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【裁判例紹介】児童虐待に関する両親の責任や成立する罪は?児童虐待は初犯でも実刑判決になる?

2023-09-22

【裁判例紹介】児童虐待に関する両親の責任や成立する罪は?児童虐待は初犯でも実刑判決になる?

児童虐待に関する両親の責任とそれに関する裁判例について,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説をします。

1 児童虐待の概要

児童虐待には身体的虐待性的虐待ネグレクト心理的虐待の4つの類型があります。
(参考HP:厚生労働省HP) 

「虐待」の典型的な例として挙げられるのが殴る,蹴る,叩くといった「身体的虐待」です。
身体的虐待は文字通り,身体に対して直接的,間接的な暴力を加えることです。
この「身体的虐待」に対しては,暴行罪傷害罪などが適用されるでしょう。

「身体的虐待」は大人が子供に対して直接手を挙げる行為です。
体格的にも大きく差がある大人から子供への暴力ですから,凄惨な事件に至ることも珍しくありません。

児童虐待については「児童虐待防止法」という法律に基づいて,児童相談所が相談対応をしています。近年の統計によると,毎年50人近い子供が虐待によって死亡しています。
そして虐待の被害者となっている子供の約4割が未就学児(0歳から小学校入学前)です。
虐待の被害者の多くが,より幼い子供であることが分かります。

2 児童虐待の親の責任

平成26年の統計によると,児童虐待の加害者の52%が実母,34.5%が実父となっており,虐待者の8割以上は実親となっています。

身体的虐待については,殴る,蹴る,叩く,と言った物理的な暴力が該当します。
これらは単なる「虐待」や,しつけとしてのせっかんの領域を超えており,暴行罪傷害罪が成立します。

暴行罪は,「暴行を加えた」場合に成立します。
2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金,または拘留若しくは科料が科せられます。

傷害罪は,「人の身体を傷害」した場合に成立します。
暴行罪よりもさらに重く,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
さらに,不幸なことに,虐待を受けた児童が死亡してしまった場合,傷害致死罪や殺人罪が成立することがあります。

児童に対して身体的虐待をした親に対しては,上記のような暴行罪や傷害罪,死亡してしまった場合には傷害致死罪や殺人罪が成立する可能性があります。
身体的な虐待は,児童の死亡という非常に悲惨な結果を招きかねない重大な犯罪と見られており,捜査機関も一切手を抜くことなく厳しく追及する姿勢です。

児童虐待として暴行罪,傷害罪で認知された場合,たとえ前科がない人であっても逮捕勾留されたり,起訴されて前科がついてしまう可能性が非常に高い事案です。
児童虐待,身内への暴行,傷害でお悩みの方やそのご家族の方は,事が大きくなってしまう前に,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

3 児童虐待の裁判例

⑴ 裁判例の傾向として実刑もある

  • 令和3年(2021年)に盛岡地方裁判所で判決が言い渡された裁判
    1歳2か月の実子と,4か月の実子に頭に強い衝撃を与えて脳挫傷などの傷害を負わせたという事案で前科がないものの懲役8年の実刑判決が言い渡された。
  • 令和2年(2020年)にさいたま地方裁判所で判決が言い渡された裁判
    4歳の実子を突き飛ばして転ばせるなど,複数回の暴行をした事案で,前科がないものの懲役6年の実刑判決が言い渡された。
  • 令和元年(2019年)に横浜地方裁判所で判決が言い渡された裁判
    1歳6か月の実子の頭に強い衝撃を加えて硬膜下血腫の傷害を負わせた事案で,日常的な虐待はないものの悪質な事案であるとして懲役5年6月の実刑判決が言い渡された。

いずれの事案を見ても,重大な結果が生じている事案については,前科がない初犯の場合や,日常的な暴力を加えているわけではない事案(その時にカッとなって手を挙げてしまったという事案)だったとしても,5年を超える実刑判決が言い渡されているものがあります。

児童虐待としての暴行罪,傷害罪については刑事裁判に熟知した弁護士による公判弁護が重要です。
児童虐待について起訴されたという場合,捜査をされていて起訴されるかもしれないという場合には,一度弁護士にご相談ください。

⑵ 両親の連帯責任になるのか?

子供に対して手を挙げてしまった親自身が,種々の責任を問われることは特に不自然なところはありません。
しかし,その周りにいた/見ていただけ/止めなかっただけという場合にも,刑事罰に問われることがあるのでしょうか。

「片方の親の虐待を見て止めなかった」という場合にも,同様の責任を問われた裁判例があります。
大阪高等裁判所で平成13年6月21日に判決が言い渡された事案があります。
この判決は,
①両親が一緒になって子供Aに食事を与えないまま放置して死亡させた
②母親が子供Bに暴力をふるっている最中,父親に対して「止めないとどうなっても知らないから」と言ったところ,父親は無言で一瞬目を合わせて,すぐに逸らしたので,母親は暴力を続けて子供Bを死なせた
という2つの事件に関する裁判でした。

①については「両親が一緒になって子供にご飯をあげなかった/どちらかがご飯をあげてさえいれば死ななかった」というものなのですから,両親が二人とも責任を負うのは納得できるでしょう。
しかし,②の事案の父親のように「一方の親が虐待をしているのを見ていながらそれを止めなかった」という事案についても共犯として責任を負うとされています。

これが結論として正当かどうかという点については今でも議論があるところですが,「見ていたのに止めなかっただけ」という言い分は通じず,「暴力を止めさせる義務があったのに止めなかったのは,一緒に虐待していたのと同じだ」という判決があることには十分に注意しなければなりません。

虐待の事案については,直接手をあげてしまった人はもちろんのこと,それを周りで見ていた/止めなかったという人(親,家族)も同様の責任を問われる場合があるのです。

児童虐待や暴力でお困りの方や,どこに相談したらよいか分からないという方は,お気兼ねなくご相談ください。
たとえ家族に対してであっても,秘密厳守で相談していただけます。

【報道事例】少女のわいせつ画像を所持していた男性を児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕

2023-09-19

【報道事例】少女のわいせつ画像所持の男性を児童ポルノ禁止法違反で逮捕

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が練馬区の中学校で発生した児童ポルノ禁止法違反の逮捕事例について解説致します。

【事例】

東京・練馬区の区立中学校の55歳の校長が、少女のわいせつな画像を所持していたとして児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されました。
調べに対し、「以前、勤務していた中学校の生徒を撮影したものだ」などと供述しているということで、警視庁が詳しいいきさつを調べています。

逮捕されたのは、練馬区立三原台中学校の校長、A容疑者(55)です。

警視庁によりますと10日、勤務先の中学校の校長室で、18歳未満の少女が写ったわいせつな画像を所持していたとして児童ポルノ禁止法違反の疑いがもたれています。

去年11月に都の第三者相談窓口に「わいせつな行為をされた」と相談が寄せられ、その後、教育委員会を通じて、情報提供を受けた警視庁が捜査していました。
調べに対し容疑を認め、「私が以前、勤務していた中学校の生徒を撮影したものだ」などと供述しているということです。

警視庁が自宅や勤務先を捜索したところ、少女の体を触る様子などが写ったわいせつな画像や動画が複数、見つかったということで、詳しいいきさつを調べています。
(9/11に『NHK NEWS WEB』で配信された「区立中学校長 少女のわいせつ画像所持疑いで逮捕 東京 練馬区」の記事の一部を変更して引用しています。)

【解説】

この記事の内容は次のようになります。

  • 児童ポルノ所持の刑罰
  • 児童ポルノとは?
  • 児童ポルノ所持となる要件

それでは、それぞれ見ていきましょう。

■児童ポルノ所持の刑罰

児童ポルノ所持の禁止は、正式名称を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」という法律(以下、児童ポルノ禁止法)により定められている犯罪行為です。
結論から言うと、有罪となってしまった場合には1ヶ月以上1年以下の懲役または1万円以上100万円以下の罰金に処されることになります。

  • 児童ポルノ禁止法第7条1項 (児童ポルノ所持、提供等)
    自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

■児童ポルノとは?

「児童ポルノ」とは、児童ポルノ禁止法第2条3項1号〜3号に該当する児童の姿態を写した性的な内容の写真画像動画のことを意味します。

  • 児童ポルノ禁止法第2条3項 (定義)
    この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
    • 1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
    • 2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
    • 3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

■児童ポルノ所持となる要件

児童ポルノ禁止法第7条1項の文言から、禁止されている児童ポルノの所持となる要件は以下のようになります。

「自己の性的好奇心を満たす目的」で「児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)」

②「児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)」

今回の事例では、勤務先の中学校の校長室で、18歳未満の少女が写ったわいせつな画像を所持していたとして児童ポルノ禁止法違反が成立しています。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が練馬区の中学校で発生した児童ポルノ禁止法違反の逮捕事例について解説致しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
性犯罪による刑事事件でご家族が警察に逮捕されてしまった方や、刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【事例解説】SNSで知り合った未成年者を家に泊めてたら未成年誘拐罪?刑罰や要件は? 

2023-09-16

【事例解説】SNSで知り合った未成年者を家に泊めてたら未成年誘拐罪?刑罰や要件は? 

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が未成年者誘拐罪について解説致します。

【事例】

ある日、東京都新宿区在住の会社員Aさん(男性31歳)は、SNSを通じて知り合いになった同じ新宿区内に在住の高校生Vさん(女性17歳を自宅に招きしばらく泊めていました。

その夜、Vさんの両親が、Vさんが帰って来ないことを心配して戸塚警察署に捜索届を出したことをきっかけに事件が発覚し、後日、Aさんは未成年者誘拐罪の疑いで戸塚警察署の警察官により逮捕されました。
(※事例はフィクションです。)

【解説】

1.未成年者誘拐罪とは?

未成年者誘拐罪とは、その名の通り、未成年者を誘拐した場合に成立する犯罪です。
未成年者誘拐罪は刑法224条に次のように規定されています。

  • 刑法224条(未成年者略取及び誘拐)
    未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

「未成年者」とは、18歳未満の者を意味します(民法4条)。
「誘拐」とは、欺罔または誘惑を手段として、人を生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的・実力的支配におくことです。

2.未成年者誘拐罪の刑罰

未成年者誘拐罪が成立した場合には、3月以上7年以下の懲役に処されます。

3.未成年者の同意の有無

本罪は、たとえ未成年者が同意していたとしても、監護者である保護者の同意なく連れ去った場合、未成年者誘拐罪が成立します。

4.親告罪

本罪は、未成年者の名誉保護のため、「告訴がなければ公訴を提起することができない」親告罪(刑法229条)であるとされています。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が未成年者誘拐罪について解説致しました。

未成年者誘拐罪のように被害者側の告訴を必要とする場合、経験豊富な刑事弁護士による示談交渉により早急に告訴を取り下げてもらう必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。

未成年者誘拐罪などなんらかの事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方は、弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。
また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして、今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。

東京都新宿区及びその周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方などは、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

無料相談、初回接見サービスをご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631−881でご予約をお取りできますので、ご連絡をお待ちしております。

【事例解説】公務執行妨害罪で逮捕|刑罰や成立要件は?

2023-09-13

【事例解説】公務執行妨害罪で逮捕|刑罰や成立要件は?

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が公務執行妨害罪の逮捕事例について解説致します。

【事例】

24日朝早く、東京池袋駅前の交番で男が警察官に包丁を突きつけるなどして暴れ、その場で逮捕されました。
けがをした人はいませんでした。

24日午前5時半ごろ、池袋駅東口にある交番で、男が外に立っていた女性警察官に「すみません」などと声をかけたあと、リュックサックから取り出した刃渡りおよそ15センチの包丁を突きつけました。

ほかの警察官たちが駆けつけると包丁を振り回して暴れましたが、取り押さえられ、公務執行妨害罪と銃刀法違反の疑いで、その場で逮捕されました。

警視庁によりますと、逮捕されたのは自称、東京練馬区に住む無職のA(43)で、調べに対し「死にたかった。警察官に包丁を差し向ければ拳銃で撃ち殺してくれると思った」などと供述しているということです。

警視庁が詳しいいきさつを調べています。
(※8/24に『NHK NEWS WEB』で配信された「東京 池袋駅前の交番で警察官に包丁突きつけるなどした男 逮捕」記事を一部変更して引用しています。 

【解説】

1.公務執行妨害罪とは? 

公務執行妨害罪は公務の円滑な遂行を保護するために、刑法95条に規定されている犯罪になります。

①「公務員が職務を執行するに当たり」、②「これに対して暴行又は脅迫を加えた」場合に犯罪が成立します。

公務員とは、役所の職員なども含まれますが、実際に事件に関わってくる職種の公務員とは、警察官、消防士、救急隊員、教員などです。
今回の事例では、警察官が本罪の対象の「公務員」となっています。

「執行するにあたり」とは、職務を執行する際にという意味です。

  • 刑法第95条(公務執行妨害及び職務強要)
    公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

2.公務執行妨害罪の刑罰

公務執行妨害罪で有罪となった場合には以下のような法定刑が科されることとなります。

3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部公務執行妨害罪の逮捕事例について解説しました。

公務執行妨害罪は、被害者が国であるため示談などを行うことができません
しかし、弁護士などを通じで反省の意思を示すことが起訴不起訴などの処分に影響してくると考えられます。
そのため、弁護士にすぐに依頼して捜査機関などに働きかけてもらうことが大切でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を数多く扱う法律事務所です。

公務執行妨害罪などなんらかの事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方は、弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。

また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして、今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。

東京都豊島区及び池袋の周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方などは、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

無料相談、初回接見サービスをご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631−881でご予約をお取りできますので、ご連絡をお待ちしております。

【報道事例】大学や自治体施設に爆破予告をした威力業務妨害罪の疑いで逮捕

2023-09-07

【報道事例】大学や自治体施設に爆破予告をした威力業務妨害罪の疑いで逮捕

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が威力業務妨害罪の逮捕事例について事例を用いて解説致します。

【事例】

東京音楽大(東京都目黒区)にファクスで爆破予告を送りつけたとして、警視庁捜査1課は23日までに、威力業務妨害容疑で、東京農工大大学院生A1(22)=東京都小金井市中町、無職A2(26)=埼玉県草加市新栄=両容疑者を逮捕した。

いずれも容疑を認めているという。

同様のファクスは1~5月、全国の高校や大学、自治体、企業で計30万件以上確認されており、同課は関連を調べる。

逮捕容疑は1月23日午前7時~7時半ごろ、2回にわたり、「高機能爆弾を334個しかけたナリ」「14時までに口座に30万円を払わないと爆弾が爆破する」などと記載したファクスを東京音大に送信し、業務を妨害した疑い

同課によると、2人は2022年秋、X(旧ツイッター)で知り合い、爆破予告などを送りつける嫌がらせを思いついた。
匿名化ソフトで送信元を隠しつつ、大量にファクスを送信していた。
(※8/23(水)に『Yahoo!ニュース』で配信された 「東京音大に爆破予告、大学院生ら逮捕 威力業務妨害容疑、全国で30万件超 警視庁」記事を一部変更して引用しています。)

【解説】

1.威力業務妨害罪とは?

威力業務妨害罪とは「威力を用いて、他人の業務を妨害するなどの行為」に対する罪です。
刑法234条に次のように規定されています。

  • 刑法234条 (威力業務妨害)
    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

前条とは、刑法233条に規定されている信用毀損罪業務妨害罪のことです。

  • 刑法233条 (信用毀損及び業務妨害)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

威力業務妨害罪は殴る・蹴る等の物理的な行為のみに限定されず、紹介している逮捕事例のようにSNSの投稿やファックスを送りつける行為も該当します。

また、実際に業務が妨害されていなくても、業務が妨害されるおそれがあれば犯罪が成立します。

2.威力業務妨害罪の刑罰

威力業務妨害罪の刑罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。

3.威力業務妨害罪で逮捕されたら?

威力業務妨害罪で逮捕されてしまった場合には、弁護士に相談し被害者の方と示談交渉をしてもらうと良いでしょう。
弁護士に間に入ってもらい被害者と示談交渉が成立することによって、不起訴獲得の確率が高くなります。

また、起訴されてしまった場合であっても、示談が成立していれば量刑を考慮される可能性があります。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が威力業務妨害罪の逮捕事例について解説致しました。

刑事事件の容疑をかけられたり、逮捕されてしまった場合には早期の段階で刑事事件専門の弁護士に依頼をして弁護活動を行ってもらうことが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。

東京都目黒区、小金井市及びその周辺に在住の方で、ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

【報道事例】水に毒性物質を注入すると傷害罪が成立する?

2023-09-04

【報道事例】水に毒性物質を注入すると傷害罪が成立する?

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が傷害罪の概要について事例を用いて解説致します。

【事例】

トリカブトに含まれる毒性の物質を水に混ぜて女性に飲ませ、急性中毒に陥らせたとして、診療放射線技師の男が警視庁に逮捕されました。

傷害の疑いで今月5日に逮捕されたのは、都内の病院に勤務する診療放射線技師で、東京・足立区に住む容疑者A(27)です。

Aは今年6月8日の午前、勤務先の病院のスタッフルームでトリカブトに含まれる毒性物質「アコニチン」を注射器を使ってペットボトルに入った水に混ぜたうえ、同僚の20代の女性に飲ませて、嘔吐や手足の痺れなどの急性中毒に陥らせた疑いがもたれています。

警視庁によりますと、長浜容疑者は「アコニチン」が含まれる物質をネットで購入し、スタッフルームの机の上に置いてあった女性の飲みかけのペットボトルに入れたということです。

取り調べに対しAは「知らないうちに混ざってしまった」と容疑を否認しています。

女性は被害に遭った後、ペットボトル内の水を確認したところ、小さなゴミのようなものが浮いているのを不審に感じ、警視庁に相談しました。

その後、警視庁の捜査員が病院内を警戒していたところ、6月16日にAが再び女性のペットボトル内に注射器で液体を入れる様子を目撃したため、器物損壊の疑いで現行犯逮捕しました。

混入された物質を詳しく調べたところ、覚醒剤成分と判明し、Aは7月6日に覚醒剤所持の疑い再逮捕され、その後、起訴されました。

Aは最初の逮捕時の取り調べに対し「女性に好意があった」と供述し、女性が体調を崩した後に介抱をするなどしていて、警視庁は詳しい動機を追及しています。

(※8/22(火)に『Yahoo!ニュース』で配信された 「放射線技師を傷害容疑で逮捕 トリカブトの毒性物質を水に混ぜ…同僚女性に飲ませた疑い 覚醒剤も混入しようとしたか 警視庁」 記事の一部を変更して引用しています。)

【解説】

1.傷害罪とは?

傷害罪(しょうがいざい)とは、人の身体を傷害した」場合に成立する犯罪です。
刑法第204条には次のように規定されています。

  • 刑法第204条(傷害)
    人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害した(生理的機能の障害)には、ナイフで切る・殴って骨を折るなど外傷に限られず、意識障害や嘔吐、毒物による中毒症状も含まれます

2.傷害罪の刑罰

傷害罪で有罪判決を受けた場合には、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。

3.傷害罪で起訴・不起訴を決める要素は?

傷害罪が成立しても、すぐに起訴され処罰を受けるわけではなく、不起訴処分となり前科がつかない場合もあります。

傷害罪で起訴・不起訴を決定するポイント(要素)には以下のようなことが考えられます。

  • 傷害(けが)の程度
  • 犯行動機
  • 犯行の経緯
  • 示談の有無
  • 過去の経歴(前科の有無など)

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部傷害罪の概要について解説致しました。

傷害事件では、被害者との示談成立の有無は起訴・不起訴を左右する重要な要素となります。
早期の段階で弁護士に示談交渉に入ってもらうことで、早期の身柄開放不起訴処分獲得の確率がぐっと高くなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。

東京都足立区およびその周辺に在住の方で、ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、刑事事件を起こしてしまった方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

事務所で弁護士から直接アドバイスを受けられる無料法律相談や、逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。

逮捕されたらいつ帰れる? 逮捕後の拘束期間

2023-08-29

逮捕されたらいつ帰れる? 逮捕後の拘束期間

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が逮捕手続きの流れ拘束期間について解説致します。

【事例】

東京都杉並区内では、若い女性をターゲットにしたひったくり事件が多発していました。
杉並警察署の警察官は、被害者の証言や街の防犯カメラ等から管轄地域内で起きたひったくり事件の被疑者として、東京都杉並区在住のAさん(25)を逮捕しました。
(※事例はフィクションです。)

【解説】

1.逮捕されるのはどんな犯罪?

逮捕には、現行犯逮捕通常逮捕緊急逮捕の3種類があります。
原則、逮捕には令状(逮捕状)が必須となりますが、令状を必要としない現行犯逮捕、緊急逮捕がその例外となります。

今回は、逮捕状が必要な通常逮捕に限定して解説をいたします。

上記のように通常逮捕とは、裁判官が発付した逮捕状に基づいて被疑者の身柄を拘束する逮捕手続きです。
通常逮捕を行うには逮捕の要件が充足されている必要があり、この要件を満たしている犯罪が逮捕されるおそれのある犯罪といえます。

通常逮捕の要件は、以下のようになります。
①逮捕の理由
②逮捕の必要性があること

①逮捕の理由とは、「被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」を意味します。
特定の犯罪事実が存在し、被疑者がその犯罪を犯したことが相当程度認められることが必要となります。

②逮捕の必要性は、犯罪の重大性、被疑者の年齢や生活環境などを考慮しながら、被疑者に逃亡犯罪の証拠隠滅を図るおそれがある場合に認められます。

※30万円以下の罰金、拘留または科料にあたる罪については、被疑者が住居不定の場合、または正当な理由なく出頭の求めに応じない場合にのみ逮捕が許されます。

2.逮捕後の流れ

被疑者が逮捕されると通常、警察署の施設内にある留置場(場合によって別施設である拘置所)に身柄を拘束され、家に帰ることができなくなります。

3.拘束期間は最大でどれくらい?

逮捕によって自由が制限されるのは最長72時間です。
この間に検察官がより長期の身体拘束を請求し、裁判官がこれを許可すると、さらに10日間、再延長を請求した場合にはさらにプラス10日間で最長20日間も身柄が拘束されることになります。

ここから検察官が被疑者を起訴し、裁判になることが決まると拘束期間は裁判終了まで続く可能性もあります。

逮捕されてしまった場合には、早期の段階で刑事事件に強い弁護士に依頼をすることで、身柄の拘束期間が短縮される確率が高まります。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部逮捕手続きの流れ拘束期間について解説致しました。

上記解説のように、逮捕されると長い期間の身体拘束の可能性があります。
身体拘束が長期間続くと仕事や学校などの日常生活への復帰がどんどん難しくなります。
そのような事態を避けるためにも、弁護士に身柄解放の働きかけをしてもらうことが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を数多く扱う法律事務所です。
なんらかの事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方は,弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。

また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして、今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。
東京都杉並区内及びその周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方などは、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

無料相談、初回接見サービスをご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631−881でご予約をお取りできますので、ご連絡をお待ちしております。

【報道事例】大学に爆破予告をした2人を威力業務妨害罪の疑いで逮捕

2023-08-26

【報道事例】大学に爆破予告をした2人を威力業務妨害罪の疑いで逮捕

東京音楽大学にFAXで爆破予告を送りつけた男性2人を威力業務妨害罪の疑いで逮捕したという報道がありました。
爆破予告をした当人はいたずらのつもりだったかもしれませんが、爆破予告は単なるいたずらでは済みません。

今回は、実際の報道をもとに、爆破予告で問われる可能性がある罪や逮捕後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

【事例】

東京音楽大(東京都目黒区)にファクスで爆破予告を送りつけたとして、警視庁捜査1課は23日までに、威力業務妨害容疑で、男性A(22)と男性B(26)を逮捕した。

いずれも容疑を認めているという。

同様のファクスは1~5月、全国の高校や大学、自治体、企業で計30万件以上確認されており、同課は関連を調べる。

逮捕容疑は1月23日午前7時~7時半ごろ、2回にわたり、「高機能爆弾を334個しかけたナリ」「14時までに口座に30万円を払わないと爆弾が爆破する」などと記載したファクスを東京音大に送信し、業務を妨害した疑い

同課によると、2人は2022年秋、SNSで知り合い、爆破予告などを送りつける嫌がらせを思いついた。
匿名化ソフトで送信元を隠しつつ、大量にファクスを送信していた。
(※Yahoo!JAPANニュース8月23日配信『東京音大に爆破予告、大学院生ら逮捕 威力業務妨害容疑、全国で30万件超 警視庁』記事の一部を変更して引用しています。)

【爆破予告で問われる罪】

爆破予告で問われる可能性がある典型的な罪は威力業務妨害罪です。
今回の事例でも、爆破予告をした2人は威力業務妨害罪の疑いで逮捕されています。

威力業務妨害罪については、刑法第234条で以下のように規定されています。

  • 刑法第234条(威力業務妨害)
    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

「威力を用いて」とは、威圧するような行為で相手の意思を制圧することを指し、この行為で正常な業務を行うことを妨害した場合に、威力業務妨害罪が成立します。

今回の事例のような爆破予告も、大学に対して威圧する行為として認められます。
さらに、爆破予告によって、学内にいる人を避難させたり爆破物を見つけるために学内を閉鎖したりするといった対応が必要になり、大学の正常な業務が妨害される可能性があるので、威力業務妨害罪が成立する可能性が高くなります。

また、威力業務妨害罪の条文で記載されている「前条の例による」とは、威力業務妨害罪の前に規定されている刑法第233条の信用毀損罪・業務妨害罪(偽計業務妨害罪)と同様の処罰が与えられるということを指します。

  • 刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

つまり、威力業務妨害罪が成立した場合は、3年以下の懲役刑又は50万円以下の罰金刑で処罰されるということです。

【爆破予告をして逮捕された後の流れ】

爆破予告をして逮捕された後は、被疑者として扱われ、逮捕後72時間は身柄が拘束されることになります。
まずは警察から取調べを受けて、48時間以内に警察が検察に被疑者の身柄を送致し、その後、検察官が被疑者の取調べを行います。
検察官は、送致後24時間以内に被疑者を引き続き身柄を拘束した状態で取調べをする必要があるかどうかを判断し、必要があると判断されれば勾留手続きが行われます。

勾留手続きでは、検察官が裁判所に被疑者の勾留を求める勾留請求を行い、裁判官が勾留請求を認めれば、勾留が決定されます。
勾留が決定されれば、10日間身柄が拘束されることになり、追加で10日間延長することもできるため、最大20日間身柄を拘束される可能性があります。

検察官は、最終的に被疑者を起訴するかどうかの判断を行います。
不起訴処分となれば事件は終了しますが、起訴されれば、裁判にかけられる公判請求や罰金刑を言い渡される略式起訴がなされます。

【爆破予告による刑事事件を起こしてしまったら弁護士へ】

日本では、検察官が起訴した事件の99%は有罪判決が下されると言われているため、不起訴処分を獲得することが今後の人生を大きく左右するポイントになります。

不起訴処分を獲得するためにも、爆破予告による刑事事件を起こしてしまった際は弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士に刑事弁護活動を依頼することで、不起訴処分を獲得できる可能性も高まります。
また、弁護士の中でも、刑事事件の弁護活動の実績を多く持つ専門の弁護士に依頼することで、より不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件の弁護活動を担当して不起訴処分を獲得した実績を多く持つ刑事事件少年事件専門の法律事務所です。

ご自身で爆破予告をしてしまったという方や、ご家族が爆破予告をしたとして急に逮捕されてしまった方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【報道事例】兄弟の遺体を遺棄した事件で問われる罪は?

2023-08-20

【報道事例】兄弟の遺体を遺棄した事件で問われる罪は?

東京で起きた遺体遺棄事件の報道をもとに、問われる可能性がある罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

【事例】

東京・瑞穂町の自宅で50代くらいの男性の遺体を遺棄したとして、アルバイトの男性Aが逮捕されました。

捜査関係者によりますと、Aは瑞穂町の自宅で男性の遺体を遺棄した疑いが持たれています。
Aは3人兄弟の三男で、遺体は同居する兄Vとみられています。

別の場所に住む長男が、Vの借金について兄弟3人で話し合おうと家を訪れたところ、Vの居室で布団の上にあお向けの状態ですでに白骨化した遺体を発見したということです。

調べに対し、Aは「2年くらい前からVを見なくなって、亡くなっていると思っていたが、確認せず放置していた」と容疑を認めているということです。

警視庁は、遺体の身元確認を急ぐとともに、16日に司法解剖を行い、死因を詳しく調べる方針です。
(※Yahoo!ニュース 8月15日配信『50代くらいの男性遺体を遺棄か、アルバイトの男を逮捕 東京・瑞穂町』記事の一部を変更して引用しています。)

【遺体を遺棄して問われる罪は?】

今回の事例で問われる可能性がある罪としては、死体遺棄罪が挙げられます。
死体遺棄罪については、刑法第190条で以下のように規定されています。

  • 刑法第190条(死体損壊等)
    死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。

死体遺棄罪は、上記の死体損壊等罪に含まれる罪の一つです。
「遺棄」とは、通常の埋葬と認められない方法で死体を放棄することを指します。
通常であれば、遺体は火葬場などの適切な場所で火葬され、遺骨が埋葬されますが、遺体を放置したりどこかに隠したりすると遺棄に該当します。

今回の事例で考えると、Aは自宅で亡くなっていたV(死体)をそのまま放置(遺棄)していたため、死体遺棄罪に該当する可能性があるということになります。

死体遺棄罪の罰則は3年以下の懲役刑のみで、罰金刑はありません。
つまり、死体遺棄罪による刑事事件を起こして検察官から起訴されると、懲役刑が言い渡される公判請求がなされるということです。

【死体遺棄罪は殺人罪の疑いもかけられる?】

死体遺棄罪は、人を殺してしまったことを隠すために死体を隠すなど、殺人罪と関連していることも少なくありません。
なので、死体遺棄罪による刑事事件を起こした場合は、殺人罪の関与も疑われることが多いです。
殺人罪については、刑法第199条で以下のように規定されています。

  • 刑法第199条(殺人)
    人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

ただ、死体を遺棄した人が殺人を犯しているかを証明することは難しいです。
なので、警察は明らかに成立している死体遺棄罪で逮捕取調べを行い、その間に殺人罪に該当する証拠がないか捜査するといった方法を取ることも多いです。

【死体遺棄罪で逮捕されたら弁護士へ】

前述したように、死体遺棄罪による刑事事件を起こすと、殺人罪の関与も疑われる可能性が高いので、長期的な身柄拘束を受けるリスクがあります。
長期の身柄拘束は、家族や会社に大きな迷惑をかけてしまう可能性もあり、会社からは解雇されてしまうおそれもあります。

なので、死体遺棄罪で逮捕された場合は、早急に弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士が代理人として、早期の身柄解放のための活動や、起訴されて裁判になった場合に少しでも刑を減軽できるような弁護活動などに尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件で早期の身柄解放や減刑判決を獲得した実績を持つ弁護士が多数在籍している刑事事件少年事件に特化した法律事務所です。

ご家族が死体遺棄罪で逮捕されてしまって今後どうなるか不安に感じている方は、弁護士がご本人から直接事件の事実関係を聞きに行く初回接見サービスを提供していますので、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【事例解説】物を壊さなくても器物損壊罪が成立することがある?

2023-08-17

【事例解説】物を壊さなくても器物損壊罪が成立することがある?

他人の物を壊すと成立する器物損壊罪ですが、実は物を壊さなくても器物損壊罪が成立してしまうケースもあります。

今回は、物を壊さなくても器物損壊罪が成立するのはどんな場合なのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

【事例】

東京都世田谷区にある会社で勤務している男性A(42)は、同僚の男性V(40)と仕事のことで少し口論になりました。
Vに対する怒りが収まらなかったAは、給湯室にVが普段使用しているマグカップがあることに気が付き、マグカップをトイレに持ち込み、嫌がらせ目的でマグカップに放尿しました。

たまたまトイレに来たVが目撃し、VはAに対して「このマグカップはもう使えない、これは器物損壊罪だ。警察に通報する」と言いました。
これに対し、Aは「マグカップを壊していないから器物損壊罪ではない」と反論しましたが、AのVに対する行為は、器物損壊罪が成立するのでしょうか。
(※この事例は全てフィクションです)

【器物損壊罪とは】

器物損壊罪については、刑法第261条で以下のように規定されています。

  • 刑法第261条(器物損壊等)
    前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

条文に記載されている「前3条」とは、公用文書等毀棄罪(刑法第258条)私用文書等毀棄罪(刑法第259条)建造物等損壊及び同致死傷罪(刑法第260条)を指します。

上記の3つの罪に該当するもの以外の他人の物を損壊した場合に、器物損壊罪が成立します。
器物損壊罪が成立した場合、3年以下の懲役刑又は30万円以下の罰金刑若しくは科料で処罰される可能性があります。

【物を壊さなくても器物損壊罪が成立する?】

器物損壊罪について規定している刑法第261条で記載されている「損壊し、又は傷害した」とは、物や動物の効用を害する一切の行為を指しています。
つまり、物理的に損壊していなくても、その物本来の効用を害する行為であれば器物損壊罪が成立するということです。

今回の事例で考えると、AはVのマグカップを物理的に壊してはいないものの、放尿したことで、Vはマグカップを使用できなくなっています。
今回の事例と同様のケースの判例(大審院明治42年4月16日判決)では、事実上又は感情上その物を再び本来の用途に使えないようにしたときも損壊に当たるとされました。

なので、今回のAのVに対する行為は、器物損壊罪が成立するということになります。

【器物損壊罪の刑事弁護活動】

器物損壊罪は、被害者による告訴がないと検察官が事件を起訴できない親告罪であると刑法第264条で規定されています。

  • 刑法第264条(親告罪)
    第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

告訴とは被害者が加害者に対して処罰をしてほしいという意思表示をすることを指しますが、逆に言えば、被害者から告訴されなれば不起訴になるということです。

被害者から告訴されることを防ぐためには、示談を締結することが重要なポイントになります。
ただ、壊した(事実上使えないようにした)物を弁償すればいいというものではありません。
すでに告訴がされていれば、被害者の加害者に対する処罰感情が大きいと考えられるため、当事者間で示談交渉を行おうとすると、被害者の気持ちを逆撫でしてしまうおそれがあります。

なので、器物損壊罪で被害者と示談を締結したい場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士が代理人として被害者との示談交渉を行うため、被害者の気持ちを汲み取りながらスムーズに示談交渉を進めることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、器物損壊罪はもちろん、様々な刑事事件で被害者と示談を締結した実績を持つ弁護士が多数在籍しています。
初回無料の法律相談を行っていますので、お困りの方は24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

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