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窃盗罪に該当する行為とは?万引きや置引きも窃盗罪に該当する?

2024-06-29

窃盗罪に該当する行為とは?万引きや置引きも窃盗罪に該当する?

窃盗罪 万引き 置引き

今回は、窃盗罪に該当する行為について、事例をもとに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説いたします。

【事例】

Aさんは高井戸駅近くにあるコンビニエンスストアにて、店員の目を盗んでお弁当とペットボトルのお茶を万引きしました。
未清算でバッグにいれた商品をもって退店しようとしたところを別の店員に発見され、その場で警察に通報されてしまいました。

Aさんは現場に臨場した高井戸警察署の警察官により逮捕されました。
(※この事例は全てフィクションです)

【解説】

■窃盗罪とは

窃盗罪とは、他人の占有する財物を占有者の意思に反して取得する犯罪です。
窃盗罪については、刑法第235条で以下のように規定されています。

  • 刑法第235条(窃盗)
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

■窃盗罪に該当する行為の典型例

●スーパーなどでの万引き
レジでの会計をせずに自分のカバンに商品を入れてそのまま商品を持ち出す行為は、窃盗罪に該当する行為の典型例です。

●置引き
電車、モールや商業施設などの休憩ベンチなどに置き忘れた他人の所有物を持ち出す行為も窃盗罪に該当する可能性がある行為です。
※窃盗罪に該当しなくても占有離脱物横領罪という別の犯罪が成立する可能性があります。

●無人販売店の商品持ち出し
冷凍食品など食品の無人販売店が昨今増えてきていますが、無人販売店の商品を未清算のまま持ち出す行為も、スーパーでの万引き同様に窃盗罪に該当する行為になります。

●自転車の乗り捨て
夜遅い時間などに歩いて帰るのが面倒になり、他人が駐輪した鍵のかかっていない自転車を乗って行ってしまう行為も出来心では済まされず、窃盗罪に該当する行為になります。

■窃盗罪の刑罰

窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(刑法235条)となっています。
処分によっては、最大で10年の懲役(刑務所での労務)に服する可能性があります。

もっとも、量刑は罪の重さを基本に決まるものであり、比較的軽微な窃盗の場合や初犯などであれば、刑事裁判で懲役刑となっても執行猶予が付く可能性が高いです。

■窃盗罪で逮捕された場合の拘束期間は何日?

窃盗で逮捕された場合、起訴されるまで最大23日にわたり身体拘束が継続する可能性があります。

逮捕・勾留は逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」が認められるときに行われる手続きです。
そのため、「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」がないことを弁護士に主張してもらったり、盗んだものの被害を弁済したりして被害者との示談を成立させてもらうことで、早期釈放が見えてきます。

■示談の重要性

弁護士に相談・依頼することで、早急に示談を締結でき、早期解決を目指すことができます。
窃盗事件の場合、被害者側からコンタクトを取ること自体を拒否されて連絡先の入手もできないというケースが少なくありません。

しかし、第三者である弁護士が介入することにより被害者側の態度の軟化によりコンタクトをとることができる場合があります。
そこから示談締結や謝罪の受け入れ、賠償の受け入れの可能性を高めることができるのです。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が窃盗罪について解説致しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪などの刑事事件・少年事件を数多く扱う法律事務所です。
なんらかの事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方は,弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。

また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。
東京都内及び周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方などは、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

無料相談、初回接見サービスをご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631ー881でご予約をお取りできますので、ご連絡をお待ちしております。

外国人の夫が薬物所持で逮捕、国選/私選のどっちの弁護士を選ぶべき?【後編】

2024-06-26

外国人の夫が薬物所持で逮捕、国選/私選のどっちの弁護士を選ぶべき?【後編】

外国人 国選 私選 弁護士

前回に引き続き、外国人の刑事弁護について、国選/私選どちらの弁護士を選ぶべきかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例】

※前回記事の事例を参照してください。

外国人の夫が薬物所持で逮捕|国選/私選のどっちの弁護士を選ぶべき?【前編】

【私選弁護士を選ぶメリット②対応任務の範囲が違う】

私選弁護士と国選弁護士とでは、対応任務の範囲についても大きく違います

国選弁護士は、あくまで刑事事件についての対応しかできません。
その為、逮捕されている間に「ビザの更新申請をして欲しい」と思っても、「それは国選の仕事ではないから」と断られてしまうこともあります(もちろん、善意でやってくれる場合もあり得ますが、それはあくまで善意です)。

一方で、刑事事件入管事件の両方の知識、経験のある弁護士に私選として依頼すれば、刑事事件への対応から強制送還の対象となった場合の対応まで、地続きの対応ができます。

刑事事件の流れのままで入管事件まで対応できるというのは実はメリットが多く裁判の時から「入管事件になった時に有利になる」ということを見越した弁護活動もできるのです。

入管事件、特に刑事事件からの強制送還(退去強制)は、ビザを守れるかどうか/強制送還されるかが激しく争われることもあります。

強制送還手続きについては、下記記事で詳しく解説しています。

【私選弁護士と国選弁護士の違い】

国選弁護士と私選弁護士を選ぶうえで大きく違ってくる点についてまとめると以下のようになります。

私選弁護士国選弁護士
対応速度逮捕の当日から依頼可能どんなに早くても逮捕の2日後
(東京の場合)
対応範囲ビザについて、裁判後も併せて対応可能ビザについては対象外

弁護士に対してどのようなことを依頼したいかを吟味して、私選か国選かを選ぶことになります。
Aさんのような事例で、弊所にご依頼頂ければ、逮捕当日から私選弁護士として弁護活動が開始できます。

【入管事件までの依頼は私選弁護士がおすすめ】

建前としては、国選弁護士も私選弁護士も同じ「弁護士です。

どんな立場で弁護人を引き受けたとしても、被疑者・被告人のために全力を尽くすのが職務上の使命です。
ですから、国選弁護だから手を抜くということは本来あってはならないことですし、能力や経験についても差が無いものとみなされています。

しかし、上記の通り、国選弁護士はビザの問題については「やる時もあるし、やらない時もある」のです。
ただ、外国人の刑事事件は、日本に残れるのか残れないのかという死活問題をはらんでいます。

たとえ刑務所には入らないで済んだとしても、強制送還されてしまうと何の意味もありません。
多くの方にとって、日本に残るというのが至上命題なのです。

外国人が刑事事件で逮捕されてしまった、起訴されてしまったという場合には、刑事事件と入管事件の両方を扱う弁護士に依頼されるのが良いでしょう。
そのような弁護士を指名して依頼するためには、やはり私選弁護士として依頼するしかありません。

国選弁護士は、当番の日に、「その日の国選弁護担当事件」を事務的に振り分けられ、選任されます。
ですから、年齢、性別、入管事件の経験の有無と言った事情は考慮されないことになります。
なかには、「入管法のことはよく分からない」と平気で言う弁護士もいます。(個人の取扱い分野の違いでもありますが)。

上記のように将来に大きく影響を及ぼすビザ問題ですから、依頼するのであれば刑事事件と入管事件の両方を扱う弁護士を選びましょう。

【最後に】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が外国人の薬物事件(覚醒剤取締法違反)の逮捕事例を基に、私選弁護士と国選弁護士の違いについて解説致しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、全国主要都市とその周辺に複数の支部を持ち、事件に応じて複数の弁護士がチーム制で担当をします。
入管事件となり得るものについては、入管事件の取り扱いがある弁護士、行政書士も事件に加わって、対応をします。

外国人の居住数が日本で最も多い東京支部では、外国籍の方の弁護についても数多くご依頼頂いています。
ご家族が警察に逮捕されてしまった方、ご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

  • 示談釈放に向けて、いち早く対応をしたい
  • 刑事事件の知識や経験がある弁護士がいい
  • 入管事件ビザ問題まで経験のある弁護士に依頼したい

というご希望の方は、ぜひ弊所にご相談ください。

逮捕されて身柄が拘束されている場合には、最短当日中に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
警視庁目白警察署までの初回接見は33、000円(税込み)で行っています。

ご相談・ご予約については、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

外国人の夫が薬物所持で逮捕|国選/私選のどっちの弁護士を選ぶべき?【前編】

2024-06-23

外国人の夫が薬物所持で逮捕|国選/私選のどっちの弁護士を選ぶべき?【前編】

外国人 国選 私選 弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強い弁護士が所属している弁護士事務所です。
そのうち、東京支部では外国人外国籍の方の刑事事件についてご依頼いただくことが多くあります。

「外国人の刑事事件は、日本人の場合と何が違うの?」と思われる方も多いかと思いますが、外国人の弁護で最も重要になってくるのがビザに対する影響をいかに抑えるのか、という点です。

そこで、今回は覚醒剤の所持で逮捕されてしまったAさんの事例を基に、ビザのことまで考えた時に私選弁護士国選弁護士のどちらにしたらよいのかという点について解説します。

【事例】

Aさんは目白区内の企業に勤めている外国人(30代・男性)です。
Aさんは来日して10年以上たっており、日本国籍の方と結婚し、永住者の資格を取得して生活していました。

ある日、Aさんは知人から「面白いものがあるから少し分けてあげる」と微量の覚醒剤を貰ってしまいました。
Aさんは使わないでカバンに入れていましたが、目白警察署の警察官に職務質問され、覚醒剤の所持が発覚し覚醒剤取締法違反の現行犯として逮捕されてしまいました。

Aさんの逮捕を知ったAさんの奥さんは、弁護士事務所に相談することにしました。
(※事例は全てフィクションです)

【外国人の薬物事件】

外国人の方であっても、刑事事件や刑事裁判の手続き、刑罰の重さという点では、日本人の方と大きな違いはありません。
言語や文化の違いから、手続に戸惑うところはあるかもしれませんが、適用される法律は日本の法律で、日本人と同じです。

外国人の方の薬物事件で一番気をつけなければならないのは、強制送還(退去強制)のリスクがあるという点です。

出入国管理及び難民認定法違反(いわゆる入管法)には、薬物犯罪で有罪判決が確定してしまった場合には強制送還になるという規定があります(出入国管理及び難民認定法違反24条)
この強制送還の規定は、日本に在留しているほぼすべての外国人の方に対して適用されるものです。

そのため、Aさんは永住者のビザを取得していたようですが、覚醒剤取締法違反による有罪の判決が確定してしまうと強制送還の対象になってしまうのです。

この「有罪の判決」というのは、刑の内容を問わず有罪無罪かのどちらかで決まります。

つまり、実刑判決(刑務所にはいりなさいという判決)に限らず、執行猶予判決罰金判決だった場合でも有罪の判決」ということになり、その判決が確定してしまうと、やはり強制送還(退去強制)の対象となるのです。

なので、Aさんのように覚醒剤取締法違反逮捕されたという時点から、強制送還されるかもしれないというリスクは発生していることになります。

Aさんの場合、刑事手続だけでなく、その後の強制送還(退去強制)の手続きを見据えた対応が必要になるでしょう。

そこで、ここからは、私選弁護士を選んだ場合と国選弁護士を選んだ場合の違いを見ていきます。

【私選弁護士を選ぶメリット①初動・入管への対応が違う】

Aさんのように警視庁の管轄で逮捕されたというケースだと、逮捕されたあとの弁護士の動きが国選の場合と私選の場合で、動き出すタイミングビザ事件も対応できるかどうかは、全く違うのです。

私選弁護士のできること国選弁護士のできること
逮捕当日・逮捕された直後から初回の面会
・家族との打ち合わせ
・警察に対して取調べや報道についての申し入れ
・取調べに向けてのアドバイス
・直近のビザへの対応
なし(選任される前)
逮捕の翌日
(検察庁送致)
・継続的な面会
・家族との打ち合わせ
・警察に対して取調べや報道についての申し入れ
・取調べに向けてのアドバイス
検察官への釈放申し入れ
なし(選任される前)
逮捕から2日後
(裁判所にて勾留質問)
・継続的な面会
・家族への事件報告、法律相談
・警察に対して取り調べや報道についての申し入れ
・取調べに向けてのアドバイス
裁判官への釈放申し入れ
・勾留が決まったあとも不服申立て
10日間の勾留が決まってから国選弁護士が決まる。早ければその日か翌日に、初回の面会
刑事裁判の後、入管での対応・入管でのインタビューに対するアドバイス、立会
・在留特別許可に向けた意見書の提出、資料の作成
・(収容された場合の)仮放免申請
国選の対象外

繰り返しになりますが、外国人の方の刑事弁護においてビザがどうなるか・強制送還されるのかという点は非常に重要です。
刑事事件で有罪判決が確定してしまうと、否応なく強制送還の対象になってしまいますから、起訴されるかどうか/有罪になるかどうかという点を見極めた、初期対応は非常に重要です。

国選弁護士は、逮捕から2日目以降でなければ本人と面会することはありません
しかし、大方その頃には取調べがある程度落ち着いてしまっているという状況なのです。

特に、国籍に関係なく、薬物事件の場合には自白の有無が重視されます。
掛けられている容疑に対して、素直に認めるべきなのか、争って無罪を主張するべきなのか、初期の取調べで判断しなければなりません。

外国人の方の場合、初期の取調べに対する対応が、その後のビザ・強制送還(退去強制)の手続きにまで影響することになります。

手続きの流れや適用される法律、刑罰の重さという点では外国人と日本人の違いはありませんが、外国人事件の場合、取調べでどう話すのかビザを保持できるのか/強制送還されるのかという点まで響いてくるのが一番の違いです。

早期からの対応を希望されるのであれば、私選弁護士に依頼することをおすすめします。
Aさんの事例でも、逮捕当日に私選弁護士に依頼することにすれば、その日から弁護を受けられます。

ご家族が警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日中に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
警視庁目白警察署までの初回接見は33,000円で行っています。

ご相談・ご予約に関するお問い合わせについては、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

関税法違反で逮捕?!税関で検挙されるのはどういう事案?②

2024-06-14
関税法違反 逮捕

前回に引き続き、今回も同様の事例を元に、関税法違反について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例】

▼前回記事を参照してください。

関税法違反で逮捕?!税関で検挙されるのはどういう事案?①

【Aさんの行為は関税法違反?】

Aさんの事例においては、商標法に違反する物の輸入を疑われているのではないかと思われます。

商標法とは、いわゆる「ブランドロゴ」を保護するという法律です。
偽物や模造品を禁止してブランドそのものの価値を守ろうという法律になります。

商品や会社の名前に「R」を〇で囲った小さな印があるのを見たことはないでしょうか。
「アールマーク(Ⓡ)」と言われることもあるのですが、これは、商標として登録していますという印なのです。
この登録されている商標を勝手に使うことや、勝手に商標が使われている商品を買ったり売ったりする行為は、商標法違反にあたってしまう可能性があります。

インターネットサイトでブランド品を買ったというAさんの事例でも、そのブランド品が偽物で商標法違反になる物であるために、税関で留め置かれているという可能性があります。
その商品を日本に持ち込もうとする行為は関税法違反にも該当してしまうのです。

ただ海外から商品を買おうとしただけなのに関税法違反事件に巻き込まれてしまうことがあるという、1つの例になります。

【税関にある荷物はどうしたらいい?】

Aさんの事例のように、海外から届いた荷物が税関でずっと止め置かれているという場合に対応したらよいのでしょうか。

Aさんが日本に「輸入してはいけない物」を注文してしまったのであれば、何を言おうと日本へ輸入することはできません
一方、「申告しなければならない物」だったのであれば、改めて正しく申告することで解決ができるという場合もあります。

仮にブランド品の偽物として「輸入してはいけない物」に該当していた場合、Aさんに対しては商標法違反関税法違反の二つが成立し得るのです。
この二つに対して、いかに逮捕起訴前科といったような刑事手続きのリスクを最小限に留めて解決するかということが重要になります。

その為に一番最初で一番肝心なのが、税関に対してどのように交渉するかという点になります。
関税法違反の事件については、警察だけでなく税関局が取り扱うという事例も多くあります。
その税関局が「刑事事件化しない、告発しない」という形で終わることができれば、刑事手続きのリスクを最小化できたと言えるでしょう。

税関への対応を適切に進めることで、

  • 告発されず取り調べを受けない
  • 逮捕されない
  • 起訴されず、前科もつかない

というように最良の結果が得られる場合があるのです。

素人判断で勧めてしまうのは非常に危険です。
知識と経験を積んだ専門性の高い弁護士に対応を依頼することで、最悪の自体を避け、最良の結果につなげる可能性を高めることができるのです。

  • 密輸を疑われているが、どうしたらいいか分からない
  • 税関?警察?の違いや対応がよく分からない
  • 逮捕や前科がついてしまうのは困る

いずれかに当てはまるのであれば、早期に弁護士へ相談して、対応を依頼したほうが良いでしょう。

【関税法違反事件でお困りの方は弁護士へ】

荷物が届かなくて不安/税関で荷物が止まっているという方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
実際に弊所で取り扱ってきた事例でも、早期の税関への対応によって、前述したような最良の結果を獲得してきた経験があります。

関税法違反事件で取り調べを受けてしまった、ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、不安なことがある方、ご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご連絡ください。

逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
東京都内への初回接見費用は一律33,000円(税込)でのご案内になります。

ご予約・ご相談に関するお問い合わせは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にてお待ちしております。

関税法違反で逮捕?!税関で検挙されるのはどういう事案?①

2024-06-11
関税法違反 逮捕

今回は、関税法違反について、事例をもとに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例】

※以下の事例はフィクションです。

Aさんはインターネットサイトを通じて、ヨーロッパ製のブランド物のバックを購入しました。
商品は国際貨物として空輸されているようでしたが、2週間ほど経ってもAさんの手元に配達されてきません。心配になったAさんが配達状況を調べてみると、川崎にある横浜税関で荷物は留め置かれていました

心配になったAさんは税関に問い合わせたところ、「きちんとした検査をする必要があり、そのままお渡しすることできません。一度税関に出頭してきてください。」と言われてしまいました。

Aさんは、「出頭したら逮捕されてしまうのか」と不安に思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。

【日本に輸入することができないもの】

日本に輸入される物・輸出されるものに対しては関税」という税金が課せられます。
税関は、その「関税」を徴収する機関の一つであり、また、日本に持ち込んではいけない物を検挙、摘発するという機能も有しています。
大袈裟な話になりますが、日本に火器や化学兵器のようなテロ関連物の持ち込みを防いだり、違法薬物や知的財産を侵害するようなものの輸出入を防止するという役割があるのです。

セドリと言われるような密輸出入を除けば、日本を出入りする物は税関局のチェックを受けてやりとりがなされます。
ここで日本に持ち込んではいけない物を持ち込んでしまったり、持ち込もうとしたりすると関税法違反という犯罪に該当してしまう可能性があるのです。

関税法違反に該当するような、日本に持ち込んではいけないものとしては大きく分けると二通りがあります。

1つは、何があっても持ち込んではいけない物です。
例えば違法薬物爆発物、偽札、児童ポルノ、偽造のブランド品や特許権侵害の物品、不正競争防止法に違反する物品(偽装表示のある商品等)と言った物品が挙げられます。これらは、如何に事前に申告をしていたとしても持ち込むことはできません。

2つ目には、正しく申告をしなければ輸入できない物です。
例えば、外貨や正規のブランド品(一定の価格以上の物)、一定量以上の金・金地金と言ったものがあります。

特に、金・地金については厳しく摘発がなされます。
実際、日本に金地金を持ち込む際には税関で正しく申告をしなければなりませんが、申告をしないで持ち込もうとしたために逮捕されるという事案が多くあります。(参考記事:『読売新聞』掲載記事

関税法も、違反に対しては刑事罰を定めています。
輸入してはいけない物の輸入に対しては10年以下の懲役または3000万円(または1000万円)以下の罰金もしくはその両方が課せられる可能性があります。

また、無申告での物の輸入に対しては、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金もしくはその両方が課せられる可能性があります。

関税法違反といわれても、あまりなじみがないという方が多いかもしれません。
実際、関税法違反の事件については警察だけでなく、税関が主導で検挙しているものも多いのです。

【関税法違反に該当してしまった方は弁護士へ】

関税法違反の事例は、大袈裟な違法薬物の輸入に限った話ではなく、ブランド品や電化製品と言った一般的な物の事例というのもあるのです。
荷物が税関で検挙されてしまった、海外からの荷物が届かなくて不安、利用していた通販サイトが摘発されていたという方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

関税法違反の事例は、違法な物品を輸入して日本で不正な利益を得ようとしていたという営利目的を疑われてしまう事案も多く、逮捕されてしまうという事案や起訴されてしまうという事案も多くあります。

ご不安なことがある方は、一度専門家とよく相談しておくのが良いでしょう。
相談のご予約・お問い合わせについては、0120-631-881にて24時間365日受付中です。

【事例解説】収賄罪とは?どのくらいの罪に問われる?

2024-06-08

【事例解説】収賄罪とは?どのくらいの罪に問われる?

収賄罪 とは

今回は、収賄罪について、事例と共に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例解説】

甲町発注の工事入札をめぐり、複数の業者から現金を受け取ったとして加重収賄などの罪に問われているA前町長の裁判が開かれ、検察は懲役3年を求刑しました。

甲町の前町長、A被告は町発注工事の入札をめぐり、情報を漏らし落札させた見返りに業者3社から現金あわせて110万円を受け取ったとして加重収賄などの罪に問われています。

6日に金沢地方裁判所で開かれた裁判で検察は「町長の権限を悪用し、社会の信頼を失墜させ、常習性も認められる」などとして、懲役3年追徴金110万円を求刑しました。
これに対し、弁護側は「罪を認めたうえで捜査に積極的に協力し、今後、公職に就く意思はなく真摯に反省を示している」として執行猶予の付いた判決を求めました。

(※2024年3月6日に『NHK NEWS WEB』で配信された「志賀町贈収賄事件 小泉勝前町長に懲役三年を求刑」を一部変更して引用しています。)

【収賄罪とは?】

収賄罪及び加重収賄罪は、刑法197条、197条の3に規定されています。

  • 刑法197条(収賄、受託収賄及び事前収賄)
    公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。
    (※第2項省略)
  • 刑法197条の3(加重収賄及び事後収賄)
    公務員が前2条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、1年以上の有期懲役に処する。
    (※第2項、3項省略)

条文にもある通り、収賄罪の構成要件は、公務員が職務に関し、賄賂を収受し、又は要求若しくは約束をすることです。

本件において、当時公務員であったAは町発注工事の入札という職務に関して、業者3社から110万円という賄賂をうけとっていますから、収賄罪の構成要件を全て充足すると考えられます。

そして、収賄罪に加えて「不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったとき」(197条の3)に加重収賄罪が成立するところ、本件における情報を漏らして落札させたとされる行為」は、「不正な行為」といえると考えられるので、もし賄賂の約束をして情報を漏らしたのであれば、197条1項と197条の3第1項により、加重収賄罪が成立すると考えられます。

【収賄罪の他の類型】

収賄罪は197条以下で異なる類型として規定されており、単純収賄、事前収賄、第三者供賄、事後収賄、あっせん収賄などがあります。
これらの収賄の法定刑は様々で、1年以上の懲役を規定するものや7年以下の懲役を規定するものなど様々です。

【事務所紹介】

収賄事件を起こしてしまった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件で弁護活動を担当し、収賄事件を取り扱った実績を多く持つ、刑事事件に特化した法律事務所です。
東京都内で刑事事件を起こしてしまったという方や、ご家族が刑事事件を起こして逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部までご相談ください。

ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。

【弁護士が解説】就労資格がない外国籍の従業員を雇用した場合に問題となる不法就労助長によって生じる刑事裁判リスク

2024-04-01

【弁護士が解説】就労資格がない外国籍の従業員を雇用した場合に問題となる不法就労助長によって生じる刑事裁判リスク

メリット②

コロナの影響がひと段落し,日本の入国制限も緩和され,これまでの人の往来が戻りつつあります。外国人の出入国が再開したことで,入管当局や警察も,不法入国,不法就労に対する取り締まりを再び強めています。近時,不法就労助長罪によって検挙される企業,事業主が増加しつつあります。不法就労助長罪は,外国人労働者を雇用する企業や事業主にとっては頭が痛い問題で,どれだけ注意をしていても防げないという場面もあります。一方,分かってやっていた場合には重大な刑事事件のリスクが生じてしまいます。

この記事では,不法就労助長罪の成立要素,企業が直面するリスク,および法的対策について,具体的な裁判例を交えながら解説します。

【不法就労助長罪とはなにか】

不法就労助長罪は,外国人が日本で働く際に必要な資格や許可なしに労働させる行為を助長した場合に問われる犯罪です。
不法就労助長罪は「出入国管理法第73条の2」に定められており,事業活動の中で外国人に不法就労をさせた場合,3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されることが定められています。
この法律のポイントは,外国人労働者を雇用する事業主が,労働者の在留資格や就労資格を確認せずに雇用することによって,不法就労を助長する行為を禁止していることにあります。事業主が外国人労働者が不法就労しているということを知らなくても,適切な確認を怠った結果として不法就労が行われた場合にも,不法就労助長罪が成立する可能性があります。本来,犯罪は「ダメだと分かって敢えてやった」という場合でなければ成立しないものです(故意責任の原則)。ですが,不法就労助長罪については過失犯,つまり「尽くすべき注意を果たさなかった」場合にも犯罪が成立するのです。
したがって,外国人を雇用する際には,その人の在留資格や就労が可能な資格を十分に確認し,不法就労を未然に防ぐことが事業主には求められています。

【事例:スナック経営者のケース】

不法就労助長罪の具体的な事例として,スナックを経営していた日本人が外国人に売春をさせていた事件があります(東京高等裁判所平成6年11月14日判決)。
被告人は,外国人従業員が勝手に売春をしていたと主張しましたが,東京高等裁判所はこの主張を認めませんでした。裁判所は,スナックで働く外国人が売春の対価の一部をスナックに支払い,店の了解が必要であることなどから,事業に関して外国人を雇っていると判断しました。このケースは,事業活動として外国人に不法就労活動をさせた場合に不法就労助長罪が成立すること,および事業主の責任範囲を示す重要な事例です。
判決の全文を裁判所HPからも確認することができます。

【成立要素の解説】

不法就労助長罪の成立要素は主に二つに分けられます。「事業に関しているか」「不法就労をさせたか」です。これらの要素を具体的な裁判例をもとに解説します。

事業に「関して」いるか

この要素は,外国人が行った労働が事業主が運営する事業の一環として行われたかどうかを問います。つまり,事業の運営に必要な活動であるかが重要です。
例えば,スナック経営者のケースでは,外国人従業員が客との間で売春の合意を行い,その対価の一部をスナックに支払っていた事実が,事業に関していると判断されました。このように,名目上は「飲食店」の従業員として雇っており売春婦として雇っているわけではない,とされていても,その業務が違法なものか適法なものかどうかという点とは関係なく,実質的な面を見て判断されているのです。不法就労を助長する活動が事業の一部となっている場合,この要素が成立します。

不法就労を「させた」か

不法就労を「させた」という要素は,事業主が外国人労働者を監督下に置いて働かせたことを指します。外国人が勝手に事業所で働いていたという場合には,不法就労助長罪には該当しないことになります。
重要なのは,事業主と外国人労働者との間に何らかの指示や監督の関係が存在し,その結果として不法就労が行われたかどうかです。雇用契約が結ばれていたというような場合は分かりやすいのですが,具体的な契約はなくとも,業務についての指示・命令があるかどうかが重要です。
上記のスナック経営者のケースでは,売春行為について事業主が一定の管理や制約を設けていたことから,不法就労を「させた」と判断されました。
これらの要素から,不法就労助長罪が成立するためには,単に不法就労を行ったのではなく,その活動が事業主の事業に関連し,事業主による一定の監督や指示の下で行われたことが必要であることがわかります。事業主は,外国人労働者の雇用に際して,これらの点に十分注意する必要があります。

【企業が直面するリスク】

不法就労助長罪に関わることは,次のようなリスクをはらんでいます。

刑事裁判,手続リスク

最も分かりやすいのは,刑事手続,刑事裁判に掛けられるというリスクです。
不法就労助長罪が成立した場合,事業主には3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処される可能性があります。また,複数人の外国人に不法就労をさせていたという場合や,事業規模が大きかった場合には逮捕・勾留といった身体拘束のリスクもあります。
不法就労助長罪は出入国管理及び難民認定法という特別法に違反する犯罪ですが,刑事事件を扱う弁護士の中でも入管法まで扱う弁護士は多くありません。
警視庁の不法就労助長罪について,刑事事件に強いあいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

社会的リスク

法的責任に加えて,社会的な評価の低下も大きなリスクです。レピュテーションリスク,いわゆる「評判」です。
不法就労助長の事実が公になった場合,企業の評判は著しく損なわれます。特にSNSの普及により,負の情報は瞬時に広がり,企業イメージの回復は困難を極めます。「外国人を不当に働かせている企業」というレッテルは,顧客離れや企業価値の毀損を引き起こし,結果として事業の持続可能性に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクを避けるためには,企業は不法就労に関する法律を正確に理解し,適切な対策を講じる必要があります。具体的には,外国人労働者の在留資格や就労資格を確認し,適法な雇用管理を行うことが求められます。また,不明点がある場合には,専門家に相談することも重要です。企業がこれらの対策を適切に実施することで,法的リスクだけでなく,社会的リスクや経営上のリスクからも自身を守ることができます。
当事務所では,どの弁護士も刑事事件に強みを持ち,また,関連分野について専門性を持った弁護士が在籍しています。入管問題,企業犯罪・不祥事対応といった専門性の高い各部門の弁護士が,外国人を雇用する企業の経営をサポートします。
お困りのことがある方は,あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は0120−631−881にて受け付けています。

【対策と実務上の注意点】

不法就労助長罪を防ぐためには,企業が実務上いくつかの重要な対策と注意点を理解しなければなりません。

在留資格と就労資格の確認

外国人労働者を雇用する際には,その人の在留資格と就労資格を確認することが最も基本的な対策です。在留カードの確認を怠ると,不法就労を助長するリスクが高まります。この確認作業は,雇用の初期段階だけでなく,定期的に行うことが重要です。
具体的には従業員名簿を作成し,各自の在留資格/在留の期限/就労可能な時間数や範囲を確認し,認められた就労の範囲を逸脱しないように監督します。

従業員教育と意識の向上

企業内での従業員教育を通じて,不法就労のリスクや法的責任についての意識を高めることも重要です。特に,外国人労働者を直接管理する立場の人には,在留資格や就労資格に関する知識をしっかりと理解してもらう必要があります。

専門家との連携

不法就労に関する法律は複雑であり,常に最新の情報を把握しておく必要があります。
不明点がある場合や,具体的な対策について相談したい場合には,法律の専門家や行政書士と連携することが望ましいです。専門家の助言を得ることで,リスクをより効果的に管理することが可能になります。
これらの対策と注意点を適切に実施することで,企業は不法就労助長罪のリスクを大幅に低減させることができます。また,これらの取り組みは,企業のコンプライアンス意識を高める意味でも重要です。

【特別な対応が必要なケース】

不法就労助長罪に関連して,ビザの種類によっては個別に対応した方が良い場面があります。

永住者や日本人の配偶者等

永住者や日本人の配偶者等の在留資格を持つ外国人は,就労に関して制限が緩和されています。それに加えて,永住者の場合には在留期間に制限がありません。
そのため,「永住者」,「日本人の配偶者等」の在留資格の方については,在留カードが有効かどうかといった本人確認を重視します。

資格外活動許可を受けた留学生

留学生は,資格外活動許可を受けることによって,「1週間で28時間以内」のアルバイト等の就労が可能になります。しかし,許可された時間や活動範囲を超えて就労させることは違法となります。企業は,留学生が資格外活動許可を持っているか,許可された範囲内で就労しているかを確認し,シフトを組むうえでも「28時間以上の稼働になっていないか」を注意する必要があります。

中途採用の場合

中途採用において,既に日本に在留している外国人を雇用する場合,その人の在留資格が新たな就労内容に適合しているかを確認する必要があります。永住者や配偶者等のビザでない限り,在留資格は,特定の就労内容に限定されていることが多く,職種変更などによっては在留資格の変更が必要になる場合があります。
これらの特別なケースに対応するためには,企業が外国人労働者の在留資格や就労資格に関する知識を持ち,適切な管理体制を構築することが重要です。また,不明点がある場合には,専門家に相談することで,リスクを避けることができます。

【まとめと企業が取るべき行動】

不法就労助長罪のリスクを避け,企業としての社会的責任を果たすためには,外国人労働者の雇用に関する法律を遵守することが不可欠です。
本記事で紹介した対策と注意点を実践することで,多くのリスクを回避することが可能です。しかし,法律は複雑であり,企業の具体的な状況に応じた適切な対応が必要な場合も少なくありません。
不明点がある場合や,企業が直面している特定の問題に対して専門的なアドバイスが必要な場合には,弁護士への相談がをおすすめします。
企業の責任者の方々は,不安や疑問がある場合には,遠慮なく弁護士に相談することをお勧めします。適切な法的アドバイスを受けることで,企業は安心して外国人労働者の雇用を行うことができるでしょう。

【相談をお勧めするタイミング】

【事例解説②】児童福祉法違反事件における示談の重要性は?

2024-03-17

【事例解説②】児童福祉法違反事件における示談の重要性は?

児童福祉法違反 示談

前回に引き続き、示談福祉法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。
今回は児童福祉法違反事件における示談の重要性について見ていきましょう。

【事例】

前回同様、児童相談所に勤務しているAさんが10代のVさんと性的な接触を持ってしまったという事例(参照記事)を基に、児童福祉法違反の事例での示談について解説します。

【児童福祉法違反事件における示談の必要性】

「児童に淫行をさせる行為」に対しては、児童福祉法違反のなかで最も重い10年以下の懲役又は300万円以下の罰金もしくはその両方という刑罰が定められています。

児童福祉法違反を犯してしまうと、仮に前科がないという方の場合であったとしても、正式裁判で起訴されてしまったり、場合によっては実刑判決を受けてしまうということがあります。
罪を認めて争わないという事件の場合、具体的な処分(起訴される/されない、の判断や実刑になる/執行猶予で出られる、の判断)がどのようになるかという点は大きな分かれ道です。
児童福祉法違反の事案でも、示談ができているかどうかという点は処分にある程度の影響を及ぼす要素であるといえます。

刑の重さが争点となって争われた事件として令和4年1月31日に福岡地方裁判所で判決が言い渡された事例があります。
この事例は、デイサービス事業を営んでいた被告人が、そこに通っていた当時18歳未満の児童と性交をしたとして児童福祉法違反として起訴された事案です。
この裁判では事実関係は争われず、専ら刑の重さが争点となりました。

検察官は裁判の中で、2年6か月の実刑判決を求めていましたが、裁判所は、「反省していること、私選で弁護士をつけて示談の申し出をしていること、一度断られていても示談の話し合いは継続するつもりであること」を考慮して、5年間の執行猶予付きの判決を言い渡しました。
示談としてまとまった、というところまでいかなくても、示談をしようとしたという態度が非常によく評価された判決であるといえます。

【示談を行う上での注意点】

既にここまでで、児童福祉法違反の事例においても示談交渉をしたり示談を締結すること自体が非常に重要であることは理解いただけたかと思います。
刑事事件の処分においては非常に大きな意味を持つ示談ですが、いくつか注意すべき点もあります。

①誰と示談するのか

示談も、私人同士が話し合いの結果、生じた事件や紛争を合意の下で解決するという契約行為です。そのため、事件の当事者が未成年の場合、その親権者法定代理人と示談しなければなりません。
当人同士で示談をしたとしても意味がない可能性があります。

②どのように示談金を定めるのか

児童福祉法違反は、法律の建前としては児童の健全な育成が害された」という犯罪になります。
一方、示談とは、究極的に言うと、示談金を支払うことによって当事者で解決する、というものです。
ここで、児童福祉法違反の事例の場合、「示談金をどのように設定するのか」という点で大きな争いが生まれることがあります。
というのも、殴られた(=治療費)、物を盗まれた(=物の価格)といった事例のように、被害の結果を金銭で評価することが難しいのです。

また、児童福祉法違反の事例は、あくまで児童の同意に基づいた性交等を前提とします。
仮に同意がないとなれば、不同意わいせつ罪であるとか、不同意性交等罪という別の犯罪になります。

同意の下でした行為について「慰謝料」を考えることになるわけですから、明確な基準もなく、示談交渉では示談金の設定が非常に困難になります。

③どのような示談書の記載にするのか

示談金の問題をクリアしたとして、示談書にどのような記載をするかが次の問題となります。
ただお金を払ってごめんなさいをした、というだけでは、示談が刑事裁判に与える影響は限定的です。
示談ができた結果や被害者の処罰意思が和らいだことについて、的確に記載しなければいけません。

④公務員の方の場合

この点は、普段から児童に関わる方固有の問題になりますが、示談書において、事件のことをどの程度記載するのかという点も悩ましいポイントです。
教職の方や公務員の方の場合、刑事事件とは別で資格や公務員としての地位について懲戒等の処分が下される可能性もあり、示談書の記載もその資料となることがあるためです。

このあたりは事件の内容に応じた非常にセンシティブな問題でもあるため、弁護士とよくご相談いただくのが良いでしょう。

以上のような示談の注意点に気を配りつつ、「加害者ー被害者」という関係の中で、より有利に示談交渉を進めていく、というのは一般の方にとってはほぼ不可能であると思われます。
児童福祉法違反の示談交渉については、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

示談交渉のために必要となる、

  • 被害者情報の取得
  • 被害者との交渉
  • 示談書の作成
  • 捜査機関や裁判所への提出、処分軽減のための主張

は、一連の流れで行うのが最も効果的です。
示談交渉についてはなるべく早い段階から弁護士に相談、依頼して対応してもらうのが良いでしょう。
東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は弊所フリーダイヤル(0120−631−881)にて受け付けています。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部児童福祉法違反事件における示談の重要性について解説致しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
児童福祉法違反事件でご家族が警察に逮捕されてしまった方や、児童福祉法違反事件で相手から慰謝料を請求されている等、ご不安なことがある方やご心配なことがある方は、まずは弊所までご連絡ください。

逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
新宿警察署までの初回接見は33、000円(令和6年1月1日時点、東京支部の場合)で行っています。

ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

【事例解説①】児童福祉法違反とはどのような犯罪?逮捕される可能性は?裁判になった場合はどうなる?

2024-03-13

【事例解説①】児童福祉法違反とはどのような犯罪?逮捕される可能性は?裁判になった場合はどうなる?

児童福祉法 とは

今回は、児童福祉法違反について、事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例】

Aさんは東京都内の児童相談所で一時保護された児童の面接などを行う児童相談所の職員として働いていました。

ある時、Aさんは、受け持った10代の児童であるVさんから好意を持たれ、抱きつかれたり体を触られたりすることがありました。
Aさんも、やや不適切な行為であることを感じつつも、好意を持たれることに悪い気がしなかったこともあり、あまり注意せずにいました。

Vさんの行為を受けて、Aさんからも身体接触するようになり、ついには施設内の個室でキスをしたり、VさんにAさんの陰部を触らせ、口淫するということにまで至りました。

Vさんが施設を出所したあと、家族にAさんとのことを話した結果、Vさんの家族が児童相談所に対して「不適切な性的接触があった、児童福祉法違反として警視庁麻布警察署に被害届を出す」と言われてしまいました。

Aさんは自身の行為について不安に思い、弁護士に相談することにしました。

警視庁麻布警察署児童福祉法違反事件については、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部の弁護士にご相談ください。
東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談は、フリーダイヤル(0120−631−881)にて24時間365日受け付けています。

【児童福祉法違反とは】

Aさんのように、18歳未満の未成年の人に対して一定の影響力がある人が、その未成年と性交等の淫行をする行為は、児童福祉法に違反する可能性があります。

児童福祉法は次のような規定を定めています。

  • 児童福祉法第34条
    何人も次に掲げる行為をしてはならない。
     児童に淫行をさせる行為

「させる」とあると、未成年に対して第三者と行為をさせる(強いる)というようにも見えますが、自分との行為をさせることも児童福祉法の違反になります。

上記の事例で言うと、AさんがVさんに対して「Aさんと淫行」させた、といえれば児童福祉法の違反になります。

児童福祉法の違反に対しては10年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方が科せられる可能性があります。

児童福祉法の淫行をさせる行為については最高裁判所の裁判例も複数あり、「どのような場合に児童福祉法の違反になるのか」という点について論点も複雑になっています。

法律上は「させた」と言えるのかどうかが争われることが多くあり、後述のような無罪の判決が言い渡された事例もあります。
児童相談所の職員や学校の教員、保育施設の職員、警察官など、日常的に児童(18歳未満の未成年)と関わる職務にある人によるわいせつ行為に対して、適用されることが多い法律です。

近年、刑法の規定が大幅に改正され、不同意わいせつ罪不同意性交等罪という規定もできました。
これまで、強制わいせつ罪や強制性交等罪(旧強姦罪)と言われていたものが、更に名称が変わり、処罰範囲も広がりました。
その中でも特に大きな改正が、性交同意年齢が引き上げられた、というものです。

これまで、13歳」とされていた同意可能年齢が「16歳」にまで引き上げられたのです。
そのため、16歳未満との性交やわいせつ行為は、たとえ同意があったとしても犯罪になる可能性が広がったということです。

これを、青少年健全育成条例との兼ね合いも絡めてみると、同意があった場合の未成年との性交に対する処罰は、次のような図になります。

18歳未満との性交13歳未満13歳以上16歳未満16歳以上18歳未満
改正前強制性交等児童福祉法違反or条例違反児童福祉法違反or条例違反
改正後不同意性交等不同意性交等不同意性交等or児童福祉法違反
or条例違反
改正後の変化変わりなし実刑可能性↑実刑可能性↑

上記の表の通り、16歳未満の未成年との性交に関しては初犯でも実刑の可能性が高い不同意性交等罪が成立することになるため、相当重くなったと言えます。

また、従来は児童福祉法か条例違反が成立するのみであった16歳から18歳の間の未成年との性交に対しても、不同意性交等が成立する可能性がある規定にもなっています。

児童福祉法違反というのは、暴行や窃盗などと違って、あまり耳馴染みのない犯罪かもしれません。
また、実際の事件の中でも、適用例は少ない法律です。

ただ、刑法が改正されたあとでも、児童相談所の職員や学校の教員、保育施設の職員、警察官など、日常的に児童(18歳未満の未成年)と関わる職務にある人に対しては、依然として適用されるケースが多くあるようです。

児童福祉法違反の事例では、職務上関わる未成年の人が被害者となる犯罪であるため、加害者が被害者に対して不当な働きかけをすることが疑われやすいといえます。

上記のAさんのような事例では、AさんがVさんに対して「あのときのことは秘密だよ/誰にも言ってはいけないよ」と言えば、Vさんは親や警察に対しても被害申告することをためらわれるとみなされるのです。
そのため、警察に被害申告があった場合には、逮捕されることが多い事案であると言えます。

【児童福祉法違反の成立が否定された事例】

前述の通り、児童福祉法は単純な文言ゆえに解釈が複雑であり、近年でも児童福祉法が成立しないという判断が出された事例があります。

ここでは福岡地方裁判所が令和2年6月22日に言い渡した判決の事例を紹介します。

この事案も、児童相談所の職員が施設で担当した18歳未満の児童と口淫をしたという事件で、「口淫をした」ということ自体は争われませんでしたが、「させた」と言えるか、児童福祉法の違反と言えるのかどうかが争われました。
裁判所は具体的な事実関係を認定して、「本件の場合には児童福祉法が成立すると言えるほどの影響力はなく、児童が真に自分の意思に基づいて行動した可能性もあるのだから、児童に口淫をさせた、とまで評価できない」として、児童福祉法が成立するという検察官の主張を退けました。
なお、口淫をしたこと自体は間違いがなかったため、青少年健全育成条例の限度では有罪の判決が言い渡されています。

【児童福祉法違反により有罪判決となった場合】

一方、児童福祉法違反の成立を争わず、有罪の判決を前提として刑の重さを争った場合にはどの程度になるのでしょうか。

いくつかの裁判例でも判断が分かれていて、初犯であっても1〜2年程度の実刑判決を言い渡しているもの、ギリギリの執行猶予を付しているものが見られます。
これは不同意性交等罪ができる前の裁判例ですから、今後の動向としてはより刑罰としては重くなる(同じような事案で執行猶予が付きにくくなる)とも考えられます。

刑罰を決める要素としては、どのような行為を、どれくらいの期間にわたって繰り返していたのか、児童との関係はどのようなものか、といった点をベースとして捉え、示談ができているかどうか再犯の可能性はあるのか家族が監督を引き受けているかといった点を考慮して最終的は刑の重さが決まります。

【児童福祉法違反事件を起こしたら弁護士へ】

児童福祉法は条文の解釈が複雑であるということもあり、適用される場面が流動的に変化している事件類型です。
しかし、適用される事件では逮捕されやすく、初犯であっても実刑になる可能性が高い類型であるとも言えます。

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が児童福祉法違反の裁判、量刑事例について解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。

児童福祉法違反でご家族が警察に逮捕されてしまった方や、ご不安・ご心配なことがある方は、まずは弊所までご連絡ください。

逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
警視庁麻布警察署までの初回接見は36,080円(※令和6年1月1日時点、東京支部の場合)で行っています。

ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【事例解説】不正競争防止法とは?元勤務先のデータを保管しておくと営業秘密の侵害に該当して罪に問われる?

2024-03-12

【事例解説】不正競争防止法とは?元勤務先のデータを保管しておくと営業秘密の侵害に該当する?

不正競争防止法 とは

不正競争防止法という法律をしっかりと理解できているという方は少ないかもしれません。
ただ、この不正競争防止法は、多くの人にとって意図せずに違反して罪に問われてしまう可能性がある法律なんです。

そこで、今回は不正競争防止法について、事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

【事例】

東京都中央区に住んでいるAさん(30代男性)は、とある製造業に勤めていましたが、キャリアアップのために同業他社へ転職することにしました。
その際、Aさんは勤めていた会社で調べた論文などのデータを一式、インターネット上のクラウドサーバーにアップロードして、何かあったときの参考にしようと思って保管していました。

転職後、Aさんが勤務を開始してしばらく経った頃、自宅に警視庁中央警察署の警察官が「不正競争防止法違反の疑いがある」と、捜索差し押さえ令状を持ってやってきました。
突然のことで動揺してしまったAさんですが、転職先で元勤務先のデータを勝手に使うなどの情報ろう行為をしていたわけではありませんでした。

不安に思ったAさんは、弁護士に相談することにしました。
(※この事例は全てフィクションです。)

【不正競争防止法違反とは】

不正競争防止法とは、企業間の公正な競争を確保し、産業の発展を目指すという目的のもとで作られた法律です。
難しく感じるかもしれませんが、ざっくりと言ってしまうと、他人の商品をパクったり、情報を漏洩したり、データを改ざんしたりするような不公正な競争行為はやめようね、正々堂々と企業間競争をしようねという法律です。

不正競争防止法では、不正競争行為」として禁止されている行為の類型がいくつかあり、そのうちの一つに、営業秘密の侵害があります。
いわゆる、産業スパイ行為を禁止するものです。

元々、「情報」というものは目に見えず、法律上も保護が難しいものでした。
しかし、情報化社会が進み、目に見える財産と同じくらい「情報」が重要視されるようになり、その保護の必要性も高まっていったことから、営業秘密の侵害が法律でも規制されているのです。
営業秘密の侵害に対しては、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、もしくはその両方が課せられる可能性があります。

Aさんの行為が不正競争防止法の営業秘密の侵害に該当してしまうとなると、それだけの懲役刑罰金刑に課せられるリスクが生じることになってしまうのです。
警察からの取り調べを受けるようになったということは、これらのリスクと隣り合わせの状態になったということです。

特に不正競争防止法の営業秘密の侵害が疑われる事案は単なる喧嘩や万引きの事案などとは異なり、特別刑法犯としてしっかりと専門知識のある弁護士の助言を受けながら対応すべき事件になります。
営業秘密の侵害の事案では、警察への取り調べももちろんですが、合わせて民事事件のことも考えた動きをしなければなりません。

営業秘密の侵害に関連した訴訟では、数百万円単位の損害賠償請求を受けるということも珍しくありません。
大企業感の営業秘密の侵害であれば、数億円以上の裁判になるのです。
ソフトバンク、楽天モバイル間では1000億円もの損害賠償を巡る裁判になっています。
(※参照記事:『楽天モバイルと楽天モバイル元社員に対する訴訟を提起 1,000億円規模の損害賠償請求権を主張』)
ここまで大きな裁判は稀ですが、いまや営業秘密はそれだけ大きな価値を有している会社の財産とも言えるのです。

【営業秘密の侵害とはなにか?】

ここで、営業秘密ってどこまでの情報なんだ?」と思われる方もいるかもしれません。

不正競争防止法では、営業秘密について、次のように規定されています。

  • 不正競争防止法第2条(定義)
    (※第1~5項省略)
    6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
    (※第7~11項省略)

営業秘密に当たる情報かどうかは、秘密管理性、②有用性、③非公然性という要素をすべて満たすものを指すとされています。

①秘密管理性

秘密管理性というのは、当該情報を事業主が「秘密にしたい」という意思を持って管理している状況であるかどうかという点で判断されます。
例えば、資料に「社外秘」と書かれていたり、会社内の金庫付きのロッカーに保管されていたり(鍵は管理職のみが保持ないし持ち出すときには決裁が必要になるなど)という状況であれば、「会社にとっての秘密なのだな」と誰からもわかる状態です。
このような状況であれば、秘密管理性があると言えます。

逆に、会社の受付に資料として掲示されているものや、社内で誰でも見られる棚に置かれているというのであれば、秘密管理性を満たさない場合があります。

②有用性

有用性というのは、その情報が事業にとって意味のあるかどうかという点です。
秘密に管理している情報なのであれば、おおよそ事業にとって意味のある情報ですから、有用性があると言えます。
有用性がない情報というのは、従業員の私生活上の情報であるとか、会社の不祥事などの情報(有害物質を工場で垂れ流しているという情報など)については、事業に関連しない、秘密として保護するに値しない情報であるため、有用性がない情報であると言えます。

③非公然性

非公然性とは、世の中で知られていないということです。
例えば、自然化学の世界における法則や、数学の計算公式など、学術的に広く知れ渡っている情報は公然の情報であると言えます。
また、ニュース、雑誌、インターネットなどの情報媒体に載っている場合にも、非公然性を満たさない情報であると言えます。

これらの要素(①~③)が全て満たされた情報営業秘密に該当するものであり、営業秘密をコピーしたり、社外に持ち出したり、第三者に提供したり、売買したり、利用させたりした場合には、営業秘密の侵害が成立することになってしまうのです。

Aさんのケースで具体的に考えてみましょう。
Aさんは、論文などのデータをインターネットクラウド上にアップロードしたということでした。
これらを、例えば自宅のPCでダウンロードしていたとなれば、情報の複製があったとなります。
そこで、そのデータが営業秘密に該当するかどうかが問題になります。

メーカーにとっても化学や物理学の論文は、事業への応用可能なものもあるでしょうから、有用性がある情報でしょう。
この情報が、社内で秘密に管理されていたものなのか、会社が作成して未公表の論文なのか、学術誌などにも掲載されているような論文なのかに応じて、営業秘密に該当するかどうかの判断が別れてくるでしょう。

【元勤め先との示談は?】

営業秘密の侵害が高額な損害賠償訴訟にまで発展するおそれがあるとなると、示談交渉をどうしたら良いかわからないという方もいらっしゃるでしょう。
ですが、前述のように、「そもそも営業秘密の侵害が成立しているのかどうか」をよく検討しなければならない場合があります。

よく見られる対応として、「元勤務先からデータの持ち出しを指摘されたので、慌てて消してしまい、会社からの請求に全て応じた」というものがあります。
必ずしも間違いであるとは言い切れないのですが、持ち出したデータによっては「営業秘密の侵害」が成立しないという場合もあり得るのです。

不正競争防止法の違反だと言われたり、警察が自宅に捜索差し押さえ令状を持ってやってきた、ということから、安易に判断をして事態を悪化させてしまうという方も、中にはいらっしゃいます。
刑事事件において示談は非常に重要ですが、事件の内容を正確に吟味したうえで行わなければなりません。
相手の言うままに示談に応じようとしたところ、とんでもない金額の損害賠償請求を受けてしまうという事案もあります。
不正競争防止法違反の事件で相手方と対応をするときにも、早めに弁護士にご相談・ご依頼ください。

不正競争防止法違反によって取調べを受けている、元勤務先から営業秘密の侵害をしたと疑われているという方は、刑事事件に特化した専門の法律事務所である弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

警視庁中央警察署の不正競争防止法違反事件の事件については、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部の弁護士が対応いたします。
東京支部(新宿駅最寄り)でのご相談・ご依頼についてのお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120−631−881)にて24時間365日受付中です。

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