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大麻事件で逮捕,薬物事件で18歳,19歳も懲役刑になる?!

2022-03-10

大麻事件で逮捕,薬物事件で18歳,19歳も懲役刑になる?!

少年を含む若者の大麻事件と、改正少年法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

・事例
専門大学生のXさん(19歳)は,学校の友達と深夜,渋谷区内で遊んだ際に友達の1人から「良いところあるから寄っていこうぜ」と誘われました。
Xさんは友達について行ってあるマンションに入りましたが,実はそこは,大麻を回し吸いする現場でした。Xさんは友達から「体に悪くないから」と言われたこともあり,一口大麻を吸ってしまいました。また,その場にいた人から「あげるよ」と言われて,大麻タバコを一本貰ってしまいます。
帰り道,Xさんは渋谷区内の路上で歩いていたところ渋谷警察署の警察官から職務質問を受けて,大麻タバコの所持を発見され,大麻取締法違反によって現行犯逮捕されてしまいました。これからどうなるのでしょうか。

≪ケースは全てフィクションです。≫

・若者の間で蔓延する大麻

若い世代での大麻関連の事件が増加しているとの報道が相次いでいます。
「若者に広まる大麻,上半期の摘発2554人 最年少は14歳」朝日新聞デジタル
警察庁の統計によると,2020年に警察が大麻事件で摘発した人のうち,約7割が20代以下の若い世代であったということです。
SNS等を通じて,若い世代の間で「大麻はタバコやお酒よりも安全」「大麻は覚醒剤と違って依存もしない」というような情報が出回っており,大麻に対するハードルが下がっていることが要因の様です。
大麻については言説が様々ありますが,現在の日本では,大麻の所持や譲渡はれっきとした犯罪であり,5年以下の懲役が科せられる可能性があります。

・未成年の大麻事件

2022年(令和4年)4月1日から,少年法が改正されて,18歳19歳は「特定少年」という,少年法の中でも少し変わった立ち位置になります。民法の成人年齢が引き下げられたことにも関連して,18歳,19歳の人については,これまでよりも刑事責任を問いやすくなった,つまり,これまでと違って大人としての責任を問われやすくなったのです。
具体的には,18歳19歳の人がした犯罪については,逆送といって,少年法による「保護」ではなく,他の成人と同じ刑事裁判の手続きに付する事件が広がりました。
Xさんのような大麻取締法違反(単純所持)については,全て逆送されるわけではありませんが,薬物犯罪の場合は初犯であっても起訴猶予になりにくいものです。18歳や19歳の薬物事件についても「ここで一度お灸をすえておかなければならない」と考えて少年事件ではなく刑事事件に扱うために逆送決定がなされる可能性があります。

・逆送決定とは?

逆送決定とは,少年事件を受理した家庭裁判所が,少年事件として扱わず検察官に事件を送り返すことを言います。
本来,20歳未満の人の犯罪については少年事件として扱い,「今後更生するためにはどうすればいいか」という少年審判が開かれます。
しかし,「更生だけではなく,やったことへの責任をきちんと取らせるべきだ」という事件に対して,家庭裁判所は事件を検察官に逆送します。逆送がなされると,検察官は再度,犯罪についての捜査を行い,当該犯罪について証拠が十分にあると考えれば大人と同じように起訴をします。起訴され,証拠によって事実が認められれば大人と同じような懲役刑が科せられる可能性があります。
Xさんの事件についても,家庭裁判所から検察官へ逆送され,大人と同じ刑事裁判で裁かれてしまう可能性があるのです。

・未成年の薬物事件は早急に弁護士へ相談

18歳19歳のご家族が薬物事件で逮捕されてしまったという場合には,早急に刑事事件,少年事件に強い弁護士に相談しましょう。
2022年4月1日以降,18歳19歳の方の事件というのは,他の少年事件と比べると刑事裁判によって,懲役刑を受ける可能性が高まったといえます。
懲役刑のリスクを少しでも下げるためには,逆送されないための弁護活動が重要です。逮捕された直後から本人や家族の話を聞いたり,弁護士が様々な働きかけをしたりして,本人や生活環境の問題点をあぶり出すことで「本人に必要なのは刑罰ではない」と主張していくことで,最終的に逆送決定を避けることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、大麻所持のような薬物事件の弁護活動を数多く経験してきました。
東京都渋谷区にて、ご家族やご子息が薬物事件で逮捕されてしまったという方は,刑事事件,少年事件に特化した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部へご相談ください。

調布市で銃刀法違反事件

2022-03-05

調布市で銃刀法違反事件

東京都調布市で発生した銃刀法違反事件で逮捕された場合を想定し、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説します。

【刑事事件例】
東京都調布市に住むAさんは、調布市内で自営業をしています。
ある日、Aさんは調布市内の路上において、正当な理由がないのに刃渡り6センチを超えるサバイバルナイフを右手に持ちながら、路上をうろついていました。
近くを通りかかった付近の住民が目撃して通報し、調布市内を管轄する調布警察署の警察官が駆け付け、Aさんは銃砲刀剣類所持等取締法(以下、銃刀法といいます。)違反の嫌疑(容疑)で逮捕されました。
(この刑事事件例はフィクションです。)

【銃刀法違反の罪とは】

銃刀法22条
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、…刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、…刃体の長さが8センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

銃刀法31条の18
次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
3号 第22条の規定に違反した者

銃刀法22条は、刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物の携帯を禁止しています。
そして、銃刀法31条の18は、銃刀法22条に違反した者には2年以下の懲役又は30万円以下の罰金を科すと規定しています。

銃刀法22条における「刃物」とは、その用法において人を殺傷する性能を有し、鋼又はこれと同程度の物理的性能を有する材質でできている片刃又は両刃の器物で刀剣類(銃刀法2条参照)以外のものをいいます。

また、銃刀法22条但書は、「刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物」であっても、「はさみ」、「折りたたみ式のナイフ」、「くだものナイフ」、「切り出し」(銃刀法施行例37条)のうち法律の要件を満たすものについては、銃刀法22条の定めから除外されると規定しています。

刑事事件例においてAさんが所持していたのは、刃渡り6センチを超えるサバイバルナイフです。
これは、銃刀法22条における「刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物」であり、また、銃刀法22条但書で除外される4種類の刃物には該当しません。

そして、Aさんの上記刃物の所持行為に銃刀法22条の「正当な理由」はありませんでした。

よって、Aさんには銃刀法違反の罪が成立することになります。

【銃刀法違反事件の身柄解放活動】

銃刀法違反事件を起こしてしまった場合、刑事弁護士はどのような刑事弁護活動を行うことができるのでしょうか。
銃刀法違反事件での刑事弁護活動は、大きく分けて、①身柄解放活動と②寛大な処分を求めるための活動に分けて考えることができます。

刑事事件例では、Aさんは銃刀法違反事件で逮捕されています。
この後、Aさんは勾留という長期間に及ぶ身体拘束がなされる可能性があります。
逮捕や勾留といった身体拘束が長期化すると、仕事や学校に行ったり、自由に家族と会ったりすることができなくなってしまいます。

そこで、刑事弁護士は、銃刀法違反事件の被疑者の方が早期釈放されるように、検察官や裁判官に対して、書面や面談などを通して、勾留の理由や必要性がないことを主張していくことができます。
刑事弁護士による働きかけ次第では、銃刀法違反事件の被疑者の方の身体拘束は早急に解かれる可能性があります。

【銃刀法違反事件の寛大な処分を求めるための活動】

銃刀法違反事件では被害者の方が存在しません。
したがって、被害者の方の存在を前提とする示談を行うことはありません。

しかし、銃刀法違反事件では、贖罪寄付を行ったり、銃刀法違反事件を捜査する検察官に対して、しっかりと反省をしていることや今後同じような事件を起こさないための再犯防止対策を取っていることなどを書面で伝えたりすることができます。

この刑事弁護士による刑事弁護活動次第では、不起訴処分の獲得や正式裁判の回避という寛大な処分を得られる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、銃刀法違反事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
銃刀法違反事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部までご相談ください。
フリーダイヤルは0120ー631-881です。
今すぐお電話ください。

ひき逃げ事件で自首②

2022-02-23

ひき逃げ事件で自首②

いわゆるひき逃げ事件を起こした場合に問題となる罪と自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都多摩市在住のAは、多摩市内の会社に勤める会社員です。
Aは営業回りで多摩市内の路上を社用車で走行していたところ、突然飛び出してきた自転車乗車中のVと接触してしまい、Vは転倒してしまいました。
Aには交通違反での反則歴があり、この事件が発覚することで免許停止や取消などの行政処分になった場合には仕事が出来なくなると思い、通報などをせずにそのまま現場を離れました。
会社に戻ったAですが、社用車に傷が付いていることを同僚に指摘され、事件を打ち明けたところ、ひき逃げ事件になってしまうので自首をした方が良いと言われ、Aは同僚とともに多摩市内を管轄する多摩中央警察署に出頭することにしました。
しかし、自首の前に専門家に相談した方が良いのではないかと考え、刑事事件を専門とする弁護士にひき逃げ事件で問題となる罪と自首について、相談しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【人身事故について】

≪前回のブログを御覧ください。≫

【ひき逃げについて】

御存じのとおり、ひき逃げとは、車両を運転していて前述のような人身事故を起こしてしまったにもかかわらず、被害者の救護活動をしたり安全な場所に移動させたりせずに、その場を立ち去る行為を指します。
ひき逃げ行為は、前述の過失運転致傷罪・同致死罪に加え、道路交通法の定める「救護義務違反」として処罰されます。
条文は以下のとおりです。

道路交通法72条1項 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

この義務に違反した場合には、以下のとおり刑事罰が科せられます。
・運転手が原因で発生した人身事故で被害者が死傷したが救護活動を行わなかった場合:10年以下の懲役又は100万円以下の罰金(道路交通法117条2項)
・上記以外で被害者が怪我をしていて救護活動を行わなかった場合:5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法117条1項)
・被害者が死傷していなかったとしても、安全な場所に移動させるなどの活動をしなかった場合:1年以下の懲役又は10万円以下の罰金(道路交通法117条の5第1号)

特に、運転手が原因で発生した事故で死傷者が出ているにも拘わらず救護活動を行わずにひき逃げした場合、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金という厳しい刑事罰が科せられます。
なお、ひき逃げ事件の中には「人身事故直後に被害者に声掛けしたが、被害者が大丈夫だと言ったからその場を離れた」と主張する方も居られますが、たとえ被害者が大丈夫と回答した場合でも、救護義務を全うし、警察官に通報する(報告する)義務があります。
≪報告義務違反についてはこちらも併せて御覧ください。≫

【自首について】

≪次回のブログに続きます。≫

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所には、人身事故を起こしたのち必要な通報や救護を行わなかったひき逃げ事件を起こしてしまったが自首したいというご相談が少なからずあります。
東京都多摩市にて、人身事故を起こしたうえひき逃げ事件を起こしてしまい、自首を検討しているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。

ひき逃げ事件で自首①

2022-02-18

ひき逃げ事件で自首①

人身事故を起こし、更にひき逃げした場合に問題となる罪と、自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都多摩市在住のAは、多摩市内の会社に勤める会社員です。
Aは営業回りで多摩市内の路上を社用車で走行していたところ、突然飛び出してきた自転車乗車中のVと接触してしまい、Vは転倒してしまいました。
Aには交通違反での反則歴があり、この事件が発覚することで免許停止や取消などの行政処分になった場合には仕事が出来なくなると思い、通報などをせずにそのまま現場を離れました。
会社に戻ったAですが、社用車に傷が付いていることを同僚に指摘され、事件を打ち明けたところ、ひき逃げ事件になってしまうので自首をした方が良いと言われ、Aは同僚とともに多摩市内を管轄する多摩中央警察署に出頭することにしました。
しかし、自首の前に専門家に相談した方が良いのではないかと考え、刑事事件を専門とする弁護士にひき逃げ事件で問題となる罪と自首について、相談しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【人身事故について】

まず、車やバイクなどの車両を運転していて事故を起こしてしまった場合には、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称:自動車運転処罰法)に違反します。
ケースの場合、飲酒や薬物などの影響を想定せず、無謀な運転や無免許状態での運転も想定していませんので、自動車運転処罰法の定める過失運転致傷罪、又は同致死罪により処罰されます。
条文は以下のとおりです。

自動車運転処罰法5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

被害者が死亡した場合には過失運転致死罪、怪我をした場合には過失運転致傷罪と呼ばれ、刑事罰が科せられます。
イメージしやすい事故
・車やバイクで歩行者や自転車を跳ねてしまった
・車同士や車対バイクの事故で相手が怪我をしてしまった
というものでしょう。
そのほかに、操作ミスなどで事故を起こしてしまい、歩行者や他の車両などには接触していないが、自分の車がガードレールに衝突するなどしてしまい、助手席や後部座席に乗っていた同乗者が死亡してしまった/怪我をしてしまった、という場合にも過失運転致死罪・同致傷罪が成立します。
過失運転致傷罪について、その程度は様々で、救急搬送が必要なほどの怪我は勿論のこと、むち打ち症などの比較的軽微な怪我についても、医師の診断書が出た場合には過失運転致傷罪として取り扱われます。

【ひき逃げについて】

≪次回のブログに続きます。≫

【自首について】

≪次回のブログに続きます。≫

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの過失運転致死事件・過失運転致傷事件やひき逃げ事件を取り扱ってきました。

運転手の多くは強制加入の自動車賠償責任保険(自賠責)に加え、任意加入の保険に加入しているため、保険会社に任せて入れば大丈夫だろう、とお思いの方が非常に多いです。
然し乍ら、任意保険に加入していたからと言って、民事上の責任はカバーできていたとしても、刑事上の責任は問われる可能性があります。
刑事罰を科せられたくない、前科を回避したいという方は、被害者の怪我の程度に関わらず、一度刑事事件を取り扱っている弁護士に相談することをお勧めします。

東京都多摩市にて、人身事故を起こしたのち警察への通報などをせずにその場から逃走してしまったことでひき逃げ事件に発展してしまい、自首を検討されているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。

電子計算機損壊等業務妨害で逮捕

2022-02-13

電子計算機損壊等業務妨害で逮捕

電子計算機損壊等業務妨害で逮捕された事例を題材に、刑事裁判について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説いたします。

事例

東京都中央区在住のAは、中央区内の会社に勤める会社員です。
Aは会社の上司からパワハラ行為を受けたことから、上司に嫌がらせをしようと企み、会社内に設置されたAが使用するPC(パーソナルコンピューター)に保存されていたデータを無断で削除することにより、会社の業務を妨害しました。
データが削除されていることに気付いたAは上層部と相談し、東京都中央区を管轄する警視庁中央警察署の警察官に相談し被害届を提出しました。
後日、Aは電子計算機損壊等業務妨害の疑いで逮捕されました。
Aの家族は、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~業務妨害の諸類型~

第35章 信用及び業務に対する罪
(信用毀損及び業務妨害)
第233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(威力業務妨害)
第234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
(電子計算機損壊等業務妨害)
第234条の2 人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し……電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。

刑法では、上記のように様々な種類の業務妨害が規定されています。
233条では偽計等による業務妨害が、234条では威力を用いた業務妨害が規定されています。
234条の2は、コンピューターなどの電子機器の普及に伴い、前2条では対応しきれなくなった態様の業務妨害を処罰するために定められた犯罪です。
上述のとおりコンピューター等がもはや業務における必需品となった現代では、このようなタイプの業務妨害は広範な範囲に被害を生じさせる危険性を有しています。
したがって、前2条の業務妨害よりも法定刑(「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」)が重くなっているのです。
なお、データの削除については、削除の対象が公用文書か私用文書であるかに応じて、電磁的記録毀棄罪(258条・259条)が成立しうる点にも注意が必要です。

~刑事裁判の流れ~

犯罪の疑いをかけられた者は、捜査機関による捜査を経て、検察官による公訴提起(起訴)によって、(略式手続等を利用しない限り)刑事裁判を受けることになります。
ここでは、通常の刑事裁判の流れを紹介いたします。
裁判はまず「冒頭手続」と呼ばれるものから始まります。
ここで、被告人が人違いでないかなどを確認した上で、起訴状が朗読され、いわゆる罪状認否といった最初の意見陳述の機会が与えられることになります。
次に行われるのが、刑事裁判のメインとも言える「証拠調べ」手続です。
ここでは、検察官側と弁護人側の証拠調べ請求に基づき、物証や人証の取調べ等が行われることになります。
裁判と聞いて、まず想起しがちな証人尋問もこの手続内で行われるものです。
そして、論告・弁論(論告求刑・最終弁論などとも呼ばれます)を経て、判決に至ることになります。
このように、(正式)裁判を受けるとなると、一定の時間がかかり裁判を受ける被告人の精神的負担も少なくありません。
したがって、このような裁判を回避するため、不起訴を獲得するための(起訴前)弁護活動も重要になってくるといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、電子計算機損壊等業務妨害罪などのいわゆるサイバー犯罪も含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
刑事事件に関する専門知識を有する弁護士が、ご相談をうけたまわります。
電子計算機損壊等業務妨害事件で逮捕された方のご家族・ご知人は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

ガソリンをかけ傷害罪で逮捕

2022-02-08

ガソリンをかけ傷害罪で逮捕

事例
東京都西東京市在住のAは、西東京市内の会社に勤めるか移審です。
ある日、Aは喧嘩のすえVに対して、持っていたガソリンを浴びせかけ、Vに怪我を負わせました。
東京都西東京市を管轄する田無警察署の警察官は、Aを傷害の疑いで逮捕しました。
Aの家族は、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~殴ったり蹴ったりしなくても傷害罪が成立~

第28章 傷害の罪
(傷害)
第204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(暴行)
第208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

多くの方が傷害罪と聞いてまず想起されるのは、殴る蹴るなどの方法によって相手方に怪我を負わせるといったものではないでしょうか。
たしかに、傷害罪として逮捕されたり、立件されたりする事件のほとんどはこのような方法によるものです。
これを法律的に言い直すと、「傷害」(刑法204条)という結果を負わせる典型的な手段は「暴行」(刑法208条参照)ということになります。

ここでいう「暴行」とは、人の身体に対する物理力の行使をいい、本件のような行為も人の身体に物理力を行使するものである以上、殴る蹴るといった行為と変わるところはありません。
そして「傷害」とは、生理的機能に障害を加えることをいいます。
これは比喩的に言うならば、人の健康状態を悪くさせることを指し、本件Vのようにガソリンを浴びせかけられれば健康状態に悪化が生じることは容易に推測され(場合よっては何らかの病変も生じ得るでしょう)「傷害」を生じさせたと考えることができます。

また、およそ犯罪が成立するためには、「罪を犯す意思」(38条1項本文)つまり故意が必要です(過失犯などの特別な例は除く(同項ただし書参照))。
では、仮に本件でAにVに傷害を負わせる故意まではなかった場合、傷害罪は成立しないのでしょうか。
ここで上記の208条の条文をもう一度見てみると、「暴行を加えた者が傷害するに至らなかったとき」に暴行罪が成立するとの定めになっています。
ここから、傷害罪とは暴行罪の結果的加重犯(基本となる犯罪から、思いがけず重い結果が生じた場合を規定する犯罪)だということが分かります。
結果的加重犯が成立するためには、基本犯に関する故意があれば足りると考えられており、AがVに傷害を負わせる故意まではなかったとしても暴行の故意に欠けるところはない以上、Aの行為には傷害罪が成立することになります。

~粗暴犯における弁護活動~

喧嘩などを想定すれば分かるとおり、傷害事件は元々感情的に対立している者の間で生じることが多い事件類型といえます。
したがって、被疑者(容疑者)となった者と被害を受けたと主張する者の主張が真っ向から対立することも少なくありません。
よって、弁護士としては、双方の意見を総合して正確な事件の筋や見通しを立てることが求められることになります。
とはいえ、被疑者(容疑者)が概ね事実を認めている場合には、刑事処分を見越して早期に被害者との示談交渉等に入ることも視野に入れるべきでしょう。
もっとも、その際には依頼者たる被疑者(容疑者)やその家族に対し、法律上・事実上のメリットやデメリットをしっかりと説明することが必須といえます。

また検察統計(2020年)によると、傷害事件で逮捕され検察に身柄が送致されると、その約8割が勾留されるに至っています(勾留請求されていない事件を除くと勾留される確率はさらに上がるでしょう)。
逮捕されてしまった場合には、弁護士との早期の接見(面会)を行うことが重要になることは間違いありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
傷害事件で逮捕された方のご家族やご知人は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお電話ください。

痴漢のつもりが強制わいせつに

2022-02-03

痴漢のつもりが強制わいせつに

電車内などで行われるいわゆる痴漢行為と強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都立川市在住のAは、立川市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは立川市内の自宅最寄り駅から鉄道に乗って勤務先最寄り駅まで行こうと列車に乗車しました。
列車は満員だったところ、Aは自身の前に立っていた女性Vに対して劣情を催し、最初は手の甲で、次いで指で、Vの臀部(お尻)を撫でまわしました。
その間、Vは恐怖で声を出せずにいましたが、それを幸いだと考えたAは、Vのスカート中に手を入れ、更には下着の中に指を入れ、陰部を直接触りました。
Aの行為を目撃した別の通勤客がAに「何をしているんだ」と怒鳴り、次の駅で降ろされたAは、通報を受けて臨場した東京都立川市を管轄する立川警察署の警察官によって逮捕されました。
その際Aは、自身にかけられている嫌疑が俗にいう痴漢ではなく強制わいせつであると知らされました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【痴漢について】

御案内のとおり、公共の場所や公共交通機関の車内などで他人の臀部(お尻)や胸などに触る行為は、痴漢行為と呼ばれます。
我が国では、痴漢罪などの法律はありませんが、各都道府県の定める迷惑防止条例に違反する行為です。
ケースは東京都立川市での痴漢事件を想定していますので、東京都の定める公衆に著しく迷惑をかける暴力行為等の防止に関する条例(以下、迷惑防止条例)が問題となります。
該当する条文は以下のとおりです。

東京都迷惑防止条例5条1項
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1号 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

東京都の場合、罰条は「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金」と定められています。

【痴漢ではなく強制わいせつに?】

まず前提として、前述した痴漢行為は、被害者にとって(被害者が女性だった場合でも男性だった場合でも、また、加害者側が異性であれ同性であれ)精神的に深い傷を負わせることに繋がる卑劣な行為です。
しかし、Aのように悪質な行為であれば、痴漢による迷惑防止条例違反ではなく、より重い罪である強制わいせつ罪の適用が検討されます。
強制わいせつ罪の条文は以下のとおりです。
強制わいせつ
刑法176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ事件は、痴漢と同じような場合でもその程度が著しい場合に成立します。
具体的な線引きがあるわけではなく、捜査機関は行為に及んだ回数・時間・態様などを客観的に検討したうえで、痴漢事件として迷惑防止条例違反で立件するか、強制わいせつ事件として強制わいせつ罪で立件するかを検討します。
ケースの場合、被疑者(容疑者)Aは被害者Vの下着の中に指を入れていますが、このような場合は強制わいせつ罪で立件されやすいと言えます。
他方で、例えば臀部(お尻)を撫でまわすような行為であっても、その行為が長時間に及んだ場合などは強制わいせつ罪に問われる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所には、痴漢強制わいせつなどの性犯罪の相談が多数寄せられています。
刑事事件・少年事件では、事件の内容や被害者の方の感情などにより、様々な弁護活動が想定されます。
東京都立川市にて、痴漢強制わいせつなどの性犯罪で捜査を受けている方、あるいは家族が痴漢強制わいせつ罪で逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。

リフォーム詐欺で逮捕

2022-01-29

リフォーム詐欺で逮捕

リフォーム詐欺逮捕された事例を題材に、詐欺事件における刑事弁護活動などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例
東京都世田谷区在住Aは、無料で住宅の点検をするという名目で世田谷区内にあるV方に上がり込み、Vに対し床下に水漏れ箇所があるなどと、本来不必要な工事が必要であるかのように嘘をつき、これを信じたVから補修工事名目で金銭をだまし取った。
世田谷区内を管轄する玉川警察署の警察官は、Aを詐欺の疑いで逮捕した(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~詐欺罪および特定商取引法違反~

第37章 詐欺……の罪
(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法246条1項は、財物に対する詐欺(いわゆる1項詐欺)を処罰する旨の規定です。
詐欺罪の定めは一見単純に見えますが、同罪が成立するためには、①「人を欺いて」(欺く行為)→②被害者の錯誤→③錯誤に基づく被害者の「交付」(交付行為)→加害者の「財物」の取得という要件が満たされる必要があります。
「人を欺いて」とは、人の錯誤を惹起するものであって財物の交付に向けられたものである必要があります。
本件では、Aは本来必要ない水漏れ等の補修工事が必要である旨の嘘をついており、これは建物の専門的な構造等に明るくないVの無知に付け込んで、補修にかかる代金を交付させる危険性を有する行為といえ、「人を欺いて」(欺く行為)といえます。
そして、VはこのAの嘘によって補修工事が必要であるとの誤信し、かかる錯誤に基づいて補修工事代金を「交付」し、Aが金銭という「財物」を得ていることから、Aの行為に1項詐欺罪が成立するものと考えられます。

特定商取引に関する法律
第70条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第6条……に違反した者

第6条 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し……不実のことを告げる行為をしてはならない。
(以下、省略)

なお、本件では刑法犯である詐欺罪に加え、上記特定商取引法6条によって禁止されている不実の告知が認められることから、同法70条1号違反の罪も成立する可能性があることにも留意する必要があります。

~詐欺事件における刑事弁護活動~

詐欺事件においては、極めて単純な事例では在宅事件として逮捕(・勾留)されないケースもありますが、そうでない限り本件のように逮捕(・勾留)されるリスクは決して低くない事件類型です。
そして、逮捕(・勾留)されてしまった場合に一番の懸案事項となるのが、起訴されてしまうかどうかでしょう。
一般に起訴されてしまう(刑事裁判となってしまう)かどうかは、詐欺によって生じた被害が回復されているかどうかが大きな分水嶺の一つとなるといわれています。
本罪は財産犯であることから、被害弁償による侵害された財産的価値の回復が必須といえるでしょう。
さらに、詐欺事件は組織ぐるみで行われることも多いことから、被疑者・被告人が多数に上るなど捜査・公判段階いずれを通しても不確実性が高く、経験・実績と専門性を有する刑事弁護士に相談することが不可欠です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、詐欺事件を含む刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件を専門とする弊所には、詐欺事件に関する弁護活動の経験が豊富な弁護士が多数所属しています。
東京都世田谷区にて、リフォーム詐欺などの嫌疑で御家族が逮捕されてしまった場合。24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお電話ください。

ひったくりはどのような罪?

2022-01-24

ひったくりはどのような罪?

ひったくり事件を起こした場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都豊島区在住のAは、豊島区内の会社に勤める会社員です。
Aは生活に困り、お金を下ろしてきたであろう高齢者を狙ってひったくりを行おうと考えました。
そこで、豊島区内の銀行前で待ち伏せをし、銀行から出てきた高齢者Vのカバンをひったくろうとしましたが、Vがカバンを抑えてとられないよう抵抗しました。
AはVの足を蹴り、倒れたところでカバンを奪って逃走しました。
通報を受けて捜査を開始した豊島区内を管轄する巣鴨警察署の警察官は、目撃情報と服装が一致していたAに職務質問を行い、被疑事実を認めたため緊急逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAの家族は、ひったくりは状況によっては裁判員裁判に処される重大な罪に当たるという説明を受けました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ひったくりについて】

他人が持っている財布や封筒、カバンなどを突然奪って逃走する行為をひったくりと呼びます。
ひったくりは、窃盗罪(+暴行罪)又は強盗罪に当たります。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(強盗罪)
刑法236条1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以下の有期懲役に処する。

強盗罪は「暴行又は脅迫」がどの程度のものか、そして「強取」したと言えるのか、という点が問題となります。
「暴行又は脅迫」について、判例は「被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の身体に向けられた不法な有形力の行使」をいうとしています。
具体的には、事件当日の時刻や場所、年齢、性別、凶器を用いているかどうか等の様々な事情が考慮されます。
「強取」は、上記暴行・脅迫を手段として、被害者が持っていた物の占有を取得することを意味します。
暴行・脅迫によって、被害者が実際に反抗抑圧状態に陥らず、恐怖心を抱かせたにとどまる場合でも、客観的に反抗抑圧に足りる暴行・脅迫であれば、強盗罪にいう暴行又は脅迫に当るとされています。

上記の事情を考慮したうえで、強盗罪にあたるのか、窃盗罪、あるいは窃盗罪と暴行罪又は傷害罪に当たるのかを評価されます。
窃盗罪で刑事裁判になった場合には(1月以上)10年以下の懲役か、(1万円以上)50万円以下の罰金となっているため略式命令による罰金刑に処される可能性がありますが、強盗罪は5年以上20年以下の懲役としかないため略式命令には処されることなく公開の法廷で裁判に処せられることになります。
強盗罪にあたるのか窃盗罪と評価されるのかという点は、量刑に於て極めて重要です。

【ひったくりした際に被害者が怪我をした場合には更に重い罪に】

ひったくりをした際の暴行で相手を怪我させた場合には強盗傷害罪、暴行の結果相手が転倒するなどして怪我をさせた場合には強盗致傷罪が、それぞれ適用されます。
条文はどちらも同じで、以下のとおりです。

刑法240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

条文は、前段が強盗致傷罪・強盗傷害罪を、後段が強盗致死罪・強盗殺人罪を、それぞれ規定しています。
いずれの場合も「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」に該当するため、ひったくりをした際に被害者が怪我をした場合には裁判員裁判の対象となり、通常の職業裁判官のみで行われる裁判に比べて厳しい罪が科せられる可能性があります。
また、裁判員裁判は通常の刑事裁判に比べて公判が始まるまでに長期間を要するため、裁判前の準備や保釈のタイミングなど、刑事手続きの知識や経験が重要になります。

東京都豊島区にて、ひったくり事件を起こしてしまい裁判員裁判になる可能性がある場合、裁判員裁判の経験がある弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。

強制性交等事件(旧強姦事件)で逮捕

2022-01-19

強制性交等事件(旧強姦事件)で逮捕

強制性交等事件(旧強姦事件)で逮捕されたケースを題材に、性犯罪における弁護活動等ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

東京都足立区在住のAは、都内の大学に通う21歳の大学生です。
Aは、近所に住む足立区在住のV(20歳)と無理やり性行為をしたいと考え、Vに対し、暴行を加えてVを失神させて性行為を行いました。
Vからの被害申告を受けて捜査を開始した足立区内を管轄する竹ノ塚警察署の警察官は、Aを強制性交等(旧強姦)の疑いで逮捕しました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~強制性交と準強制性交~

刑法177条前段は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」と強制性交等罪(旧強姦罪)を規定しています。
これに対し、178条2項では、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条(注:177条)の例による」と準強制性交等罪(旧準強姦罪)を定めています。
本件では、VはAの行為によって心神喪失に陥っているため、「心神を喪失させ」て「性交」をしたとしてAの行為には準強制性交等罪(178条2項)が成立するようにも思えます。

この点、上述した177条は、「暴行又は脅迫」を用いて性交等した場合を、典型的な強制性交等罪(旧強姦罪)としています。
ここにいう「暴行」「脅迫」とは、判例・通説上、被害者の反抗を著しく困難にする程度の「暴行」「脅迫」を指すと考えられています。
これに対し、178条2項における「心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」とは、177条にいう「暴行」「脅迫」以外の手段によって、心神喪失・抗拒不能に陥れることをいうと解されています。
したがって本件では、AのV(20歳)に対する「暴行」によって、Vを失神させ反抗を著しく困難にさせて「性交」を行っていることから、準強制性交等罪ではなく、強制性交等罪(旧強姦罪)が成立することになるのです。
なお、現行の刑法においては、改正前にあった「女子」の文言を削除していることから、被害者の性別に関わらず各条所定の手段を用いて「性交等」を行った場合には、(準)強制性交等罪(旧(準)強姦罪)が成立しうることにも注意が必要です。

~性犯罪事件における弁護活動について~

刑法は平成29年改正(2017年改正)によって、強制性交等罪(旧強姦罪)を含む第22章の性犯罪規定の多くを非親告罪化しました(改正前の親告罪の規定を削除)。
親告罪とは、検察官による事件を起訴するに当たって、被害者の告訴を必要とする犯罪をいいます。
つまり、従前は親告罪においては被害者と示談し、告訴を取り下げてもらうことで起訴され刑事裁判となることを確実に回避することができたのです。
もっとも、非親告罪化された現在でも、被害者と示談することが無意味なったわけでは決してありません。
起訴されるかどうか(刑事裁判になるかどうか)を判断するにあたっては、被害者の意思が尊重されるのが実務における運用であり、示談を締結することは極めて重要となります。
したがって、本件のような性犯罪事件における弁護活動としては、この示談交渉が最大の焦点となるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制性交事件(旧強姦事件)を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
弊所では、性犯罪事件の経験豊富な弁護士が事案に即した丁寧な弁護活動を行ってまいります。
東京都足立区にて、強制性交事件(旧強姦事件)などの性犯罪事件で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにお電話ください。

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