【解決事例】保護観察中の少年が公然わいせつ事件で再度の保護観察に

【解決事例】保護観察中の少年が公然わいせつ事件で再度の保護観察に

過去に少年事件を起こしてしまい保護観察処分を受けたのち、現に保護観察期間中であったにも拘わらず公然わいせつ事件を起こしてしまったという事件で、再度の保護観察処分を言い渡されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】

東京都立川市在住のAさんは、事件当時19歳の大学1年生でした。
Aさんは高校2年生の頃に痴漢事件を複数件起こしてしまい、保護観察処分を受けていました。
その保護観察期間中に、立川市内の路上で深夜見知らぬ女性に対して自身のズボンと下着を降ろして陰茎を見せつける公然わいせつ事件を起こしてしまいました。
捜査を行った立川市内を管轄する立川警察署の警察官は、市中の監視カメラ等からAさんによる犯行であるとし、Aさんを在宅で捜査することにしました。

Aさんの保護者は、Aさんが保護観察期間中であり今回の事件で少年院送致になるのではないかと不安に思い、当事務所の弁護士に依頼されました。
弁護士は繰り返し面談を行い、事件の内容や反省点、今後の進路、保護者には言えない悩み等について聞き取りました。
同時に、前回事件も今回事件も性的欲求に従い起こした性犯罪事件であることから、性依存症などを専門とする心療内科を紹介し、受診やカウンセリングを継続して行うよう促しました。

警察署で捜査を受けたのち、Aさんの事件は家庭裁判所に送致され、AさんとAさんの保護者は調査官による調査を受けました。
弁護士は、家庭裁判所送致前からAさんが専門医による受診を繰り返していることや反省していること、将来に向けて努力していることを予め調査官に伝え、事件直後の供述調書などから想像されるAさんと、更生に向かっている現在のAさんにギャップがあることを説明し、その点を特にしっかりと聞き取るよう伝えました。
その結果、調査官はAさんに再度の保護観察処分に付する要ありとの意見を裁判官に提出し、裁判官も調査官と弁護士の意見を踏まえ、Aさんを再度の保護観察処分に付すという決定を下しました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地等や一部事件内容を変更しています。≫

【公然わいせつ事件について】

今回のAさんの事件は、路上で見知らぬ者に自身の陰茎を見せつける行動が問題となりました。
この場合、公然わいせつ罪が問題となります。

刑法174条 公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

今回の事件は路上で行われているため、公然性が認められます。
わいせつな行為とは「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」とされていますが、陰茎を他人に見せつける行為はこれに該当すると考えられますので、今回のAさんの行為は公然わいせつ罪に当たると評価されます。

【保護観察期間中の再犯】

Aさんは事件当時19歳だったので、少年法のいう少年に該当していました。
そのため、成人の刑事事件とは異なる手続きに付されました。

このAさんの事件で特筆すべき点として、Aさんが今回の事件を起こす以前に痴漢事件で家庭裁判所の審判を受け、保護観察処分が言い渡され今回の事件当時もその期間中であったことが挙げられます。
保護観察処分は、少年が事件を起こした等の場合に家庭裁判所の審判で課せられる保護処分と、少年院を仮退院した場合に行われます。
保護観察期間中は遵守事項を守ることを条件に日常生活を送ることができ、社会内で更生を図ることを目的とします。
なお、成人の刑事事件でも保護観察が言い渡される場合がありますが、これは刑事罰ではなく、執行猶予判決とセットで行われます。

保護観察処分を受けた場合、保護観察所の職員や保護司による面談を繰り返すことで、内省を深め再犯しないよう更生を目指します。
保護観察処分を受けた少年は、その期間中に遵守事項に違反しない限り、少年院等の施設内処遇を受けることはありません。
他方で、呼び出しや訪問を拒否したり、変更許可を受けず無断で引越しをした場合や、Aさんのように事件を起こしてしまった場合は「警告」を行いますが、それでも改善が見込まれない場合には
保護観察官が身柄を拘束する
保護観察所長が家庭裁判所に対して「施設送致申請」を行う
場合があります。
施設送致申請を受けた家庭裁判所は、審判を行い、必要に応じて少年を少年院・児童自立支援施設・児童養護施設に送致する決定を下します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、Aさんのように保護観察期間中に再度事件を起こしてしまったというご相談・ご依頼をこれまで数多く受けて参りました。
少年院等の施設は「懲罰」ではなく「更生」「教育」の場です。
施設送致を受ける教育等で少年が更生する場合が多々あることは事実です。
しかし、家族生活・社会生活を離れることで失われるものも多いでしょう。
東京都立川市にて、お子さんが以前にも事件を起こしてしまい保護観察処分を言い渡され、保護観察期間中に再度事件を起こしてしまい少年院送致を回避したい場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。

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