【お客様の声】学校内でのトラブルで審判不開始
◆事件概要◆
事件対応を行った少年(当時、中学生)は、他の同級生と一緒に被害者をからかった際に次第にエスカレートしてしまい、最終的に傘で叩いて全治数日を要する怪我を負わせてしまいました。
◆事件経過と弁護活動◆
①捜査段階
少年はまだ中学生ですが、14歳以上ですので「犯罪少年」という立場になり、被疑者(いわゆる容疑者)として捜査機関による取調べを受けます。
・少年への対応
弁護士はまず、時間をかけて少年の話に耳を傾け、事件の経緯や反省状況だけでなく、普段の生活状況やストレスの発散方法、進路などについて丁寧に聴取しました。
少年は当初から反省と謝罪の意を示していました。
それを踏まえ、弁護士は、どのようにすれば事件を回避できたのか、今後このような事件を起こさないためにはどうすれば良いか、といったことを考える機会を設けました。
・被害者への対応
次に被害者対応について、少年の両親は、事件直後から被害者の保護者に謝罪や弁済を申し入れていましたが、被害者の保護者の処罰感情が強いことから対応に難航していました。
そこで、弁護士が被害者の保護者に連絡したところ、少年の両親とは話をしたくないが、弁護士からの話であれば聞いてみてもよいという姿勢でした。
弁護士が間に入ることで交渉が円滑に進み、最終的には、治療費用を受け取るという意向を確認できました。
②家庭裁判所送致後
捜査機関は、犯罪少年の捜査が終了したのち、家庭裁判所に送致することになります。
家庭裁判所の裁判官は、少年の調査を行い、審判を開始するかどうかを判断します。
・裁判所調査官への対応
少年事件においては、家庭裁判所の調査官が中心となって調査を行います。
調査官は、捜査機関から送られた捜査記録や少年が所属する学校の成績・生活状況を確認するとともに、少年自身との面談・少年の保護者との面談を行います。
弁護士は、家庭裁判所送致直後に調査官に連絡し、少年と調査官との面談日程を調整し、当日は弁護士も同席しました。
最終的に、弁護士から事件の内容や少年の事件後の内省状況、両親による監督体制、被害者への謝罪の意向などを踏まえ、保護処分は必要ないので審判を開始しないよう求める意見を書面で提示した結果、家庭裁判所の裁判官は、早々に審判不開始の決定を下しました。
◆まとめ◆
弁護士は、対象者が少年だった場合、成人の刑事事件以上にしっかりと話を聞き、少年の内省を深めたり、今後同じような事件を起こさないためにどうすれば良いかを考えたりする機会を設ける必要があります。
少年事件では、最終的に家庭裁判所に送致され、裁判所調査官による調査を踏まえて保護処分を下すかどうかの判断をします。
弁護士は家庭裁判所に対し、少年に保護処分が必要か否か、必要な場合にはどのような保護処分が妥当かなどの意見を述べることができます。
中学生などのお子さんが学校内でトラブルを起こしてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
今後の手続きの流れや審判不開始の可能性などについて、丁寧にご説明します。