【解決事例】同僚に対するセクハラ・わいせつ事案

【解決事例】同僚に対するセクハラ・わいせつ事案

~事案~
ある日,Bさんは仕事を終えて帰宅するとき,男女兼用の更衣室で,同じく同僚であるYさんを見かけ,声を掛けました。
かねてよりYさんに対して好意を抱いていたBさんは,会話の中で,会社内の男性社員たちが口をそろえて「Yさんが可愛い」と話していたことをYさん自身に話したところ,「信じないよ」と,素っ気なく言われてしまいました。
そこでBさんは,唐突にYさんに抱き着き,10秒程度抱きしめた後,「本当だよ,信じたかな」と言うと,Yさんは「怒られるよ」と言い残し,その場から立ち去ってしまいました。
数日後,Bさんは,Yさんが雇った弁護士から「セクハラを受けた」と,訴えられてしまいました。

※守秘義務の関係で一部事実と異なる記載をしています。

~本件で成立する可能性がある犯罪~

強制わいせつ
⇒13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は,6年以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し,わいせつな行為をした者も,同様とする。
(刑法第176条)

・暴行罪
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
 (刑法第208条)

・各都道府県の迷惑行為防止条例違反
⇒何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であって,次に掲げるものをしてはならない。
⑴ 公共の場所又は公共の乗物において,衣服その他の身に着ける物の上から
又は直接人の身体に触れること。
(参考:東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)
⇒罰則 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
※なお,各地方自治体によって,条例名が異なります。

~Bさんは罪に問われるのか~

Bさんは,Yさん雇った弁護士から自身が訴えられていることを知り,警察に被害届を出されたり,逮捕されたりしないよう,穏便に事態が収束することを希望していました。
現在では刑法が改正されたことによって強制わいせつ罪も非親告罪となり,被害者が告訴をしていなくとも警察などの捜査機関が事件として取り扱えるようになりました。そのため,強制わいせつ事件においては,早い段階で被害者の方との間で示談を取りまとめたり,被害届は出さないという形でまとめたりして,解決できるかどうか重要となります。
仮に,当人同士の口約束で,「被害届けなどは出さない」という形で,その場は収まったとしても,今後,さらなるトラブルに発展することや,事件を蒸し返されてしまうというおそれもあります。示談や合意を取りまとめる際には,法律上有効な文言となっているかどうか,弁護士の目を通しておく必要があります。
また,暴行罪や迷惑行為防止条例違反についても非親告罪であり,警察などの捜査機関が事件として認知すれば,捜査が行われ,Bさん自身が罪を犯したと認められれば,検察庁に事件が送致され,検察官の判断により起訴されてしまえば前科が付く可能性が高くなります。

 

~セクハラとわいせつ行為~

今回のBさんの行動は,突然,同僚女性に抱き着いたという行為をセクハラとして訴えられてしまいました。
今回の抱きつくと言った行為がBさんにとって,性欲を刺激・興奮させ又は満足させるという性的意向の下で行われ,また,自身の体を押し付けたと判断されれば,強制わいせつ罪として扱われることになります。
また,同意なくYさんに抱き着くという行為は,その場所によっては「痴漢」と同様の迷惑行為防止条例違反として扱われるケースもあります。
さらに,Bさんが性的な意図を持たず,また,現場において公共性が認められなかったとしても,抱きつくという行為がYさんに対し,心理的な苦痛を与えたとして暴行罪が適用される可能性もあります。
いずれの犯罪においても,被害者の精神的,身体的な苦痛が大きく,立件された際には重い処分が科されることが予想されますし,顔見知り同士での事件ということになると,逮捕されてしまうリスクも高まります。
「単にセクハラで社内の問題にすぎない」と悠長に捉えてしまい,後々になって取り返しのつかない事態になっていた,ということもあります。
そのため,いち早く,今回のケースが,どのような法令に違反するのかを見極め,適切に対処していくことが重要であるといえます。

~本件事例における当事務所の活動~

Bさんご本人からの依頼を受け,当事務所の弁護士がいち早く,Yさんの弁護士とコンタクトを取りました。
そこで,Yさん方の意向を確認するとともに,本件行為がいずれの犯罪行為に当たるのかの協議を重ねました。
その一方で,Bさんとの面談も重ね,事の重大性を認識してもらうとともに,今までの自身の行動を見つめ直す機会にすることも出来ました。
Yさん方の弁護士と協議を重ねるなかで,Bさんが所謂「ノリ」で行ったこと,現在は自身の行為を深く反省していることを説明し,また,今回の行為は決して悪意の下になされたものではなく,性的意図は無かったことを粘り強く説明しました。
粘り強く説明を重ねることで,Yさんの憤りや恐怖心を取り除くこともでき,スムーズに示談交渉へと移ることが出来,結果として,Bさんが刑事告訴されることなく,Yさんと示談を成立させて解決するに至りました。
後になって事件を蒸し返されることも無いように,示談書の条件面については弁護士が法的な観点で確認をしていますので,Bさんは,事件後も安心して元の生活に戻ることができました。

性犯罪とされる事件においては,「その行為がどういった犯罪に該当するのかを見極める,加害者が自身の行為を反省し,二度と同じ過ちを繰り返さないこと,被害者の不安や恐怖,憤りを軽減すること」という点が重要です。
時代の流れにより,一昔前は黙認されていた行為も,現在ではセクハラ(セクシャル・ハラスメント)やパワハラ(パワー・ハラスメント)として訴えられてしまうことがあります。
また,行為によっては事件化され,最悪の場合,逮捕されてしまうことにもなりかねません。
ご自身や大切なご家族が,何らかの罪に問われてしまった場合,出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

いち早く弁護士に相談することにより,処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ,その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は日頃より強制わいせつ事件などの刑事事件のみを受任し,数多く扱ってきた実績がございますので,どのような事件に関しても安心してご相談頂けます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回無料法律相談も行っておりますので,お困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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