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不燃物の不法投棄で在宅捜査に

2021-04-22

不燃物の不法投棄で在宅捜査に

いわゆる白物家電などの不燃物を正規の手続に則らずに捨てる不法投棄をした場合の罪と、在宅捜査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都台東区上野在住のAは、台東区上野で働く契約社員です。
Aの家では洗濯機と冷蔵庫が相次いで故障したことから、新しく購入しようと考えました。
そこで、インターネットのオークションサイトやいわゆるフリーマーケットアプリで自分が使いたい商品を探し、それを購入しました。
その際、古くなった洗濯機と冷蔵庫の置き場に困ってしまったAは、台東区上野にあるオフィスビルのゴミ集積所を見かけ、テナント以外が深夜に入れることと洗濯機・冷蔵庫を置くだけのスペースがあることを確認しました。
そしてある日の深夜、自家用車にそれらを積み込んで件のゴミ集積所へ持ち込み、無断で立ち入りおいて帰る、不法投棄行為をしました。

後日、オフィスビル管理会社からの相談を受けた台東区上野を管轄する上野警察署の警察官は、捜査でAによる犯行との裏付けを取り、在宅捜査を開始しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ゴミ捨てについて】

家電製品を新しく購入する場合、古くなったものの処分に困るという場合があるかもしれません。
製品や家電量販店、あるいは通販業者によっては、それを下取りの対象として引き取ったり、格安で処分してくれたりします。
一方で、リサイクルショップやインターネットのオークション、フリーマーケットアプリなどで購入した場合、自分で処分しなければならないことが多いでしょう。

ゴミ回収の歴史を見てみると、以前は自分たちで焼却・埋め立て処理していてたり、落語に出てくるような‘くずや‘さんが回収して再利用したりして処理していたようです。
1900年に「汚物掃除法」という法律ができたことで、ごみの収集方法や処分方法は市町村がその責務を負うというルールになり、1954年施行の「清掃法」では、市町村が行う処理・収集に住民が従う努力をするよう定められました。
もっとも、それまでの処理方法としては燃焼が中心で、各家庭に設置された焼却炉での燃焼や野焼きにより、各人が処理していました。
しかし、高度経済成長期に入りゴミの量が増えてきたことにより空き地や河川敷などに不法投棄されることも増えたようです。
そこで、1970年に施行された「廃棄物処理法」により、現在のような廃棄物の処理方法などを定めたルールが整備されるようになりました。

【不法投棄について】

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃棄物処理法」と略します。)では、その16条で「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」と定められ、同25条1項14号で「第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者」に「五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と規定されています。

たかがポイ捨て、とお思いの方もおられるかもしれませんが、不法投棄には厳しい刑罰が規定されているのです。
家庭ごみを一度だけ不法投棄した、という場合にすぐに実刑(懲役刑)が科せられる可能性は低いと考えられますが、その回数や程度、前科の有無によっては正式裁判になる可能性があります。

また、Aのようにビルの集積所に入って不法投棄する行為は、建造物侵入罪にあたる可能性が高いです。
邸宅侵入罪は刑法130条で「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」と定められています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部には、廃棄物処理業者の方、あるいは一般の方が不法投棄をしてしまい、在宅捜査中であるという御相談を受けます。
不法投棄の場合、取調べでのアドバイスや御自身の考えを纏めた弁面調書・上申書の作成、ケースのように勝手にビルの集積所などに不法投棄する場合や、コンビニなどに設置されているゴミ箱に不法投棄する場合には、ゴミの引き取り、示談交渉などが必要になると考えられます。
東京都台東区上野にて、不法投棄により在宅捜査を受けている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

銃刀法違反で書類送検

2021-04-15

銃刀法違反で書類送検

刃物などを家の外などで持ち出した場合の罪や書類送検された場合の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都板橋区板橋在住のAは、板橋区板橋にある会社に勤める会社員です。
Aは仕事で段ボールや梱包材などを切ることが多いことから、通勤に使うカバンにカッターナイフを入れ、日々持ち歩いていました。
ある日、Aが板橋区板橋の路上を歩いていたところ、パトロール中の自動車警ら隊の隊員から声をかけられ、職務質問と所持品検査を受けることになりました。
そこでAがカッターナイフを持っていることが発覚したため、警ら隊の隊員は、Aに対して任意というかたちで最寄りの板橋警察署に連行しました。
引継ぎを受けた板橋区板橋を管轄する板橋警察署の警察官からは、刃体が6センチメートル以上あるから銃刀法違反にあたると言い、逮捕はしませんが書類送検しますと説明しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【銃刀法違反について】

ケースのように、職場あるいは家でカッターナイフを使うという方は少なくないでしょう。
100円均一などで気軽に手に入るカッターナイフですが、使い方を誤ると人を傷つけることができるツールにもなりかねません。
カッターナイフを携帯して外を歩いていたり車にカッターナイフを載せて運転をしていた場合、以下のような罪に問われる可能性があるので注意が必要です。

・銃刀法違反
正式名称は銃砲刀剣類所持等取締法という法律です。
この法律では、刃体が6センチメートルを超える長さの刃物を携帯することを禁止しています。
条文は以下に掲載していますが、「業務その他正当な理由による場合を除」くとしているため、例えば複数の店舗で働いている料理人が仕事で使う包丁を持ち歩いた場合や、キャンプで使用するためにその往復でサバイバルナイフを持っていた場合等であれば、罪に問われる可能性があります。
一方で、仕事では使っているものの携帯する必要性まではない場合や、護身用にカッターナイフなどを携帯してい場合などでは、正当な理由にはあたりません。

銃刀法22条  何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

・軽犯罪法違反
銃刀法が規制する刃体が6センチメートル未満の刃物の携帯については、軽犯罪法に違反する恐れがあります。
銃刀法の場合とほぼ同様に、正当な理由があれば処罰されません。

軽犯罪法1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
2号 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

【書類送検について】

日々報道などで書類送検という言葉を目にするかと思います。
警察などの捜査機関が被疑者を逮捕した場合、被疑者の身柄と書類を一緒に、逮捕後48時間以内に検察庁に送致する必要があります。
一方で、在宅事件の場合、警察などの捜査機関は被疑者についての捜査書類のみを検察庁に送致します。
これを、俗に書類送検と呼びます。

書類送検された場合、送致を受けた担当検察官は書類を確認した上で、捜査機関に対して追加の捜査指示を出したり自ら取調べを行ったりして、証拠化していきます。
その上で、検察官が起訴するか、不起訴にするかの判断を下します。

書類送検の場合、通常どおりの生活をし乍ら取調べなどの必要なタイミングのみ出頭することから制約はあまりないと言えるでしょう。
更には(公訴時効以外に)時間的制約がないことから捜査開始から書類送検に至るまでに数ヶ月かかることが一般的です。
そのため、書類送検されても緊張感がないという方もおられるようです。
しかし、書類送検された場合でも、逮捕・勾留により身柄拘束されている場合と同様に起訴されることがあり、有罪判決を受けた場合には刑務所に行ったり前科がついたりする場合があるのです。
そのため、書類送検だからといって安心することなく、適切な対応を検討することをお勧めします。
東京都板橋区板橋にて、仕事で使っていたカッターナイフを携帯していたため銃刀法違反・軽犯罪法違反などの嫌疑で書類送検される可能性がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で御相談を受けることができます。(要予約)

客引きで略式手続

2021-04-12

客引きで略式手続

客引き行為で検挙された場合の罪と略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都豊島区西池袋在住のAは、都内のいわゆるキャバクラでアルバイトをしていました。
ある日、そのキャバクラの店長から「今は客が少ないから客引きしてきてくれない?」と言われ、客引き1人あたり1000円を報酬に、西池袋で客引きを行いました。
Aは数人の客引きに成功したことから、その後も店の客が少ない時間帯に客引きを行っていました。
ある日、客引き行為をしたところ、通行人の一人が捜査中の豊島区西池袋を管轄する池袋警察署の警察官であり、「君、客引きだね。」と言われ現行犯逮捕されました。
取調べの際、Aは以前から警察官にマークされていて、内偵捜査が行われていたと聞きました。
Aは、その後接見に来た弁護士から、「略式手続になる可能性が高い。」という説明を受けました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【客引き行為について】

都内の繁華街などを歩いたことがある方は、「客引き行為」を見かけたことがあるかもしれません。
客引き行為は、路上などで歩行者に対して居酒屋やキャバクラ、性風俗などの店に勧誘することを意味します。
通行人が客引きに着いて行った店で、不当とも言える金額を請求されるという話も少なからず聞くところです。
このように、トラブルに発展する可能性がある客引き行為は、複数の法律で禁止されています。
規制する問題となる法律には以下のようなものがあります。

・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反
キャバクラや性風俗などは風俗営業と呼ばれ、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風適法と略します。)の制限を受けます。
これらの風俗営業について、それを営む者は「当該営業に関し客引きをすること。」及び「当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。」を禁止しています。(風適法22条1項1号・2号)
これに違反した場合には「六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めています。(同法52条1号)

・迷惑防止条例違反
上記のような風俗営業には当たらない居酒屋などの客引きについてはどうなるのでしょうか。
これは、風適法ではなく各都道府県の定める迷惑防止条例が問題となります。
ケースの場合、東京都豊島区西池袋での事件を想定していますので、東京都が定める公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の処罰に関する条例違反(以下、東京都迷惑防止条例と略します。)にあたります。
同条例では、7条1項で「何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。」とし、その3号で「異性による接待をして酒類を伴う飲食をさせる行為…の提供について、客引きを…すること。」と定めています。
罰条は「50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。(同条例8条4項5号)

【略式手続について】

本来、被疑者が起こした刑事事件について、担当する検察官は起訴するか不起訴にするかを決める必要があります。
不起訴になった場合、検察官が裁判所に対して起訴することなく、刑罰を科さずに終了するということです。
また、起訴された場合は、被疑者は被告人という立場に代わり、公開の法廷で有罪・無罪や、有罪だった場合の刑罰についての審理が行われます。

また、検察官は正式な起訴とは別に、略式起訴することもできます。
略式起訴は、比較的軽微でかつ被疑者が認めている事件で行われる手続きで、100万円以下の罰金又は科料の範囲で求刑し、簡易裁判所は書類の審査をしたうえで問題ないと判断した場合に認められる手続です。
略式手続は公開の法廷ではなく書類だけで行われ、被告人は裁判所から届いた起訴状・略式命令書と検察庁から届いた納付書に従って銀行等で罰金又は科料を納めるか、直接検察庁で納付することになります。
略式手続は、書類だけでの手続きになるため、被疑者・被告人にとって負担は少ないと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都豊島区西池袋にて、御家族が客引き行為で逮捕されたり、自身が客引き行為で在宅捜査を受けている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

車上荒らしで少年院へ

2021-04-08

車上荒らしで少年院へ

未成年者が車上荒らし事件を起こしてしまい、少年院送致される場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都大田区池上在住のAは、高校を卒業後アルバイトをして実家暮らしをしている18歳です。
Aは車に興味があるため高級スポーツカーを買いたいと思っていたのですが、アルバイトではなかなか収入が得られないため、手っ取り早く金を得たいと考えていました。
そこで、Aは高校生時代の後輩3人を引き連れ、夜な夜な大田区池上付近の路上や駐車場に駐車されていた車を狙い、窓ガラスを金属パイプで叩き割って中から金品を奪う車上荒らしをしていました。

大田区池上を管轄する池上警察署の警察官は、一連の車上荒らし事案の捜査を行い、Aらによる犯行であるとの裏付けをとったうえでAらを逮捕しました。
Aの家族は、Aが逮捕されたことから少年院に送致されてしまうのか不安になり、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に初回接見を依頼しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【車上荒らしについて】

ケースのような事案については、車上荒らし・車上狙い・車上盗など、様々な呼称があります。
手口としては、バールや金属パイプなどで窓ガラスを割ってドアを開け、車内にある金品を奪うというものです。
車上荒らしは他人の家や事務所などに侵入して行われる窃盗事件とは異なるため、「非侵入盗」と区分されます。
警察庁ホームページ掲載の統計資料を見ると、平成22年には12万4608件が発生していましたが、令和元年には3万7425件にまで減少しています。
ただし車上荒らしは検挙が難しく、検挙件数は20%台に留まっています。

車上荒らしをした場合には、どのような罪にあたるのでしょうか。
まず、その目的であるものを盗む行為が問題になります。
他人の財物を窃取するという行為は窃盗罪に当たります。
また、仮に車上荒らしをしたものの車内から金目のものが見つからなかったため何も盗らずに逃げた場合や、金目のものはあったが盗る前に人が来たのであきらめた場合などには、窃盗未遂罪が成立します。
条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(未遂犯処罰規定については刑法243条)

次に、車上荒らしのため車のガラスを破砕するという点が問題となります。
これは、他人の物を毀損することですので、器物損壊罪の成立が問題となります。
条文は以下のとおりです。
刑法261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

ただし、器物損壊罪については、物を盗る(窃盗罪)という目的のための手段に過ぎないため、牽連関係となりより重い罪である窃盗罪のみの刑で処罰されることになると考えられます。

【少年院とは?】

少年院は、20歳未満の少年が家庭裁判所で審判を受け、裁判官が少年院送致を言い渡した場合に送致される施設です。
少年院にいる法務教官等の指導を受け乍ら、自分の問題を見つめ、改善して社会復帰するための施設です。
そのため、本人の内省を深めるための授業だけでなく、生活指導や義務教育・高校卒業程度認定試験受験の指導、職業指導などが行われています。
少年院での生活期間は様々で、最短で4ヶ月、最大で24ヶ月です。
但し、規律違反などが続くとその期間はさらに長くなる可能性があります。
少年院には年齢制限があり、原則として20歳までとなっていますが、手続をすることで26歳まで収容することができます。

少年院に送致された場合、これまでの環境を調整・改善する機会になるというメリットがあります。
一方で、少年院での収容期間中は社会から断絶されるため、その後の生活への影響が懸念されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。

東京都大田区池上にて、お子さんが車上荒らしなどの事件を起こしてしまい逮捕され、少年院に送致される可能性がある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
弁護士が接見でお子さんからお話を聞いた上で、少年院送致の可能性や回避のための弁護活動・付添人活動について御説明致します。

落し物を拾ったら何罪?

2021-04-05

落し物を拾ったら何罪?

落し物を拾い、警察署や交番に届け出ずに使ってしまった場合の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都荒川区荒川在住のAは、荒川区荒川にある飲食店に勤めるアルバイト店員です。
ある日、Aは荒川区荒川にある図書館を利用していたところ、共有スペースの机に財布が置いてあることに気が付きました。
Aはその財布を注視して5分ほど待ち続けましたが、持ち主は現れませんでした。
そこで、Aは財布を手にしてトイレに向かい、財布と現金を抜いてカード類はトイレに流し、図書館からの帰り道に財布は捨てて帰りました。
後日、Aの自宅に荒川区荒川を管轄する荒川警察署の警察官が来て、図書館で財布が無くなった件について警察署で話を聞きたいと言いました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【落し物に関する罪】

誰しも一度は、落し物を届けたという経験があるかと思います。
御案内のとおり、落し物をした場合には最寄りの交番や警察署に行き、届出する必要があります。
では、それを届け出ずにその落し物を持ち去った場合にはどのような罪に問われるのでしょうか。
以下で検討します。

〇遺失物横領罪・占有離脱物横領罪
基本的に、落し物を届け出ずに持ち去った場合には遺失物横領罪・占有離脱物横領罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。

刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

ここで規定されているのは、占有離脱物横領罪であり、遺失物横領罪はその例示であるとされています。
持ち主がその場に忘れて行った物を盗った場合には遺失物横領罪が、意識して置いた上でその場を立ち去っていた場合などには占有離脱物横領罪の罪名が、それぞれ付くと考えられます。

〇窃盗罪
上述のとおり、基本的には落し物を盗んだ場合には占有離脱物横領罪・遺失物横領罪が適用されますが、それを拾得した場所によっては窃盗罪が適用される可能性があります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

確かに、どのような場所であれ忘れ物である以上は占有を離れたものと言えそうです。
しかし、例えば商業施設やパチンコ店、ケースのような図書館などの場合、たとえ落し物であってもその占有は商業施設やパチンコ店、図書館にあるとされ、窃盗罪が適用される可能性があります。
なお、例え占有する商業施設やパチンコ店、図書館などの担当者が落し物についての認識がなかったとしても、占有は認められ窃盗罪が適用されます。

【落し物を盗んで弁護士へ】

御案内のとおり、昨今は防犯カメラ・監視カメラの普及により被疑者が特定されやすく、出来心とはいえ落し物を盗んだことで警察が捜査を行い被疑者を特定するということは多々ございます。
その場合に、上記の遺失物横領罪・占有離脱物横領罪が適用されるのか、窃盗罪が適用されるのかは、その罰条の違いから極めて重要です。
加えて、取調べでの応答や示談交渉の有無などが終局処分を左右する場合が多いです。
そのため、落し物を盗んでしまった場合、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に弁護を依頼することが望ましいと言えるでしょう。

東京都荒川区荒川にて、落し物や忘れ物の財布を盗んでしまい、警察官から呼び出しを受けたり既に取調べを受けたりしている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で御相談いただけます。

要予約:0120-631-881

声掛けしたのにひき逃げに

2021-04-01

声掛けしたのにひき逃げに

いわゆる人身事故を起こした場合の罪と、声掛けをしたものの通報しなかった場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都足立区谷中在住のAは、足立区谷中にある会社に勤める会社員です。
事件当日、Aはいつもどおり自動車で通勤してたところ、通勤途中の足立区谷中内の路上にて、左折をしようとしたところ自動車の左側を直進していた自転車のVを巻き込む接触事故を起こしてしまいました。
Aは接触に気が付き自動車を降り、Vに近づいて声掛けをしたところ、Vは「怪我もしていないし急いでいるから大丈夫です。」と言いました。
そのためAは名刺を渡した上で立ち去りましたが、後日、足立区谷中を管轄する綾瀬警察署の警察官が自宅に来て、「ひき逃げをした嫌疑で出頭するように」と言われました。

Aは、取調べを受ける前に、人身事故で問題となる罪について聞くと同時に、声掛けをしたにも拘らずひき逃げになる理由を、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【人身事故が問題となる罪】

自動車やバイクの運転は、生活に於て必要不可欠な場合もありますが、ともすれば人をケガさせたり死亡させたりする可能性があることは御案内のとおりです。
警視庁のホームページによると、東京都内で令和2年に発生した人身事故は25,642件であり、死者数は155人、負傷者は28,888人でした。

人身事故を起こした場合、刑事上の責任・民事上の責任・行政上の責任を負うことになります。
民事上の責任については被害者に対する賠償などが考えられ、行政上の責任については違反に応じた累積点数により免許停止や取消といった処分を受けることになります。
そのほかに、刑事上の責任を問われることが考えられます。
刑事上の責任については、警察署や検察庁で取調べを受けた後、担当検察官の判断で起訴(あるいは略式起訴)を受け裁判により刑罰を受けることを意味します。
人身事故の場合、この章の一番下に記載されている条文が適用されます。

刑事上の責任は、被疑者の過失の度合いや被害者の怪我の程度が影響するほか、示談ができるかどうかなども左右します。
ここで言う示談とは、任意保険会社が行うものだけではありません。
任意保険会社が行う示談は、被害者が負った被害を弁済するもので、実際にかかった治療費や修理などにかかった費用などを普段することを意味します。
民事上の責任はそれで事足りる場合もありますが、刑事上の責任についてはカバー出来ているとは言えません。
刑事上の責任を出来るだけ問われないようにするためには、別途示談交渉を行い、示談書に「宥恕」と呼ばれる約定を設けることが効果的です。
「宥恕」とは、被害者が被疑者に対して、この示談を以て被疑者の厳しい刑事処罰を求めませんよという意味をもちます。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる

【声掛けしたのにひき逃げに?】

弊所に御相談される方の中には、声掛けをして相手の無事を確認したにも拘わらずひき逃げ扱いされていることに納得がいかないという方がおられます。
確かに、ひき逃げというと、人身事故を起こしたにも拘わらず声掛けなどせずに逃走する場合をイメージする方が多いことでしょう。
しかし、ケースのような場合でもいわゆるひき逃げに当たるのです。
そもそも、ひき逃げという言葉は法律用語ではありません。
道路交通法では、その72条で「交通事故があつたときは、…運転者…は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し…なければならない。この場合において、当該車両等の運転者は…直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。」と定められています。
怪我人等が居た場合を救護義務、それ以外を報告義務と定め、このうち救護義務違反については「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金」に処すると定められています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部では、過失運転致傷・ひき逃げなどの交通事故についても対応しています。
東京都足立区谷中にて、人身事故を起こしてしまい声掛けしたのにも拘わらず後日ひき逃げを指摘されたという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、相談は無料です。

カーセックスで書類送検

2021-03-29

カーセックスで書類送検

車内で性行為をする、いわゆるカーセックスした場合に問題となる罪と書類送検について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都港区新橋在住のAは、港区新橋にある会社に勤める会社員です。
Aは車で移動することが多いところ、ある日Aは港区新橋で見知らぬ相手Xに声をかけるいわゆるナンパ行為をして、Xを車に載せました。
そして港区内をドライブしていたところ、雰囲気が盛り上がり、港区新橋の路上にて車を停車させその中で性行為をする、いわゆるカーセックスを行いました。

一方、その近くに住んでいる港区新橋の住民は、Aの車を目撃し、室内灯が付いていて中でごそごそとしている者がいるとして、警察に通報をしました。
通報を受けて臨場した港区新橋を管轄する愛宕警察署の警察官は、Aらがカーセックスをしている場面を目撃したため、Aらを公然わいせつの被疑者とし、取調べを行うことにしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【いわゆるカーセックスでの罪】

お金を使いたくない、そもそもラブホテルなどと呼ばれる性行為などをするための場所がない、他の人に見られたくない、など、様々な理由でカーセックスと呼ばれる行為を行うことがあるかもしれません。
カーセックスは、自分たちの車の中で性行為を行うことを指しますが、これが刑事事件に発展する可能性があるのです。

カーセックスの際、衣服の全部または一部を脱ぐことが想定されます。
たとえ車内とはいえ、公共の場所で衣服の全部又は一部を脱ぐことは、公然わいせつ罪にあたると考えられます。
ただし、カーセックスがすべからく公然わいせつ罪に当たるというわけではなく、カーテンの有無や停車した場所などにより評価は異なると考えられます。
公然わいせつ罪の条文は以下のとおりです。
刑法174条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

そのほか、カーセックスの際に路上などに停車した場合には、道路交通法などに違反する恐れがあります。

【書類送検について】

刑事事件の場合、逮捕・勾留することで身柄を拘束して捜査を行う場合と、御自宅にい乍ら取調べ等の場合のみ捜査機関に出向くという場合の2種類があります。
前者を身柄事件、後者を在宅事件と呼びます。
身柄事件の場合、逮捕から48時間以内に検察庁に送致され、検察官はその後24時間以内に勾留請求するか釈放する必要があります。
逮捕・勾留は捜査中に被疑者が逃亡・証拠隠滅などをする恐れがある場合に行われる手続きであり、刑事罰ではないため、勾留はされたが起訴されなかったという場合も考えられます。

一方で在宅事件の場合、身柄を拘束されることがなく、(公訴時効を除き)時間的制約はないため、捜査開始から数ヶ月あるいは1年に亘り行われる場合があります。
在宅事件では、初めに警察官をはじめとする捜査機関が捜査を行い、検察庁に送致します。
この際、身柄事件であれば被疑者自身が検察庁に送致されるのですが、在宅事件の場合は身柄ではなく被疑者の書類のみが送致されることから、書類送検と呼ばれます。
書類送検されると担当検察官が警察等で作成された書類を読んだうえで、必要に応じて被疑者の取調べを行い、起訴するか否かを判断します。

弊所に御相談される方の中には、書類送検されたことで初めて事態の深刻さに気が付き、弁護士に依頼しようと考える方もおられます。
しかし、書類送検される前の段階で捜査機関は捜査を開始しているため、書類送検される前に弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
東京都港区新橋にて、カーセックスをしたことで公然わいせつ罪などの捜査対象になって書類送検される可能性がある方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

執行猶予中に無免許運転②

2021-03-25

執行猶予中に無免許運転②

無免許運転が問題となる場合と執行猶予期間中に刑事事件を起こしてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都台東区浅草在住のAは、台東区浅草にある会社の経営者です。
Aは有効な普通自動車の免許を有していたのですが、ある日台東区浅草で車を運転している最中に死亡事故を起こしてしまい
⇒刑事事件については過失運転致死事件で懲役1年2月、執行猶予4年の有罪判決を
⇒行政処分については1年間の免許停止処分を
それぞれ受けて居ました。
しかし、判決後も仕事では自動車が必要不可欠であったところ、Aは従業員に運転を任せたり運転手を雇ったりすることなく、免許停止期間にも拘らず自ら車を運転して仕事をしていました。

ある日、Aは台東区浅草にて運転をしていたところ、台東区浅草を管轄する浅草警察署の警察官の目の前で携帯電話の乍ら運転をしてしまい、制止を求められました。
その際、Aが免許停止中にも拘らず運転をしていたことが発覚したことから、台東区浅草を管轄する浅草警察署の警察官は、Aを無免許運転の嫌疑で現行犯逮捕しました。

Aの家族はAが逮捕されたと聞き、執行猶予中に無免許運転をした場合にどうなるのか、刑事事件専門の弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【無免許運転】

≪前回のブログを御覧ください。≫

【執行猶予の概要】

≪前回のブログを御覧ください。≫

【執行猶予の詳細】

この全部の執行猶予について、刑法は以下のとおり規定しています。

刑法25条1項 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

2項 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

内容が難しいため、以下で整理してみましょう。
≪対象となる罪について≫
刑事裁判の判決で言い渡される執行猶予ですが、どのような場合でも執行猶予を受けられるというわけではありません。
執行猶予の対象となるのは、「3年以下の懲役刑」「3年以下の禁錮刑」「50万円以下の罰金刑」のいずれかです。
よって、例えば死刑や無期懲役刑、有期であっても3年を超える懲役刑・禁錮刑の判決には執行猶予を付けることが出来ないのです。

また、執行猶予そのものの期間は1年以上、5年以下です。

≪対象者について≫
執行猶予は誰にでもつけられるわけではありません。
執行猶予の対象は、①上記刑法25条1項1号に該当する場合、②2号に該当する場合、③同2項に該当する場合のいずれかです。
①の場合について、「禁錮以上の刑に処せられたことがない」とは、執行猶予を含めてそのような刑を受けたことが無い方を指します。
いわゆる前科が無い人や、あるとしても罰金・拘留・科料といった刑に処せられた方が対象です。
②の場合については、いわゆる前科がある人のうち、執行猶予満了から5年が経った方や、実刑判決を受けて服役したものの刑期を終えて社会復帰した方が対象です。
③の場合について、これは再度の執行猶予と呼ばれるものです。
原則として執行猶予中に刑事事件を受けて有罪判決を受けた場合には執行猶予は取り消されることになりますが、執行猶予期間中であっても、「1年以下の懲役又は禁錮」の判決を受けて、且つ「情状に特に酌量すべきものがある」と判断された場合には、再度執行猶予付きの有罪判決を言い渡すことが出来るのです。

上記のように、執行猶予はその制度が複雑であり、更には事件によっては簡単に獲得できない場合も存在します。

東京都台東区浅草にて、御家族が執行猶予期間中に無免許運転をしてしまい逮捕・勾留された方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、逮捕・勾留されている方のもとへ初回接見に伺い、状況を確認したうえで今後の見通し等について御説明致します(初回接見は有料です。)。

執行猶予中に無免許運転①

2021-03-22

執行猶予中に無免許運転①

無免許運転が問題となる場合と執行猶予期間中に刑事事件を起こしてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都台東区浅草在住のAは、台東区浅草にある会社の経営者です。
Aは有効な普通自動車の免許を有していたのですが、ある日台東区浅草で車を運転している最中に死亡事故を起こしてしまい
⇒刑事事件については過失運転致死事件で懲役1年2月、執行猶予4年の有罪判決を
⇒行政処分については1年間の免許停止処分を
それぞれ受けて居ました。
しかし、判決後も仕事では自動車が必要不可欠であったところ、Aは従業員に運転を任せたり運転手を雇ったりすることなく、免許停止期間にも拘らず自ら車を運転して仕事をしていました。

ある日、Aは台東区浅草にて運転をしていたところ、台東区浅草を管轄する浅草警察署の警察官の目の前で携帯電話の乍ら運転をしてしまい、制止を求められました。
その際、Aが免許停止中にも拘らず運転をしていたことが発覚したことから、台東区浅草を管轄する浅草警察署の警察官は、Aを無免許運転の嫌疑で現行犯逮捕しました。

Aの家族はAが逮捕されたと聞き、執行猶予中に無免許運転をした場合にどうなるのか、刑事事件専門の弁護士に質問しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【無免許運転】

御案内のとおり、我が国で自動車やバイクなどを運転する場合には免許制度を採用しています。
つまり、自動車やバイクを運転することは原則として禁止されていて、免許証を交付された者のみが運転をすることが出来ることとされているのです。
道路交通法は、「自動車及び原動機付自転車…を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許…を受けなければならない。」とし(同84条1項)、「何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで…自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。」と定めています(同64条1項)。
この免許を受けずに運転した場合を俗に無免許運転と言いますが、無免許運転をしてしまう場合には以下のような場合が挙げられます。

・そもそも免許を取得していない
未成年者や交通ルールが緩かった世代によくみられる行為ですが、そもそも免許を持たずに運転した場合があります。

・免許外運転
仕事などでトラックを使う方などに見られますが、免許証を取得した年代などにより、運転できる車両についての制限がある場合があります。
これらは基本的に免許証に記載されていますが、例えば「準中型で運転できる準中型は準中型車(5t)に限る」と記載があるのに、総重量5トンを超える車両を運転した場合には免許外運転と呼ばれる無免許運転になります。

・免許停止中、免許取消後の運転
道路を走行中に交通違反を起こした場合、その違反が事故内容について認めている場合にはすぐに刑事罰をうけるわけではなく、交通反則通告制度に基づき反則金を納付するほか、加点(しばし減点という言い方をしますが、加点方式です。)します。
そして、免許を取ってからの期間や累積点数により、免許停止処分や取消処分を行うことがあります。

・うっかり失効
運転免許証には有効期限があり、期限内に運転免許センターや警察署などに行き更新手続を行う必要があります。
しかし、郵便物をしっかり確認していなかったり、住所変更後に届出ずに更新の通知が届かなかったりして更新手続を行っていなかったというケースもございます。
これも、有効な運転免許証を持っていないという点で無免許運転にあたりますが、うっかり失効の場合には有効期限後一定期間内に手続を行うことで無免許運転とは取扱わないという場合もあります。

【執行猶予の概要】

執行猶予とは、本来であれば懲役刑や禁錮刑、罰金に処せられるという場合に、一定期間その刑の言い渡しを猶予することを意味します。
例えば、ケースのAは以前に起こした死亡事故で「懲役1年2月、執行猶予4年」の有罪判決を受けています。
これは、本来であれば判決の宣告後に刑事収容施設(いわゆる刑務所)に送られますが、それを4年の間猶予すると定められている制度です。
一方で、その4年間のうちに再度刑事事件を起こしてしまい有罪判決を受けた場合、執行猶予は取り消される可能性があります。
例えば、上記の場合の執行猶予期間中に懲役2年の有罪判決を受け、前刑の執行猶予が取り消された場合、被告人は3年の間、懲役刑を受けることになります。

【執行猶予の詳細】

≪次回のブログに続きます。≫

東京都台東区浅草にて、御家族が執行猶予期間中に無免許運転をしてしまい検挙された方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。
まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、逮捕・勾留されている方のもとへ初回接見に伺い、状況を確認したうえで今後の見通し等について御説明致します(初回接見は有料です。)。

国際ロマンス詐欺で保釈

2021-03-11

国際ロマンス詐欺で保釈

国際ロマンス詐欺と呼ばれる犯罪と、その場合の保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部が解説致します。
【ケース】
東京都北区神谷在住のAは、北区神谷にある会社に勤める会社員です。
Aには借金があり、その借金を返済するために詐欺行為をしようと考えました。
そこで、Aは会社の同僚である北区神谷在住のVが職場で席を外した際にVの机上にあったスマートフォンを起動し、SNSのアカウントを知りました。
その後、SNSでVと接触し、「自分は日本に憧れていて日本人と結婚したいと思っている。しかし、自分が日本に行くためには母国での人間関係を清算する必要があり、その為にお金が必要だ」というメッセージとともに、インターネット上で探した外国人の写真を添付しました。
Vは、「結婚してくれるなら送金するよ」と返答し、Aが「手切れ金として30万円が必要」「友人から借りた金を返すために100万円が必要」などと言い、その都度金を送金していました。
しかし、Vの話を聞いたVの友人は不審に思い、Vとその友人とは北区神谷を管轄する赤羽警察署に行って話をし、そこで国際ロマンス詐欺である可能性を指摘されました。
Vは被害届を提出し、後日、捜査の結果Aによる犯行であると裏付けを取った赤羽警察署の警察官はAを国際ロマンス詐欺をしたことによる詐欺罪で通常逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【国際ロマンス詐欺について】

国際ロマンス詐欺という言葉を御存知でしょうか。
しばし報道でも取り上げられるこの詐欺事件は、現代特有の事件の一種と言えます。

国際ロマンス詐欺は、その国から日本に来るためにお金が必要、あるいは自分は軍人で退役するためには金が必要などと嘘をつき、そのお金があれば貴方と結婚が出来ると嘘をついて金をだまし取るという手法で、日本国内だけでなく海外のどの場所に居てもスマートフォン一つで連絡が取り合えるこの時代だからこそ生じる得る犯罪です。

国際ロマンス詐欺は、SNSやいわゆる婚活サイトを通じて外国人(あるいは外国人を名乗る日本人)からフォローをされたり、DMが送られてくることから始まるようです。
報道などでよく聞く手口としては、現役軍人や医師であるなどと身分を偽り、妻とは死別したので退役して貴方と結婚したいなどの甘言で被害者を騙し、渡航費用や荷物の郵送費などの名目で金銭を要求してきます。
特殊詐欺全体を見ると未だオレオレ詐欺などの手口が大多数を占めますが、国際ロマンス詐欺で億単位の被害が出ている事例もあるため、十分に注意が必要です。

国際ロマンス詐欺は、被害者が被疑者・被告人と結婚するあるいは結婚を前提に交際するなどという嘘を前提に、偽りの名目で相手に金員を要求して被害者を錯誤に陥らせた上で、送金等させるという手口で行われるため、詐欺罪が適用される可能性があります。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

【保釈について】

刑事事件を起こした場合、在宅で捜査を進める場合もありますが、逮捕・勾留をして身柄を拘束したうえで捜査を進める場合があります。
両者の違いは、証拠隠滅の恐れがあるか否か、逃亡の恐れがあるか否か、といった点が挙げられます。

被疑者が逮捕された場合、裁判官の判断により、勾留請求された日から最大で20日間、警察署の留置施設などで勾留されます。
勾留満期日になると、検察官は被疑者を起訴するか、処分保留で(又は略式手続による罰金納付後に)釈放する必要があります。
ここで起訴された場合、被疑者は被告人という立場になり、刑事裁判を受けることになります。
勾留された被疑者が起訴されて被告人になった場合、その多くは起訴後勾留というかたちで引き続き身柄を拘束されます。
その際、被疑者勾留の時点で警察署の留置施設での身柄拘束を受けていた方は、拘置所という場所に移送される可能性があります。
起訴後勾留は2ヶ月ですが、その後も1ヶ月毎に延長をすることができるため、判決言渡しまで身柄拘束が続くことも考えられます。
それを回避するため、弁護士は保釈請求を行い、保釈金を納付することで被告人の身柄の釈放を求める必要があります。

東京都北区神谷にて、御家族が国際ロマンス詐欺事件を起こしてしまい保釈についてお考えの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部・八王子支部に御連絡ください。

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