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偽造処方せんで向精神薬を取得し逮捕

2022-01-14

偽造処方せんで向精神薬を取得し逮捕

偽造した処方せんを使用し向精神薬を取得した事件を題材にして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が刑事弁護活動等について解説いたします。

事例

東京都北区在住のAは、北区内にある民間の病院を受診した際に、医師から処方せんの交付を受けました。
Aは、この処方せんをカラーコピー機で偽造した上で、偽造した処方せんを使用し複数の薬局において薬剤師から向精神薬を購入しました。
東京都北区を管轄する滝野川警察署の警察官は、Aを麻薬及び向精神薬取締法等の疑いで逮捕しました(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~偽造した処方せんを行使して向精神薬を取得~

Aの行為には、後述するとおり私文書偽造罪や詐欺罪といった刑法犯が成立する可能性があります。
もっとも、上記行為は薬物に関する取締り規定にも反し得るという点を見落としがちです。
この点、麻薬及び向精神薬取締法は、業者のみならず個人に対しても、処方せんの偽造行為に関する処罰規定を置いています。

麻薬及び向精神薬取締法
第七十二条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一~三(略)
四 向精神薬処方せんを偽造し、又は変造した者

すなわち、上記規定により、Aの偽造行為は刑法犯のみならず、同法による処罰対象となるのです。
したがって、Aが処方せんを偽造した行為には、特別刑法犯として麻薬及び向精神薬取締法72条4号に反するものということができます。

そして、上述したようにさらに重い罪として刑法上の犯罪も成立しうることにも注意が必要です。
まず、Aが処方せんをカラーコピー機で偽造した行為には、上記麻薬及び向精神薬取締法違反に加えて、刑法159条1項の私文書偽造罪が成立することになるでしょう。
そして、かかる偽造した処方せんを行使したことについて、偽造私文書行使罪(刑法161条1項)が成立します。
さらに、Aはこの偽造した処方せんを提示して、薬剤師の所属する薬局から「財物」たる向精神薬をだまし取っていることから、刑法246条1項の詐欺罪も成立することになります。
文書偽造に関しては「三月以上五年以下の懲役」、詐欺については「十年以下の懲役」とより重い法定刑が定められていることに注意が必要です。

~刑事弁護士による弁護活動のメリット~

逮捕されてしまうと、被疑者(容疑者)は、密室である取調室において捜査のプロである取調官と対峙しなければなりません。
また、捜査のプロであるといっても、違法不当な捜査や取調べを行わないとは限らない点に注意が必要です。
したがって、弁護士と早期に面会(弁護士には逮捕された方と立会人なしで面会できる法律上の特権を有します)するなどして、取調べ対応等について適切なアドバイスを受ける必要があります。
さらに、弁護士は面会において、被疑者(容疑者)自身の言い分をしっかり聞き取ることが可能です。
あくまで捜査側に立つ取調官は取調べにおいて、被疑者(容疑者)の言い分を十分に聞いてくれるとは限らず、この点に関しても弁護士との面会は重要性を有します。
また、逮捕されてしまうと、隔離された空間で孤立してしまうことから精神的な負担も少なくありません。
このようなメンタルケアの観点からも、定期的な弁護士との面会は重要といえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含む刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件の対象は刑法犯のみならず特別刑法犯など多岐に渡るため、刑事弁護士の専門知識と経験が不可欠となります。
東京都北区にて、麻薬及び向精神薬取締法事件等で逮捕された方のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にご連絡ください。

晒し行為で名誉毀損に

2022-01-09

晒し行為で名誉毀損に

いわゆる晒しと呼ばれる行為で問題となる名誉毀損などの罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都板橋区在住のAは、板橋区内の会社に勤める会社員です。
Aは近隣住民である自営業のVと騒音トラブルを起こして不仲に陥り、AはVを貶めるため、SNS上で誰もが見られる公開のアカウントを開設し、「○○の会社を運営しているVは性犯罪での前科があり、服役した経験がある」と投稿しました。
数ヶ月後、Aの自宅に板橋区内を管轄する高島平警察署の警察官が来て、SNS上の投稿について聞きたいことがあるとして任意同行を求められました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【いわゆる晒し行為】

インターネット・スマートフォンの普及に伴い、インターネットのブログやSNSなど用いて、一般人であっても全国・全世界に情報を発信することが容易な時代になりました。
そこで、しばし自分が気に入らない人や倫理的・法的に問題のある行為などについて実名や顔写真、何かしらの行為を撮影した動画や画像などを不特定多数の者に発信する「晒し行為」などと呼ばれる私刑が横行しています。
晒し行為は、どのような罪に当たるのでしょうか。

・名誉毀損罪
晒し行為により他人の名誉を傷つける言葉を流布したり画像や動画をアップロードした場合には、名誉毀損罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。
刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

第一に、公然性について、そもそも、明治40年公布の刑法では、インターネットなどの存在は想定しておらず、専ら印刷物で情報を広めることを想定していたと考えられます。
しかし、現代では先述のとおりインターネットを通じて個人が情報を容易に発信することができるようになったため、これらも公然性が認められる場合が当然にあると考えられます。
例えば、誰しもがアクセスできるような形でアップロードしたブログやSNSなどであれば、公然性があると認められます。
他方で、現在我が国に於て広く普及しているブログやSNSの場合、特定の者にしか見られないように設定することもできるため、アップロードの方法次第で公然性が認められる事案なのかどうか、区別されます。
第二に、事実を摘示するという点について、これは条文に記載のとおり「事実の有無」を問うていません。
前科があるということを積極的に発信することは、被害者の名誉を毀損する内容の「事実」を公然と摘示したと言えますので、Aが発信した情報が「真実」であってもなくても、名誉毀損罪が成立します。

・偽計業務妨害罪
名誉毀損罪はAがV個人の名誉を害することについて適用されますが、それに加え、AはVが個人事業主として仕事をしている会社の屋号を公表しています。
これにより、Vの事業が妨害をされる恐れがあることから、偽計業務妨害罪の適用が検討されます。
条文は以下のとおりです。
刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

「前科があるが更生に向けて取り組んでいる」等の事情であればともかく、単に「前科がある」という内容が世間に出回った場合、消費者はその会社から商品を購入したくないという心情に陥ったり、取引先等がその会社を敬遠する恐れがあります。
このように、嘘の情報を用いて業務を妨害する行為は、偽計業務妨害罪として処罰されます。
これは、結果的に売り上げが落ちた、などの具体的な妨害の事実は必要とせず、ケースのような表現それだけで偽計業務妨害罪は成立します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所は、名誉毀損罪や偽計業務妨害罪といったSNSなどの情報がもととなって生じた刑事事件に対応しています。
東京都板橋区にて、いわゆる晒し行為により名誉毀損罪や偽計業務妨害罪で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

自転車の一時利用で逮捕

2022-01-04

自転車の一時利用で逮捕

自転車一時利用で逮捕されてしまった事例を題材に、刑事弁護士の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~
東京都港区高輪在住のAは、港区高輪の会社に勤める会社員です。
Aはある休みの日に、港区内を歩いていたところ、他人の自転車が無施錠のまま駅の駐輪場の近くに停められていることに気づきました。
Aは、この自転車を度々使用しては、元の場所に戻す行為を繰り返していました。
事件当日、自転車を利用していたAは、港区高輪を管轄する高輪警察署の警察官の職務質問を受け、その後、占有離脱横領罪の疑いで逮捕されました。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)

~自転車の一時利用と占有離脱物横領罪~

(遺失物等横領)
第254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

この罪(刑法254条)は、「遺失物」や「漂流物」の他「占有を離れた他人の物」(以下、占有離脱物という)を「横領」した場合に成立する犯罪です。
横領罪の一種ではありますが、特に占有離脱物横領罪は窃盗罪との区別が問題となることが多い犯罪です。
なぜなら、占有が被害者に残っているか否かはその判断が難しいことも少なくなく、実務上もどちらの犯罪が成立するかはケースバイケースと言わざるを得ないからです。
そこで本件では、すでに自転車の占有が自転車の所有者(あるいは占有者)から離れてしまった状態であることを前提に、犯罪の成否を検討してみましょう。

一般に財産罪については、「罪を犯す意思」(刑法38条1項本文)すなわち「故意」に加えて、不法領得の意思という財産罪に特有の要件が必要となります。
そして、横領罪における不法領得の意思は、窃盗罪等とは異なり、「他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い処分・利用する意思」(いわゆる利用処分意思)があれば足りるものと解されています。
したがって、仮にこれが認められない場合、犯罪を犯す故意を有していた場合でも、「横領」行為がないことから犯罪は成立しないことになります。
では、本件のような他人の自転車一時利用する場合にも、上記利用処分意思が認められるのでしょうか。
この点、本件のように他人の自転車を一時的とはいえ、その経済的用法に従い利用することは、本来自転車の所有者でなければ行い得ない行為といえ、Aの行為は「横領」行為として、占有離脱物横領罪が成立する可能性は十分にあると考えられます。
ただし、この判断もまた微妙であり、専門性を有した弁護士と法律相談等を行うことが不可欠であるといえるでしょう。

~逮捕された場合(身柄事件)における弁護活動~

憲法34条前段は、「抑留又は拘禁」された者(すなわち逮捕・勾留等された者)には「直ちに弁護人に依頼する権利」を有する旨を規定しています。
これを具体化し、実効性を与えたのが刑事訴訟法39条1項による、接見交通権です。
この接見交通権は、「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者」と「弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者」が立会人なくして接見することを認めるものです。
この憲法に由来する権利により、逮捕・勾留等されてしまった方も、弁護士と相談し、助言・援助を受ける機会を得ることができます。
なお、刑事訴訟法39条3項は、捜査機関による接見指定権(上記接見交通権に対する一定の制限)を認めていますが、実務上は原則的に弁護士によるスムーズな接見を認める傾向にあるといわれており、現在では早期接見に対する障害は少ないと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、占有離脱物横領罪を含む刑事事件を専門として取り扱っている法律事務所です。
占有離脱物横領事件で逮捕された方の早期接見をご希望のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

また在宅事件の場合も、高い専門性を有する刑事弁護士との無料相談をお受け頂くことが可能ですので、上記フリーダイヤルまでご連絡をお待ちしております。

身代わり出頭での犯人隠避事件

2021-12-30

身代わり出頭での犯人隠避事件

ひき逃げ事件で問題となる罪と、身代わり出頭した側の犯人隠避事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都八王子市在住のAは、八王子市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは交際相手Xから連絡が来て、「八王子市内で事故を起こして通行人が転倒して流血してしまったが、自分は運転免許停止処分中なので、見つかったら大変なことになる。」と言われました。
Aは、「それなら私が身代わり出頭する。」とXに言い、当時の事故の状況を聞いたうえで、事故を起こした八王子市内を管轄する高尾警察署に自首という形で身代わり出頭しました。
当日Aは取調べを受けて帰宅しましたが、その数日後に高尾警察署の警察官が自宅に来て、Xをひき逃げ事件で、Aを身代わり出頭で、それぞれ逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ひき逃げ事件について】

まずは、ひき逃げ事件を起こしたXの行為について検討します。
ケースでは飲酒や薬物、あるいはスピード違反などの危険な運転ではなく、且つ運転免許を一度は有していたという設定です。
このような場合、
①運転中の過失により被害者を怪我させてしまったという罪
②事故を起こして怪我人が生じているにも関わらず、通報する義務を怠ってその場を離れた罪
の2つの罪に当たります。
①については、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の定める過失運転致傷罪が成立します。(詳細はこちらも併せてご参照ください。
②については、いわゆるひき逃げと呼ばれる道路交通法の定める救護義務に違反します。(詳細はこちらも併せてご参照ください。

加えて、Aは免許停止処分中に運転をしているということから、無免許運転にも当たります。(詳細はこちらも併せてご参照ください。

【犯人隠避事件について】

ケースのように、何かしらの理由で犯人の身代わりになって出頭する行為は、犯人隠避という罪に当たる恐れがあります。
犯人隠避罪は、一定以上の罪に当たる行為をした、あるいはしたと疑われている者の逃亡を手助けした場合に適用される罪です。
具体的には①罰金刑以上の刑に当たる者の逃走を手助けした場合と、②拘禁中の者の逃走を手助けした場合が挙げられます。
ケースの場合は、過失運転致傷罪・救護義務違反・無免許運転といういずれも罰金刑以上の刑罰が用意されている罪を犯したXが、逮捕等拘禁されていない時点で逃走の手助けをしていることから、①の要件を満たしているとされ犯人隠避罪が成立する可能性があります。

なお、犯人隠避罪の対象となるのは、あくまで手助けした者(ケースのA)が対象であり、実際に事件を起こした者(ケースのX)はこの罪には当たりません。
ただし、犯人隠避罪を教唆した場合に犯人隠避教唆罪で処罰される可能性があります。

刑法103条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都八王子市にて、自分が起こしていないひき逃げ事件について身代わり出頭するなどして犯人隠避事件を起こしてしまい、身柄拘束されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは弁護士が初回接見というかたちで接見を行い、逮捕・勾留されている方から事情や取調べの内容を伺ったうえで、今後の見通しについて御説明します。

被害者が死亡した喧嘩

2021-12-27

被害者が死亡した喧嘩

喧嘩の結果被害者死亡したという場合について問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都杉並区在住のAは、杉並区内の会社に勤める会社員です。
Aには交際相手Vがいましたが、Vから交際解消を申し出られました。
Aは交際を継続したいと言いましたがVから受け入れられず、口論になり、最後には殴る蹴るの喧嘩に発展しました。
その過程でAがVに馬乗りになって押さえつけたところ、Vは息をしなくなりました。
Aは慌てて消防局に通報しましたが、Vは死亡しました。
その後、Aは臨場した杉並区を管轄する高井戸警察署によって逮捕されました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【相手が死亡した場合にはどのような罪にあたる?】

ケースのように、喧嘩によって相手が死亡してしまった場合には、以下のような罪が成立します。
・殺人罪
被疑者(加害者側)の暴行の結果被害者が死亡した場合にまず考えられる罪としては、殺人罪が挙げられます。
殺人罪の条文は以下のとおりです。
刑法199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

殺人罪に当たる行為とは、被害者を殺害しようとする意思(殺意)をもって暴行を加える等した結果、被害者が死亡するというものです。
殺意は、明確に相手を殺してやろうという意思をもっての行動だった場合は勿論のこと、もしかしたら相手が死んでしまうかもしれない、という可能性を想像しつつとった行動で被害者が死亡してしまった場合にも、成立します。(いわゆる未必の故意)
捜査機関は、被疑者の殺意を裏付ける証拠が得られた場合には、殺人罪で起訴することになります。
具体的には、事件の態様(執拗に殴った、刺した等の事情が見受けられるか)・事件直後に消防局へ通報しているか・凶器を用いたかどうか・前々から準備していたのか突発的な行為なのか・暴行等に至った原因・以前から怨恨や痴情のもつれがあったのか、などの主観・客観的な供述や状況を総合的に検討し、判断されることになります。

・傷害致死罪
殺人罪の要件である「殺意」の立証が出来なかった場合についても、傷害致死罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。
刑法205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

傷害致死罪は、刑法204条の定める傷害罪の結果的加重犯と呼ばれるものです。
相手に暴力を振るう意思をもって暴行を加えたところ、被害者が怪我をし、その結果として死亡してしまった、という場合に成立します。

殺人罪と傷害致死罪では、刑事罰に大きな差があります。
いずれの罪で起訴されるのかという点は極めて重要なポイントです。

【喧嘩の場合は正当防衛が成立する場合も】

但し、喧嘩のように双方が暴行を行った結果での殺人罪・傷害致死罪の場合、正当防衛や過剰防衛が成立する余地があります。
正当防衛は下記条文の1項、過剰防衛は同2項です。
刑法36条1項 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
 2項 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

喧嘩については、原則として正当防衛・過剰防衛は認められません。
但し、例外として素手で喧嘩をしていたところ突如相手が凶器を持ち出した場合など、単なる喧嘩に留まらない急迫不正の侵害が生じた場合などについては、正当防衛や過剰防衛が検討されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで喧嘩などの結果被害者死亡してしまったといった重大事件の弁護活動の経験がございます。
東京都杉並区にて、家族が喧嘩などの結果被害者死亡してしまったという事件で逮捕・勾留されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

未成年者との真剣交際?

2021-12-23

未成年者との真剣交際?

未成年者とのわいせつな行為と真剣交際の主張について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都千代田区在住のAは、千代田区内の会社に勤める40代の会社員です。
AはSNSを通じて知った15歳の児童Vと頻繁に連絡を取り合うようになり、結婚しようなどのやり取りをし、実際に会おうという話をしました。
そして、待ち合わせ時間を決めて千代田区内の喫茶店でお茶をしたのち、ホテルに入ってわいせつな行為をしました。
そのホテルの受付をしていた従業員がVの年齢に疑問を持って千代田区内を管轄する麴町警察署に連絡し、AとVとがホテルを出たところで警察官は声掛けしました。
Vが15歳であることを確認した警察官は、Aに対して「淫行条例等に当たる可能性があるので任意同行に応じてほしい。」と説明しました。
Aは警察官に対し、「結婚を前提とした真剣交際である。」という主張をしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【未成年者とのわいせつ行為で問題となる罪】

ケースでは、AとVとの性別は特に想定していませんが、年齢についてはVが15歳であることを想定しています。
我が国では、18歳未満(17歳までの者)とわいせつな行為をした場合には下記のような法律に違反することとなります。
・淫行条例違反
淫行条例は俗称で、事件地の都道府県によって条例名が異なります。
ケースは東京都千代田区での事件ですので、東京都青少年の健全な育成に関する条例が問題となります。
条文は以下のとおりです。
条例18条の6 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

罰条:二年以下の懲役又は百万円以下の罰金

・児童買春
最も、Aの行為については、淫行条例違反ではなく児童買春の罪が適用される可能性があります。
条文は以下のとおりです。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条2項 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
 1号 児童

淫行条例違反と児童買春の一番の違いは、対償の供与やその約束があるか否かという点です。
分かりやすい児童買春は、例えば児童に対して5万円を支払うなどして性行為や性交類似行為をすることです。
ケースではそれらの事情は伺えませんが、AがVの喫茶店での食事代やホテル代の全額を支払ったのであれば、それを以て対償の供与があったとして児童買春に処せられます。

【真剣交際は通用する?】

児童買春や淫行条例違反の事件を起こした方の中には、真剣交際の主張が通用するのではないかという質問があります。
すなわち、結婚を前提に交際をしているのに、なぜ違法なのかという主張です。
次に淫行条例について、例えば、このブログを作成している令和3年9月9日時点に於て、女性の婚姻適齢は16歳です。
この点、淫行条例違反や児童買春の罪と相反しているかにも思えます。

とはいえ、児童買春について検討すると、真剣な交際をしているのであれば「対償の供与」が生じる余地はないため、真剣交際の主張は通用しないと言えるでしょう。

次に淫行条例違反について、条文を見ると、東京都の淫行条例は「みだらな性交又は性交類似行為」を禁止しています。
みだらな、すなわち淫行について、判例は
①青少年を…その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、
②青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
と定義しています。

ケースについて検討すると、AとVとは年齢が25歳以上離れていて、SNSでやり取りをした程度で性行為をした当日までに一度も会ったことがなく、当然に保護者への紹介や挨拶もない、そのような状況で、SNSで結婚しようなどとやり取りをした程度で真剣交際にあたるという主張は通用しないと考えられます。

他方で、AとVとの年齢が近く、デートなどの交際を繰り返していて、未成年者の保護者へ説明・紹介をしているという場合であれば、しっかりと真剣交際を主張することで罪に当たらない、あるいは刑罰が軽減されることに繋がります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都千代田区にて、淫行条例違反や児童買春の罪で捜査を受けている、真剣交際を主張したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご相談ください。

男性が痴漢の被害者に

2021-12-13

男性が痴漢の被害者に

痴漢事件で男性が被害に遭った場合に問題となる罪と示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都足立区千住在住のAは、足立区内の会社に勤める女性会社員です。
満員電車に乗っていたAは、同じ車両に乗っていた会社員男性Vに対し、ズボンの上から陰部を触るなどのいわゆる痴漢行為をしてしまいました。
被害者であるVが声を上げ、次の駅で降ろされたAは、駅員の通報により臨場した足立区内を管轄する千住警察署の警察官に促され、任意で取調べを受けることになりました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【男性が痴漢の被害に遭うことも】

痴漢事件というと、加害者側が男性、被害者側が女性という印象が強いと思います。
実際の事件でもそれが大半であることは事実ですが、男性が被害に遭う痴漢事件というものも実在します。
ケースは加害者を女性、被害者を男性としましたが、加害者も被害者も男性、あるいは女性ということも考えられます。
ケースは東京都足立区での痴漢事件を想定していますので、東京都が定める公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例が問題となります。
条文は以下のとおりです。

第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1項 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

【示談交渉について】

痴漢事件のような被害者がいる事件の場合の弁護活動の一つに、示談交渉が挙げられます。
示談交渉は、加害者側が被害者の方に対して謝罪や弁済を行うことで、被害者側に被害届の取下げや刑事告訴の取消などを依頼するかたちで、その内容は示談書・合意書といった書面で締結されることが一般的です。
その内容はテンプレートがあるものではなく、被害者の感情に応じて、例えば加害者側が被害者の希望する列車・車両に乗車しないことを誓約する場合や、被害者の引越し代を負担する・加害者側が事件近くの場所から引越しをする等、様々な誓約を行う場合が考えられます。

示談交渉は必ず弁護士が行わなければならない事項ではなく、例えば当事者間で示談交渉を行うことは可能です。(第三者が関与した場合、非弁行為にあたるため注意が必要です。)
しかし、性犯罪や暴力事件等において、被害者が加害者と直接連絡をとることは心理的負担が大きいため、被害者が加害者に連絡先を開示したくないと考える場合がほとんどです。
このような場合に、警察官や検察官などの捜査機関が示談を仲介することはありません。
そこで、加害者側が代理人を立てるか、被害者側が代理人をたてる必要があります。
しかし、事件の多くは被害者側は代理人を立てない、あるいは刑事事件が終了した後に被害者側が損害賠償請求のために代理人を立てるという場合がほとんどで、刑事事件の処分が決められる前に示談交渉を行いたいと考えた場合、加害者側が代理人弁護士を立てて、示談交渉に臨む必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの痴漢事件についての無料相談・弁護活動に対応してきました。
痴漢と呼ばれる事件に対して、軽微な犯罪であると思っている方も居られるようですが、被害者にとっては忘れられない傷にもなり得る事件であり、加害者側としては誠実な対応が求められます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では、在宅事件の場合は事務所にて無料で相談を受けることができますので、まずは御相談を受けてみてはいかがでしょうか。

他人に体液をかけた場合の罪

2021-12-06

他人に体液をかけた場合の罪

他人に体液をかけた場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都世田谷区在住のAは、世田谷区内の会社に勤める会社員です。
Aは職場での上司との対立からストレスが溜まり、そのストレス発散のため、自分の体液(尿)をフィルムキャップに入れ、世田谷区内を深夜歩いている異性めがけて顔面に掛け、逃走するという事件を繰り返し起こしていました。
ある日、Aの自宅に世田谷区を管轄する世田谷警察署の警察官が来て、家宅捜索を行い、Aを他人に体液をかけた嫌疑で通常逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【体液をかけて器物損壊罪?】

事例でAが行った体液をかけるという事件で成立しうる犯罪の1つが、器物損壊罪です。

刑法第261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

一般に、器物損壊罪の「損壊」とは、広く物本来の効用を失わせしめる行為を含むものをされています。
例えば硫酸を服に掛けるなどして服を溶かすようなかたちで物理的に破壊してしまうことは、いわずもがな「損壊」に当たると言えます。
ケースの場合、被害者はAの体液をかけられているので、このように物理的な破壊行為は行われていません。
しかし、他人の体液をかけられた衣服やカバンなどの持ち物をまた着用しようと考える人は多くないでしょう。
このような場合、物理的な破壊はありませんが、体液がかかった洋服や持ち物は「効用を害された」として、器物損壊罪が成立します。

器物損壊罪は、「親告罪」いって、被害者等からの刑事告訴がなければ検察官は起訴できない罪です。
つまり、起訴される前に告訴を取り下げてもらったり告訴をしないという合意を交わすことができれば、不起訴処分を獲得できることになります。

しかし、特に今回のAのような体液をかけるようなかたちで行われた器物損壊事件では、被疑者(加害者)やその家族が被害者の連絡先を教えてもらえる可能性は極めて少ないと言えます。
そのため、被疑者は第三者である弁護士に依頼をして、示談交渉を進めていくことになります。

【体液をかけて暴行罪?】

Aがかけた体液がVの所持品や衣服ではなくVの身体にかかった場合には、暴行罪が成立する可能性があります。

刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、他人の身体に対して不法な有形力の行使をすることを指します。
一般によくイメージされる、他人を殴ったり蹴ったりして直接的に暴力を振るうことももちろん暴行罪の「暴行」に当たります。
これに加えて、他人の身体に直接触れなくとも他人の身体に向けて不法な有形力の行使があればよいことから、例えば他人の身体に物を投げつけたりするような行為も暴行罪の「暴行」となりえます。

過去の裁判例では、他人に塩を数回振りかけたという行為が暴行罪に問われたケースで、「刑法第208条の暴行は、人の身体に対する不当な有形力の行使を言うものであるが、右の有形力の行使は、所論のように、必ずしもその性質上傷害の結果発生に至ることを要するものではなく、相手方において受忍すべきいわれのない、単に不快嫌悪の情を催させる行為といえどもこれに該当するものと解すべき」とされ、塩を他人に振りかける行為が暴行罪の「暴行」に当たるとされました(福岡高判昭和46.10.11)。

このように暴行罪の「暴行」を考えると、体液を他人にかけるという行為でも暴行罪が成立する可能性があることがお分かりいただけると思います。

暴行罪は、器物損壊罪とは異なり親告罪ではありません。
そのため、被害者と示談ができたからといって必ずしも不起訴処分を獲得できるとは限りません。
しかし、被害者への謝罪・弁償ができているかどうか、被害者の処罰感情のおさまりがあるのかどうかといった事情は、起訴・不起訴を大きく左右します。
また、逮捕されてしまっているような場合には、釈放を求める弁護活動の際にも(被疑者にとって)有利な事情となりますから、器物損壊事件の際と同様に、刑事事件を専門とする弁護士に相談・依頼することが効果的でしょう。

東京都世田谷区にて、御自身が他人に体液をかけて捜査を受けている、あるいは家族が体液をかけた嫌疑で逮捕されたという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
電話を受けた担当事務員が、無料相談等の手続きについて御案内します。

万引き事件で現行犯逮捕

2021-12-02

万引き事件で現行犯逮捕

陳列されている商品などを盗む、いわゆる万引き事件で問題となる罪と現行犯逮捕という手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都世田谷区在住のAは、いわゆる専業主婦(主夫)として生活をしていました。
Aは世帯主から厳格に生活費の制限を受けていましたが、事件当日は月末であまりお金がありませんでした。
しかし、前から欲しいと思っていた商品が偶然入荷されていることに気付き、我慢が出来ずに万引きしてしまいました。
Aの万引き行為に気付いた店の店員は、Aが店を出たタイミングで声掛けし、Aが万引きを認めたため、警察署に通報し、臨場した世田谷区内を管轄する成城警察署の警察官に引き渡されました。
成城警察署の警察官は、Aを万引き事件を起こした嫌疑で現行犯逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【万引き事件について】

ご案内のとおり、お店に陳列している商品などを購入せずに持ち出す行為は万引きと呼ばれ、窃盗罪が成立します。
窃盗罪は、刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」とされています。

万引きを軽視している方も居られるようですが、初犯であっても罰金刑などの刑事罰が科せられる可能性が高く、前科がある場合には罰金額が上がるだけではなく懲役刑が科せられる場合もあります。
また、万引き事件の特徴の一つとして、店舗側が示談交渉を拒否する、あるいは商品の買取のみ行う、といった場合が多い点が挙げられます。
店舗側も万引き被害は死活問題で、店によっては防犯カメラやゲートの設置、店員・万引きGメンによる監視活動の強化など、対策に費用をかけています。
一般の方が直接示談交渉することが難しいことは言わずもがな、弁護士が代理人となって示談交渉を行った場合でも、示談等を拒否される場合は少なくありません。

【現行犯逮捕とは】

事件を起こしたとされる被疑者に対し、捜査機関は必要に応じて逮捕を行います。
逮捕は私人の権利を侵害する行為ですので、令状主義といって、原則として裁判所が発布した令状に従って逮捕するということになります(通常逮捕)。

一方で、ケースのように事件を起こした直後に逮捕される場合を現行犯逮捕と呼びます。
これは令状主義の例外規定ではありますが憲法もこれを認めていて、実務では全逮捕者のうち約40%が現行犯逮捕によるものとされています。
現行犯逮捕の場合は司法警察職員だけでなく私人にも行うことができますが、私人逮捕をした場合は直ちに司法検察職員に引き渡さなければならないと定められています。
現行犯逮捕については、逮捕時には令状は必要ありませんが、逮捕後に「現行犯人逮捕手続書」という書類を作成します。
また、逮捕されてから48時間以内に検察官に送致する必要があり、検察官は逮捕から72時間以内に勾留請求を行わなければ被疑者を釈放しなければなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、ケースのように被疑者とされる方が現行犯逮捕などで身柄拘束されている場合、弁護士が警察署に赴いて弁護士接見を行い、状況や見通しについて依頼者に御報告する初回接見を行っています。
東京都世田谷区にて、御家族が万引き等の刑事事件を起こしてしまい現行犯逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

闇バイト―初犯でも実刑判決?

2021-11-25

闇バイト―初犯でも実刑判決?

いわゆる闇バイトに手を染めてしまったという場合に問題となる罪と、初犯か否かという点と実刑判決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都杉並区在住のAは、都内の専門学校に通う21歳の学生です。
Aは浪費家で家族に言っていない借金が増え、返済が滞っていました。
そこで、「高額バイト」「闇バイト」などと書かれているツイートを探し、投稿主とやりとりして内容を聞きました。
その内容は、受け取ったキャッシュカードで現金を引き出し、紙袋に入れて駅のコインロッカーに入れるというものでした。
Aは予めその内容を調べていわゆる特殊詐欺の出し子としての作業であることに気付きましたが、指示に従い指定されたコインロッカーを開けてキャッシュカードを取り出し、近くのATMで残高を全て引き出したうえで元のコインロッカーに金を入れ、キャッシュカードは駅のゴミ箱に捨てました。
数ヶ月後、杉並区を管轄する杉並警察署の警察官がAの自宅に来て、特殊詐欺の受け子をした嫌疑で逮捕しました。

Aの家族は、Aの接見をした弁護士から「前科はないようですが金額次第で実刑判決も考えられます。」と説明を受けました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【高額バイト・闇バイトに注意】

「オレオレ詐欺」「お母さん助けて詐欺」「振り込め詐欺」など、これまで様々な言葉で紹介されている特殊詐欺ですが、未だにその被害は後を絶ちません。
昨年(2020年―令和2年)に発生した特殊詐欺の認知件数は1万3526件で、被害総額は約277億8000万円でした。
あくまで認知件数であり、実際に被害に遭われた方はそれ以上に居られる可能性もあります。

特殊詐欺は、その多くが「架け子」「受け子」「出し子」といった役割に分かれます。
架け子は最初に電話を架けて被害者が受け子に現金やキャッシュカードなどを渡すよう要求し、受け子が被害者宅などに行って現金やキャッシュカードを受け取ります。
出し子は、受け取ったキャッシュカードを使ってATM等で現金を引き出すか、別の口座に送金するという役割を担います。
後者については、いくつかの口座を転々とさせることで実際に金を受け取る者が分からないようにする目的があります。
ケースのように「高額バイト」「闇バイト」などと称して募集される人員は、多くが受け子や出し子といった検挙されやすい役割を任されます。
受け子や出し子については、事前に言われていた金額を受け取ることができたという場合があるようですが、実際にはお金を受け取れなかったという場合も少なくないようです。

出し子の場合、現金を引き出した場合には窃盗罪が、口座から口座に送金をするなどした場合には電子計算機使用詐欺罪が、それぞれ成立します。
罰条は以下のとおりです。

窃盗罪:10年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法235条)
電子計算機使用詐欺罪:10年以下の懲役(刑法246条の2)

【前科がなくても実刑判決に?】

前科、あるいは前歴というのは、法律上の言葉ではなく、その定義があるわけではありませんが、その多くが
前科:刑事事件で有罪判決を受けた場合を指します(執行猶予付有罪判決や略式手続による罰金刑・科料を含む)
前歴:逮捕された、あるいは在宅で捜査を受けたものの不起訴になるなどして刑事罰が科せられなかった場合を指します。

刑事裁判では、裁判官が被告人の有罪/無罪と、有罪だった場合の量刑を決めます。
その際、被告人に前科があるのかないのかという点は重要視されます。
一般に、前科があればより厳しい刑事罰を科せられます。

ケースの場合、Aには前科がないことを前提としています。
しかし、前科がないからといって必ずしも執行猶予付の判決が科せられる、という訳ではありません。
とりわけ特殊詐欺は社会問題であり、刑事裁判では厳罰化の傾向にある犯罪です。
特殊詐欺事件の場合、被害金額や役割次第では、前科がなくても実刑判決を受ける可能性が十分にあります。

東京都杉並区にて、高額バイト裏バイトなどといって特殊詐欺の出し子や受け子に加担してしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは逮捕・勾留されている方のもとへ接見に行き、事件の内容と前科の有無を確認した上で、実刑判決など厳しい

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