの遺体を発見し、午前9時過ぎ、Aをその場で緊急逮捕しました。

Vの遺体は衣服を身につけていて、顔は判別できる状態だったということです。
Aは、死体遺棄については容疑を認めています。
(※10/19に『Yahoo!JANAPNニュース』で配信された「経営する高齢者施設に実母(76)の遺体を遺棄 東京都の男(40)を緊急逮捕 親族に伴われ出頭 容疑認める」記事の一部を変更して引用しています。)

【死体遺棄罪とは】

死体遺棄罪は、日本の刑法第190条によって以下のように規定されています。

  • 刑法第190条(死体損壊等)
    死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

「死体」とは、文字通り死亡した人の身体を指し、人の形体を有するもの、例えば死胎も含まれます。

「遺棄」とは、通常の埋葬と認められない方法で死体等を放棄する行為を指します。
この点は特に注意が必要で、例えば遺体を発見したが適切な処理をしなかった場合、不真正不作為犯としての「遺棄」が成立する可能性があります。

死体遺棄罪の罰則に罰金刑はなく、3年以下の懲役刑でのみ処罰されます。

【緊急逮捕とは】

今回の事例では、Aは緊急逮捕されています。
逮捕には、大きく通常逮捕現行犯逮捕緊急逮捕の3つに分けられ、それぞれ手続きが少し異なります。
今回は、緊急逮捕について解説します。

緊急逮捕は、特定の重大な犯罪に対する嫌疑が高く急速な対応が必要で、裁判官に対して逮捕状を請求する時間がない場合に行われる逮捕手続きです。

緊急逮捕には、刑事訴訟法第210条に基づく厳格な要件があり、逮捕後には速やかに逮捕状の請求手続きを行う必要があります。

  • 刑事訴訟法第210条
    検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。
    この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない

緊急逮捕は、死刑無期懲役、または3年以上の懲役または禁錮に該当する罪に対する嫌疑がある場合に適用されます。
死体遺棄罪の罰則として規定されている3年以下の懲役は3年以上の懲役に含まれ、警察がVの遺体を発見し逮捕状を請求する時間もなかったことから、Aは緊急逮捕されたと考えられます。

【死体遺棄罪で逮捕された後の流れ】

死体遺棄罪で逮捕されると、被疑者として扱われ、まず警察で取調べを受けることになります。
逮捕後48時間以内に、被疑者の身柄が警察から検察庁に送致され、次に検察官が取調べを行い、被疑者を起訴するか否かを決定します。

検察庁に身柄を送致されて24時間以内に、検察官は今後の取調べでも引き続き被疑者の身柄を拘束しておく必要があるか判断し、裁判所に対して勾留請求するかを判断します。
勾留請求が行われ、裁判所が勾留請求を認めると、勾留となり最大20日間身柄が拘束されることになります。

検察官が起訴を決定した場合、死体遺棄罪には罰金刑がないため、公判請求されることになり、刑事裁判が開始されます。
一方、検察官が起訴を見送った場合、被疑者は不起訴となり、裁判は開かれず、刑事処分も科せられません。

日本の刑事裁判では、有罪率が非常に高く、一度起訴されると有罪になる可能性が高いです。

勾留による身柄拘束を避けたい起訴を免れたい執行猶予や少しでも軽い判決を獲得したい場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件で弁護活動を担当した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
ご家族が東京都内で死体遺棄罪で逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご相談ください。

弁護士より弁護活動の詳細について丁寧にご説明いたします。
ご相談にはご予約が必要になりますので、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて、ご連絡をお待ちしております。

【報道事例】峠道で暴走行為を繰り返したとして男性らを道路交通法違反(共同危険行為)の疑いで逮捕

2023-10-16

【報道事例】峠道で暴走行為を繰り返したとして男性らを道路交通法違反(共同危険行為)の疑いで逮捕

道路交通法違反の中でも、車やバイクなどでの暴走行為を指す共同危険行為は特に重要な問題です。
そこで、本記事では、実際に共同危険行為による道路交通法違反で逮捕された事例をもとに、共同危険行為の定義や刑事弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が詳しく解説します。

【事例】

山梨県小菅村の県道でドリフトや並走などの暴走行為を繰り返したとして埼玉県などの20代の男4人が逮捕されました。

道路交通法違反(共同危険行為等の禁止)の疑いなどで逮捕されたのは、埼玉県の会社員男性A(25)、茨城県の大学生男性B(22)、千葉県の大学生男性C(20)、東京都の会社員男性D(25)です。

警察によりますとAら3人は今年7月の午前1時ごろ、小菅村の県道上野原丹波山線、通称・鶴峠を乗用車3台でドリフトや並走などを繰り返して一般車両の通行を妨害し、Dは乗用車をAに提供した疑いがもたれています。

地元住民や通行人からの情報提供などをもとに捜査し、4人を特定したということです。

4人は県道のおよそ1キロの区間を1時間半にわたり、並走や法定速度を30キロ上回る時速60キロで10往復以上走っていたということです。

調べに対し4人は容疑を認めていて、警察は山道を車でドリフトするなど暴走するローリング族の仲間同士とみて詳しい動機などを調べています。
(※10/16に『Yahoo! JAPANニュース』で配信された「東京隣接の峠道の県道でドリフトなど暴走行為の疑い “ローリング族”4人を逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)

【共同危険行為とは】

共同危険行為については、道路交通法第68条で以下のように規定されています。

  • 道路交通法第68条(共同危険行為等の禁止)
    二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

共同危険行為は、2人以上の自動車(オートバイを含む)または原動機付自転車の運転者が、2台以上の車両を連ねて通行または並進させ、交通の危険を生じさせたり他人に迷惑が及ぶ行為を指します。

具体的には、運転者同士が協力して高速で走行したり、危険な運転を行ったりすることが該当します。
このような行為は、他の道路利用者に対しても大きな危険をもたらすため、共同危険行為等禁止違反として道路交通法違反が成立します。

2004年の道路交通法の改正により、被害者がいなくても処罰の対象となるようになりました。
これは、暴走族などの不正行為を抑制するための措置です。

【共同危険行為による道路交通法違反の罰則】

共同危険行為による道路交通法違反の罰則については、道路交通法第117条の3で以下のように規定されています。

  • 道路交通法第117条の3
    第六十八条(共同危険行為等の禁止)の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

条文に規定されているように、共同危険行為による道路交通法違反は、2年以下の懲役または50万円以下の罰金刑で処罰されます。

【道路交通法違反(共同危険行為)事件を起こしてしまったら】

道路交通法違反事件を起こしてしまうと、逮捕される可能性があります。
逮捕されてしまい、検察官から勾留請求されて勾留が決定すると、最大で20日間身柄が拘束されるおそれがあります。

長期の身柄拘束は、仕事や学校、家族にも影響を及ぼすこともあるため、早期に釈放されるためには、逮捕後の勾留を阻止することが重要です。
弁護士に刑事弁護活動を依頼すると、弁護士が検察官や裁判官に勾留の必要性がないことを主張するなどの早期釈放に向けた弁護活動を行います。

また、公判請求されてしまい、公判が開かれることになった場合は、弁護士が執行猶予付き判決減刑判決の獲得を目指すための弁護活動に尽力してくれます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、道路交通法違反事件による刑事事件の弁護活動を多数担当した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
東京都内で道路交通法違反事件を起こしてしまった方や、ご家族が道路交通法違反事件で逮捕されてしまった方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご相談ください。

ご相談については事前のご予約が必要になるので、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)にてお待ちしております。

【解決事例】大麻所持事件で接見禁止一部解除

2023-05-27

【解決事例】大麻所持事件で接見禁止一部解除

大麻所持で問題となる大麻取締法違反事件と、接見禁止一部解除の手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

東京都中央区在住のAさんは、中央区内で会社を経営していました。
Aさんは事件当日、乾燥大麻を所持していたところ中央区を管轄する月島警察署の警察官により職務質問を受け、大麻所持が発覚し、Aさんは大麻取締法違反で現行犯逮捕されました。
その後Aさんは勾留されましたが、その際に裁判官はAさんの勾留に際し接見禁止の決定を下しました。
Aさんの家族から依頼を受けた当事務所の弁護士は、事件の性質から勾留は仕方ないとしても、事件に関係がない家族には面会を認めさせるべきだと考え、接見禁止の決定に対して一部解除するよう申立て、裁判官はそれを認めたため、勾留期間中もAさんの家族はAさんと接見(一般面会)することができました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【大麻所持について】

昨今、大麻所持については国によっては緩和の方向に進んでいると報道されていますが、少なくとも現状、我が国では大麻は法禁物の一種であり、所持・譲受け・譲渡し・輸出・輸入・栽培等を禁止しています。
今回のAさんの事案は、乾燥大麻を所持していたという罪ですので、以下の条文が問題となります。

大麻取締法24条の2第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

【接見禁止一部解除について】

罪を犯したと疑われる被疑者について、捜査機関が捜査を行う上でやむを得ない場合には被疑者の身柄を拘束して捜査を行います。
これが、逮捕・勾留です。
被疑者を逮捕した場合、72時間以内に勾留請求を行うか、釈放する必要があります。
裁判官が勾留が必要である事案と認めた場合、勾留の手続きが行われ、最大で20日間、被疑者は身柄拘束されます。
この勾留の期間中、被疑者は警察署の留置施設などで生活をすることになりますが、制限のもと、一般人であっても面会が可能です。
しかし、勾留請求の際に検察官から請求を受けた場合、又は職権で、裁判官は勾留の決定と併せて接見禁止を決めることができます。
接見禁止の決定を受けた被疑者は、検察官・警察官等と弁護士以外の者とは面会や文書の受け渡しが出来なくなります。

この接見禁止が認められた場合に、一般面会を実現させるためには
・接見禁止について一部解除するという裁判官の職権を促す請求
・接見禁止を決めた裁判に対し不服申し立てを行う準抗告申立て
のいずれかを行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では、これまでに数多くの大麻所持事件を取り扱ってきました。
薬物事件の場合、ほとんどの事件で逮捕・勾留が行われるだけでなく、勾留に際し接見禁止の決定が行われる場合がほとんどです。
そのため、弁護士により接見禁止一部解除を求める請求を行わなければ、たとえ家族であっても一般面会することができません。
東京都中央区にて、家族が大麻所持などの嫌疑で逮捕・勾留され、接見禁止一部解除を求める場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。

【解決事例】強制性交等の嫌疑での否認事件

2023-05-24

【解決事例】強制性交等の嫌疑での否認事件

強制性交等の疑いをかけられ否認したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

東京都中央区在住のAさんは、自営業で稽古事の指導をして生計を立てていました。
今回の件は、稽古事の受講生であるVさんとの出来事であり、AさんとVさんはそれぞれ別の相手と結婚していましたが、肉体関係になりました。
関係性は数ヶ月間続きましたが、ある日突然、VさんはAさんの家の大家宅のポストに「Aさんは強姦魔だ」と書いたビラを入れたり、AさんのSNSに「女性は襲われるので入会しない方が良いですよ」といった書き込みをする等し、あたかもAさんがVさんに対し脅迫する等して性行為に及んだような主張をしました。
また、その数日後にVさんの代理人弁護士から連絡があり、中央区を管轄する築地警察署に強制性交等罪で被害届を提出した旨と、高額な賠償金を求める書類が届きました。
不安になったAさんは当事務所の弁護士による無料相談を受け、その後弁護を依頼されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【強制性交等罪について】

当ブログが作成されている2023年5月24日時点で、刑法を見直し不同意性交の議論が行われていますが、現状は性行為で問題となる罪は強制性交等罪のみです。
強制性交等罪の条文は以下のとおりです。

刑法177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等罪は、被害者が13歳以上の場合、暴行又は脅迫を要件としているため、加害者が被害者に対して暴行や脅迫を行っていなければ強制性交等罪は成立しません。
今回のAさんの場合、両者は不貞行為ではあるものの、AさんがVさんに対して脅迫などは行っておらず合意の上での性行為であり強制性交等罪は成立しないという主張でした。

【否認事件での弁護活動】

Aさんの事件では、まず、Aさんの主張を裏付ける客観的証拠を探しました。
性犯罪の場合、ほとんどの場合に目撃者などが少なく双方の主張を裏付ける客観的な証拠は少ないのですが、Aさんの場合は、VさんとのSNSのやり取りから、少なくともVさんの自由意志でAさんの家を訪れていることや、行為後に通常どおりのやり取りを行っていることが伺えました。
このやり取りはVさんが削除するおそれもあることから、弁護士はすぐに印刷して確定日付を取得しました。

弁護士としては、徹底的に争う可能性を考慮し準備しましたが、Aさんとしては早期の解決を図りたいというご希望でしたので、弁護士は担当検察官とも協議をしたうえで、Vさんに不安を覚えさせてしまったことについての謝罪と賠償を行いました。
一報で、VさんについてもAさんの名誉を害する行動・投稿をしたことについて認め謝罪することとなりました。、
なお、示談金は当初Vさんの代理人弁護士が提示してきた額の2~3割ほどでした。
この合意をもってVさんが被害届を取下げたことも考慮し、担当検察官はAさんを不起訴としました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、否認事件の場合、徹底的に争う可能性があることを踏まえ早々に証拠収集するとともに、ご依頼者様の意向に即したかたちでの解決を目指す弁護活動を行います。
否認事件の中には、Aさんのように、徹底的に争うことで時間がかかったり身柄拘束されたりする可能性を懸念し早期の解決を求める場合もあります。
他方で、自身の潔白を主張したいという方もおられますので、それぞれに即した弁護活動が求められます。
東京都中央区にて、強制性交等罪で被害届を出されたが否認したいという場合、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
弁護士が無料相談にて、経験に即し法律家の観点からどのような見通しや流れが考えられるか、ご説明致します。

【解決事例】少年の痴漢事件で不処分

2022-09-30

【解決事例】少年の痴漢事件で不処分

20歳未満の少年痴漢の嫌疑をかけられたものの、審判で不処分を獲得したという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説いたします。

【事例】

東京都港区赤坂在住のAさんは、都内の学校に通う高校1年生です。
事件当日、Aさんは港区内を走行している満員列車に乗車していたところ、目の前に立っていた女性から「触ったでしょう」と言われ、車内から降ろされました。
その後、駅員による通報を受けて臨場した港区内を管轄する赤坂警察署の警察官は、Aさんを痴漢事件で在宅捜査することにしました。

Aさんの家族が当事務所の無料相談を受けた時点で、既にAさんは捜査機関による捜査が終了し、家庭裁判所に送致されていました。
そこで、無料相談後に依頼を受けた弁護士は、家庭裁判所に行き捜査機関で作成された証拠を閲覧しました。
次に、Aさんと保護者から別々に時間をかけて話を聞き、今回嫌疑をかけられている内容(被疑事実)についてどう考えているのか、また、今後このような嫌疑をかけられないためにはどうすれば良いのか、それぞれの考えを聞きました。
結果として弁護士としては家庭環境に改善すべき点があると考え、AさんとAさんの保護者に対し、今一度家庭環境を見直し、Aさんの将来に向けた生活や考え方についてのアドバイスを行いました。

家庭裁判所の裁判官は、AさんやAさんの家族に家庭環境の改善がみられることや、Aさんの将来について深く真剣に考えていることなどを考慮し、Aさんには保護処分を課す必要はないと考え、Aさんを不処分としました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【痴漢事件について】

公共の施設や場所、乗り物などで他人の尻や太ももなどに触る等の行為は、俗に痴漢と呼ばれ、各都道府県議会が定める「条例」によって禁止され、処罰されます。
今回の事案で、Aさんは東京都港区を走行中の列車内で痴漢行為の嫌疑をかけられたことから、東京都の定める「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」が問題となります。
該当する条文は以下のとおりです。

条例第5条1項 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1号 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

【不処分に向けた弁護活動】

20歳以上の成人が起こした刑事事件と、20歳未満の少年が起こした少年事件とでは、捜査が行われた後の手続きが異なります。
成人の刑事事件については、担当検察官が被疑者を起訴するかどうか検討し、起訴された場合には刑事裁判に発展し裁判官による判決宣告が行われます。
宣告される判決には、「死刑」「懲役」「禁錮」「罰金」「拘留」「科料」及び「没取」があります。

少年事件の場合、捜査を行った検察官は事件を家庭裁判所に送致します。
家庭裁判所の裁判官は家庭裁判所調査官に調査命令を下し、調査官は心理学や社会学、社会福祉学などの観点から調査を行います。
調査結果を踏まえ、裁判官は審判を行うか否かの判断を下します。
審判が必要であると判断した場合には審判開始決定、審判が不要であると判断した場合には審判不開始決定、一定の重大犯罪や手続き中に20歳の誕生部を迎えた場合には検察官送致(いわゆる逆送)の決定を下します。

審判が行われた場合、裁判官は事件の内容だけでなく少年の要保護性が重要になります。
要保護性とは、少年に対し少年司法が保護する必要があるかどうか、ということです。
例えば、罪としては比較的軽微な事案であっても、このまま保護処分を課さなければ再び犯罪を起こしたり非行に走ったりする可能性が高いという場合には、保護処分が課されます。
保護処分には、「少年院送致」「児童自立支援施設長送致」「児童相談所長送致」「保護観察処分」があります。

今回のAさんについては、家庭裁判所送致後のAさんの反省や家族の監督体制の改善などが見込まれ、裁判官はAさんに対して「少年司法が保護処分を課す必要はない」と判断したため、保護処分を課さない「不処分」という結果になりました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件だけでなく、少年事件も取り扱っていて、数多くの実績があります。
東京都港区赤坂にて、20歳未満のお子さんが痴漢の嫌疑をかけられ、不処分などを求める弁護活動・付添人活動について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の無料相談をご利用ください。
ご家族が逮捕・勾留されている場合は≪コチラ≫。

男性が痴漢の被害者に

2021-12-13

男性が痴漢の被害者に

痴漢事件で男性が被害に遭った場合に問題となる罪と示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都足立区千住在住のAは、足立区内の会社に勤める女性会社員です。
満員電車に乗っていたAは、同じ車両に乗っていた会社員男性Vに対し、ズボンの上から陰部を触るなどのいわゆる痴漢行為をしてしまいました。
被害者であるVが声を上げ、次の駅で降ろされたAは、駅員の通報により臨場した足立区内を管轄する千住警察署の警察官に促され、任意で取調べを受けることになりました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【男性が痴漢の被害に遭うことも】

痴漢事件というと、加害者側が男性、被害者側が女性という印象が強いと思います。
実際の事件でもそれが大半であることは事実ですが、男性が被害に遭う痴漢事件というものも実在します。
ケースは加害者を女性、被害者を男性としましたが、加害者も被害者も男性、あるいは女性ということも考えられます。
ケースは東京都足立区での痴漢事件を想定していますので、東京都が定める公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例が問題となります。
条文は以下のとおりです。

第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1項 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

【示談交渉について】

痴漢事件のような被害者がいる事件の場合の弁護活動の一つに、示談交渉が挙げられます。
示談交渉は、加害者側が被害者の方に対して謝罪や弁済を行うことで、被害者側に被害届の取下げや刑事告訴の取消などを依頼するかたちで、その内容は示談書・合意書といった書面で締結されることが一般的です。
その内容はテンプレートがあるものではなく、被害者の感情に応じて、例えば加害者側が被害者の希望する列車・車両に乗車しないことを誓約する場合や、被害者の引越し代を負担する・加害者側が事件近くの場所から引越しをする等、様々な誓約を行う場合が考えられます。

示談交渉は必ず弁護士が行わなければならない事項ではなく、例えば当事者間で示談交渉を行うことは可能です。(第三者が関与した場合、非弁行為にあたるため注意が必要です。)
しかし、性犯罪や暴力事件等において、被害者が加害者と直接連絡をとることは心理的負担が大きいため、被害者が加害者に連絡先を開示したくないと考える場合がほとんどです。
このような場合に、警察官や検察官などの捜査機関が示談を仲介することはありません。
そこで、加害者側が代理人を立てるか、被害者側が代理人をたてる必要があります。
しかし、事件の多くは被害者側は代理人を立てない、あるいは刑事事件が終了した後に被害者側が損害賠償請求のために代理人を立てるという場合がほとんどで、刑事事件の処分が決められる前に示談交渉を行いたいと考えた場合、加害者側が代理人弁護士を立てて、示談交渉に臨む必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの痴漢事件についての無料相談・弁護活動に対応してきました。
痴漢と呼ばれる事件に対して、軽微な犯罪であると思っている方も居られるようですが、被害者にとっては忘れられない傷にもなり得る事件であり、加害者側としては誠実な対応が求められます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では、在宅事件の場合は事務所にて無料で相談を受けることができますので、まずは御相談を受けてみてはいかがでしょうか。

侮辱罪で略式手続を回避

2021-11-15

侮辱罪で略式手続を回避

名誉毀損罪や侮辱罪などに当たる罪と略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都台東区在住のAは、台東区内の会社に勤める会社員です。
Aは、近隣住民のVが犬の散歩をする際に、Aの家の塀に小便をかける行為を気にかけていて、再三注意していましたが、その後もVの犬はAの家の塀に小便を掛け続けていました。
我慢ができなくなったAは、防犯カメラの映像を用いて小便をしている犬とそのリードを持つVの画像を抽出し、「台東区の小便掛けババア」という文言を加えてポスターにし、それを路上から他人が見られるような状態でAの家の塀に複数枚、貼り付けました。

Vからの告訴状を受理した台東区を管轄する蔵前警察署の警察官は、Aに「このままでは罰金などの刑事罰になる可能性がありますよ」と説明しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【名誉毀損罪・侮辱罪について】

ケースのAは、自分の家の塀とはいえ、不特定且つ多数の者が見られるような状態で、Vを揶揄するようなポスターを貼っています。
このような行為をした場合、名誉に対する罪が問題となります。
今回は、名誉毀損罪又は侮辱罪の適用が考えられます。
条文はそれぞれ以下のとおりです。
(名誉毀損罪)
刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
(侮辱罪)
刑法231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

今回の場合、Aの言動(ポスター記載の文言)は「台東区の小便掛けババア」というもので、事実を摘示しているとは言えず、名誉毀損罪は成立しません。
しかし、Vの飼い犬が小便を掛けている画像と共に上記のような文言を書き加えて他人に見えるようにする行為は、Vを侮辱する行為と言えますので、侮辱罪は成立すると考えられます。

【略式手続について】

法治国家である我が国では、原則として公開の裁判で有罪判決を受けた場合にのみ刑罰を科せられます。
ただし、比較的軽微な刑事事件については、公開の法廷での裁判になしに刑罰を科すことができます。
これを、略式手続と呼びます。

略式手続は、通常の裁判と同様に警察官や検察官が証拠を収集したり取調べを行うなどして、通常の公判請求と同様の捜査を行います。
その後、担当検察官は略式手続が適当と判断した場合には、被疑者に対して略受けと呼ばれる書類を作成するよう伝えます。
被疑者は、事件について認めていて、略式手続に納得した場合には、略受けの書類に署名・捺印します。
最終的に、検察官は簡易裁判所に対して略式起訴をすると同時に「百万円以下の罰金又は科料」の範囲で求刑を行い、簡易裁判所は書類だけで判断をして被告人に対して判決文と納付書を交付します。

略式手続は書面のみでのやり取りという点で、公開の法廷で行われる通常の裁判と比べて被疑者の負担は少ないと言えます。
とはいえ、略式手続で言い渡された罰金・科料という刑罰もいわゆる前科の一種ですので、できる限り避けたいとお思いの方もおられるでしょう。

刑事事件の場合、手続きが進むにつれてできる弁護活動が少なくなるという恐れがあります。
身柄拘束されている事件はもとより、ケースのような在宅事件の場合でも、すぐに弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都台東区にて、張り紙などにより侮辱罪や名誉毀損罪に問われていて、略式手続により前科が付く可能性があるという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

2021年司法試験合格者向け法律事務所説明会

2021-09-16

2021年司法試験合格者向け法律事務所説明会

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、2021年司法試験合格者及び第75期司法修習生予定者を対象に、オンライン事務所説明会への参加申込を以下のとおり受け付けています。刑事事件・少年事件に興味のある司法試験合格者及び第75期司法修習生予定者の方は是非ご参加ください。

あいち刑事事件総合法律事務所説明会概要

開催日 申込者と個別調整
実施方法 ZoomによるWebオンライン開催(※接続URL等は追ってご案内)
申込方法 エントリー・説明会参加フォーム又は電子メール noritakesaiyou@keiji-bengosi.com 宛で随時受付 

あいち刑事事件総合法律事務所の紹介

【事務所概要】
日本では稀有な、刑事事件・少年事件のみを専門的に取り扱う全国的刑事総合法律事務所です。創立以来、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動に従事し、重大著名事件から市民生活に密接した事件まで、数多くの事件をほぼ全分野にわたって幅広く取り扱ってきました。現在は、札幌、仙台、さいたま、千葉、東京(新宿、八王子)、横浜、名古屋、京都、大阪(梅田、堺)、神戸、福岡まで全国13都市に事務所を構えており、経験豊富な弁護士に加え、元裁判官、元検察官、元警察官等の専門領域を持ったエキスパートが集まる専門性の高い職場環境となっています。刑事・少年事件のリーディングファームとして、プロフェッショナル養成のための所内研修及び業務支援制度を整え、高レベルの弁護サービス普及を目指しています。
 
【東京支部・八王子支部紹介】

・東京支部
弊所東京支部はJR・京王電鉄・小田急電鉄・東京メトロ・都営地下鉄と世界一の乗降客数を誇る新宿駅から徒歩約7分の場所に位置するタウンウエストビル9階にオフィスを構えています。
首都圏を中心に、数多くの刑事事件・少年事件に携わることができます。
我が国の中枢をカバーしていることから、比較的軽微な犯罪だけでなく巨額の財産犯や重大事件についての御依頼も多く、中には無罪判決を獲得した実績もあります。
元裁判官や刑事事件のベテラン弁護士も所属しているため、いつでも相談ができる環境で仕事をすることができます。

・八王子支部
八王子支部は、JR八王子駅から徒歩約3分、京王八王子駅から徒歩約7分の場所に位置する比留間ビルの3階にオフィスを構えています。
八王子市・立川市を中心とした多摩地区のほか、相模原市、山梨県東部等からも御依頼頂いております。
重大事件や遠方の事件等については、該当する支部の弁護士だけでなく、近隣の関東圏の支部と協力することで負担を軽減し乍ら、弁護活動にあたっています。

 

【報酬】
年俸600万円〜
 
【採用求人情報】
司法修習生向け弁護士採用求人情報の詳細をご覧になりたい方は護士募集要項を御覧ください。
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