Archive for the ‘暴力事件’ Category

強盗致傷事件の刑事弁護活動

2019-02-09

東京都台東区に住むAさんは、お金に困ったことから、近くのコンビニでおにぎり1つ(時価100円相当)を万引きしました。
しかし、Aさんがお店を出ようとしたところ、お店の従業員が万引きに気付き、Aさんのことを追いかけてきました。
捕まってしまうと大変なことになると思ったAさんは、追いかけてきた従業員の腕をつかみ、その場に押し倒しました。
押し倒された従業員は、膝をすりむき、全治1週間の傷害を負ってしましました。
その日は逃げることができたAさんですが、翌日自宅に警視庁浅草警察署の警察官がやってきて、そのまま逮捕されてしまいました。

◇罪名◇

・Aさんに成立する犯罪
まず、Aさんに成立する犯罪を検討します。
Aさんは、おにぎりを万引きしているため、窃盗に当たる行為をしています。
しかし、その後Aさんは追いかけてきた従業員に暴行を加えました。このような場合、「窃盗が、(・・・)逮捕を免れ(・・・)るために、暴行または脅迫をしたときは、強盗として論ずる」として、刑法238条により、強盗の罪が成立します。この刑法238条の罪を、「事後強盗」と呼んでいます。
また、「強盗が、人を死傷させた時」は、強盗致傷罪が成立します(刑法240条)。
よって、今回のAさんには強盗致傷罪が成立します。
そして、強盗致傷罪の場合には、法定刑が無期又は6年以上の懲役と非常に重いものとなっています。

◇裁判員裁判◇

強盗致傷罪は無期懲役が定められているため、裁判員裁判対象事件です。
裁判員裁判とは、裁判官3名と、一般国民から選ばれた裁判員6名の合計9名が、刑事裁判の審理を行い、有罪か無罪か、有罪とすればどのような刑が適切であるか評議をし、判決をするという裁判です。
この裁判は、国民感情を裁判という司法の場に反映するために導入されました。そのため、有利な判決を得るためには、裁判官だけではなく、裁判員に対しても、分かりやすい説得的な議論が必要となります。

◇強盗致傷の捜査段階の弁護活動◇

強盗致傷罪は、裁判員裁判対象事件ですから、一度起訴されてしまうと、裁判員裁判という大掛かりな裁判になってしまいます。
そのため、できる限り起訴を防ぐ弁護活動が必要となります。
今回のAさんの事件のような場合には、おにぎりの所有者であるコンビニ店舗に被害弁償する、追いかけてきた従業員に対して治療費や慰謝料の支払いをするといったことを行い、穏便な解決を図るということが重要になります。
Aさんの罪は、強盗致傷罪という思い罪名ではありますが、実態としては100円の万引きと、全治1週間の傷害というものですから、両者ときちんと示談することができれば、最終的に不起訴処分となることも十分考えられます

◇強盗致傷の裁判段階の弁護活動◇

強盗致傷罪で起訴されてしまった場合には、裁判員裁判となってしまいます。
しかし、過去の裁判を見ると、強盗致傷罪で裁判となった場合にも、執行猶予付き判決がなされている事例が散見されます。
執行猶予付き判決をすることができるのは、主文で3年以下の懲役を言い渡すときに限られます。
強盗致傷罪の法定刑は、既に述べた通り、無期又は6年以上の懲役です。
そのため、法定刑の上では、最低でも6年以上の懲役となりますから、そのままでは執行猶予付き判決をすることはできません。
しかし、法律上酌量減軽(刑法66条)という制度があり、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる」と定められています。そして、有期刑を減軽する場合は、その刑を半分にすることになりますから、強盗致傷罪の場合は、3年以上の懲役となります。これにより、懲役3年とすることができますから、執行猶予を付けることができるようになります。
強盗致傷罪で起訴されてしまった場合には、裁判官や裁判員に対し、酌量減軽を求められる事情をしっかりと主張することが大切になります。

東京都台東区の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が、強盗致傷罪で警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁浅草警察署までの初回接見費用:37、800円

セクハラと刑事事件

2019-02-01

~事件~

東京都葛飾区の不動産会社に勤めるAさんは、会社で営業部長の職にあります。
Aさんには、10名の部下がいますが、その中でも昨年4月に新卒で採用した女性社員のことを気に入って親しくしていました。
この女性社員も、Aさんに対して非常に親しく話しかけてくることから、Aさんは、女性社員と相思相愛だと思い込んでいました。
最初は、指導する際に軽く身体に触れる程度でしたが、徐々にAさんの行動はエスカレートしていき、先週行われた営業部の新年会では、酒に酔った勢いも手伝って、女性社員にキスをしたり、スカートの中に手を入れてしまいました。
その翌日、女性社員は欠勤し、Aさんのもとには「セクハラで訴えます。」と女性社員からのメールが届きました。
Aさんは、女性社員への一連の行為がセクハラに当たり会社から何らかの処分がくだることは覚悟していますが、これらの行為が刑事罰の対象になるのか不安です。、
(フィクションです)

◇セクハラ◇

セクハラとは、セクシュアルハラスメントの略称のことで、性的な嫌がらせや相手の意に反する性的な言動によって不利益を受ける職場でのハラスメントです。
厚生労働省は
①職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること(対価型セクシュアルハラスメント)
②性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じること(環境型セクシュアルハラスメント)
と、セクハラを定義しています。
一昔前からセクハラが社会問題化されて、行き過ぎたセクハラ行為が刑事事件化するケースも少なくありません。

◇セクハラが刑事事件化されると◇

セクハラ行為で成立する犯罪として考えられるものとしては
~強制わいせつ罪等~
相手の体を触ったり、今回の事例の様に急にキスをしたりといった場合には強制わいせつ罪となってしまう可能性があります。
そして、性交渉を迫ったような場合は強制性交等未遂となってしまうことがあります。
~準強制わいせつ罪等~
相手が酔っていたり、断れない状態に追い込んだりして、わいせつ行為や性交渉を行った場合は準強制わいせつ罪、準強制性交等罪となります。
~傷害罪~
度重なるセクハラ行為で相手が、うつ病などの精神疾患を発症すれば、傷害罪となってしまう可能性があります。
セクハラ行為と、病気との因果関係を裏付けることは困難でしょうが、それが立証された場合は、傷害罪が適用されるおそれがあるでしょう。
過去には、故意的に騒音を発して、相手をノイローゼに陥らせたとして、傷害罪の成立を認めた判例があります。
~強要罪~
相手に義務のないことを強要したとして強要罪となる可能性があります。
このほかにも侮辱罪や各都道府県の東京都の迷惑防止条例違反など、セクハラ行為は、あらゆる法律の適用を受けて、刑事罰が科せられる可能性があります。

◇刑事弁護活動◇

セクハラは被害者が被害届を出すことで刑事事件化することが多いです。
そこで、被害者の方と示談を締結し、被害届を取下げてもらうことができれば、不起訴処分となる可能性が大きくなります。
しかし、性的被害を受けた被害者の処罰感情は非常に強く、加害者本人からの示談を受け入れてもらえる可能性は非常に低いでしょう。
そこで、セクハラ被害者との示談交渉は、刑事事件専門の弁護士に依頼することを、お勧めします。
弁護士を通じて交渉することで、被害者との示談を締結できる可能性が高まり、刑事罰を回避できる可能性が生じます。
また、早期に刑事事件専門の弁護士を介入させることで、起訴されて、正式な裁判を受けることになったとしても最終的な刑事処分を軽減することができます。

東京都葛飾区の刑事事件でお困りの方、自身のセクハラ行為が刑事事件に発展する可能性のある方は、事件の早期解決を目指す「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」の刑事事件専門の弁護士にご相談ください。
初回法律相談:無料

傷害致死罪の裁判員裁判

2019-01-29

◇事件◇

Aさんはプロの総合格闘技の選手です。
先日、友人とお酒を呑んで帰宅途中に、酔払いのサラリーマンとトラブルになった際、このサラリーマンの顔面を殴りつけました。
サラリーマンは転倒した際に、コンクリートの地面に頭を強打し、その翌日に死亡してしまいました。
当初Aさんは、通報で駆け付けた警視庁巣鴨警察署の警察官に、傷害罪現行犯逮捕されていましたが、その後、傷害致死罪に変わって勾留されました。
Aさんの家族は、裁判員裁判の経験豊富な弁護士を探しています。
(フィクションです)

◇傷害致死罪◇

人を暴行して傷害させた結果、人を死亡させたら傷害致死罪となります。
人が死亡するという結果では、殺人罪と同じですが、殺人罪には「人を殺す故意」つまり殺意が必要とされているのに対して、傷害致死罪の成立には「暴行の故意」で足りるとされています。
ただ「死ぬかもしれない。」という認識があって暴行していれば、結果を容認したとして未必の故意が認められる場合もあるので注意しなければなりません。
Aさんのように傷害致死罪勾留された場合でも、殺人罪に切り替えられて起訴されることがあるので、ご家族、ご友人が傷害致死罪で勾留されている方は、一日でも早く刑事事件に強い弁護士に依頼し、その後の対応を検討することをお勧めします。

そして傷害致死罪で起訴されて有罪が確定すれば「3年以上の有期懲役」が科せられる事となります。
傷害致死罪は、人の死という結果の重大性から、初犯であっても刑務所に服役する可能性が極めて高い犯罪ですが、刑事事件に強い弁護士を選任して、刑事裁判に望めば執行猶予付判決になる可能性がないわけではありません。

◇裁判員裁判◇

傷害致死罪で起訴された場合の刑事裁判は、裁判員裁判によって行われます。
裁判員裁判とは、平成21年から始まった刑事裁判の制度で、ある一定の重い罪の刑事裁判においては、裁判所によって無作為に選出された国民が、裁判に参加し、裁判官と共に被告人の処分を決定する裁判のことです。
裁判員裁判は、裁判期間こそ短期間で行われますが、裁判が開始されるまでに、証拠や主張等を整理する特別な手続の期間が設けられるために、起訴されてから裁判で刑が言い渡されるまでは長期間に及びます。
そして長期に渡って裁判を戦っていくにあたっては、刑事事件を専門とする、裁判員裁判の経験豊富な弁護士に依頼することを、お勧めいたします。
膨大な証拠を精査し、必要な証拠を取捨選択する等、刑事事件の経験に裏付けられた知識が必要となるからです。
また、裁判員裁判においては、法的な知識を有しない裁判員に対して、主張をアピールするための法廷技術等が必要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、これまで裁判員裁判を経験した弁護士が複数在籍しており、裁判員裁判において必要な知識や技術を有しておりますので、事件を起こして起訴された方だけでなく、そのご家族の方にも安心していただくことをお約束します。

警視庁巣鴨警察署が管轄する、東京都豊島区内で刑事事件を起こしてしまった方、ご家族、ご友人が傷害致死罪で警察に逮捕されてしまった方、裁判員裁判の経験豊富な弁護士をお探しの方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて24時間承っておりますでの、お気軽にお問い合わせください。
初回法律相談:無料
警視庁巣鴨警察署までの初回接見費用:35,200円

 

嘱託殺人罪で逮捕

2019-01-21

◇事件◇

東京都大田区に住む会社員A子さんには、十年近く交際している男性がいます。
この男性は、数年前にがんを発症し、それ以来、抗がん剤治療を行っていますが、薬の副作用等で精神的に不安定で、将来に悲観的になっています。
ある日、A子さんは、交際相手の男性から「もうこれ以上生きていくのは苦しい。薬を飲んで寝ている間に首を絞めて殺してくれないか。」と懇願されたので、A子さんは、寝ている交際相手の首を絞めて殺害しました。
そしてA子さんは、自ら警視庁蒲田警察署に自首したのです。
嘱託殺人罪で逮捕されたA子さんの両親は、刑事事件に強いと評判の弁護士に、A子さんの刑事弁護を依頼しました。(フィクションです)

◇嘱託殺人罪◇

刑法第202条に、自殺関与及び同意殺人についての規定があります。
同意殺人とは、本人の意思に反しない死の惹起に関与する行為を処罰するものです。
同意殺人は、嘱託殺人罪承諾殺人罪に分かれます。
嘱託殺人罪とは、被殺者から行為者に対して自らの殺害を依頼して、その依頼に基づいて行為者が被殺者を殺害する事です。
当然、被殺者の自らの殺害依頼は、被殺者の真意に基づき、かつ明示的なものでなければならず、これらが欠けての殺害行為は、刑法第199条の殺人罪が成立します。
嘱託殺人罪は、被殺者による、自身に対する殺人教唆に基づく殺人罪とみることができます。

続いて承諾殺人罪ですが、これは行為者が被殺者に殺害を申し出て、行為者が被殺者の承諾を得て殺害する行為です。
承諾殺人罪は、被殺者による被殺者本人に対する殺人幇助に基づく殺人罪とみることができます。
ちなみに被殺者の承諾は、殺害行為の前になされていなければなりませんが、それは必ずしも明示的である必要はなく、黙示的でもよいとされています。

嘱託殺人罪で起訴されると、6月以上7年以下の懲役又は禁固が科せられる可能性がありますが、被害者の同意を得て、被害者の真意に基づいての殺害行為であることから、刑法第199条の殺人罪に定められた「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」に比べると相当軽い処罰規定となっています。

◇初回接見◇

ご家族、知人が嘱託殺人罪で逮捕された方は、一刻も早く刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼する事をお勧めします。
刑事事件を専門に扱う、法律に精通した弁護士から取調べのアドバイスを受けていただく事によって、逮捕された方の不安を取り除く事ができます。
特に嘱託殺人罪は、「人を殺す」という行為では殺人罪と変わらないため、取調べにおいて供述する内容は注意しなければなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、電話で初回接見を依頼していただく事ができ、刑事事件に強い弁護士が即日対応いたします。
東京都大田区で刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が嘱託殺人罪で逮捕されて、初回接見をご希望の方は、刑事事件専門弁護士事務所「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご連絡ください。
東京都大田区を管轄する警視庁蒲田警察署までの初回接見のご用命はフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
警視庁蒲田警察署への初回接見費用:37,500円

相被疑傷害事件で正当防衛を主張

2019-01-18

◇事件◇

会社員のAさんは、東京都渋谷区の居酒屋で同僚とお酒を呑んで帰宅途中に、渋谷駅構内を歩いている時に、酔払いと肩がぶつかり口論となりました。
口論の際に、酔払いに胸倉を掴まれたことに腹が立ったAさんは、酔払いの身体を突き飛ばし、その後殴り合いの喧嘩に発展しました。
通報で駆け付けた駅員によって制止されたAさんは、ケンカ相手の酔払いと共に、警視庁渋谷警察署に連行されて、警察官の取調べを受けています。
Aさんは「先に胸倉を掴まれたので振りほどくために身体を押しただけで、その後に殴られそうになったので、それを制止するために相手を殴った。正当防衛だ。」と正当防衛を主張しました。
しかしその後、酔払いが傷害罪の被害届を提出したらしく、Aさんは傷害事件被疑者として扱われています。
(フィクションです)

◇正当防衛◇

まず正当防衛について解説します。
正当防衛は、刑法第36条に規定されている法律で、急迫不正な侵害に対し、自己又は他人の権利を守るために、やむを得ず行った防衛行為が正当防衛です。
正当防衛でいう「脅迫不正の侵害」とは、法益の侵害が現に存在しているか、又は直前に迫っていることをいいます。
したがって、過去の侵害や、未来の侵害に対しての反撃行為は、正当防衛とはいえません
ただし、威力のある防犯装置を設置する場合、同施設が、現に発生した不正な侵害に対して相当な効果を発揮するものであれば、未来の侵害に対して備えたものでも正当防衛が認められる場合があります。
ここでいう「不正」とは、違法であればよく、有責であることまで必要ありません。
したがって、刑事責任能力のない者による侵害行為に対しても、正当防衛が成立します。
また「侵害」とは、生命・身体に危険を生じさせる違法な行為を意味し、故意・過失や、作為・不作為を問いませんが、積極的な侵害行為でなければなりません。
続いて「やむを得ずにした行為」とは、急迫不正の侵害に対する防衛行為が、自己又は他人の権利を守るために必要最小限度でなければなりません。
ここでいう「必要最小限度」とは、防衛行為により生じた結果ではなく、その防衛行為が必要最小限度であることを意味するので、防衛行為によって相手が重傷を負った場合でも、その防衛行為が必要最小限度であると認められれば正当防衛が成立します。

今回のAさんの行為については、胸倉を捕まえれたことに対して、相手の身体を突き飛ばした行為に対しては正当防衛が認められる可能性はありますが、殴られそうになったので先に殴ってそれを阻止しようとしたという行為は、上記したように、未来の攻撃に対する反撃行為に対しては「急迫不正の侵害」には該当せず、正当防衛は認められないでしょう。

◇相被疑傷害事件◇

今回の事件でAさんが、相手の暴行によって傷害を負っていた場合、Aさんは傷害事件の被害者であり、傷害事件の被疑者でもあります。
この様な事件を相被疑事件といいます。
Aさんのように相被疑の傷害事件に巻き込まれた場合、まず大切なのは、事件後速やかに、病院で診察を受け医師の診断書を得ることです。
よく相被疑の傷害事件に巻き込まれた方で、相手が被害届を出したら、こちらも被害届を出すという方がおられますが、その様な場合でも、診断書を得ないまでも、少なくとも医師の診察を受けておくことをお勧めします。
もし事件からしばらく経過して相手が警察に被害届を提出した場合、それから医師の診察を受けても、相手からの暴行で傷害を負ったかどうかの因果関係の立証が難しくなるばかりか、怪我が完治して診断書を得れない場合があるからです。
その場合、自身の行為は傷害罪の適用を受けますが、相手は、傷害罪よりも軽い暴行罪までしか適用されない可能性があり、その後の刑事罰に差異が生じてしまいます。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですが、相被疑の傷害事件ですと、怪我の程度にもよりますが、ほとんどの事件が、不起訴処分か、略式罰金刑となります。

東京都渋谷区の刑事事件でお困りの方、相被疑傷害事件正当防衛を主張したい方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
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警視庁渋谷警察署まで初回接見費用:35,000円

恐喝罪と強盗罪の違い

2019-01-15

◇事件◇

無職のAさんは、知人の女子高生と共謀し美人局を繰り返して遊ぶ金を得ていました。
女子高生と出会い系サイトで知り合い、性交渉等をした男性を「俺の女に手を出したな。援助交際したことを黙っていてほしければ金を出せ。」等と脅して、金銭を喝取していたのです。
お金の支払いを拒否した男性に対しては、暴行を加える等して、現金を強取することもありましたが、Aさんは、援助交際をしている弱みがあるので男性が警察に届け出ないと信じていました。
2日前に、共犯の女子高生が警視庁荒川警察署強盗罪逮捕されたことを知ったAさんは、恐喝罪ではなく、強盗罪が適用されていることに驚き、東京の刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

◇恐喝罪~刑法第249条~◇

恐喝罪とは、暴行、脅迫を持ちて被害者を畏怖させて金品の交付を受ける事です。
暴行、脅迫の程度は人を畏怖の念を生じさせる程度とされており、恐喝罪が成立するには、犯人の恐喝行為と、被害者の畏怖金品の交付行為の間に因果関係がなければなりません。
例えば、犯人から脅迫された被害者が、畏怖する事はなかったが、犯人に対する哀れみの情から金品を交付した場合は、それぞれに因果関係が認められず、恐喝未遂罪が成立するにとどまるのです。
ちなみに恐喝罪での「脅迫」とは人を畏怖させるに足りる「害悪の告知」ですので、必ずしも被害者本人に対するものである必要はなく、友人や家族等被害者以外に対する害悪の告知であっても、被害者が畏怖すれば「脅迫」となります。
また、害悪の内容それ自体が違法なものである必要はありませんので、Aさんの、「援助交際したことを黙っていてほしければ金を出せ。」という文言によって、被害者が畏怖したのであれば、Aさんの行為に恐喝罪が適用されることは間違いないでしょう。
恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。

◇強盗罪~刑法第236条~◇

強盗罪は、暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取したり、財産上不法の利益を得ることによって成立します。
一見すると、恐喝罪とよく似た犯罪行為ですが、相手方の任意の財産的処分行為に基づく財物の交付又は財産上の利益の移転を受ける恐喝罪とは異なり、暴行、脅迫の程度が、相手方の反抗を抑圧する程、強いものである事が必要とされています。
相手方の反抗を抑圧する程度については、相手方が精神的あるいは身体的に自由を失うに至る程度とされていますが、完全に制圧するまで強いものでなくても、その自由が著しく制圧された状態に陥れば足りるとされています。
強盗罪は非常に重い罪で、もし強盗罪で起訴されて有罪が確定すれば5年以上の有期懲役が科せられることとなります。

◇恐喝罪と強盗罪の違い◇

確かに、「暴行若しくは脅迫を用いて他人の財物を奪う」という点では強盗罪と恐喝罪は同じですが、暴行、脅迫の程度によって、この二罪は異なります。
分かりやすく説明しますと、被害者が抵抗できないほど、暴行、脅迫の程度が強かった場合は強盗罪で、被害者が恐怖に陥る程度の暴行、脅迫の場合は恐喝罪と判断されます。
法律的には「相手方の反抗を抑圧する程度」という少し難しい言葉が使われて、強盗罪と恐喝罪の暴行、脅迫の程度を区別しています。

◇弁護活動◇

恐喝罪と強盗罪の法定刑には、罰金の罰則が規定されていないため、起訴された場合は、無罪若しくは実刑判決(執行猶予を含む)となります。
そのため、これらの事件の弁護活動は起訴されない事(不起訴)が重要なポイントとなります。
起訴、不起訴は検察官が決定するのですが、決定するまでの期間は、勾留された場合で、勾留決定日から10日~20日、不拘束で警察の取調べを受け、書類だけが検察庁に送致された場合は、起訴までの期限は定められていません。
いずれにしても、起訴されない(不起訴)となる為には、早急に被害者等と示談する事が重要となるので、恐喝事件強盗事件を起こしてしまった方は、一日でも早く弁護士に相談する事をお勧めします。

東京都荒川区における刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が恐喝事件若しくは強盗事件で警察に逮捕された方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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あおり運転と威力業務妨害罪②

2019-01-14

~事件~

1週間前に、会社員のAさんは東京墨田区内で車を運転中に、前方を走行していた運送会社の軽トラックが低速で走行することに腹が立ち、この軽トラックを追い越して軽トラックの前に車を停止させました。
そして軽トラックの運転手に文句を言ってやろうと車を降りて、運転手に対して「トロトロ運転するな!邪魔じゃ!」と怒鳴ったのです。
その後Aさんは車に乗り込んでその場を走り去りましたが、今朝、警視庁向島警察署の警察官から電話があり「急ブレーキをかけたことで、軽トラックを急停止して荷崩れを起こし、配送しようとしていた荷物が壊れた。」と言われ、出頭命令を受けました。
Aさんは、軽トラックの運転手を注意するために車を止めただけであって、自分の行為が刑事罰の対象になることに納得ができず、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。(フィクションです)

◇威力業務妨害罪~刑法第234条~◇

威力を用いて人の業務を妨害すれば、威力業務妨害罪が適用されます。
威力業務妨害罪は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則が定められています。
威力とは
威力業務妨害罪でいう「威力」とは、人の意思を制圧する勢力を意味し、暴行や脅迫がその典型です。
威力に該当するかどうかは、それが客観的にみて人の自由意思を制圧するに足るものであるかどうかによって判断されますが、現実に、被害者が自由意思を制圧されたことまでは必要とされていません。
業務とは
また威力業務妨害罪で保護されている「業務」とは、営利目的、経済的なものである必要はなく、社会生活上の地位に基づき継続して行う事務の事です。
故意
威力業務妨害罪は故意犯ですので、法律的には、成立に業務を妨害する故意が必要だとされています。
どのような業務を妨害するのかまでの具体的な認識がないにしても、自分の行為(威力)が何らかの業務を妨害している程度は認識していなければ、威力業務妨害罪の成立は難しいでしょう。
ただこれまでに威力業務妨害罪の成立を認めた事件を検討すると、威力とされる暴行や脅迫の行為に対する認識(故意)が認められれば、業務妨害罪が成立している事件もありますので、威力業務妨害罪の故意について疑問のある方は、刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。

◇Aさんの事件を検討◇

まずAさんが、軽トラックの前に割り込んで急ブレーキをかけ、軽トラックを急停止させた行為については、あおり運転として暴行罪が適用される可能性が非常に強いでしょう。
特に、最近はあおり運転に対する警察等の捜査当局は厳しい対処をしているため、例え、軽トラックの運転手を注意するためにした行為だとAさんが主張したとしても、その行為によって軽トラックの運転手や周囲の交通に危険が及んでいた場合は、あおり運転とみなされるでしょう。
そして、このAさんのあおり運転(暴行行為)によって、軽トラックが急停止し、配送中の荷物が壊れています。
「Aさんのあおり運転(暴行)」⇒「軽トラックが急ブレーキ」⇒「荷物が損壊」⇒「業務が妨害された」と、この構図を見ればそれぞれの結果に因果関係が認められるため、Aさんの行為に威力業務妨害罪が適用される可能性は十分に考えられるでしょう。
しかし、Aさんに、軽トラックの運転手の業務を妨害する意思があったのかと問われれば、疑問が残ります。
Aさんが、軽トラックを停止させて長時間その場にとどめおいた場合だと、自らの行為が業務を妨害したと認めざるを得ませんが、今回の事件で、急停止させたことによって荷物が破損することまで認識するのは難しいのではないでしょうか。
もしAさんが、この結果を予測できなかったと認められた場合は、威力業務妨害罪の適用は難しいと考えられます。

ちなみに、タクシーの前に急に割り込むあおり運転によって、タクシーに乗車していた高齢の女性が軽傷を負った事件では、あおり運転の運転手が威力業務妨害罪で警察に逮捕されています。
あおり運転に対して、威力業務妨害罪が適用されるのは極めて稀なケースではありますが、警察等の捜査当局が、少しでも厳しい罰則を科せることができる法律を適用してあおり運転の取締りを行っている現状を考慮すれば、今後も、あおり運転にあらゆる法律が適用される可能性があります。
東京都墨田区の刑事事件でお困りの方、あおり運転による威力業務妨害罪の適用に疑問がある方は、刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料

あおり運転と威力業務妨害事件①

2019-01-13

~事件~

1週間前に、会社員のAさんは東京都墨田区内で車を運転中に、前方を走行していた運送会社の軽トラックが低速で走行することに腹が立ち、この軽トラックを追い越して軽トラックの前に車を急停止させました。
そして軽トラックの運転手に文句を言ってやろうと車を降りて、運転手に対して「トロトロ運転するな!邪魔じゃ!」と怒鳴ったのです。
その後Aさんは車に乗り込んでその場を走り去りましたが、今朝、警視庁向島警察署の警察官から電話があり「急ブレーキをかけたことで、軽トラックを急停止して荷崩れを起こし、配送しようとしていた荷物が壊れた。」と言われ、出頭命令を受けました。
Aさんは、軽トラックの運転手を注意するために車を止めただけであって、自分の行為が刑事罰の対象になることに納得ができず、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。(フィクションです)

◇あおり運転◇

近年、あおり運転による事件、事故が世間を騒がせています。
2年前に、東名高速道路であおり運転に起因する死亡事故が起こってから、あおり運転が社会問題となっています。
警察等の捜査当局は、この事態を重く受け止めており、あおり運転(道路交通法違反)の摘発だけだなく、あおり運転に起因する事件、事故に対してあらゆる法令を適用して厳しい取り締まりを行っています。
そのため、このコラムにおいても「あおり運転」を何度か特集し注意を呼び掛けてきましたが、警察が摘発するあおり運転の件数は倍増しているようです。

◇あおり運転とは◇

一言に「あおり運転」と言っても、どの様な行為があおり運転になるのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこでまず初めに「あおり運転」に該当する可能性のある代表的な行為をいくつか紹介します。
(1)車間距離を詰める等の急接近や、幅寄せ
典型的なあおり運転の行為が、走行中の車に対する急接近や幅寄せです。
(2)急な割り込み
追い越し車線等から、走行中の車の前方に急に割り込む行為もあおり運転となるおそれがあります。
(3)急ブレーキ
走行中の車の前方で急ブレーキをかける行為は、後方の車が追突するおそれがる危険な行為で、あおり運転となります。
(4)パッシングやハイビーム、クラクション
走行中の車の後方から、パッシングを繰り返したり、ハイビームのまま走行する行為、クラクションを何度もならせば、相手を威嚇する行為として、あおり運転となる可能性があります。
(5)追随
走行中の車を追い回す追随行為は、相手を威嚇するだけなく、動揺した相手運転手が交通事故を起こしかねない危険な行為で、あおり運転となる可能性があります。

◇道路交通法違反◇

上記のようなあおり運転に対してまず適用されるのが道路交通法違反です。
あおり運転に適用される道路交通法で、代表的なものは「車間距離不保持」です。
そもそも道路交通法第26条では「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない(道路交通法第26条抜粋)」と、運転者には、安全な車間距離を保持することを義務付けています。
通常の違反ですと、車間距離不保持は、交通反則通告制度の対象ですので行政罰の対象となりますが、違反態様が悪質な場合等で刑事事件化された場合、その法定刑は
・高速道路における違反
3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
一般道の場合にも
5万円以下の罰金
です。

◇道路交通法以外の適用◇

暴行罪~刑法第208条~

人に対する不法な有形力を行使したときに適用されるのが暴行罪です。
上記したようなあおり運転の行為が「不法な有形力の行使」として捉えられて暴行罪が適用されることがあります。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」ですので、上記した道路交通法違反(車間距離不保持)が適用されるよりも厳しい刑事罰が科せられる可能性が大です。

傷害罪~刑法第204条~

暴行によって人が傷害を負えば傷害罪が適用されます。
傷害罪は、上記の暴行罪の結果的加重犯として規定されている法律で、相手に傷害を負わせる意思は必要ありませんので、あおり運転によって、相手運転手が怪我をした場合「傷害罪」が適用される可能性があります。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と厳しいものです。

危険運転致死傷罪

東名高速道路で起こった事件の運転手には危険運転致死傷罪が適用されて、一審では「懲役18年」の判決が言い渡されました。(控訴中)
危険運転致死傷罪は、著しく危険な運転により事故を起こした場合に適用される法律で、その法定刑は、被害者が負傷した場合には「15年以下の懲役」、被害者が死亡したときには「1年以上の有期懲役」と、非常に厳しいものです。

明日は、Aさんに適用された威力業務妨害罪について解説します。

外国における刑事事件

2019-01-08

◇事件◇

大学院に通うAさん(24歳)は、昨年までの3年間、アメリカに語学留学していました。
アメリカに留学している間、Aさんは、同じ留学生の日本人女性と交際していましたが、帰国する直前に、その交際女性が、別の男性とも交際していたことが発覚したのです。
帰国前にAさんは、交際女性をアメリカのホームステイ先に呼び出して追及しましたが、この女性が話を誤魔化したことに腹が立ち、女性の両肩を鷲掴みにする暴行を加えてしまいました。
その後、Aさんは女性と破局し、日本に帰国して別の女性と交際を始めましたが、元交際相手の女性が、当時の暴行で傷害を負ったとして、警視庁池袋警察署傷害罪の被害届を提出したのです。
Aさんは、警視庁池袋警察署に呼び出しを受けましたが、警察署に出頭する前に、外国での刑事事件を取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談しました。
(フィクションです。)

◇日本人が外国で起こした刑事事件◇ 

刑法第3条に「国民の国外犯」が規定されています。
日本国外において、この条文に規定された犯罪を犯した場合、日本の法律が適用されます。
「国民の国外犯」に規定されているのは
1.刑法第108条(現住建造物等放火)及び第109条第1項(非現住建造物等放火)の罪、これらの規定の例により処断すべき罪並びにこれらの罪の未遂罪
2.刑法第119条(現住建造物等浸害)の罪
3.刑法第159条から第161条まで(私文書偽造等、虚偽診断書等作成、偽造私文書等行使)及び前条第5号に規定する電磁的記録以外の電磁的記録に係る刑法第161条の2の罪
4.刑法第167条(私印偽造及び不正使用等)の罪及び同条第2項の罪の未遂罪
5.刑法第176条から第181条まで(強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、未遂罪、強制わいせつ等致死傷)及び第184条(重婚)の罪
6.刑法第198条(贈賄)の罪
7.刑法第199条(殺人)の罪及びその未遂罪
8.刑法第204条(傷害)及び刑法第205条(傷害致死)の罪
9.刑法第214条から第216条まで(業務上堕胎及び同致死傷、不同意堕胎、不同意堕胎致死傷)の罪
10.刑法第218条(保護責任者遺棄等)の罪及び同条の罪に係る刑法第219条(遺棄等致死傷)の罪
11.刑法第220条(逮捕及び監禁)及び第221条(逮捕等致死傷)の罪
12.刑法第224条から第228条まで(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等、未遂罪)の罪
13.刑法第230条(名誉毀損)の罪
14.刑法第235条から第236条まで(窃盗、不動産侵奪、強盗)、刑法第238条から第240条まで(事後強盗、昏酔強盗、強盗致死傷)、刑法第241条第1項及び第3項(強盗・強制性交等及び同致死)並びに第243条(未遂罪)の罪
15.刑法第246条から第250条まで(詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝、未遂罪)の罪
16.刑法第253条(業務上横領)の罪
17.刑法第256条第2項(盗品譲受け等)の罪
です。
Aさんの暴行行為によって、元交際相手の女性が傷害を負っていたのであれば、当然、傷害罪となるので、国民の国外犯」が適用されます。
その場合、日本国外で起こった刑事事件であっても日本の警察が捜査することとなりますが、実際に日本で起こった刑事事件と同様の捜査が行われるとは限りません。
例えば、日本で起こった傷害事件であれば、防犯カメラの映像等の客観的な証拠が捜査されることになりますが、今回の事件のような傷害事件で捜査員がアメリカまで派遣される可能性は非常に低いでしょう。
そのため被害者と、被疑者の供述が基となって捜査が進むことになるので、警察等の取調べに対しては慎重に対応する必要があります。

外国における刑事事件で捜査を受けている方、外国で起こした傷害事件で被害届を提出されてしまった方は、国民の国外犯に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料

東京都渋谷区の無差別殺傷事件

2019-01-04

~事件~

昨年の大晦日、東京都渋谷区(原宿の竹下通り)の路上において、男が運転する車に、通行人が次々とはねられて数名が重軽傷を負う殺人未遂事件が発生しました。
容疑者は、犯行後、車を乗り捨てて現場から逃走しましたが、その後身柄を確保され、殺人未遂罪で逮捕されました。
逮捕された容疑者は「明治神宮で高圧洗浄機を使い、灯油をまこうとしたが、自分にかかってしまった」という趣旨の供述をしており、犯行に使用した車内からは、高圧洗浄機と灯油の入ったポリタンクが発見されています。
(平成31年1月4日付新聞各社の朝刊に警察された記事を参考にしています。)

年末で混雑する繁華街において、このような非常に痛ましい事件が発生しました。
本日は、この事件を刑事事件に強い弁護士が解説します。

◇無差別殺傷事件~殺人未遂事件~◇

車で通行人をはねた場合、その行為に人をはねる故意がなければ、人身交通事故として扱われ、適用されるのは「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」です。
この法律は、危険運転致死傷罪や、過失運転致死傷罪によって、人身交通事故を取り締まるもので、当然のこと、過失による行為を取り締まっています。
今回の事件で逮捕された容疑者は、故意的に車で通行人の列に突っ込んでいます。
無差別殺傷事件を起こすつもりで犯行に及んでいるので殺人未遂罪が成立することは間違いないでしょう。
殺人未遂罪とは、殺意をもって人を殺そうとしたが、被害者が死亡しなかった場合に成立する罪で、その法定刑は、殺人罪と同じ「死刑又は無期若しくは5年以上の有期懲役」です。
「殺意」とは、殺人の故意のことですが、これは確定的な故意に限らず、未必的故意、条件付故意、あるいは包括的故意であってもよいとされています。
「誰を殺す」という限定された殺意がなくても、今回の事件のように「誰でもいいから殺す」といった無差別の者に対する殺意(未遂)でも殺人罪は成立します。
殺人罪は、被害者の数だけ殺人(未遂)罪が成立しますが、今回の事件の場合は、一つの行為が複数の犯罪に抵触する、いわゆる観念的競合となり、起訴されて有罪が確定した場合は、殺人罪の法定刑内で刑事罰が言い渡されることとなります。
報道されている内容が確かであれば、今回の事件で逮捕された容疑者は、計画的に犯行に及んでいる上に、その犯行態様が非常に悪質であることから、殺人未遂罪の中でも非常に厳しい判決が予想されるでしょう。

◇殺人予備罪◇

殺人未遂罪で逮捕された容疑者が、今回の犯行前に「明治神宮で高圧洗浄機を使い、灯油をまこうとしたが、自分にかかってしまった」という趣旨の供述をしていることが新たに報道されています。
人を殺す目的で、灯油をまいた場合も殺人未遂罪が成立するのでしょうか。
未遂罪が成立するには、犯行に着手することが必要とされており、殺人の着手時期については、行為者が殺意をもって他人の生命に対する現実的危険性のある行為を開始する必要があるといわれています。
例えば、けん銃を使用した殺人事件の場合ですと、相手に狙いを定めるまでいかなくても、殺意をもってけん銃を取り出した時点で殺人の着手が認められる場合もありますし、刃物による殺人事件の場合ですと、被害者に刃先を向けた時点で着手が認められるのがほとんどでしょうが、刃物の種類や現場の状況によっては、刀剣のさやを抜き払った時点で着手が認められる場合もあります。
今回の事件を考えると、例え灯油が通行人にかかっていたとしても、それだけで、通行人の生命をおびやかす状況に陥るとは考えづらいので殺人の着手は認められないでしょう。
ただ殺人の予備行為までは十分に認められるので。殺人予備罪が成立する可能性は非常に高いでしょう。
殺人予備罪の法定刑は「2年以下の懲役」ですが、情状によって、その刑が免除されます。

東京都渋谷区の無差別殺傷事件でお困りの方、殺人未遂罪殺人予備罪に強い弁護士をお探しの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
警視庁渋谷警察署までの初回接見費用:35,000円

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