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【解決事例】偶発的な暴行で不起訴処分

2022-05-06

【解決事例】偶発的な暴行で不起訴処分

明確な暴行の意思はなかったものの偶発的に暴行に至ったが不起訴処分を獲得したという解決事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

~事案~

東京都八王子市在住のEさんは飲酒した後,タクシーに乗車して帰宅する際,実際に通行した経路を巡りタクシーの運転手と口論になりました。
すると,目的地に到着する前にタクシーの運転手さんから,そこまでの走行料金を支払い降車するよう促されたことにEさんは怒りを覚え,差し出された手を振り解き,顔面を殴打したのです。
すぐさま,タクシー運転手が110番通報したことにより臨場した八王子市内を管轄する八王子警察署の警察官によって,Eさんは暴行事件の被疑者として逮捕されてしまいました。

※守秘義務の関係で一部事実と異なる記載をしています。

~暴行罪~

・暴行罪
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
 (刑法第208条)

~当事務所の活動~

Eさんが逮捕されたことを知ったEさんの同僚の方から連絡を受け,すぐさま,当所の弁護士がEさんの逮捕,留置されている警察署へ接見に向かいました。
そこで,Eさんから本件の事実確認を行い,すぐさま,相手方との示談交渉へと移りました。
暴行事件のように,被害者さんがいる事件では,すぐに相手方に対し,謝罪の意思を伝え,示談交渉を行うことが重要です。
また,示談交渉と並行しつつ,検察庁と裁判所に対し,Eさんが逃走するつもりも,証拠を隠滅するつもりもないこと,特定の住居を有していること,監督する同居人がいることなどから,これ以上逮捕して取調べを続ける必要がない事を主張しました。

更に,110番通報の後,警察の初動捜査が進んでいるし,Eさんが改めて,この被害者に対して接触するということもない,ということなど,様々な視点から「Eさんは釈放されるべきである」という意見書をまとめ,説得した結果,逮捕から72時間以内に,Eさんの釈放を勝ち取ることに成功しました。
そして,示談手続き時に,今後,事件を蒸し返されることのないよう示談書の内容を纏め,さらに,被害者さんの感情に寄り添い対応したことから,徐々に処罰感情を払拭することが出来,被害届を取り下げて頂くことが出来ました。
被害者から被害届を取り下げていただけたことは非常に大きく,処罰感情がなく,初犯であること,犯情も偶発的であり,極めて軽微であることから,Eさんは不起訴処分となり,Eさんは無事,早期に社会復帰することが出来ました。

酔っぱらった状態で行った行為とは言え,犯罪は犯罪です。
お酒を飲んでいたから,酔っていて事件を覚えていないから免除されるということはなく,むしろ,行為の悪質性を問われかねない事態にも発展するおそれがあります。
どのような場合であっても,たとえ,飲酒の影響などで事件を覚えていない状態であっても,何らかの罪に問われてしまった場合,出来るだけ早く弁護士との間で「警察や裁判所に対してどのように対応すべきか」を相談することをお勧めします。

いち早く弁護士に相談することにより,処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ,その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の弁護士は日頃より刑事事件を得意とし,数多く扱ってきた実績がございますので,どのような事件に関しても安心してご相談頂けます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では初回無料法律相談も行っておりますので,東京都八王子市内で暴行事件などの刑事事件についてお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。

賭博で刑罰を科せられる場合とは?

2022-05-03

賭博で刑罰を科せられる場合とは?

いわゆる賭博で問題となる罪やその刑事罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都小平市在住のAは、小平市内で個人事業主として働いていました。
そのAはプロ野球が好きで、小平市内の飲食店などで知り合った野球好きの人10名ほどとのチャットができるグループを作成し、野球観戦についてのやり取りを始めました。
チャットにて、最初は参加者の一人が冗談で「今日○○のチームが勝てば1000円払う」と発言したことをきっかけに、野球賭博を始めるようになりました。
ある日、メンバーの一人であるXが全く別の刑事事件を起こしてしまい、小平市内を管轄する小平警察署の警察官によりスマートフォンの解析が行われ、Aらの野球賭博が発覚しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【賭博と刑事事件】

2人以上の者が、偶然の事情に関して財物を賭け、勝敗を争うことを賭博と言います。

古くは江戸時代には庶民に広まっていた賭博行為は落語や時代劇などでも描かれていますが、同時に江戸幕府はその賭博行為を禁じていたようです。
我が国の刑法は1907年(明治40年)に公布されていますが、賭博に関する罪は成立当初から盛り込まれていました。
それでも、現役プロ野球選手や大相撲の力士が野球賭博に関与していた、あるいは高検検事長が賭けマージャンをしていた、等の報道は記憶に新しいでしょう。

なぜ賭博を禁止しているか、判例は「国民に怠惰浪費の弊風を生じさせ、勤労の美風を害するばかりでなく、甚だしきは暴行その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれすらあることが、それを処罰する理由である。」としています。(最大判昭25.11.22)
実際、賭博に興じたことによりギャンブル依存症に発展する場合があり、負け続けても次で必ず勝てるという錯覚に陥ったり、運をコントロールできると信じるようになるなどして、最終的に莫大な借金を抱えて生活が立ち行かなくなる場合もあるようです。

賭博をした場合、それ自体が(単純)賭博罪に当たります。
賭博行為を反復継続した場合には常習賭博罪というより重い罪に当たります。
また、賭博をする場所を開いたり主催者として利益を得たりした場合には、賭博場開帳等図利罪が成立します。

但し、「一時の娯楽に供する物」に当たる食事や茶菓子などを賭けた場合には罪に当たらないほか、ごく少額の現金を賭けた場合には処罰されない場合があります。

(賭博)
刑法185条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第186条
1項 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2項 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(富くじ発売等)
第187条 
1項 富くじを発売した者は、二年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。
2項 富くじ発売の取次ぎをした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3項 前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。

【堂々と行われている賭け事は?】

ここまで賭博について説明をしてきましたが、我が国では競馬や競艇、宝くじなど、様々な賭け事が行われています。
これについて疑問に思う方もおられるでしょう。
・公営競技(公営ギャンブル)
競馬・競輪・競艇・オートレースがこれに当たります。
戦後の公営競技については、第二次世界大戦後の経済復興の目的で行われたと言われています。
これらは、刑法では禁止されている賭博行為ではありますが、各法律(競馬法・自転車競技法・モーターボート競争法・小型自動車競走法や各種施行規則など)で「都道府県や一部の市町村」にのみ運営が認められています。

・宝くじ
一般的に宝くじと呼ばれている●●ジャンボや●●スクラッチなどは、当せん金付証票法という法律により認められています。
法律上、宝くじを販売することができるのは都道府県と政令指定都市のみで、それ以外の自治体や個人が同様の行為を真似した場合には「富くじ」と評価され、刑法187条に違反します。

・パチンコ等
市中で行われているパチンコも賭博のように見えます。
パチンコ店は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称、風俗営業法・風営法・風適法)の規定する「客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」をしています。
これについて、もし、客が出した玉の数に応じてパチンコ店が現金を渡していた場合には、賭博罪にあたります。
しかし、これを景品交換所・問屋を挟む「三点方式」というかたちで金品との交換をしているため、賭博罪には当たらないグレーゾーンとされています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都小平市にて、賭博罪など賭博に関する罪で捜査を受けている方、あるいは御家族が賭博罪などで逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。
必要な対応策について、御説明致します。

【解決事例】公務執行妨害で保釈申請

2022-04-30

【解決事例】公務執行妨害で保釈申請

~事案~
Dさんは,日雇いの仕事をしながら,全国を転々と回っていました。
東京都内での仕事後,新宿駅の近くで飲酒したあと,近くの交差点でタバコを吸っていたところ,警察官から呼び止められ,職務質問を受けることになりました。
路上でタバコを吸っていたことを注意され,飲酒して気が大きくなっていたこともあり,Dさんはカッとなり,警察官と口論になったのです。
段々と,興奮してきたDさんを警察官がなだめようとしましたが,Dさんの怒りは収まらず,ついには,警察官の顔面に唾を吐きかけてしまいました。
そして,ついに,Dさんは公務執行妨害罪として,現行犯逮捕されることとなってしまったのです。

※守秘義務及び個人情報保護の観点から一部,事実と異なる記載をしています。
また,本件は新型コロナウイルス蔓延以前の事案になります。

~公務執行妨害罪とは~

 公務員が職務を執行するに当たり,これに対して暴行又は脅迫を加えた者は,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
(刑法第95条)

 公務執行妨害罪は,広く「公務員」であれば適用されるものの,この法律が保護しているのは,国家や公共団体の機能としての公務を公正かつ円滑な遂行であり,公務員一個人の身体の安全や意思決定を保護するものではないとされています。
 つまり,警察官等が正当な職務執行を行っている際,その職務を円滑に遂行することを妨害してはいけないとしたものである一方,その人いち個人の感情によるもので執行してはならないとされています。

~逮捕の要件とは~

 なにか,犯罪行為を行ってしまった際,直ぐに逮捕されてしまうのでしょうか。
 捜査機関の捜査は原則,任意捜査(在宅捜査)で行わなければなりません。
 任意捜査(在宅捜査)とは,身柄を拘束することなく,捜査を推進するです。任意捜査(在宅捜査)の被疑者として取調べを受けている間であって,学校に行ったり会社に行ったり,と,通常の社会生活を送ることができます。
任意捜査は,在宅捜査,在宅送致などとも言われることがあります。
 では,どのような場合に逮捕されてしまうのでしょうか。
 それは,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」が認められた場合です。
 まず,「逮捕の理由」とは,「ある者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」のことです。
たとえば,「盗んだ財布を持っていた」や,「被害者をバットで殴る様子が防犯カメラに写っていた」と言った時に,逮捕の理由が認められる場合があります。
「何か犯罪が起きた」ということと,「誰がその犯罪を起こしたのか(≒犯人が誰か目星がついている)」ということが分かった時に,「逮捕の理由がある」といえるでしょう。
 次に「逮捕の必要性」とは,身柄を拘束しなければ,捜査を続けることが出来なくなってしまう場合等を指します。
具体的には,「犯人に逃走するおそれ」がある場合,「犯人が証拠を隠滅するおそれ」がある場合などがあたります。
また,逮捕し,強制捜査を開始するためには,一部例外を除いて,裁判所が発付した逮捕状を示さなければ身柄を拘束することは出来ないとされています。

ですが,今回のように現行犯逮捕となると,少しだけ毛色が異なります。
現行犯逮捕は捜査機関以外の一般人でも行うことが出来るのが一つの特徴です。
また,逮捕する要件が定められており,
 1 犯罪と犯人の明白性
   誰が,なんの罪を犯したのか,逮捕する側にとって明らかであること
 2 犯罪の現行性,時間的接着性の明白性
   犯人が罪を行い終わって,間がないことが明らかであること
の両方が揃っている場合に限り,犯人を現行犯逮捕することができるのです。

~職務質問は断れないのか~

 警察官による職務質問を断ったからといって,すぐさま身柄を拘束されることはあり得ません。
 そもそも職務質問とは,「犯罪の予防」「犯人の検挙」「犯罪の捜査」のためのものであり,警察官職務執行法第2条に
   1項 質問権
   2項 同行要求件
   3項 強制の禁止
   4項 凶器の送検
と,それぞれの方法や限界についてが明確に定められています。
 また,あくまでも職務質問は警察官が市民の同意を得て行っている任意の警察活動であり,職務質問を受ける人が承諾しなければ実施することが出来ません。
職務質問を断るのに特に理由は必要なく「質問に答えたければ答えても良い」というものなのです。
 しかしながら,何らかの嫌疑により職務質問を受けた場合には,公共の安全と福祉のため,不審点を解明することが警察の責務である以上,嫌疑が晴れるまで,職務質問が継続されることもあります。
 疑われる要因が何もないのであれば断ることもできます。ただし,もし,何らかの嫌疑がかかっていた場合,職務質問を断ったことが,「逃走したり証拠を隠滅したりするかもしれない」という新たな疑いに変わってしまい,身柄が拘束される可能性もある,ということは覚えておいた方が良いかもしれません。

~当事務所の活動~

 Dさんが逮捕されたことを知ったDさんのお母様から,当事務所に依頼を頂き,Dさんの下へ弁護士が向かいました。
既に逮捕されてから時間がたっており,Dさんには国選弁護士もいたようですが,国選弁護士からご家族への報告や連絡等もなく,また,Dさん自身も国選弁護士さんに対してはやや不信感を抱いているようでした。
 Dさんは前科前歴もなく,初めて留置場にはいったことから酷く憔悴している様子でしたが,当所の弁護士が接見に行ったことで,安心した様子でした。
弁護士がさらに詳しく話を聞いてみたところ,Dさんは,警察官の職務質問を受けたこと,路上喫煙を注意されたことについては真摯に認め,自身の軽率な行いについて反省している様子でした。
ただし,今回,警察官に対し唾を吐きかけたり,警察官の職務を妨害したりした,という点については,「自分はそんなことをしたつもりはない」とのことでした。
 そこで,事実関係を明らかにすることはもちろん,先ずは,Dさんの心身の健康のために,身柄拘束を解くことを第一とし,活動を始めました。
裁判所に対して,今回の事件において証拠が隠滅されるおそれはなく,また,事件そのものの性質としても特別重い犯罪ではないことを根気よく説明し,交渉していきました。
当初は保釈申請を棄却されていましたが,そこで諦めることなく,当所弁護士が再度粘り強く説得を行い,ついに,逮捕時には住所不定の状態とみなされていたにも関わらず,Dさんは保釈されることとなったのです。
また,特に警察官に対する公務執行妨害罪は,捜査においてその他の犯罪と異なる点があります。
一般の方よりも法律に精通している警察官が被害にあったその時から,事件の立件をするために初動捜査を尽くすことから,加害者に不利な証拠が早い段階から揃いやすい点です。
被害に遭った警察官本人が,「どうやったら加害者(被疑者)に犯罪が成立しやすいか」を分かっているからこそ,より不利な証拠が見つけられやすいということです。
 そして,証拠が早い段階から揃うということは,取調べを受ける時も加害者の供述の一つ一つが重要になってきます。
どちらとも捉えることができる供述では,どんどんと追及を受けることにもなり,心理的な負担がかなり大きくなることが想定されます。
 そのため,もし,逮捕されてしまった場合,いち早く当あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部へご相談いただくことをお勧めいたします。
 当所では,刑事事件を専門に数多く扱ってきた経験豊富な弁護士から,処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ,その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
また,取調べの対応方法や供述内容に対するアドバイスを受けることで,誤解を招くような供述を避けることが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の弁護士は日頃より刑事事件のみを受任し,数多く扱ってきた実績がございますので,どのような事件でも安心してご相談頂けます。

東京都内で職務質問中の公務執行妨害罪などで逮捕されてしまい,保釈について知りたいという方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では初回無料法律相談も行っておりますので,お困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。

【解決事例】万引きのはずが強盗に?

2022-04-27

【解決事例】万引きのはずが強盗に?

コンビニやスーパーマーケットなどの小売店に陳列されている商品を会計せずに持ち去るいわゆる万引きで問題となる罪と、それが強盗になったという解決事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】
東京都中野区在住のAさんは、中野区内のスーパーマーケットにて陳列棚の商品を鞄に入れてレジを通さず店外に持ち出す万引き行為をしたところ、万引きを警戒していた店舗の関係者Vさんに呼び止められました。
怖くなったAさんは、とっさの行動でVさんを突き飛ばして怪我をさせてしまいました。
Aさんは別の店員によって取り押さえられ、通報を受けて臨場した中野区を管轄する野方警察署の警察官により逮捕されました。
Aさんの家族は、Aさんが自宅に帰らないことを心配して警察に捜索願を出したところ、Aさんが「強盗致傷」という罪で逮捕されているということを知り、当事務所に依頼をされました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【万引きと事後強盗】

先ず、ご案内のとおり、万引きと呼ばれる行為は窃盗罪に当たります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

次に、AさんはVさんに対して、とっさの行動とはいえ、Vさんに対して暴行を加えています。
この行為は、窃盗罪と暴行事件(暴行罪・傷害罪)ではなく、事後強盗という罪に当たります。
条文は以下のとおりです。
刑法238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

強盗は刑法236条1項に規定されていて、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した」場合に成立する罪です。
つまり、強盗罪は先に暴行や脅迫をして物を奪い取る行為ですが、万引き等で物を盗んだ際にその行為が発覚し、それを止めようとした人に暴行や脅迫を加えて逃走しようとしたような場合も強盗として扱われるのです。
Aさんはこの事後強盗をしてしまい、その結果Vさんは怪我をしていましたので、強盗致傷罪で逮捕されていました。
強盗致傷罪の条文は以下のとおりです。
刑法240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

【事後強盗事件で不起訴を獲得】

Aさんの場合、事後強盗事件で「強盗致傷罪」という重い罪に問われていましたので、略式手続で罰金を納付して終了というわけにはいかず、起訴された場合には裁判員裁判対象事件となり厳しい刑事処罰が科せられる可能性がありました。

依頼を受けた当事務所の弁護士は、Aさんの接見を行いAさんが反省をしていることを確認しました。
その後、すぐにスーパーマーケットの責任者に連絡し、Aさんが自身の行為について謝罪し、家族によって弁済させて頂きたいという意向を伝えました。
示談交渉では、Vさんが万引きしてしまった商品の買い取りのほか、怪我をさせてしまったVさんの治療費などを補償することをお約束することで、お店やVさんがAさんに対する刑事処罰を望まないという文言を加えて頂くことができました。
示談の内容を踏まえ、弁護士が検察官に掛け合った結果、Aさんは裁判員裁判で起訴されることなく、「不起訴」という結果を獲得することに成功しました。

事後強盗事件・強盗致傷事件は、万引き事件に比べて極めて重い罪に問われます。
東京都中野区にて、ご家族が万引き・事後強盗事件・強盗致傷事件で逮捕された場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。

【解決事例】痴漢行為で強制わいせつ罪に

2022-04-24

【解決事例】痴漢行為で強制わいせつ罪に

いわゆる痴漢行為をした結果強制わいせつ罪に問われたという解決事例を踏まえ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【事例】
東京都足立区西新井在住のAさんは、事件当日以前から同じ列車の同じ車両に乗車することが多いVさんに対して痴漢と呼ばれる行為を複数回行っていました。
逮捕当日も、Aさんは臀部(お尻)を撫でる痴漢行為をしていましたが、Vさんが抵抗できないことに乗じてエスカレートしてしまい、最終的に自身の指をVさんの下着の中に手を入れました。
Aさんは同じ車内に乗っていた足立区内を管轄する西新井警察署の警察官に現認され、現行犯逮捕されました。
当事務所の弁護士が依頼を受けた時点で、既にAさんは強制わいせつの罪で勾留されていて、早期の釈放は難しい状況でした。
そこで、弁護士はまず、捜査機関を通じて被害者であるVさんの連絡先を伺い、勾留中のAさんに代わって誠心誠意の謝罪と賠償の意思を示した結果、Vさんは示談に応じてくださいました。
示談成立の時点で既に勾留延長が決まっていましたが、弁護士は示談が成立したことやその内容などを踏まえてもはや勾留が必要ないということを主張した結果、Aさんは釈放されました。
また、刑事処分についても、示談の内容を評価され、不起訴となりました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【いわゆる痴漢行為について】

列車やバスなどの公共交通機関で他人の臀部(お尻)や太ももなどを触る行為は、俗に痴漢行為と呼ばれています。
痴漢行為に対応する「痴漢罪」などの罪はなく、その多くは各都道府県が定める迷惑防止条例違反として処罰されます。
東京都の場合、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例に以下の規定があります。

同条例5条1項 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
1号 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
同条例8条1項 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
 2号 第5条第1項又は第2項の規定に違反した者(次項に該当する者を除く。)

【強制わいせつ罪に当たる場合とは】

今回の事例でAさんが行った行為は、公共の乗り物で衣服の上から、そして下着の中に指を入れることで直接Vさんの身体に触れる行為ですので、前述した東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の5条1項1号に当たることは間違いありません。

しかし、Aさんに対しては、強制わいせつ罪が適用されました。
強制わいせつ罪の条文は以下のとおりです。
刑法176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

被害者が13歳以上の場合、強制わいせつ罪は
・暴行又は脅迫を用いること
・わいせつ行為をすること
を要件としています。

暴行又は脅迫という要件について、これは被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足る程度の暴行又は脅迫があれば認められます。
これは一般に想像するような、被害者を押し倒すような暴行や「騒ぐと殺すぞ」等の言葉での脅迫は勿論のこと、路上で背後からいきなり抱き着くような行為でも成立しますし、列車内のような乗客が多数いて恐怖や羞恥のため逃げられず声も上げにくい状況に乗じてわいせつ行為をした場合にも強制わいせつ罪が適用されます。

また、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例が禁止している行為は被害者を著しく羞恥させたり不安を覚えさせたりする行為ですが、強制わいせつ罪の客体はわいせつ行為です。
条例違反に比べ、より性的羞恥心を害するような行為を指します。
Aさんのように下着の中に指を入れる行為のほか、数分間臀部(お尻)を撫でまわすような行為などがわいせつ行為にあたります。

【痴漢事件・強制わいせつ事件での弁護活動】

列車内での痴漢事件・強制わいせつ事件の場合、在宅で捜査が進められる場合もありますが、被害者が乗る路線・時間帯を知っていることから、在宅で捜査を進めると加害者が被害者に接触して不当な働きかけをすることが疑われると判断され、逮捕・勾留される可能性があります。
特に、同じ被害者に対して痴漢事件・強制わいせつ事件を起こしている場合などでは、逮捕・勾留される可能性が高くなります。
Aさんの場合、逮捕された日より前からVさんに痴漢行為をしていたため、勾留は避けられない事例でした。

また、Aさんは条例違反ではなく強制わいせつ罪で逮捕・勾留されていました。
条例違反の場合は罰金刑がある罪なので略式手続による罰金の可能性がありますが、強制わいせつ罪の場合は罰金刑がない罪なので、起訴された場合には公開の法廷で裁判を受けることになり、実刑の可能性もある罪名でした。
弁護士は、これまでの刑事事件・少年事件の弁護活動の経験を活かし、早期に被害者に連絡して誠心誠意の丁寧な説明を行った結果、起訴される前に示談に応じて頂くことができ、可能な限りの早期の釈放・不起訴獲得という結果に結びつきました。

東京都足立区西新井にて、ご家族が痴漢強制わいせつ事件で逮捕・勾留されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部にご連絡ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が初回接見に行き、事件の内容や逮捕・勾留中の方の意向を伺った上で依頼者の方にご説明・ご報告致します。

【解決事例】高校生の盗撮事件で不処分

2022-04-21

【解決事例】高校生の盗撮事件で不処分

20歳未満の少年である「高校生」による盗撮事件と、不処分に導いた弁護活動・付添人活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都中野区在住の高校生であるAさんは、中野区にある施設の異性用トイレにて盗撮行為をしてしまい、中野区を管轄する中野警察署の警察官により逮捕されました。
逮捕後、Aさんは勾留をされたり、家庭裁判所に送致されて少年鑑別所に送致されたりする可能性がありましたが、弁護活動によりすぐに釈放されました。
また、釈放後は少年と保護者の双方としっかりと話をすることで事件の反省と今後の監督について考えるため、繰り返し話し合いの場を設けるとともに、性犯罪の再犯防止のためのカウンセリングを紹介し、通っていただきました。
最終的に、弁護士は上記内容を踏まえてAさんには再犯の恐れがなく家族の監督体制が整っていることを主張した結果、審判でAさんは「不処分」を言い渡されました。

≪守秘義務・個人情報保護のため、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【トイレを盗撮する行為】

トイレでの盗撮行為について、先ずは
①事件を起こした都道府県に記載されている迷惑防止条例に規定がある場合には迷惑防止条例が
②条例に規定がない場合は軽犯罪法が
それぞれ適用されます。
今回は東京都内での事件ですので、①の東京都の定める公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例に違反することになります。

・同条例5条1項 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
  2号 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
  イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
(略)
・同条例8条2項 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
  1号 第5条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者

加えて、盗撮の目的でトイレに入る行為は、建造物侵入罪に当たります。
条文は以下のとおりです。
・刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

【高校生など少年の弁護活動・付添人活動】

≪少年事件の手続きについては併せてコチラを御覧ください。≫
20歳未満の少年については、原則として少年事件として手続きが進められ、最終的には審判にて保護処分を課すことになります。

保護処分には、「少年院送致」「保護観察処分」「都道府県知事送致(児童相談所や児童自立支援施設への送致)」などが挙げられます。
また、少年に対して保護処分が必要ではないと判断した場合には、「不処分」という判断を下すことができます。

これらの保護処分は、事件の内容だけでなく少年の性格や保護者による監督体制などを総合的に考慮して判断されます。
弁護士としては、審判迄の期間、少年に対して事件の振り返りを促すことは勿論のこと、時として保護者に対して助言や指導をする必要もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまで高校生を含む多くの少年事件に携わってきました。
東京都中野区にて高校生のお子さんが盗撮などの事件で逮捕され、不処分を目指す弁護活動・付添人活動について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

【解決事例】住居侵入・不正アクセス禁止法違反事件と未決勾留期間

2022-04-18

【解決事例】住居侵入・不正アクセス禁止法違反事件と未決勾留期間

住居侵入罪・不正アクセス禁止法違反で逮捕・勾留された場合の罪と、未決勾留期間について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都文京区在住のAさんは、男女の関係にあった被害者Vさんが別の相手とも関係を築いていたことに憎悪の念を抱き、Vさんの周辺情報を嗅ぎ付けようと合鍵を用いて無断でVさんの家に侵入したり、勝手にVさんのメールにアクセスするなどしました。
Vさんからの被害届を受理した文京区を管轄する富坂警察署の警察官は、Aさんを住居侵入罪で逮捕し、その後、不正アクセス禁止法違反でも逮捕しました。

Aさんの事件は一審・控訴審と担当し、実刑判決は免れませんでしたが、一審判決時は未決勾留期間40日が、控訴審判決では未決勾留期間30日が、それぞれ算入されました。

≪守秘義務・個人情報保護の観点から、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【住居侵入罪・不正アクセス禁止法違反】

御案内のとおり、他人の家や敷地に正当な理由なく侵入する行為は、住居侵入の罪にあたります。
(住居侵入)
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

次に、Aさんが行ったVさんのメールに無断でアクセスする行為は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(通称:不正アクセス禁止法)に違反します。
(不正アクセス行為の禁止)
同法3条 何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
同法11条 第3条の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

一般論で言うと、関係性が近い人同士でパソコンなどをシェアしたことがある、あるいはスマホを一時的に貸したことがある場合等、一度アクセスしたことがある電子端末ではパスワード等が保存されている場合があります。
このように、違法なウイルスや専門知識を使ったわけではなく、勝手にログインできたなどという場合であっても、無断でログインをする行為は不正アクセス禁止法のいう「不正アクセス」に該当し、処罰対象となります。

【未決勾留期間】

≪刑事事件の手続きについて、詳細はコチラを併せてご確認ください。≫

罪を犯したと疑われる被疑者・被告人は、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合には裁判で判決を受ける前であっても勾留されることがあります。
この期間を、裁判での判決は未だだが勾留する期間として、未決勾留期間と呼びます。
このうち、起訴されてから判決を受けるまでの期間の勾留期間については、刑期に算入される場合があります。

起訴された被告人にとって、保釈により在宅で裁判を受けることが望ましいと言えます。
しかし、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合、なかなか保釈が認められません。
起訴後も長期間身柄拘束された被告人が、裁判で実刑判決を受けた場合、どれだけの期間が刑に算入されるか、という点は極めて重要と言えます。

また、控訴審での未決勾留期間についても、刑に算入される場合があります。
一審で実刑を言い渡され、控訴審でも覆る見込みが薄い場合は控訴しない方が短期間で刑期を終えられるという見方もあります。
しかし、勾留中は刑務作業が科せられませんが、懲役刑の場合は刑務作業が必須となるため、未決勾留期間の算入により被告人(のちの受刑者)にとっての負担が軽くなるという側面があります。

東京都文京区にて、住居侵入罪や不正アクセス禁止法違反で家族が逮捕され、未決勾留期間について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

【解決事例】同僚に対するセクハラ・わいせつ事案

2022-04-15

【解決事例】同僚に対するセクハラ・わいせつ事案

~事案~
ある日,Bさんは仕事を終えて帰宅するとき,男女兼用の更衣室で,同じく同僚であるYさんを見かけ,声を掛けました。
かねてよりYさんに対して好意を抱いていたBさんは,会話の中で,会社内の男性社員たちが口をそろえて「Yさんが可愛い」と話していたことをYさん自身に話したところ,「信じないよ」と,素っ気なく言われてしまいました。
そこでBさんは,唐突にYさんに抱き着き,10秒程度抱きしめた後,「本当だよ,信じたかな」と言うと,Yさんは「怒られるよ」と言い残し,その場から立ち去ってしまいました。
数日後,Bさんは,Yさんが雇った弁護士から「セクハラを受けた」と,訴えられてしまいました。

※守秘義務の関係で一部事実と異なる記載をしています。

~本件で成立する可能性がある犯罪~

強制わいせつ
⇒13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は,6年以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し,わいせつな行為をした者も,同様とする。
(刑法第176条)

・暴行罪
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
 (刑法第208条)

・各都道府県の迷惑行為防止条例違反
⇒何人も,正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような行為であって,次に掲げるものをしてはならない。
⑴ 公共の場所又は公共の乗物において,衣服その他の身に着ける物の上から
又は直接人の身体に触れること。
(参考:東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)
⇒罰則 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
※なお,各地方自治体によって,条例名が異なります。

~Bさんは罪に問われるのか~

Bさんは,Yさん雇った弁護士から自身が訴えられていることを知り,警察に被害届を出されたり,逮捕されたりしないよう,穏便に事態が収束することを希望していました。
現在では刑法が改正されたことによって強制わいせつ罪も非親告罪となり,被害者が告訴をしていなくとも警察などの捜査機関が事件として取り扱えるようになりました。そのため,強制わいせつ事件においては,早い段階で被害者の方との間で示談を取りまとめたり,被害届は出さないという形でまとめたりして,解決できるかどうか重要となります。
仮に,当人同士の口約束で,「被害届けなどは出さない」という形で,その場は収まったとしても,今後,さらなるトラブルに発展することや,事件を蒸し返されてしまうというおそれもあります。示談や合意を取りまとめる際には,法律上有効な文言となっているかどうか,弁護士の目を通しておく必要があります。
また,暴行罪や迷惑行為防止条例違反についても非親告罪であり,警察などの捜査機関が事件として認知すれば,捜査が行われ,Bさん自身が罪を犯したと認められれば,検察庁に事件が送致され,検察官の判断により起訴されてしまえば前科が付く可能性が高くなります。

 

~セクハラとわいせつ行為~

今回のBさんの行動は,突然,同僚女性に抱き着いたという行為をセクハラとして訴えられてしまいました。
今回の抱きつくと言った行為がBさんにとって,性欲を刺激・興奮させ又は満足させるという性的意向の下で行われ,また,自身の体を押し付けたと判断されれば,強制わいせつ罪として扱われることになります。
また,同意なくYさんに抱き着くという行為は,その場所によっては「痴漢」と同様の迷惑行為防止条例違反として扱われるケースもあります。
さらに,Bさんが性的な意図を持たず,また,現場において公共性が認められなかったとしても,抱きつくという行為がYさんに対し,心理的な苦痛を与えたとして暴行罪が適用される可能性もあります。
いずれの犯罪においても,被害者の精神的,身体的な苦痛が大きく,立件された際には重い処分が科されることが予想されますし,顔見知り同士での事件ということになると,逮捕されてしまうリスクも高まります。
「単にセクハラで社内の問題にすぎない」と悠長に捉えてしまい,後々になって取り返しのつかない事態になっていた,ということもあります。
そのため,いち早く,今回のケースが,どのような法令に違反するのかを見極め,適切に対処していくことが重要であるといえます。

~本件事例における当事務所の活動~

Bさんご本人からの依頼を受け,当事務所の弁護士がいち早く,Yさんの弁護士とコンタクトを取りました。
そこで,Yさん方の意向を確認するとともに,本件行為がいずれの犯罪行為に当たるのかの協議を重ねました。
その一方で,Bさんとの面談も重ね,事の重大性を認識してもらうとともに,今までの自身の行動を見つめ直す機会にすることも出来ました。
Yさん方の弁護士と協議を重ねるなかで,Bさんが所謂「ノリ」で行ったこと,現在は自身の行為を深く反省していることを説明し,また,今回の行為は決して悪意の下になされたものではなく,性的意図は無かったことを粘り強く説明しました。
粘り強く説明を重ねることで,Yさんの憤りや恐怖心を取り除くこともでき,スムーズに示談交渉へと移ることが出来,結果として,Bさんが刑事告訴されることなく,Yさんと示談を成立させて解決するに至りました。
後になって事件を蒸し返されることも無いように,示談書の条件面については弁護士が法的な観点で確認をしていますので,Bさんは,事件後も安心して元の生活に戻ることができました。

性犯罪とされる事件においては,「その行為がどういった犯罪に該当するのかを見極める,加害者が自身の行為を反省し,二度と同じ過ちを繰り返さないこと,被害者の不安や恐怖,憤りを軽減すること」という点が重要です。
時代の流れにより,一昔前は黙認されていた行為も,現在ではセクハラ(セクシャル・ハラスメント)やパワハラ(パワー・ハラスメント)として訴えられてしまうことがあります。
また,行為によっては事件化され,最悪の場合,逮捕されてしまうことにもなりかねません。
ご自身や大切なご家族が,何らかの罪に問われてしまった場合,出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

いち早く弁護士に相談することにより,処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ,その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は日頃より強制わいせつ事件などの刑事事件のみを受任し,数多く扱ってきた実績がございますので,どのような事件に関しても安心してご相談頂けます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回無料法律相談も行っておりますので,お困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。

【解決事例】大麻所持再犯で執行猶予判決

2022-04-12

【解決事例】大麻所持再犯で執行猶予判決

大麻所持事件で過去に有罪判決を受けた方が、再犯で逮捕されたものの執行猶予判決を受けたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。

【事例】
東京都新宿区西早稲田在住のAさんは、10年近く前に大麻取締法違反で執行猶予付きの有罪判決を受けたことがありました。
しかし、事件当日、新宿区西早稲田を管轄する警視庁戸塚警察署の警察官による職務質問を受け、Aさんの大麻所持が発覚してしまい、Aさんは大麻取締法違反で現行犯逮捕されました。

≪守秘義務・個人情報保護の観点から、事件地や一部事件内容を変更しています。≫

【大麻所持の罰条】

我が国では、大麻取扱者を除き大麻を所持することが禁止されています。
大麻を所持していた場合には大麻取締法違反にあたり、
・他人に売るなどして営利を目的としていた場合には「7年以下の懲役/7年以下の懲役及び200万円以下の罰金
・上記以外の場合で、自分で使用することを目的としていた場合などには「5年以下の懲役
に処せられます。(大麻取締法24条の2第1項、同第2項)

【大麻所持事件での弁護活動】

大麻所持事件の場合、大麻を所持している認識があったのか、なかったのかにより、弁護活動が異なります。
今回のAさんの場合は、職務質問とその際の所持品検査で大麻が出てきていて、Aさん自身も所持を認めていたため、事案に争いはありませんでした。
大麻所持事件の場合は量が少なく認めていた場合には執行猶予付有罪判決を受ける場合が少なくありません。
しかし、Aさんの場合、過去に同種事案での前科があり、有罪判決を受けて10年未満での犯行でしたので、厳しい刑事処罰を受ける可能性が否定できませんでした。

~接見禁止の一部解除~
Aさんは勾留された際、家族であっても面会ができない「接見禁止決定」が下されていました。
しかし、Aさんが更生する為には家族の協力が不可欠であり、将来を見据えた話し合いをする必要があることから、弁護人はすぐに接見禁止の一部解除を申立て、証拠隠滅などを手助けする恐れがない家族については、面会が出来るよう求めました。
接見禁止の一部解除はすぐに発動され、依頼を受けた2日後に家族はAさんの面会が許されました。

~保釈請求~
刑事訴訟法上、前科の有無がすぐに刑事手続きに影響を及ぼすわけではありません。
しかし、前科があって今回の事件で実刑判決を受ける恐れがある事件では、実刑判決による収監を恐れて逃亡する恐れが否定できないなどの理由で保釈に慎重になる可能性がありました。
弁護人は、予め家族と打合せをして、Aさんが逃亡する意思がないことを確認するとともに、監督する者としてAさんが逃亡できないような環境づくりに協力して頂きました。
そして、Aさんが起訴された当日に保釈請求書を裁判所に提出し、裁判官に対して書類・口頭でAさんの逃亡のおそれがないことや証拠隠滅の意思がないことを主張した結果、起訴された次の日には保釈が許可され、即日保釈金を納付しAさんは手続き上最速で拘束を解かれることとなりました。

~刑事裁判~
保釈が認められた場合でも、Aさんは裁判を受けることに変わりありません。
弁護人は、保釈された直後のAさんに、薬物依存症のおそれがあるとして専門家による診断・受診の必要性を説明し、専門の治療施設を紹介しました。
Aさんの保釈後の決意と行動、家族のサポート体制などを踏まえ、弁護人はAさんが反省していて二度とこのような事件を起こさないよう努力している状況について被告人質問や情状証人で証言してもらい、その内容を弁論で主張した結果、Aさんは執行猶予付きの判決を受けることに成功しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は、これまでに大麻所持などの薬物事件を多数経験してきました。
特に再犯事件の場合、実刑になる恐れがあるだけでなく、社会復帰後も見据えて薬物依存症と向き合うなどの対策は必要不可欠です。
薬物の再犯事件では、薬物事件の弁護経験が豊富な弁護士に弁護活動を依頼することをお勧めします。

東京都新宿区西早稲田にて、過去に大麻所持で有罪判決を受けた方が再犯事件で逮捕されてしまい、執行猶予判決を獲得できるか知りたいという場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

【解決事例】少年らによる暴走行為(共同危険行為)

2022-04-06

【解決事例】少年らによる暴走行為(共同危険行為)

~事案~
Aさんは大学に通う19歳の男性で,ある日同級生ら6人と遊んでいました。
すると,そのうちの1人が「バイクに乗ってパトカーと鬼ごっこをしよう,どうせ捕まらないよ」と言い出したところ,みんなそれに賛成し,それぞれがバイクに乗り,出発しました。
Aさん自身は運転が得意でなく,乗り気ではなかったのですが,友人らの楽しそうな空気を壊したくないと思い,注意することもできず,同級生の運転するバイクの後部座席に乗り,集団の最後尾を走ることになりました。
しばらくすると,後方からパトカーがサイレンを鳴らしてきましたが,Aさんたちは,約2.4キロメートルにわたり,パトカーの前を低速で蛇行しながら進行し,信号無視などの違反を繰返しました。
パトカーの追跡を振り切ったところで,その日は解散したものの,後日,逮捕されてしまいました。

※守秘義務の関係で一部事実と異なる記載をしています。

~本件で成立する犯罪~

暴走行為(共同危険行為等)の法定刑
暴走行為(共同危険行為)をした場合
⇒2年以下の懲役または50万円以下の罰金(道路交通法第68条 117条の3)

・違法改造車を運転した場合
⇒3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法第119条)

また,本禁止規定は,暴走族の取締りを主目的として,制定され,2004年の道路交通法の改定により,被害者がいなくても共同危険行為等を処罰できるようになりました。

~暴走行為とは~

自動車やバイク,原動機付自転車で暴走行為を行った場合,共同危険行為等の禁止違反として,道路交通法違反として検挙されることとなります。
具体的な暴走行為としては
1 広がり通行
  車線(車道)いっぱいに広がり走行する行為
2 信号無視
  赤信号を無視して走行する行為
3 蛇行運転
  道路を左右に蛇行しながら走行する行為
4 交互追い越し
  複数の組に分かれ,それぞれ交互に追い越しをしながら走行する行為
5 巻き込み通行
  自身らと無関係の一般車両を集団内に巻き込み,一般車両の自由を拘束し
 て走行する行為
6 一定区間の周回
  道路上において,ある一定区間を周回する,急発進や急停止等を行い他の車
両の通行を遮断する行為
7 渋滞時等の渦巻き
  渋滞などにより停止した車両の後方でぐるぐると旋回する行為
が挙げられます。
 また,自分は運転せず同乗していたという場合でも,「一緒に暴走行為をしていた」と評価されれば「共犯」として処罰の対象となることがあります。

~Aさんは罪に問われるのか~

同乗者であったAさんも警察に逮捕され取調べを受け,家庭裁判所へ事件送致されることとなりました。
事前に暴走行為を行うことを話合い,もしくは,その場の雰囲気で意気投合して車やバイクに同乗し,暴走行為を繰り返した事から,共同危険行為違反として逮捕されてしまったのです。
共同危険行為は,他の運転者や歩行者を巻き込んだ重大な事故を起こしかねないものですから,警察も悪質な事案として扱うことがあります。
その場のノリや,友達の前で見栄を張って,といった軽い気持ちでこのような暴走行為をしてしまう少年がいますが,警察や家庭裁判所も,厳しい姿勢で臨むことが予想されます。

~18歳,19歳の少年の場合の注意点~

2022年4月1日から施行されている少年法では,18歳,19歳の方は「特定少年」として扱われます。
特定少年」の事件の場合には,他の少年事件と比べて,「逆送決定」といって,少年事件の枠の中でおさまらず,20歳以上の成人の刑事事件として扱われる可能性が高くなります。
成人の刑事事件の中で扱われてしまうと,罰金刑や懲役刑を受ける可能性が出てきて,前科がついてしまうリスクが生じることになります。
特定少年の事件の場合には,いかに「少年事件の枠内」で納めることができるかどうかが重要になってくるでしょう。

~本件事例における当事務所の活動~

ご家族からのご依頼を受け,当事務所の弁護士がいち早く警察署に留置されている少年Aさんと接見しました。
Aさんは警察に逮捕されるというのが初めてのことであり,どのように対応したらよいか,また家族がどう思っているのかについて非常に不安に感じている様子でした。弁護士がAさんと何度も接見し,対話を重ねることでAさんの不安を取り除くとともに,二度と同じ事件を起こしてしまわないために,普段のAさんの生活や,性格,アルバイト中のAの働きぶりなどの情報を集めました。
Aさんは逮捕されて一連の取調べを受けた後,少年鑑別所に移されることになりました。少年鑑別所の中でも問題を起こしてしまうことなくまじめに生活し,だされた課題に対しては熱心に取り組みました。
鑑別所でも弁護士と何度も面会を重ね,自分がしてしまった事の重大性や,周囲の人に対してどれだけの迷惑を掛けてきたのかについて気付くことができました。
本件の以前も,Aさんは何度か警察に補導されたこともありましたが,今回の事件を受けて,家族がどれだけ自分を大切にしていたかということに気付くことができました。
本件は,Aさんの周囲の生活環境や家族仲には大きな問題がなく,非行を繰り返す状況にないこと,暴走行為の中でAさんの役割,立場が上位にはなかったこと,過去の処分の傾向からも重い処分を科す必要はないこと等を粘り強く主張したところ保護観察処分となり,Aは日常生活に復帰することが出来ました。
少年事件においては,「どうして事件を起こしてしまったのか,二度と同じ事件を起こさないためにはどうしたらよいか」という点が重要です。
今回のケースに限らず,ご自身や大切なご家族が,何らかの罪に問われてしまった場合,出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

いち早く弁護士に相談することにより,処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ,その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
また,取調べの対応方法や供述内容に対するアドバイスを受けることで,誤解を招くような供述を避けることが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部の弁護士は日頃より刑事事件のみを受任し,数多く扱ってきた実績がございますので,交通事件に関しても安心してご相談頂けます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では初回無料法律相談も行っておりますので,お困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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