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痴漢のつもりが強制わいせつに

2022-02-03

痴漢のつもりが強制わいせつに

電車内などで行われるいわゆる痴漢行為と強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都立川市在住のAは、立川市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは立川市内の自宅最寄り駅から鉄道に乗って勤務先最寄り駅まで行こうと列車に乗車しました。
列車は満員だったところ、Aは自身の前に立っていた女性Vに対して劣情を催し、最初は手の甲で、次いで指で、Vの臀部(お尻)を撫でまわしました。
その間、Vは恐怖で声を出せずにいましたが、それを幸いだと考えたAは、Vのスカート中に手を入れ、更には下着の中に指を入れ、陰部を直接触りました。
Aの行為を目撃した別の通勤客がAに「何をしているんだ」と怒鳴り、次の駅で降ろされたAは、通報を受けて臨場した東京都立川市を管轄する立川警察署の警察官によって逮捕されました。
その際Aは、自身にかけられている嫌疑が俗にいう痴漢ではなく強制わいせつであると知らされました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【痴漢について】

御案内のとおり、公共の場所や公共交通機関の車内などで他人の臀部(お尻)や胸などに触る行為は、痴漢行為と呼ばれます。
我が国では、痴漢罪などの法律はありませんが、各都道府県の定める迷惑防止条例に違反する行為です。
ケースは東京都立川市での痴漢事件を想定していますので、東京都の定める公衆に著しく迷惑をかける暴力行為等の防止に関する条例(以下、迷惑防止条例)が問題となります。
該当する条文は以下のとおりです。

東京都迷惑防止条例5条1項
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1号 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

東京都の場合、罰条は「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金」と定められています。

【痴漢ではなく強制わいせつに?】

まず前提として、前述した痴漢行為は、被害者にとって(被害者が女性だった場合でも男性だった場合でも、また、加害者側が異性であれ同性であれ)精神的に深い傷を負わせることに繋がる卑劣な行為です。
しかし、Aのように悪質な行為であれば、痴漢による迷惑防止条例違反ではなく、より重い罪である強制わいせつ罪の適用が検討されます。
強制わいせつ罪の条文は以下のとおりです。
強制わいせつ
刑法176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ事件は、痴漢と同じような場合でもその程度が著しい場合に成立します。
具体的な線引きがあるわけではなく、捜査機関は行為に及んだ回数・時間・態様などを客観的に検討したうえで、痴漢事件として迷惑防止条例違反で立件するか、強制わいせつ事件として強制わいせつ罪で立件するかを検討します。
ケースの場合、被疑者(容疑者)Aは被害者Vの下着の中に指を入れていますが、このような場合は強制わいせつ罪で立件されやすいと言えます。
他方で、例えば臀部(お尻)を撫でまわすような行為であっても、その行為が長時間に及んだ場合などは強制わいせつ罪に問われる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所には、痴漢強制わいせつなどの性犯罪の相談が多数寄せられています。
刑事事件・少年事件では、事件の内容や被害者の方の感情などにより、様々な弁護活動が想定されます。
東京都立川市にて、痴漢強制わいせつなどの性犯罪で捜査を受けている方、あるいは家族が痴漢強制わいせつ罪で逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。

リフォーム詐欺で逮捕

2022-01-29

リフォーム詐欺で逮捕

リフォーム詐欺逮捕された事例を題材に、詐欺事件における刑事弁護活動などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例
東京都世田谷区在住Aは、無料で住宅の点検をするという名目で世田谷区内にあるV方に上がり込み、Vに対し床下に水漏れ箇所があるなどと、本来不必要な工事が必要であるかのように嘘をつき、これを信じたVから補修工事名目で金銭をだまし取った。
世田谷区内を管轄する玉川警察署の警察官は、Aを詐欺の疑いで逮捕した(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~詐欺罪および特定商取引法違反~

第37章 詐欺……の罪
(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法246条1項は、財物に対する詐欺(いわゆる1項詐欺)を処罰する旨の規定です。
詐欺罪の定めは一見単純に見えますが、同罪が成立するためには、①「人を欺いて」(欺く行為)→②被害者の錯誤→③錯誤に基づく被害者の「交付」(交付行為)→加害者の「財物」の取得という要件が満たされる必要があります。
「人を欺いて」とは、人の錯誤を惹起するものであって財物の交付に向けられたものである必要があります。
本件では、Aは本来必要ない水漏れ等の補修工事が必要である旨の嘘をついており、これは建物の専門的な構造等に明るくないVの無知に付け込んで、補修にかかる代金を交付させる危険性を有する行為といえ、「人を欺いて」(欺く行為)といえます。
そして、VはこのAの嘘によって補修工事が必要であるとの誤信し、かかる錯誤に基づいて補修工事代金を「交付」し、Aが金銭という「財物」を得ていることから、Aの行為に1項詐欺罪が成立するものと考えられます。

特定商取引に関する法律
第70条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第6条……に違反した者

第6条 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し……不実のことを告げる行為をしてはならない。
(以下、省略)

なお、本件では刑法犯である詐欺罪に加え、上記特定商取引法6条によって禁止されている不実の告知が認められることから、同法70条1号違反の罪も成立する可能性があることにも留意する必要があります。

~詐欺事件における刑事弁護活動~

詐欺事件においては、極めて単純な事例では在宅事件として逮捕(・勾留)されないケースもありますが、そうでない限り本件のように逮捕(・勾留)されるリスクは決して低くない事件類型です。
そして、逮捕(・勾留)されてしまった場合に一番の懸案事項となるのが、起訴されてしまうかどうかでしょう。
一般に起訴されてしまう(刑事裁判となってしまう)かどうかは、詐欺によって生じた被害が回復されているかどうかが大きな分水嶺の一つとなるといわれています。
本罪は財産犯であることから、被害弁償による侵害された財産的価値の回復が必須といえるでしょう。
さらに、詐欺事件は組織ぐるみで行われることも多いことから、被疑者・被告人が多数に上るなど捜査・公判段階いずれを通しても不確実性が高く、経験・実績と専門性を有する刑事弁護士に相談することが不可欠です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、詐欺事件を含む刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件を専門とする弊所には、詐欺事件に関する弁護活動の経験が豊富な弁護士が多数所属しています。
東京都世田谷区にて、リフォーム詐欺などの嫌疑で御家族が逮捕されてしまった場合。24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお電話ください。

ひったくりはどのような罪?

2022-01-24

ひったくりはどのような罪?

ひったくり事件を起こした場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都豊島区在住のAは、豊島区内の会社に勤める会社員です。
Aは生活に困り、お金を下ろしてきたであろう高齢者を狙ってひったくりを行おうと考えました。
そこで、豊島区内の銀行前で待ち伏せをし、銀行から出てきた高齢者Vのカバンをひったくろうとしましたが、Vがカバンを抑えてとられないよう抵抗しました。
AはVの足を蹴り、倒れたところでカバンを奪って逃走しました。
通報を受けて捜査を開始した豊島区内を管轄する巣鴨警察署の警察官は、目撃情報と服装が一致していたAに職務質問を行い、被疑事実を認めたため緊急逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAの家族は、ひったくりは状況によっては裁判員裁判に処される重大な罪に当たるという説明を受けました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ひったくりについて】

他人が持っている財布や封筒、カバンなどを突然奪って逃走する行為をひったくりと呼びます。
ひったくりは、窃盗罪(+暴行罪)又は強盗罪に当たります。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(強盗罪)
刑法236条1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以下の有期懲役に処する。

強盗罪は「暴行又は脅迫」がどの程度のものか、そして「強取」したと言えるのか、という点が問題となります。
「暴行又は脅迫」について、判例は「被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の身体に向けられた不法な有形力の行使」をいうとしています。
具体的には、事件当日の時刻や場所、年齢、性別、凶器を用いているかどうか等の様々な事情が考慮されます。
「強取」は、上記暴行・脅迫を手段として、被害者が持っていた物の占有を取得することを意味します。
暴行・脅迫によって、被害者が実際に反抗抑圧状態に陥らず、恐怖心を抱かせたにとどまる場合でも、客観的に反抗抑圧に足りる暴行・脅迫であれば、強盗罪にいう暴行又は脅迫に当るとされています。

上記の事情を考慮したうえで、強盗罪にあたるのか、窃盗罪、あるいは窃盗罪と暴行罪又は傷害罪に当たるのかを評価されます。
窃盗罪で刑事裁判になった場合には(1月以上)10年以下の懲役か、(1万円以上)50万円以下の罰金となっているため略式命令による罰金刑に処される可能性がありますが、強盗罪は5年以上20年以下の懲役としかないため略式命令には処されることなく公開の法廷で裁判に処せられることになります。
強盗罪にあたるのか窃盗罪と評価されるのかという点は、量刑に於て極めて重要です。

【ひったくりした際に被害者が怪我をした場合には更に重い罪に】

ひったくりをした際の暴行で相手を怪我させた場合には強盗傷害罪、暴行の結果相手が転倒するなどして怪我をさせた場合には強盗致傷罪が、それぞれ適用されます。
条文はどちらも同じで、以下のとおりです。

刑法240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

条文は、前段が強盗致傷罪・強盗傷害罪を、後段が強盗致死罪・強盗殺人罪を、それぞれ規定しています。
いずれの場合も「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」に該当するため、ひったくりをした際に被害者が怪我をした場合には裁判員裁判の対象となり、通常の職業裁判官のみで行われる裁判に比べて厳しい罪が科せられる可能性があります。
また、裁判員裁判は通常の刑事裁判に比べて公判が始まるまでに長期間を要するため、裁判前の準備や保釈のタイミングなど、刑事手続きの知識や経験が重要になります。

東京都豊島区にて、ひったくり事件を起こしてしまい裁判員裁判になる可能性がある場合、裁判員裁判の経験がある弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。

強制性交等事件(旧強姦事件)で逮捕

2022-01-19

強制性交等事件(旧強姦事件)で逮捕

強制性交等事件(旧強姦事件)で逮捕されたケースを題材に、性犯罪における弁護活動等ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

東京都足立区在住のAは、都内の大学に通う21歳の大学生です。
Aは、近所に住む足立区在住のV(20歳)と無理やり性行為をしたいと考え、Vに対し、暴行を加えてVを失神させて性行為を行いました。
Vからの被害申告を受けて捜査を開始した足立区内を管轄する竹ノ塚警察署の警察官は、Aを強制性交等(旧強姦)の疑いで逮捕しました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~強制性交と準強制性交~

刑法177条前段は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」と強制性交等罪(旧強姦罪)を規定しています。
これに対し、178条2項では、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条(注:177条)の例による」と準強制性交等罪(旧準強姦罪)を定めています。
本件では、VはAの行為によって心神喪失に陥っているため、「心神を喪失させ」て「性交」をしたとしてAの行為には準強制性交等罪(178条2項)が成立するようにも思えます。

この点、上述した177条は、「暴行又は脅迫」を用いて性交等した場合を、典型的な強制性交等罪(旧強姦罪)としています。
ここにいう「暴行」「脅迫」とは、判例・通説上、被害者の反抗を著しく困難にする程度の「暴行」「脅迫」を指すと考えられています。
これに対し、178条2項における「心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」とは、177条にいう「暴行」「脅迫」以外の手段によって、心神喪失・抗拒不能に陥れることをいうと解されています。
したがって本件では、AのV(20歳)に対する「暴行」によって、Vを失神させ反抗を著しく困難にさせて「性交」を行っていることから、準強制性交等罪ではなく、強制性交等罪(旧強姦罪)が成立することになるのです。
なお、現行の刑法においては、改正前にあった「女子」の文言を削除していることから、被害者の性別に関わらず各条所定の手段を用いて「性交等」を行った場合には、(準)強制性交等罪(旧(準)強姦罪)が成立しうることにも注意が必要です。

~性犯罪事件における弁護活動について~

刑法は平成29年改正(2017年改正)によって、強制性交等罪(旧強姦罪)を含む第22章の性犯罪規定の多くを非親告罪化しました(改正前の親告罪の規定を削除)。
親告罪とは、検察官による事件を起訴するに当たって、被害者の告訴を必要とする犯罪をいいます。
つまり、従前は親告罪においては被害者と示談し、告訴を取り下げてもらうことで起訴され刑事裁判となることを確実に回避することができたのです。
もっとも、非親告罪化された現在でも、被害者と示談することが無意味なったわけでは決してありません。
起訴されるかどうか(刑事裁判になるかどうか)を判断するにあたっては、被害者の意思が尊重されるのが実務における運用であり、示談を締結することは極めて重要となります。
したがって、本件のような性犯罪事件における弁護活動としては、この示談交渉が最大の焦点となるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制性交事件(旧強姦事件)を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
弊所では、性犯罪事件の経験豊富な弁護士が事案に即した丁寧な弁護活動を行ってまいります。
東京都足立区にて、強制性交事件(旧強姦事件)などの性犯罪事件で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにお電話ください。

偽造処方せんで向精神薬を取得し逮捕

2022-01-14

偽造処方せんで向精神薬を取得し逮捕

偽造した処方せんを使用し向精神薬を取得した事件を題材にして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が刑事弁護活動等について解説いたします。

事例

東京都北区在住のAは、北区内にある民間の病院を受診した際に、医師から処方せんの交付を受けました。
Aは、この処方せんをカラーコピー機で偽造した上で、偽造した処方せんを使用し複数の薬局において薬剤師から向精神薬を購入しました。
東京都北区を管轄する滝野川警察署の警察官は、Aを麻薬及び向精神薬取締法等の疑いで逮捕しました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~偽造した処方せんを行使して向精神薬を取得~

Aの行為には、後述するとおり私文書偽造罪や詐欺罪といった刑法犯が成立する可能性があります。
もっとも、上記行為は薬物に関する取締り規定にも反し得るという点を見落としがちです。
この点、麻薬及び向精神薬取締法は、業者のみならず個人に対しても、処方せんの偽造行為に関する処罰規定を置いています。

麻薬及び向精神薬取締法
第七十二条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一~三(略)
四 向精神薬処方せんを偽造し、又は変造した者

すなわち、上記規定により、Aの偽造行為は刑法犯のみならず、同法による処罰対象となるのです。
したがって、Aが処方せんを偽造した行為には、特別刑法犯として麻薬及び向精神薬取締法72条4号に反するものということができます。

そして、上述したようにさらに重い罪として刑法上の犯罪も成立しうることにも注意が必要です。
まず、Aが処方せんをカラーコピー機で偽造した行為には、上記麻薬及び向精神薬取締法違反に加えて、刑法159条1項の私文書偽造罪が成立することになるでしょう。
そして、かかる偽造した処方せんを行使したことについて、偽造私文書行使罪(刑法161条1項)が成立します。
さらに、Aはこの偽造した処方せんを提示して、薬剤師の所属する薬局から「財物」たる向精神薬をだまし取っていることから、刑法246条1項の詐欺罪も成立することになります。
文書偽造に関しては「三月以上五年以下の懲役」、詐欺については「十年以下の懲役」とより重い法定刑が定められていることに注意が必要です。

~刑事弁護士による弁護活動のメリット~

逮捕されてしまうと、被疑者(容疑者)は、密室である取調室において捜査のプロである取調官と対峙しなければなりません。
また、捜査のプロであるといっても、違法不当な捜査や取調べを行わないとは限らない点に注意が必要です。
したがって、弁護士と早期に面会(弁護士には逮捕された方と立会人なしで面会できる法律上の特権を有します)するなどして、取調べ対応等について適切なアドバイスを受ける必要があります。
さらに、弁護士は面会において、被疑者(容疑者)自身の言い分をしっかり聞き取ることが可能です。
あくまで捜査側に立つ取調官は取調べにおいて、被疑者(容疑者)の言い分を十分に聞いてくれるとは限らず、この点に関しても弁護士との面会は重要性を有します。
また、逮捕されてしまうと、隔離された空間で孤立してしまうことから精神的な負担も少なくありません。
このようなメンタルケアの観点からも、定期的な弁護士との面会は重要といえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含む刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件の対象は刑法犯のみならず特別刑法犯など多岐に渡るため、刑事弁護士の専門知識と経験が不可欠となります。
東京都北区にて、麻薬及び向精神薬取締法事件等で逮捕された方のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にご連絡ください。

晒し行為で名誉毀損に

2022-01-09

晒し行為で名誉毀損に

いわゆる晒しと呼ばれる行為で問題となる名誉毀損などの罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都板橋区在住のAは、板橋区内の会社に勤める会社員です。
Aは近隣住民である自営業のVと騒音トラブルを起こして不仲に陥り、AはVを貶めるため、SNS上で誰もが見られる公開のアカウントを開設し、「○○の会社を運営しているVは性犯罪での前科があり、服役した経験がある」と投稿しました。
数ヶ月後、Aの自宅に板橋区内を管轄する高島平警察署の警察官が来て、SNS上の投稿について聞きたいことがあるとして任意同行を求められました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【いわゆる晒し行為】

インターネット・スマートフォンの普及に伴い、インターネットのブログやSNSなど用いて、一般人であっても全国・全世界に情報を発信することが容易な時代になりました。
そこで、しばし自分が気に入らない人や倫理的・法的に問題のある行為などについて実名や顔写真、何かしらの行為を撮影した動画や画像などを不特定多数の者に発信する「晒し行為」などと呼ばれる私刑が横行しています。
晒し行為は、どのような罪に当たるのでしょうか。

・名誉毀損罪
晒し行為により他人の名誉を傷つける言葉を流布したり画像や動画をアップロードした場合には、名誉毀損罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。
刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

第一に、公然性について、そもそも、明治40年公布の刑法では、インターネットなどの存在は想定しておらず、専ら印刷物で情報を広めることを想定していたと考えられます。
しかし、現代では先述のとおりインターネットを通じて個人が情報を容易に発信することができるようになったため、これらも公然性が認められる場合が当然にあると考えられます。
例えば、誰しもがアクセスできるような形でアップロードしたブログやSNSなどであれば、公然性があると認められます。
他方で、現在我が国に於て広く普及しているブログやSNSの場合、特定の者にしか見られないように設定することもできるため、アップロードの方法次第で公然性が認められる事案なのかどうか、区別されます。
第二に、事実を摘示するという点について、これは条文に記載のとおり「事実の有無」を問うていません。
前科があるということを積極的に発信することは、被害者の名誉を毀損する内容の「事実」を公然と摘示したと言えますので、Aが発信した情報が「真実」であってもなくても、名誉毀損罪が成立します。

・偽計業務妨害罪
名誉毀損罪はAがV個人の名誉を害することについて適用されますが、それに加え、AはVが個人事業主として仕事をしている会社の屋号を公表しています。
これにより、Vの事業が妨害をされる恐れがあることから、偽計業務妨害罪の適用が検討されます。
条文は以下のとおりです。
刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

「前科があるが更生に向けて取り組んでいる」等の事情であればともかく、単に「前科がある」という内容が世間に出回った場合、消費者はその会社から商品を購入したくないという心情に陥ったり、取引先等がその会社を敬遠する恐れがあります。
このように、嘘の情報を用いて業務を妨害する行為は、偽計業務妨害罪として処罰されます。
これは、結果的に売り上げが落ちた、などの具体的な妨害の事実は必要とせず、ケースのような表現それだけで偽計業務妨害罪は成立します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所は、名誉毀損罪や偽計業務妨害罪といったSNSなどの情報がもととなって生じた刑事事件に対応しています。
東京都板橋区にて、いわゆる晒し行為により名誉毀損罪や偽計業務妨害罪で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

自転車の一時利用で逮捕

2022-01-04

自転車の一時利用で逮捕

自転車一時利用で逮捕されてしまった事例を題材に、刑事弁護士の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~
東京都港区高輪在住のAは、港区高輪の会社に勤める会社員です。
Aはある休みの日に、港区内を歩いていたところ、他人の自転車が無施錠のまま駅の駐輪場の近くに停められていることに気づきました。
Aは、この自転車を度々使用しては、元の場所に戻す行為を繰り返していました。
事件当日、自転車を利用していたAは、港区高輪を管轄する高輪警察署の警察官の職務質問を受け、その後、占有離脱横領罪の疑いで逮捕されました。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)

~自転車の一時利用と占有離脱物横領罪~

(遺失物等横領)
第254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

この罪(刑法254条)は、「遺失物」や「漂流物」の他「占有を離れた他人の物」(以下、占有離脱物という)を「横領」した場合に成立する犯罪です。
横領罪の一種ではありますが、特に占有離脱物横領罪は窃盗罪との区別が問題となることが多い犯罪です。
なぜなら、占有が被害者に残っているか否かはその判断が難しいことも少なくなく、実務上もどちらの犯罪が成立するかはケースバイケースと言わざるを得ないからです。
そこで本件では、すでに自転車の占有が自転車の所有者(あるいは占有者)から離れてしまった状態であることを前提に、犯罪の成否を検討してみましょう。

一般に財産罪については、「罪を犯す意思」(刑法38条1項本文)すなわち「故意」に加えて、不法領得の意思という財産罪に特有の要件が必要となります。
そして、横領罪における不法領得の意思は、窃盗罪等とは異なり、「他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い処分・利用する意思」(いわゆる利用処分意思)があれば足りるものと解されています。
したがって、仮にこれが認められない場合、犯罪を犯す故意を有していた場合でも、「横領」行為がないことから犯罪は成立しないことになります。
では、本件のような他人の自転車一時利用する場合にも、上記利用処分意思が認められるのでしょうか。
この点、本件のように他人の自転車を一時的とはいえ、その経済的用法に従い利用することは、本来自転車の所有者でなければ行い得ない行為といえ、Aの行為は「横領」行為として、占有離脱物横領罪が成立する可能性は十分にあると考えられます。
ただし、この判断もまた微妙であり、専門性を有した弁護士と法律相談等を行うことが不可欠であるといえるでしょう。

~逮捕された場合(身柄事件)における弁護活動~

憲法34条前段は、「抑留又は拘禁」された者(すなわち逮捕・勾留等された者)には「直ちに弁護人に依頼する権利」を有する旨を規定しています。
これを具体化し、実効性を与えたのが刑事訴訟法39条1項による、接見交通権です。
この接見交通権は、「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者」と「弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者」が立会人なくして接見することを認めるものです。
この憲法に由来する権利により、逮捕・勾留等されてしまった方も、弁護士と相談し、助言・援助を受ける機会を得ることができます。
なお、刑事訴訟法39条3項は、捜査機関による接見指定権(上記接見交通権に対する一定の制限)を認めていますが、実務上は原則的に弁護士によるスムーズな接見を認める傾向にあるといわれており、現在では早期接見に対する障害は少ないと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、占有離脱物横領罪を含む刑事事件を専門として取り扱っている法律事務所です。
占有離脱物横領事件で逮捕された方の早期接見をご希望のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

また在宅事件の場合も、高い専門性を有する刑事弁護士との無料相談をお受け頂くことが可能ですので、上記フリーダイヤルまでご連絡をお待ちしております。

身代わり出頭での犯人隠避事件

2021-12-30

身代わり出頭での犯人隠避事件

ひき逃げ事件で問題となる罪と、身代わり出頭した側の犯人隠避事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都八王子市在住のAは、八王子市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは交際相手Xから連絡が来て、「八王子市内で事故を起こして通行人が転倒して流血してしまったが、自分は運転免許停止処分中なので、見つかったら大変なことになる。」と言われました。
Aは、「それなら私が身代わり出頭する。」とXに言い、当時の事故の状況を聞いたうえで、事故を起こした八王子市内を管轄する高尾警察署に自首という形で身代わり出頭しました。
当日Aは取調べを受けて帰宅しましたが、その数日後に高尾警察署の警察官が自宅に来て、Xをひき逃げ事件で、Aを身代わり出頭で、それぞれ逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ひき逃げ事件について】

まずは、ひき逃げ事件を起こしたXの行為について検討します。
ケースでは飲酒や薬物、あるいはスピード違反などの危険な運転ではなく、且つ運転免許を一度は有していたという設定です。
このような場合、
①運転中の過失により被害者を怪我させてしまったという罪
②事故を起こして怪我人が生じているにも関わらず、通報する義務を怠ってその場を離れた罪
の2つの罪に当たります。
①については、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の定める過失運転致傷罪が成立します。(詳細はこちらも併せてご参照ください。
②については、いわゆるひき逃げと呼ばれる道路交通法の定める救護義務に違反します。(詳細はこちらも併せてご参照ください。

加えて、Aは免許停止処分中に運転をしているということから、無免許運転にも当たります。(詳細はこちらも併せてご参照ください。

【犯人隠避事件について】

ケースのように、何かしらの理由で犯人の身代わりになって出頭する行為は、犯人隠避という罪に当たる恐れがあります。
犯人隠避罪は、一定以上の罪に当たる行為をした、あるいはしたと疑われている者の逃亡を手助けした場合に適用される罪です。
具体的には①罰金刑以上の刑に当たる者の逃走を手助けした場合と、②拘禁中の者の逃走を手助けした場合が挙げられます。
ケースの場合は、過失運転致傷罪・救護義務違反・無免許運転といういずれも罰金刑以上の刑罰が用意されている罪を犯したXが、逮捕等拘禁されていない時点で逃走の手助けをしていることから、①の要件を満たしているとされ犯人隠避罪が成立する可能性があります。

なお、犯人隠避罪の対象となるのは、あくまで手助けした者(ケースのA)が対象であり、実際に事件を起こした者(ケースのX)はこの罪には当たりません。
ただし、犯人隠避罪を教唆した場合に犯人隠避教唆罪で処罰される可能性があります。

刑法103条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都八王子市にて、自分が起こしていないひき逃げ事件について身代わり出頭するなどして犯人隠避事件を起こしてしまい、身柄拘束されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは弁護士が初回接見というかたちで接見を行い、逮捕・勾留されている方から事情や取調べの内容を伺ったうえで、今後の見通しについて御説明します。

被害者が死亡した喧嘩

2021-12-27

被害者が死亡した喧嘩

喧嘩の結果被害者死亡したという場合について問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都杉並区在住のAは、杉並区内の会社に勤める会社員です。
Aには交際相手Vがいましたが、Vから交際解消を申し出られました。
Aは交際を継続したいと言いましたがVから受け入れられず、口論になり、最後には殴る蹴るの喧嘩に発展しました。
その過程でAがVに馬乗りになって押さえつけたところ、Vは息をしなくなりました。
Aは慌てて消防局に通報しましたが、Vは死亡しました。
その後、Aは臨場した杉並区を管轄する高井戸警察署によって逮捕されました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【相手が死亡した場合にはどのような罪にあたる?】

ケースのように、喧嘩によって相手が死亡してしまった場合には、以下のような罪が成立します。
・殺人罪
被疑者(加害者側)の暴行の結果被害者が死亡した場合にまず考えられる罪としては、殺人罪が挙げられます。
殺人罪の条文は以下のとおりです。
刑法199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

殺人罪に当たる行為とは、被害者を殺害しようとする意思(殺意)をもって暴行を加える等した結果、被害者が死亡するというものです。
殺意は、明確に相手を殺してやろうという意思をもっての行動だった場合は勿論のこと、もしかしたら相手が死んでしまうかもしれない、という可能性を想像しつつとった行動で被害者が死亡してしまった場合にも、成立します。(いわゆる未必の故意)
捜査機関は、被疑者の殺意を裏付ける証拠が得られた場合には、殺人罪で起訴することになります。
具体的には、事件の態様(執拗に殴った、刺した等の事情が見受けられるか)・事件直後に消防局へ通報しているか・凶器を用いたかどうか・前々から準備していたのか突発的な行為なのか・暴行等に至った原因・以前から怨恨や痴情のもつれがあったのか、などの主観・客観的な供述や状況を総合的に検討し、判断されることになります。

・傷害致死罪
殺人罪の要件である「殺意」の立証が出来なかった場合についても、傷害致死罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。
刑法205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

傷害致死罪は、刑法204条の定める傷害罪の結果的加重犯と呼ばれるものです。
相手に暴力を振るう意思をもって暴行を加えたところ、被害者が怪我をし、その結果として死亡してしまった、という場合に成立します。

殺人罪と傷害致死罪では、刑事罰に大きな差があります。
いずれの罪で起訴されるのかという点は極めて重要なポイントです。

【喧嘩の場合は正当防衛が成立する場合も】

但し、喧嘩のように双方が暴行を行った結果での殺人罪・傷害致死罪の場合、正当防衛や過剰防衛が成立する余地があります。
正当防衛は下記条文の1項、過剰防衛は同2項です。
刑法36条1項 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
 2項 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

喧嘩については、原則として正当防衛・過剰防衛は認められません。
但し、例外として素手で喧嘩をしていたところ突如相手が凶器を持ち出した場合など、単なる喧嘩に留まらない急迫不正の侵害が生じた場合などについては、正当防衛や過剰防衛が検討されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで喧嘩などの結果被害者死亡してしまったといった重大事件の弁護活動の経験がございます。
東京都杉並区にて、家族が喧嘩などの結果被害者死亡してしまったという事件で逮捕・勾留されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

未成年者との真剣交際?

2021-12-23

未成年者との真剣交際?

未成年者とのわいせつな行為と真剣交際の主張について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都千代田区在住のAは、千代田区内の会社に勤める40代の会社員です。
AはSNSを通じて知った15歳の児童Vと頻繁に連絡を取り合うようになり、結婚しようなどのやり取りをし、実際に会おうという話をしました。
そして、待ち合わせ時間を決めて千代田区内の喫茶店でお茶をしたのち、ホテルに入ってわいせつな行為をしました。
そのホテルの受付をしていた従業員がVの年齢に疑問を持って千代田区内を管轄する麴町警察署に連絡し、AとVとがホテルを出たところで警察官は声掛けしました。
Vが15歳であることを確認した警察官は、Aに対して「淫行条例等に当たる可能性があるので任意同行に応じてほしい。」と説明しました。
Aは警察官に対し、「結婚を前提とした真剣交際である。」という主張をしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【未成年者とのわいせつ行為で問題となる罪】

ケースでは、AとVとの性別は特に想定していませんが、年齢についてはVが15歳であることを想定しています。
我が国では、18歳未満(17歳までの者)とわいせつな行為をした場合には下記のような法律に違反することとなります。
・淫行条例違反
淫行条例は俗称で、事件地の都道府県によって条例名が異なります。
ケースは東京都千代田区での事件ですので、東京都青少年の健全な育成に関する条例が問題となります。
条文は以下のとおりです。
条例18条の6 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

罰条:二年以下の懲役又は百万円以下の罰金

・児童買春
最も、Aの行為については、淫行条例違反ではなく児童買春の罪が適用される可能性があります。
条文は以下のとおりです。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条2項 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
 1号 児童

淫行条例違反と児童買春の一番の違いは、対償の供与やその約束があるか否かという点です。
分かりやすい児童買春は、例えば児童に対して5万円を支払うなどして性行為や性交類似行為をすることです。
ケースではそれらの事情は伺えませんが、AがVの喫茶店での食事代やホテル代の全額を支払ったのであれば、それを以て対償の供与があったとして児童買春に処せられます。

【真剣交際は通用する?】

児童買春や淫行条例違反の事件を起こした方の中には、真剣交際の主張が通用するのではないかという質問があります。
すなわち、結婚を前提に交際をしているのに、なぜ違法なのかという主張です。
次に淫行条例について、例えば、このブログを作成している令和3年9月9日時点に於て、女性の婚姻適齢は16歳です。
この点、淫行条例違反や児童買春の罪と相反しているかにも思えます。

とはいえ、児童買春について検討すると、真剣な交際をしているのであれば「対償の供与」が生じる余地はないため、真剣交際の主張は通用しないと言えるでしょう。

次に淫行条例違反について、条文を見ると、東京都の淫行条例は「みだらな性交又は性交類似行為」を禁止しています。
みだらな、すなわち淫行について、判例は
①青少年を…その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、
②青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
と定義しています。

ケースについて検討すると、AとVとは年齢が25歳以上離れていて、SNSでやり取りをした程度で性行為をした当日までに一度も会ったことがなく、当然に保護者への紹介や挨拶もない、そのような状況で、SNSで結婚しようなどとやり取りをした程度で真剣交際にあたるという主張は通用しないと考えられます。

他方で、AとVとの年齢が近く、デートなどの交際を繰り返していて、未成年者の保護者へ説明・紹介をしているという場合であれば、しっかりと真剣交際を主張することで罪に当たらない、あるいは刑罰が軽減されることに繋がります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都千代田区にて、淫行条例違反や児童買春の罪で捜査を受けている、真剣交際を主張したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。

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